- カテゴリ:一般
- 発行年月:2011.12
- 出版社: NTT出版
- サイズ:19cm/282p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7571-4284-8
紙の本
謎のチェス指し人形「ターク」
18世紀に発明された第一級のチェス指し人形「ターク」。驚嘆するほどチェスが強く、腕を動かし駒を摘み、ときには会話さえしてみせた。その秘密は何だったのか。謎の自動機械の生涯...
謎のチェス指し人形「ターク」
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商品説明
18世紀に発明された第一級のチェス指し人形「ターク」。驚嘆するほどチェスが強く、腕を動かし駒を摘み、ときには会話さえしてみせた。その秘密は何だったのか。謎の自動機械の生涯をたどり、その真実を解き明かす。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
トム・スタンデージ
- 略歴
- 〈トム・スタンデージ〉1969年生まれ。ジャーナリスト・作家。オックスフォード大学卒。英『エコノミスト』誌テクノロジー担当ライター。『ガーディアン』など多くの新聞・雑誌に寄稿。
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紙の本
ASIMOが、将棋で羽生善治に勝つ日がくる?
2012/01/29 12:44
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書痴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読後、「高度に発達した科学技術は魔法と見分けが つかない」 SF作家アシモフの言葉を想起しました。
チェスの世界チャンピオンや、現役を退いた永世棋聖を打ち負かすコンピュータ(ソフト)もない18世紀、当代最強のチェスプレヤーと勝負した機械を考証する内容の本書、ノンフィクションですが、まるで謎解き歴史ミステリーを読んでいるような面白さがありました。
チェスを指す人形こと『ターク』は、本物の人間や動物の動きを、機械仕掛けで再現させる、当時の科学テクノロジーの詰まったオートマトン、最先端の見世物でした。そこには、ロボット犬AIBOや二足歩行で動くASIMOに対して私たちが抱く興奮にも通じます。私たちは、これらのロボットが機械であり、中に人や動物が入って動かしているなどとは夢にも思いません。
ところが、あまりにも驚異すぎる『ターク』の技術に対し、その内部構造、からくりを巡って、内部に人間がいて操作している説、磁石や紐などで遠隔操作する説、インチキはなく純粋な機械仕掛けであるなど、行く先々で論争が巻き起こります。ベンジャミン・フランクリン、ナポレオン、自動織機の発明者カートライト、小説家のポーら、『ターク』にまつわる歴史所の人物のエピソードをまじえ、当時の新聞、刊行物を、丹念に検証しながら、真相の解明に迫ります。
『ターク』が、当初の目的であった国威発揚としての科学技術力のデモンストレーションから、営利目的の見世物になり、興行者の苦労が描かれる点など、技術史だけでなく、エンターテイメントとの側面から切り込んだ内容にも興味深いものがありました。現代のマジシャンやイリュージョニストたちの披露する、一見、種のない不思議な技を前に、パフォマーと観客との心理的葛藤(だますだまされない)を見ているような面白さがありました。
「機械知性の創造」に憧れた人類の足跡のひとつに、本書の『ターク』も数えられるでしょう。特にロボットに馴染み深い日本人には、本書は、興味が尽きない内容だと思います。