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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.7 167件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2011.11
  • 出版社: 講談社
  • サイズ:20cm/219p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-217386-5

紙の本

ジェントルマン

著者 山田 詠美 (著)

眉目秀麗、文武両道、才覚溢れるジェントルマン。その正体—紛うことなき、犯罪者。誰もが羨む美貌と優しさを兼ね備えた青年・漱太郎。その姿をどこか冷ややかに見つめていた同級生の...

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ジェントルマン

税込 1,540 14pt

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商品説明

眉目秀麗、文武両道、才覚溢れるジェントルマン。その正体—紛うことなき、犯罪者。誰もが羨む美貌と優しさを兼ね備えた青年・漱太郎。その姿をどこか冷ややかに見つめていた同級生の夢生だったが、ある嵐の日、漱太郎の美しくも残酷な本性を目撃してしまう。それは、紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌だった—。その背徳にすっかり魅せられてしまった夢生は、以来、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在として、彼を愛し守り抜くと誓うのだが…。比類なき愛と哀しみに彩られた、驚愕のピカレスク長篇小説。【「BOOK」データベースの商品解説】

【野間文芸賞(第65回)】誰もが羨む美貌と優しさを兼ね備えた青年・漱太郎。同級生の夢生は、ある嵐の夜、漱太郎の紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌を垣間見る。その時から、夢生は彼の“告解の奴隷”となった…。『小説現代』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

山田 詠美

略歴
〈山田詠美〉1959年東京都生まれ。「ベッドタイムアイズ」で文藝賞を受賞しデビュー。「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」で直木賞受賞等、受賞多数。ほかの著書に「姫君」など。

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書店員レビュー

ジュンク堂書店新潟店

ジェントルマン。紳士的で誰に対しても優しく、礼儀正しい...

ジュンク堂書店新潟店さん

ジェントルマン。紳士的で誰に対しても優しく、礼儀正しい。おそらくこういった人のことをジェントルマンというのだろう。
この物語にはタイトルが『ジェントルマン』となっているだけにジェントルマンが勿論登場する。がしかし、ここに出てくるジェントルマンは真のジェントルマンではない。完璧にジェントルマンの仮面を被った屈折した男性だ。いやそんな軽いものではなく、罪人というべきだろう。
ただでさえ最低最悪なことが、いつもこの仮面がしっかり被っている男だけに、幻滅の落差が尋常ではなく、より酷く感じられるのだ。
でもそんな罪人のジェントルマンだけれども、読んでいて感じるのは、憎悪というよりも、哀切という言葉の方がしっくりくる。
そしてジェントルマンだけではなく、この物語に出てくる全ての人が哀しいのだ。
1人1人の愛は真剣で一途で、健気で、でも混じりけのない愛故に、歪んでしまったりして、非難の目では到底みてはいけないような真剣さを感じ哀しくなってしまうのだ。
そんな歪んだ真剣の愛の最後が狂気のある美しさで締めくくられていて、なんともいえない気持ちが胸を支配して離さない。愛は難しい。

文芸書担当 涌井

みんなのレビュー167件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

本質というのは男であるか女であるか、ホモであるかヘテロであるか、正常であるか異常であるか、そういう差異を超越して厳として存在する何かなのである。

2012/02/13 22:08

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

とても山田詠美らしい小説だと思う。愛にゲイもバイもヘテロもない──そういう分け隔てない感覚に基づいて、分け隔てない恋心が分け隔てなく描かれている。恋するって、痛くて、苦しくて、危ういものなのである。それは相手が誰であろうと関係がない。

読み始めて2ページほど、僕らは状況がつかめない。それは恋する2人と言えば、僕らは必ず男女の組合せを思い浮かべてしまうからである。アニー・リーボヴィッツによる有名なジョンとヨーコの写真になぞらえられているので、なおさら勘違いをしてしまう。だが、恋愛はヘテロ同士だけのものではないと僕らは知る。さらに、カップルでいるからといって必ずしも単純に互いに恋する関係であるとも限らない。──夢生と漱太郎はそういう関係である。

漱太郎は非の打ち所のない優等生でありながら、優等生ならではの嫌味なところがなく、万人に好かれている。だが、その胡散臭に気づいていたのは、クラスでは夢生と圭子だけだった。そして、ある日、漱太郎の予想だにしなかった面があらわになる事件を目撃してから、彼は一気に恋に落ちる。生涯の友である圭子には隠したまま──。

人物の造形がすごい。どう考えてもそんじょそこらにいるはずのないキャラである漱太郎が、ここまでリアリティを持って僕らの前に立ち現れてくるのは、ひとえに山田詠美の筆力によるところである。

これほど異常なもの、あるいは異形のものを描いて、それでもこれだけの説得力があるのは、本質に到達しているからである。本質というのは男であるか女であるか、ホモであるかヘテロであるか、正常であるか異常であるか、そういう差異を超越して厳として存在する何かなのである。そして、どんな異形の2人の間にも厳として存立可能なものが愛なのである。

このことに陽を当てるために、ストーリーはますます異常な、扇情的な、唾棄すべき結末へと転がり堕ちて行く。

終盤少し書き急ぎすぎた感もないではないが、しっかりと構築された恐るべき小説世界である。

愛するって痛いのである。そしてその痛みは、一見誰も愛していないような“ジェントルマン”漱太郎の中にもある。何かを愛さないと生きていけないから──生きることが痛いのはそのためなのである。

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紙の本

これも恋

2012/02/07 08:08

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 恋には様々な姿があります。
 男と女、男と男、女と女。あるいは動物への思いも時には恋以上となります。また、最近よくいわれる「年の差婚」のようにひどく年の離れた恋もあったり、近親相姦のようなタブーの恋もあったりします。
 様々な恋だからこそ、古今東西、たくさんの物語が紡がれてきたといえます。それでも、その恋がピタリとはまる物語は生まれてはきません。なぜなら、恋の物語はいつもひとつ、世界でたったひとつだからです。

 山田詠美さんはそのデビュー作『ベッドタイムアイズ』(1985年)からさまざまな愛の物語を描いてきました。それでも、恋の本質は語り尽くせないのは、浜の砂子よりも恋の形が多いからです。
 そんな山田さんですが、この作品では男と男の恋情を描いています。
 通称ユメと呼ばれる主人公のユメは高校時代に優等生で正義感が強く容姿もいい漱太郎という同級生に恋してしまいます。きっかけは漱太郎の裏の姿を見たことです。漱太郎の真の姿を独占できたことでユメは歓喜します。それは強い恋情へと変わっていきます。
 ユメはその後同性愛者となりますが、漱太郎は「ジェントルマン」として家庭をもち、社会的にも認められていきます。しかし、その実態は悪者のままですから、ユメの漱太郎への思いは続いていきます。

 ユメの独白として山田さんはこんな文章を綴っています。
 「(小説の)世界が導いてくれるままに進むと、そこには、もうひとりの自分がいる。そして、これまで語り得ずにいたあらゆる事柄を言語化して、代弁してくれるのだ」と。
 山田さんがこれまで描いてきた恋の世界を読んで、当然同じものではないにしても、そうだその通りだと感じたたくさんの読者がいたはずです。何故なら、そこに描かれた者たちは読者の「代弁者」であったのですから。
そして、この物語のユメや漱太郎もまた、読者の「代弁者」であるのです。

 男を愛するユメは、「ジェントルマン」の表の顔と悪者の裏の顔を持つ漱太郎は、そして二人の妖しげな恋は、もしかすると私たちの心の奥底にある、人間の影の部分かもしれません。
 そのことを誰が否定できるでしょうか。

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紙の本

内容紹介

2011/11/15 14:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ビーケーワン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 誰もが羨む美貌と優しさを兼ね備えた青年・漱太郎。その姿をどこか冷ややかに見つめていた同級生の夢生だったが、ある嵐の日、漱太郎の美しくも残酷な本性を目撃してしまう。それは、紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌だった――。その背徳にすっかり魅せられてしまった夢生は、以来20年にわたり、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在――“告解の奴隷”として、彼を愛し守り抜くと誓うのだが……。

ままならない恋、届かない愛の究極形を、圧倒的な熱量と、これ以上なく美しい筆致で描く、放心必至の衝撃作。読む者すべての心を否応なしに揺さぶる、渾身のピカレスク長篇小説。

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紙の本

BL小説ではありえない結末

2012/01/26 09:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:壱太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

漱太郎は、自分の中の常識を正当化し犯罪を犯罪と思っていない紳士。周りの人間をたくみに絡め取り、表面上は完璧に紳士に擬態している姿は恐すぎでした。夢生の周りは人間の傲慢さがあふれています。
最後は、果てしない絶望への輪舞曲を目撃した気持ちでした。
同性愛をテーマにしているボーイスラブのジャンルでは絶対にありえない結末に愕然となりました。

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紙の本

ジキルとハイド

2012/01/24 02:46

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アイロンはコードレス - この投稿者のレビュー一覧を見る

 山田詠美の新作小説は、ジキル博士とハイド氏のごとく、文武両道の非の打ちどころのない好青年にして実は犯罪者という漱太郎と、その漱太郎の本性を知る主人公の夢生との物語。これまでも、山田詠美の小説では、同性愛者は重要な地位を占めてきたことがある(例えば、「トラッシュ」。)。でも、この小説の主人公は、同性愛的傾向を持っているだけではなく、犯罪者的傾向を持っている。その辺りが、今までにはない設定か。
 相変わらず、文章は巧いし、アフォリズムが散りばめられている。長年のファンの期待には、一応、応えている。ただ、それ以上、山田詠美の新境地を期待していると、少々、物足りなさも覚える。期待値が高いから、仕方ないのかな。
 面白いです。でも、もうひとつ、物足りなさを覚えたので☆3つとした。

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2012/01/13 15:39

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2012/01/16 03:09

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2011/12/15 21:25

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2011/12/04 20:38

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2012/01/12 22:02

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2011/12/02 02:50

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2011/12/03 19:27

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2011/12/10 13:42

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2012/01/26 20:03

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2012/01/20 10:47

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