紙の本
「読みたくさせる」文章が世界につないでくれる。
2012/08/30 17:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「パラサイト・イブ」から始まり瀬名さんのSFはかなり読んだのだけれど、書評やエッセーを読んだことはなかった。なんて素敵な文章なのだろう。「読みたい!」と思わせる書き方にたけている。。瀬名さん自身がその魅力を伝えたい、という気持ちが短い文章から響いてくるのだ。
たとえば:
『100歳の美しい脳』では「背筋が伸びてくるような気高さに満ちた本だ」。
『世界でもっとも美しい10の科学実験』では、「科学の精神と奥深さを、これほど気高く語れる人がほかに何人いるだろう」。などなど・・・。
瀬名さんの、薬学を学んだという科学者の資質と作家としての才能が、どの本にもしっかりした評価と的確な文章を与えているのだろう。アーサー・C・クラーク『楽園の日々』では「アウトスタンディングで読んだ小説の感想をひたすら書き綴ってゆく。それがめっぽう面白いのは、彼がいつもわくわくするような物語と本当の科学を求めてやまない情熱を持っていたからだ。」と瀬名さんは書いている。私はこの言葉を瀬名さんの本書にも贈りたい。
前書きでも指摘されているが、科学系の一般書は絶版になりやすい。新しい事実が判明すると、間違った内容になってしまう部分も出てくるからだ。しかし、それでも「古典」となり、生き残っていく文章はあるはずだし、事実とは違ってしまったことを書いてあっても、科学をする姿勢や考え方には学べるものがたくさんあるはずだ。
ここに挙げられた書物の中にもそういうものがたくさんある。読んでいて感じるわくわく感、何かをつかんだ時のすっきり感。事実ではなくなってしまった部分があるかもしれないことを考えながらも、そういったものが読み取れるはず。本書を読んで気づかされたことである。
正直、若い人を鼓舞するような表現の文章がちょっと鼻についたりする箇所もある。褒めるばかりではなくて事実と違ってしまっているところなどは、ちょっと指摘しておいてくれるともっとありがたかった、と贅沢を言っておきたくもなるところもある。それでも一通り読み終えた今、ここに紹介されていて未読の本を片っ端からよんでみようかという気になっている。この中にはもう読んだ本もかなりあるのだけれど、それだってもう一度読み直してみたい。
瀬名さんは、読み手を上手に刺激してくれる。そして、科学の本を通して世界につないでくれている。
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久しぶりの瀬名秀明氏。
著者が「朝日中学生ウィークリー」に書いた書評をまとめたもので、使われている言葉も平易で、また一つ一つが1~2ページ程度と短い。
若干物足りなさも感じるが、取り上げられている本は必ずしもいわゆる中高生向けのような読みやすいものばかりではなく、科学ものに興味がある大人も充分楽しめるリストといっていいだろう。
現に、既読の本もいくつかあったが、同時に、読みたいと思って手にしたものの難解で挫折した本も…。これを機に、再挑戦してみるか…。
本文もさることながら、「はじめに」が一番良かった。
科学読み物は結構好きで(そういえば、そもそも科学読み物に興味をもつきっかけになったのが、著者の「パラサイト・イヴ」だったかもしれない)、わりと読んでいるほうだとは思う。
しかし、いかんせんただ好きなだけでまるっきり素人なので、きちんと勉強している人からすれば私の理解なんてちゃんちゃらおかしいのだろうな、などと半ばいじけていたのだが、著者は、読後の感想を書くときも「的外れだったらどうしよう」などと思わず、自由に豊かに本を愉しめば良い、と言ってくれていて、とても勇気づけられた。
やっぱり、楽しく読めばいいんだよね!!
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≪目次≫
1、ようこそ!科学の世界へいつもと違う本棚に
2、心の迷宮 脳科学・心理学・生命倫理
3、生命のふしぎ 生命科学・進化
4、空を見上げて 気象・地球・宇宙
5、自然との対話 環境といきもの
6、世界とつながる 物理・数学・医学
7、一緒に歩こう 機械・建築・ロボット
8、科学と人の物語 伝記・物語
≪内容≫
瀬名秀明が新聞などに書いた科学に関する書物の書評をまとめたもの。小説家でもある彼の筆致に、どれもが手に取りたくなる。また、小松左京は彼にとって重要な人物のようで、盛んにエッセーで紹介されている。
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2012 1/3パワー・ブラウジング。WonderGooで購入。
瀬名秀明による、科学本-専門書ではなくいわゆるポピュラー・サイエンス、一般向けの科学の本-についての書評を集めた本。
米澤誠さんのブログエントリ(http://blogs.yahoo.co.jp/bpxdx655/45890826.html)で知り、購入。
ふっとめくった冒頭、「3人の読者へ」の中で書かれた想定読者像の1つ、「あたなは理系に進んでも小説好きでいられるし、文系に進んでも科学を楽しむことができる」(p.4)という一節が好き。
中身はざっと目を通した程度。ぱっと見で「これ読みたい!」ってなる書評は少ないかも。なにか読む本を探したい時の参考にはなりそう。
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小松左京、エジソン、日高敏隆、星新一、ドラえもん… 科学を深める一冊と沢山出会える“ハブ本”である。
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読み進めながら、隣に次に読む本が積み上げられていくような本。読みたい本がどっさり増えてしまった。
瀬名秀明さんの書評は優しい。本を書いた側にもこれから読む側にも優しい。その本のいいところ、面白い読み方を必ず見つけてくれる。書評に限らず、レビューってそうあるべきじゃないか。
もちろんくそみそにけなしたくなる作品だってあるし、そういうものに評価をつけなきゃいけない仕事もあるだろうけど、でも誰かに何かを紹介するなら、それの面白いところを伝えるべきだ。そうじゃなきゃ面白くない。
瀬名さんの文章は本の出来不出来にも触れる。でもここはこの本にしかない面白さで、しかも必ず読め、それもこう読めとは言わないからいい。気になったらめくってみて、わからなかったら本棚の隅に置いておけば、そのうち読める日がくる。心に余裕のある、いい読書の仕方。
次に何を読もうかと迷ったらぜひ手に取りたい本。これを読めばたぶんもう迷わない。
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本書は『パラサイト・イブ』などでお馴染みの小説家、瀬名秀明氏によるサイエンス本の書評集だ。「朝日中学生ウィークリー」紙に連載されていたものが中心とのことで、非常に読みやすい。
一口にサイエンス本といっても様々なわけなのだが、脳科学、生命科学から宇宙、評伝本までが幅広くカバーされている。その中でも本書の特徴は、選書の確かさにあるだろう。ためしに生き物のパートを覗いてみると、しっかりとハダカデバネズミやクマムシなどが選ばれている。これなら他のパートにも期待できそうだ。
また、レビューがすごくコンパクトに纏まっていることにも感心する。本の内容紹介を簡潔に済ませ、その楽しみ方を伝えることに重点を置いているのだ。自分にとって既読の本の書評を読んでみても、ついつい再読したくなってしまう。
個人的には、年末年始に「恥ずかしくて言えなかったけど、まだ未読だったサイエンス本」の類を読破しようと思っている。実はファインマンさんとか、まだ読んでないし。。。本書で紹介されている本も、きっと何冊か読むことになるだろう。
本を読む前に、本を読む。「飲む前に飲む」みたいなことか。皆さま、くれぐれも読み過ぎと飲み過ぎには御用心!
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科学の本に特化した書評本。ぼくは科学本は大好きなので、これから読む本の目星をつけるために大変役に立った。
ただし、書評のほうはいまいち。もったいぶった言い回しが多くて、何が言いたいのかよくわからないことがしばしば。宮崎駿の「本へのとびら」のような詩情と風格には遠かった。
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科学に興味はあるけど、何を読んだらいいかわからない、という人におすすめ。
読みたい本がたくさん出てきてしまう、うれしい悩みが。。。
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内容情報
[日販MARCより]
瀬名秀明書店開店。宇宙や心のふしぎからダーウィンの進化論の裏側まで、「もっと知りたい」を刺激してくれる本を100冊以上紹介した書評集。科学の本の魅力や楽しみ方を提案する1冊。
[BOOKデータベースより]
宇宙や心のふしぎからダーウィンの進化論の裏側まで「もっと知りたい」を刺激してくれる本がここに100冊とちょっと、あります。
1 ようこそ!科学の世界へ―いつもと違う本棚に
2 こころの迷宮―脳科学・心理学・生命倫理
3 生命のふしぎ―生命科学・進化
4 空を見上げて―気象・地球・宇宙
5 自然との対話―環境といきもの
6 世界とつながる―物理・数学・医学
7 一緒に歩こう―機械・建築・ロボット
8 科学と人の物語―伝記・物語
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書評集を初めて読んだ。
新たな出会いがそこにはあるが、
興味の深浅に差に合わせて、頁の進みに差がある。
書評の1つ1つは読みやすい。
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この分野って、結構好きだと思っていたけど、読んだことがあるのはのび太と鉄人兵団だけだった。アーサー・C・クラーク、ドーキンス、ホーキングとか、学生時代に結局読破できなかったなあ。今日、図書館で「わたしの中のあなた」を借りてきた。他にもたくさん読みたくなってきた。
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ソーシャルメディアに感想なんて書かなくていいんだ、独りでひっそりでいいから、すぐに絶版になってしまう科学書をはやく保護して楽しもう、という本。出版からちょっとだけ時間が経ってしまったので、絶滅種が増えているかもしれません。
この本の毒の無さ、と言うといやらしいですね、よいものをすすめようとする真っ直ぐな気持ちに、恥ずかしながら心洗われるようでした。
中学生ぐらい向けの科学書は妙に面白いと、いつも思っています。ゆえに紹介されているものも既読の本も多いのですが、その紹介を見ても我が意を得たり、という幸せな気分になるし、だからこそ、他のピックアップされた本も間違いがないのだろうと思います。一方的ではあるけど、著者と意気投合。
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<関心を持った本>
サブリミナル・インパクト(下條 信輔)
恐竜はなぜ鳥に進化したのか(ピーター・D. ウォード)
春の数えかた(日高 敏隆)
捨てるな、うまいタネ(藤田 雅矢)
SYNC(スティーヴン・ストロガッツ)
人類と建築の歴史(藤森 照信)
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なんで、こんなに面白いブックトーク本を新書で出しちゃうのか。
なんで、図書館では[400](自然科学)の棚に、この本を置いているのか。
2011年出版の本に、今までまったく気づきませんでした。
大好きなのに、瀬名秀明。
瀬名秀明による、科学に関する本の書評(主に中学生に向けて書かれたもの)を、1冊に纏めた本です。紹介されてる科学本(100冊超!)を、片端から読みたくなります。
生物、化学、数学、ロボット、哲学、疫学、宇宙論。
なんかもっと色々書いてあったけど、とても覚えきれないんで、この本買います。
巻末にはジュンク堂書店員による「科学の栞」、つまり本書に対する書評も。粋な書き方なんですよ。
紹介されてる本を書いた人々のことを、僕は全然知りませんでしたので。彼らに共感を抱くことは出来ずとも、瀬名秀明の語りによって、彼らに強烈に感情移入させられました。
あぁ、もう辛抱たまらん!ちょっと本屋に行ってきます!!
って、なります。書店に無ければ図書館で予約です。