李香蘭と原節子 (岩波現代文庫 文芸)
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紙の本
時代の呪縛
2019/07/05 13:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
山口淑子という人は李香蘭という名前でも知られた人でした。
日本人でありながら中国人の名前を持ち、旧「満州国」で映画スターでした。
複雑な時代の複雑な国際状況を体現したような人です。
四方田犬彦『李香蘭と原節子』という本は2人の大女優と、その時代を描いた本です。
私はどちらもスクリーンで見たことがない世代なので、わかりにくいところも多かったのですが、アイドルやスターが時代の呪縛から逃れられないのだなと思いました。
それにしても、山口淑子が「満州国」とイスラエルを比較しているという発想には虚を突かれました。
そう考えると「満州国」は短命に終わってよかったのかもしれません。
紙の本
原節子のファンは読まない方がいい。
2015/11/28 14:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:照月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
奇しくも李香蘭こと山口淑子と原節子は同い年である。
そこで著者は2人を対峙させ本書をまとめたのである。
文庫本ですが、挿絵もなく内容も濃いので、
読むのには結構時間がかかる。
その点は心すべしである。
戦前には、戦前特有の女優さんを
取り巻く環境があった。
李香蘭(山口淑子)が中国人に仕立てられ、
日本の中国侵略に利用されたことは有名である。
ミュージカルにもなった。
では、原節子はどうか。
やはり当然戦前の政治的状況と
無関係では有り得なかった。
戦前においては国威を高揚する映画に出、
戦後においては民主主義を強調する映画に出ている。
そのこと自体は悪い事ではないと思う。
戦前日本、誰だって軍部に意見は言えなかった。
しかし、戦前原節子がドイツに行って感化され、
やったことはショックである。
(ここでは書かないが)。
李香蘭は、日本敗戦とともに
「李香蘭」を捨て山口淑子となり、
結婚を機にアメリカに渡った後は
シャーリー・ヤマグチの名で女優をし、
離婚して帰国するとまた山口淑子で女優をした。
女優引退後は、参議院議員としても活躍した。
一方、原節子は早めの引退をし、伝説であり続けた。
どちらの人生がいいとは言えないが、
私は、地を生きた「李香蘭」(山口淑子)の方が
幸せだったと思う。
もっとも戦前のことを考えれば、
原節子が早めに引退したのは
良かったのかも知れない。
小津監督が亡くなって
女優の仕事に情熱がなくなったと
報じているが、それだけではないと思う。
伝説を守るため、
引退後も公の場にでなかっただけでなく、
買い物も親戚に頼んで
自分が外に出ることは
あまりなかったという。
多くの人の夢を壊したくなかったのだとでしょう。
そういう意味では、
一生女優であり続けた人だった。
李香蘭(山口淑子)、原節子
間違いなく二人とも、日本が生んだ大スターです。