紙の本
笑って泣けて
2012/01/24 21:33
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投稿者:hiyokomame - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年読んだ本の中で一番面白かったです。
どことなくポールオースターと似た雰囲気のある作風で、老若男女だれでも楽しめる小説だと思います。
翻訳に少し気になるところもあったけれど、ぜひ読んでほしい一冊です。
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題は「City of Thieves」なんですね、邦題の方が良いかと。あんなに笑えたのに悲しすぎる場面もあり。とにかく面白い。
紙の本
不思議な冒険物語
2013/04/07 03:42
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投稿者:一茶茂ン太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1942年のナチス・ドイツのレニングラード(サンクトペテルブルグ)包囲戦の最中の祖父レフの不思議な冒険物語。
略奪罪で銃殺刑を逃れるには「卵1ダース」を1週間以内に調達、持ち帰ること!臆病な少年レフの相棒はこれまた、脱走兵で銃殺罪を逃れたいコーリャ。
死刑を逃れるのが「卵1ダース」を持ち帰ることって!戦争中になんて馬鹿馬鹿しい命令。
包囲戦(=兵糧攻め)のため大飢餓のピーテル(レニングラード)の街を「卵」を探し歩く二人。命令を出した大佐さえ調達出来ない?!のに簡単に見つかる筈も無く。
騙されて人肉ソーセージを売る鬼畜夫婦に材料にされそうになる二人、卵を産む雌鶏を守るため何も食べずに鶏小屋を守る餓死寸前の少年との遭遇、後にその鶏はメスでなくオス?だった。
市内での卵調達が無理と判り、ナチスの前線(包囲網)を越え、ドイツの占領地内へと卵探しに行くことに。
途中慰みものにされた少女達がナチスに囲われた農場である逃げた少女は捕まり、少女達の見守る中見せしめで両足を切り落とされる話を聞き、パルチザンとの関わりが出来、やがて武装親衛隊と対決する羽目に。
凍結した川に身包みを剥がされた死体、戦車を攻撃するために地雷を括り付けられた犬達、立て看板にされた凍りついた兵士の死体等々と遭遇しながら厳寒の中、卵調達のための行進が続きやgて、ナチスの捕虜に。
戦争のリアル、残酷なエピソードが胸くそ悪くならないのは本書が馬鹿馬鹿しいとも思える物語の設定と感情を込めない冷静な表現だけではなく、敵味方関係なく取込んでしまうキャラクターであり物語の推進役のコーリャの存在によるところが大きい。
コーリャの能天気、超ポジティヴな発言や下ネタが主人公レフの臆病さを和らげるとともに物語が都合良く進むと感じさせない展開を納得させてしまう。
レフは極限の中にいてもコーリャとの漫才みたいな会話だけでなく、恐怖と関係ないことを考えたり好きになったパルチザンの女狙撃手を夢想したりすることこそが余計にヒトとしてのリアルさを感じさせる。
訳者あとがき、解説によると作者デイヴィッド・ベニオフは他にも曰く「変な小説」長編『25時』、短編集『99999(ナインズ)』が訳出されているので読んでみたいと思う。
兎に角、戦争の残酷さ、愚かさ、極限での人間性の崩壊、人種差別をひいては国内外情勢を考えさせられながらも読後に厭な後味を残さない不思議なファンタジーと言えるのではないか。
紙の本
逞しく生き抜く人がいる
2015/03/26 16:08
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナチスの包囲下に置かれていたロシア・レニングラード、レフとコーチャは助かるために1ダースの「卵」を戦争の中探しに行く。読んでいて目的を忘れそうなほど戦争の悲惨さや苦しみが伝わってくる。満足に食べられるはずも無く骨も浮き出て座り込んでしまう。そんな時代にも逞しく生き抜く人がいる。ジョークを言い合ったり女のことを想像したり、滑稽に見えるかもしれない。だが気の置けない友がいるだけで一変する。それだけは確かだ。
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部屋に人肉を吊るしてるとか、犬に対戦車の地雷を背負わせてるとか、侵攻してきたドイツ兵の慰み者になってしまったロシアの女の子たちとか、これが戦場となった現実なんだろうなあ・・・と。とにかく当時のレニングラードに食べ物がなくて寒さと飢えで大変だったというのはよく読んだけれど、そんな中娘の結婚式のために卵を探してこいという大佐がなんとも・・・ホントにこんな人いたのかしらん。でもいても不思議なさそう。なんとなく、だけど。コーリャがいいな。訳文が滑らかでとても読みやすい。
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邦題は暗喩なのだろうと漠然と思っていた。だが冒頭を読み進めた段階で、捻りも無く物語をそのままに表したものだと判る。日常から卵が消えた街。つまりは人間社会が存続するために不可欠な家畜などの生き物が失われた世界である。1942年、ナチス・ドイツによって包囲されたレニングラード(ピーテル)では、空襲と飢餓によって市民100万人近くが死亡したとされている。本作には、その地獄の中でこそ一瞬の輝きを放つ絶望へのアンチテーゼが描かれている。
補給を絶たれ配給も削減された極限的状況下で、下層階級の人々は餓死寸前まで追い詰められ、非人間的所業が横行する。17歳の少年レフは、死亡したドイツ兵士からナイフを盗んだところを捕まるが、軍の大佐から放免の条件として「卵1ダース」を調達することを命じられる。その使い道とは、娘の結婚式でケーキの材料にしたいという理不尽極まりないなものだった。卵探しの相棒となるのは、時同じくして脱走兵として捕らえられた青年コーリャ。如何にもユダヤ人的な容貌のレフは、金髪碧眼の陽気な美男子であるコーリャに対して劣等感を抱くが、何事にも屈せず道を切り拓いていくその姿勢に触れるうち精神的な成長を遂げ、二人は固い友情で結ばれていく。
戦争がもたらす生々しい狂気を、敢えてシニカルな展開に潜り込ませることで、その愚劣と残虐性が冷徹に抉り出されていく。この世の地獄巡りの果てに手にした「卵」が、最終的にどんな意味を持つかのかは、読者一人一人の思いに委ねられている。
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Amazonなどで絶賛されているのを見て、普段は読まない海外作品を。
忙しくて飛ばし飛ばしでしか読めなかったのが悔やまれる!
でも、一気読みよりじっくり読みがオススメ。
下ネタジョークを飛ばしまくるコーリャと神経質なレフ。
戦争の悲惨さ、残酷さを目の当たりにする場面がいくつも出てくるけどこの2人は淡々としていて、それが日常となってしまっているのが伝わってきて切なかった。
でもこれは戦争小説などではなく、2人の青春の軌跡の記録であり、レフのラブストーリーと言い切れる。
いよいよ冒険が終わるというところでコーリャを襲う出来事には「こんなのってない!」と思ったけれど、ラストまで読み進めると「最高のラストだ!」と思ってしまう。
溜めこんでいたクソを出した時のコーリャが最高!
またドイツ兵?!と思ったらそっちか!
高校生には読んだ欲しいけど女子中学生にはオススメしづらいかもw(下ネタ的に!)
2013/02/11-22
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変わったタイトルの小説だな、人を食ったような内容なのかな、と思いながらページをめくると、まさかタイトル通りの話でした。
舞台は1942年のレニングラード。まさにナチスの猛攻を受け長い長い包囲戦の最中。
女子供の多くは疎開し、市民が自衛組織として駆り出され、物資は乏しく闇市が幅を利かせるようなそんな時期。
主人公の少年はたまたま見かけたドイツ兵の死骸から酒とナイフを盗んでいたところを憲兵につかまり、略奪罪で刑務所にぶち込まれる。
そのまま銃殺、かと思いきやなぜか解放され、秘密警察の大佐から一つの密命を受ける。
・・・来週の金曜日までに、卵を1ダース調達すること。
そしてともに刑務所にぶち込まれていた、陽気でちょっとズレた脱走兵とコンビを組んで、絶望的物資不足の中、戦場を横断して卵を探す旅に出るのである。
リアルな戦争描写と、奇妙なミッション。
むっつりと少しひねくれたユダヤ人少年と、戦時中にもかかわらず調子っぱずれに陽気なロシア人脱走兵との、ユーモラスで時にペーソスのきいた掛け合い。
このギャップがうまくかみ合い、明らかに奇妙でドラマティックすぎる筋書きの中にしっかり地に足ついたリアリティをもたせて、最後まで読み手を引き込んで離さない。
話としては冒険譚の類で、飛びぬけた目新しさもないし激しい感動もない。
それでも小説世界にどっぷり没入できる、良質なエンターテインメント。
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数年前のコノミスの上位で見た覚えが、というだけで購入。
みすてりー?
そういうんじゃなくってこれは深い。
ドイツ軍侵攻による飢餓状態のソビエト、レニングラードの庶民の様子がイタクて読み進めることができないほど。
凌辱されつつ拷問を受けた少女の話やら人肉の描写やら・・・
それでも読後感が切なくも一種爽快な感じがするのは
男同士の友情や日々の困難の中でもちょっとしたユーモアを
感じさせる登場人物のキャラが堪らなく愛おしいからでした。
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おもしろかったです。ミステリー枠のようですがそこまでミステリーじゃないと思います。第二次世界大戦中のロシアで少年期を過ごしたおじいちゃんの話を書きまとめたというスタイルです。なので主人公は少年なんですが一人称は「わし」です。違和感あるけどそこがなんだかいいんです。
ロシアで夜間に外に出ていたため捕まった主人公と、同じく何かしらの事情で捕まったよくしゃべる兵隊、コーリャの珍道中です。とにかくこのコーリャって男が状況も考えずよくしゃべる。なので、本来なら重苦しい戦争というテーマがなんだかバカな事と思えてきます。まー実際戦争なんてバカがやることなんでしょうが。。
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下品で笑えて切なくて辛くて怖くて爽やかな話だった。
人肉食、地雷犬、足を切断される少女など、あまりにもひどい場面にばかり出くわすものの、コーリャの明るさとおちゃらけた物言いにだいぶ救われていると思う。
下ネタが思ったよりすごい多かった。
娘の結婚式で使いたいというそんな理由のために命懸けで卵を調達させにいくのもそもそもやばい。
戦争の理不尽さや怖さがいろんなところから滲み出てた。
コーリャのことを私も読んでるうちにどんどん気に入っていたので最期は唐突で悲しかった。
けど、コーリャらしいといえばとても彼らしかった。
名狙撃主のヴィカもいいキャラしてたし、終わり方は爽やかで読んでいてこちらも微笑んでしまった。
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これを年初の1冊にしようと思っていた。コーリャ!最初イヤな奴だしなんかラノベ的展開だしと思っていたのにあっという間に引き込まれた。そのかる~い展開の脇で垣間見える戦争描写が冷静で、皮肉がきいていて、でも最後一応ハッピーエンドなのに救われる。
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奇妙な本のタイトルに惹かれて読んだ。
戦争の残酷さを描きながら、青春と友情と冒険の物語。
最後の一言がよかった。
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卵探しの設定は面白く
期待が膨らんだけれど
好みでなかったかな。
ミステリーとして紹介されてたけど
これミステリーなのかな?
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だいぶ面白かった。第二次世界大戦中のレニングラードを舞台に繰り広げられるハチャメチャだけど静かで、残酷だけどなんか優しい、本当に不思議な小説。