紙の本
古典推理の趣
2012/07/22 06:01
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投稿者:gg - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近の作品はチラシの裏に書いておけばいい程度の登場人物たちの心理描写が多く鬱陶しい限りだが、この作品にはそういうことはない。突拍子のない展開もなく、内容にも安定感があり安心して読める作品である。シリーズ物ということであり、次回作にも期待が持てる。
紙の本
イギリス探偵小説の伝統とユーモアを楽しめる。
2012/04/10 08:07
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投稿者:アヴォカド - この投稿者のレビュー一覧を見る
小間物屋の女主人エミリー・パーヴィスと、地区を巡回していたコニー・スラッパー巡査が殺された、というのが事件。エミリーが嫌われ者で、容疑者が幾人も。。。
捜査自体に派手さや目新しさはないので、新鮮な驚きはないかもしれない。
「関係者全員集合」しての説明もお約束通り、いささか冗漫の気もなくはないけれど、これぞ英国ミステリのツボ…を押さえているわけなので、雰囲気を堪能することが出来る。
素人探偵キャロラスとルーパート、という(魅力的!)コンビは、探偵小説の伝統を継承しているように思えるし、他の登場人物たちも、探偵小説マニアなどキャラクターも個性的で生き生きとしている。
ユーモア、ウィットも充分。不足はない。
人が、”英国ミステリ”に期待するものは、ほぼすべて、ちゃんと含まれ、収められている。
なるほど、長年入手困難だったこの作品、古書マーケットで高値が付いていただけのことはある。
120冊以上も著作があるという割にはマイナーなレオ・ブルース。浅学な私は、レオ・ブルースと聞いて、あれ?「三人の名探偵のための事件」の人だよね?と、それしか思いつかなかった。
これを機にもっと訳されてもいい気がするがなあ。
紙の本
キャロラス・ディーン物
2021/01/30 13:34
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投稿者:honto好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物がユーモラスで、それぞれが登場するたびに同じようなギャグを繰り返すのがおもしろかった。耳に関する表現を繰り返す耳の大きな校長先生とか、普段は無愛想なのに探偵小説の話になると饒舌になる容疑者の父親とか。
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ところどころに挟まれる探偵小説の話や辛辣さを含んだユーモア。それ以外はとりたてて特徴のない普通のミステリという印象でした。多様な犯人が生み出されてきた今となっては犯人も意外性はなく、早い段階で察しはつくのではないかと思います。目を見張ったのは解決編のディーンの視点の転換。根拠の不足は認めつつ、想像で埋めることなくフェアに事件の真相にたどり着いた過程は説得力のあるものでした。
作品、作者への傾倒が窺える訳者の解説が秀逸です。作者のバックグラウンドを把握した後に本編を読むとまた興味の持ちどころが変わってきそうです。
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20120605
思ってたよりも好みだった!
英国ミステリしてたー
今まで知らなかったなんてと思ったけど
あまり翻訳されてないのですね。
訳も読みやすくて、よかったです。
続きも読みたいけど翻訳されるかな・・・
原書もあまりないみたいで、ちょっと残念。
もうひとつのシリーズも気になる。
素人探偵役が教師なんだけど仕事熱心ではなく、
犯罪研究が好きで本も出したことがあったり、
生徒に焚き付けられて調査を始めたり、
授業を脱線させようとする生徒たちとの攻防があったりと
そういう推理そのものとは脱線した部分も
無駄にはならなくて、面白かったです。
あと、ミステリマニアな会話が面白かった。
あの人はもう出てこないのかなー
P241”神懸かりになった女ほど厄介なものはない”という部分、
状況を想像するととてもコミカルで笑えてしまった。
そしてそうやって要点から逸らそうとしてるのかなとか思ったり。
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図書館で。
公立高校の歴史先生が犯罪に挑む!のは良いんだけど… 助手の生徒が可愛くないな!実に(笑)
そして極悪人ではないけれども小悪人だったおばあさんがねぇ… なんか哀れ。
まあ最初からダンスに行った妻は変な反応だなぁとは思ったんだけど…。でも彼があそこまでしないと犯人があぶりだせなかったというのもちょっと、ちょっとな、と思いました。
下手したら死んでたかもしれないのに呑気な先生だなぁなんて思いながら読み終えました。
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ディーン・シリーズ
深夜の小間物屋で起きた殺人事件。町の人々に金を貸し、強請り恨みを買っていたエミリー。同じ現場で発見された巡回警官スラッパー。町の教師キャロラス・ディーンとプリグリーの捜査。事件直前にエミリーを訪ねた5人の容疑者。キャロラスの捜査の中であらわれる事実。死体を動かした犯人。容疑者たちのアリバイ。夫であるスラッパーの死を予言した妻コニーの秘密。エミリーと警官の関係。事件当日凶器になったかもしれない大工道具をエミリーの家に忘れたベイカー。警官であるベイカーの息子ジェフリーの謎。
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スマートな資産家で歴史教師のキャロラス・ディーンシリーズの第一作目とのこと。
主人公のキャラクターは品が良く嫌味もなく、強引さには少し欠けるかもしれないけれど強い意志を感じさせる好ましいキャラクター。
警察と近すぎず遠すぎずの関係なのも、探偵小説的に無理を感じさせない程度で良かったです。
二件の殺人事件解決に関する手がかりは全て開示されているので、読み直して確認するのも楽しいかも。
街の人間もそれほどどぎつい変人がおらず、全体的に地味だけど味わいのある世界でした。
解説も丁寧で読み応えがありました。
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最近のミステリは装丁買いさせるわ~^^というわけで、可愛い名探偵と助手コンビの絵と、「死の扉」っていうタイトルのギャップに惹かれて購入^^
今回の容疑者達は被害者を殺す動機がばっちりある上に、
動機以外にも自分に都合の悪いことを素人探偵にちょいと突かれる
↓
呆気なく白状
↓
こいつは犯人ではあり得ない!
この図式が牧師から不良少年まで、幅広いキャラ設定の容疑者全員に延々繰り返されます^^これは若干冗長だったかな~
途中で現れるミステリスキーのミステリ薀蓄や、凶器の持ち主の長広舌、やたら「耳」を多用する校長など脇枠のキャラがさらに面白いです。主役のキャロラスが影薄くなるようなキャラの濃さ。改めて考えたら、主人公…地味だな…。
キャラも地味なら探偵活動も地味に進めて、容疑者に話を聞けば聞くほど犯人候補が消えていくという状況に追い詰められたキャロラスの真相解明の糸口は、何ということでしょう。「閃き」です。これは…論理的じゃないじゃないの…とざわめいた私の気持ちは置いておいて、その閃きをもとに犯人を推理していく過程は非常にロジカルです^^
証拠がないためにキャロラスが考えた捨て身の犯人あぶり出し手法も、二時間ドラマみたいでなかなか読み応えがあります(笑)。
地味な探偵活動、捜査過程で見えてきた新しい人物関係、犯人に命を狙われる探偵。そして最後はもちろん、「名探偵 皆を集めて さてと言い」。うーん、王道中の王道。これぞTHE・探偵小説。
キャロラスが示す真相の中身にゾッとしつつ、容疑者達が語った犯行当夜の各々の行動が綺麗に組み立てられていく作業は、読んでいて非常に心地良かったです。
小さな町で深夜発生した二重殺人。恐喝で有名な老婆が殺され、その死体を発見した巡回中の巡査が直後に殺されるというセンセーショナルな事件に立ち上がったのは、地元の学校の有名変人教師だった⁈
キャロラスは警察より早く犯人を指摘できるのか? そして、授業中に事件の話をせがむ生徒達の誘惑を断って、授業を進めることはできるのか?
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魅力的な登場人物たちのウィットに富んだ会話が愉しい。これぞ英国ミステリ。特にミステリマニアな某キャラクターには思わずニヤリとさせられる。伏線やミスリードの使い方も上手く謎解きとしてもなかなか見事。これを期に、もっとレオ・ブルース作品の翻訳を!!
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登場人物全員のキャラクターがたっていて、しかも描写がお茶目で素晴らしい。このキャロラス・ディーンシリーズを順番に読んでいきたいけど、翻訳されていない作品が多いみたいで残念。愛に溢れた訳者あとがきも好き。
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殺人事件が起きる、素人探偵が聞き込みをする、一同を集めて推理する、という展開が王道の推理小説で気持ちいいです。
このミステリーの王道の展開を作中で登場人物たちが自分たちで揶揄しているのもニヤリとさせられます。
怪しい容疑者ばかりで行き詰ったところから、発想の転換でがらりと事件が様相を変えるのがおもしろい。
ユーモアある会話も楽しく、英国本格推理小説という雰囲気がとてもよかったです。
生意気な生徒のプリグリー、耳の大きな校長先生、ミステリマニアと登場人物たちも魅力的。
校長先生の説教を受けるキャロラスの場面には笑いました。
ぜひともシリーズを追いかけたい作品。
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古き良き英国ミステリー。
小さな雑貨屋の店主と巡回中の警官が殺されるという事件が起き、パブリック・スクールの教師が素人探偵となって謎を解く。
ストーリーは地味だし、殺人事件らしからぬのんびりとした雰囲気に溢れているが、事件はきっちりまとめているし、キャラクタがそれぞれユーモラスで楽しい。レオ・ブルースの小説はどこか和むので好きだ。これはシリーズ第1作なので、続編の翻訳が待たれる。
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ものすごく自分好みの作品。『ザ・英国ミステリ』って雰囲気にメロメロ。
翻訳も読みやすいし、登場人物が魅力的。主人公である男やもめでお金持ち、スタイルも良く洒落モノ教員のキャロラス・ディーンは元より、相棒のおませな生徒ルーパート・プリグリーも愉快なキャラ。今作の最高お気に入りは梨の木農場のオーナー、リンブリック氏かな。
会話や描写がウィットに富んだもので「ああ、英国ミステリだなぁ」と。容疑者全員が怪しい言動をしまくって、誰が犯人でもアリじゃん?!と思わせつつ、解決編では見事な伏線回収でした。
これで後は、主人公といちゃいちゃするヒロインがいてロマンス的ノリも持ってきてくれれば鉄板だったんだがな-。(←贅沢)
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時代を感じさせない、さらりとした訳でとても読みやすい。
複数の関係者にそれぞれの疑いがあり、誰もが怪しいけど決定的でないもどかしさが何とも言えない。
二重殺人のふろしきの畳み方が見事。こじつけやくどい解説の必要のない、現代推理小説ではなかなかない納得感のある大胆な転換だったと思う。