紙の本
不思議な世界観
2012/01/25 18:42
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぼのひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これでもかというほどの不思議なエピソード満載で、そちらにばかり目が行きストーリーがよくわかりませんでした。
逃避行をする母と娘なのですが、突拍子な展開ばかりでどうも心理描写にかけのめりこみにくかったです。
せっかく面白い設定をたくさん盛り込んだのにもったいないです。
電子書籍
ぐいぐい引き込まれてでも
2017/04/08 21:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章は本当にぐいぐい引き込まれて、疾走感のある物語に引き込まれました。しかし、
第2章に入りトーンダウン。特にコマコの文学賞受賞の辺りからは、作者の体験談?という感じで、ちょっと興醒めな気がしました。このさっかさんは、私の男を読んで、力があるなぁと感じていたのですが、長編向きではないのかも。
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私の男で衝撃で桜庭作品ファンになりましたが、これは好みからはずれます。母の愛、幼い頃の親からの愛情、環境は人格全てになること、またまた考えずにおれません。
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前半は、犯罪者である母・マコとその娘・コマコの逃避行の物語。DVや葬式花嫁などのエピソードをはさみながら、一気に何年もの物語が展開する。 後半は、母に捨てられたコマコが独り立ちし、作家として生きていくお話。直木賞受賞シーンや影響された本など、著者の人生に基づいたような内容。
いつも不可思議な世界観に引き込んでいってくれるが、本作はあまりの痛々しさに普通なら辟易するところ、完璧な言葉選びでそれを許さないのが素晴らしい。作中に「本は余暇に書くものではない、全てをぶつけないと読者に失礼」という趣旨のコマコのセリフがあるが、こういう姿勢で書いてくれてるのだろうな、とひしひしと感じる。
と書いても伝わりにくいだろうな、と自分のあまりの表現力の乏しさが恥ずかしくなってくるほど、表現力の豊かな大好きな作家である。後半にちょっと失速感があったのは残念。
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母の名前はマコ、娘の名前はコマコ。
前作「私の男」直木賞受賞後の第一作、大作696頁で描かれた桜庭一樹ワールド全開作品。
賞を受賞した後の悲痛までも作品に描いちゃってるし、製鉄⇔鋼鉄、ファミリーポートレート⇔セルフポートレートなど、作者と主人公を読者の頭の中をグチャグチャにされてしまう。
挿入されている小物語は、ちゃんと描けば「芥川賞」もいけるんじゃないかと思わせる凄味がある。
この作品も面白かったが、前作『私の男』に敬意を表して★4つにした...でも★5クラスの面白さはある。
やはり、前作『私の男』を先に読んでから読むべきな本だ。
感想とは全く関係ないけど、最近知ったが桜庭一樹は松本清張賞の選考委員に選ばれたんだね。 松本清張賞の選考委員も豪華メンバは石田衣良・北村薫・小池真理子・桜庭一樹・山本兼一
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文庫化において再読。
「ママの名前はマコ。マコの娘はコマコ。」
解説で語られているように、現実味がないのにリアリティがある、母娘の逃亡劇。あんなに愛し許容し崇拝したのにあっさりと終わりを迎えてしまう。どこまで行っても果てない夜。出会ってコマコは変わらないまま変わらざるを得なくなる。母を愛し許容し崇拝し、その思い出に苦しめられる半生。這いずり回るような人生に光はない。ただ、ぼんやりとあかりがついている。海底に蝋燭。冷たい海底にともる小さな火、あるはずのない火、温度が感じられないのに灯火がある不思議な感覚。
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仕事なんかしてないで、早く続きを読みたい!
と思わせられた、良い本でした。
例えば主人公が抱えているものがすごく重たくて、
その重たさが、過激であるから衝撃的な作品
というのはあったりするけれど、
この人の本は、全くそういうところがない。
駒子が抱えているものはそういうものだけれど、
生まれて来た赤ん坊がかけがえのないもののように感じられたり、
義理の妹と仲良く食事をしたり、人とのつながりという
陳腐で、安心できて、普通の感覚で腑に落ちることに
強さの源や救いを書き出していて、すごい作家さんだと思わせられる。
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2011.11.14-11.27
前半は母娘の放浪の話で、後半は娘の独り立ちの話。
前半は読んでて痛ましかった。後半はコマコが社会経験積んでく話だから、もうちょい自分自身も経験積んでから読んでみたい。
終わり方はよかったな。あそこでマコと決別するんじゃなくて、「呪いのように親子」ってなるのが締め方としてよかったと思う。「わたしの中でマコとコマコは融け合った」みたいな描写があったけど、結局親とか近しい人から受けた影響もぜんぶひっくるめて自我が確立していくってことが言いたいのかなと感じた。
あとは全体通して性行為の描写が多いのがちょっと嫌だったかな。
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うむ。
時間かかった…
696ページか…
後半は完全に精神である。
ほんとに最後の数ページまではなんともなかったが…
最後でさぁーっと開けた。
暗くって意味不明でぶっ飛んでるけど…暖かくなりました。
という事です。
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読み始めた瞬間から惹き込まれた。
その独特の雰囲気と言葉と、コマコの目線で描かれる母親の話、自分の話、世界の話にもみくちゃにされた。
桜庭さんの”こういう話”(と、表現していいのか分からないけど)の魅力と言うか魔力は、取り巻く全てを描かない事じゃないかなと思う。事細かに描写する事もあれば、背景や事件を全く書かない事も多くある。私はそれすらも知りたいと思ったりしてみるけれど、それは読者の視点からであって、物語の登場人物、とりわけ主人公にしてみれば、案外重要でないことのように感じる。
ぶっちゃけ「私の男」の対の物語なのかと思ったんだけど、読み終わった今はそうでもないような、やっぱりどこか繋がっている気がするような……何かそんな感じ。
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5でなく4にしたのは、読書日記などを読んで、著者の考えていることを、「ここで書いてあることはあそこで考えていたあのことか」と結構お手軽に掴めてしまって、著者のいる物語なのだとあまりに強く感じられてしまったから。著者と物語との繋がりがちょっと生々しすぎて。
でも、いつも通りむやみに同意してしまいたくなる部分も氾濫していた。自分一人だけそうなのかなと思っていたことをしっかり文章にして抉られてさらけ出されているような感じ。どうして物語を書くかっていうと、自分の中のどうしようもない苦しみを外に出して、それを他者に読んでもらうことで、自分のなかのそれを薄めてゆかないと正気を保ってられなくなりそうだから。だから物語を必要とする人間は不幸な人間だとわたしは思う。
織り込まれているモチーフもやっぱり好き。呪いの話。
藻屑から花へ、花から駒子へ。あのどうしようもなく救われない人魚が可愛そうで好きだったので、とうとうきてしまったなあ、とため息がこぼれました。
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前半☆4。後半☆2。
前半は躍動感ある内容であっという間に読めましたが、後半は時間がかかりました。後半に、筆者の人生や家族に対する強い思いや考えが伝わってきましたが、ストーリーの展開に乏しい感じがあった。
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マコの子、コマコ。
母は自分から産み出すことで、子供を所有したかのような錯覚におちいる。
あたかも母は子の神になったような・・・
母のマコの所有物となることを受け入れたコマコ。
それでも、母を愛して愛して愛するコマコ。
母が子であるように・・・
私は母の子でもあり、子の母でもあるが、母が子を愛する気持ちと、
子が母を愛する気持ちではどちらが大きいんだろ?
子供を産んでからは、母が子を愛するほうが大きいんだけどなぁ。
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生々しい表現が私には、あまりあわなかった。現実的なようで、こんな事はありえないとも思える話で、入り込む事ができなかった。
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母に恋した娘の物語。
文庫で700頁弱。しっかり読み応えあり。
夢のような、楽園のような。旅から旅へ、マコとコマコの逃避行。
ふたりの閉じた世界をつなぐ電車の旅。決して楽しいだけじゃないのに、自分まで旅しているような気分に。
後半はコマコの余生の物語。
マコを想うコマコの気持ちが切なかった。
春の匂い。夏の匂い。雪の匂い。海の匂い。凍った水の匂い。
この、感覚に直接響くリアルさが旅情を誘うのかも…?
物語を貪る喜びと畏れとか。本の魔力を実感。
初の桜庭一樹作品。凄い良かった。