紙の本
お笑い欧州財政破綻ツアー
2012/02/16 19:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プチトマ - この投稿者のレビュー一覧を見る
運用に携わる者として、
ギリシャがデフォルトするのかECBが救済できるのかは
極めて重要なファクターで、
片っぱしから情報を集め、専門家に聞きまくっていたが(2012年2月時点)、
本書であっさり分かった。
「お金は返ってくるはずがない」
そして、誰が返すことになるのかも。
狙っているのか?と思うほど予想を外してくれる
大手投資銀行の著名エコノミストやストラテジストの
話を聞く位なら、とくかくこれを早く読む方が有用だ。
この先あなたのお金を守ってくれる訓話も豊富。
読み始めたら止まらないのは、「マネー・ボール」や「世紀の空売り」と
同じなので、期待は裏切られません。安心して冒頭から読んで下さい。
金融の規律がとことん緩むと、
こんなに面白い(信じられない)現象があちこちで起こるとは知らなかった。
ギリシャ、アイスランド、アイルランドそれと「まぬけの数が突出していた」ドイツが
安易な信用供給の津波に悪乗りして財政を荒廃させ、
この先、相当期間苦しい難路をたどるしかなくなったが、
確信犯だった米国投資銀行には心底ぞっとした。
紙の本
ヨーロピアン
2016/04/30 17:44
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投稿者:撫子の丘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
欧州のイメージは先進性が断トツでありましたが、怠惰な国民に成り下がってしまう恐ろしい麻薬のような信用社会。社会問題。
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20120327
序章 欧州危機を見通していた男
第1章 漁師たちは投資銀行家になった
第2章 公務員が民間企業の三倍の給料をとる国
第3章 アイルランド人は耐え忍ぶ
第4章 ドイツ人の秘密の本性
第5章 あなたの中の内なるギリシャ
解説 それぞれの不幸 藤沢数希
アイスランド
ギリシャ
アイルランド
ドイツ
アメリカ(カリフォルニアなどの州や地方都市)
それぞれの財政破綻への流れ。
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これは面白かった。
欧州債務危機の原因究明、という感じではないが、実際欧州の人達がどのような生活をして、なぜこういう危機に陥ったかをドキュメンタリー的に取材して執筆している。
出版から2年ぐらいたってるだろうけど、いまだ債務危機は沈静化せず、むしろ拡大している現状において、状況を理解するために非常に有益な一冊。
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分かりやすくて面白い。財政破綻状態にあるアイスランド、アイルランド、ギリシャが、それぞれどのようにして金融バブルを取り返しがつかないまでに膨張させていったのか。また、国内的な銀行業務の規律には厳格だが、外国の怪しげな金融商品に対しふんだんに資金供給をしてきたドイツの倒錯などが、文化・歴史的な背景とともに描かれている。特にドイツに関して個人的にモヤモヤした印象を持っていたのがうまく腑に落ちる形で説明されていて面白かった。ただ、これらの事象は対岸の火事ではないこともはっきり指摘している。
気になったのは冒頭出てきたヘッジファンドのカイル・バス氏。日本のCDSを買い集めているらしいが、万一日本が破綻状態になっても国債の大口保有者の国内金融機関がCDSを発動させ(てもらえ)ないんじゃないかと思った。
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国中がヘッジファンドのようになり破綻したアイスランド、
高給を食み早期退職後は高額の年金をもらう公務員天国のギリシャ、
不動産バブルが弾けたものの銀行の債務を全て国が保護して国民全体で耐え忍ぼうとするアイルランド、
EUを支えるドイツは銀行の米国流の銀行による自己勘定取引、過剰なボーナスとは一線を画してきたが、バブル崩壊のつけはドイツにも回ってくる
震源地のアメリカではまず地方都市に財政破綻の影が忍び寄る
表題の「ブーメラン」は米国から発した危機が欧州にとび、再び米国に戻ってくることを暗示している。本の内容的には各国の人々の暮らしに焦点があてられており、その説明として国民性(アイスランド人は自己評価が高いとか、ドイツ人は排泄に関する拘りが強く、清潔と不潔の二面性を持つ、とか)についての記載が大半を占めており、著者のステレオタイプな見方にはちょっとゲンナリするかも。
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「世紀の空売り」や「ライアーズ・ポーカー」と較べると、一冊を通したテーマが希薄な印象を受ける。それが、章立てがマイケルルイス版周遊記といった趣の各論だからなのか、はたまた欧州危機がいまだ進行中でクライマックスが無いからなのか...。ともあれ、取材紀行としてはそれなりに面白く読める。
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破綻したところはすべくしてそうなったのだなぁと思ったけど、破綻するまでそれは分からないものなのよねぇ。ギリシャが図抜けてひどいけど、他の事例も壊滅的なまでにひどい。こういうの読むと日本はまだまだ捨てたものではないなんて思ってしまう。けど、藤沢さんの言うとおり近い将来これが他人事ではなくなるのだと思うと恐ろしい。
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マイケル・ルイスの新刊「ブーメラン」読了。
ブログだったり寄稿のまとめを読んでいる感じ。金融危機後の欧州について理解の助けになる。"Lair's Porker", "Money Ball"を期待すると違ったなぁという印象だけど、やっぱり面白い。
外資系アカウント職の皆さんに職場事情インタビューしたいね。
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前著「世紀の空売り」の続編というより、本来は「上・下巻」を構成すべき内容である。「世紀の空売り」は、アメリカの住宅ローンバブル崩壊に逆張りをかけたヘッジファンドを通して、いわゆる「サブプライム問題」の本質を見事に浮き彫りにしてみせた。本書は、サブプライム問題のあおりを喰らってアイスランド、アイルランド、ギリシアが次々に破綻していくメカニズムを観察し、それがブーメランのようにアメリカを襲うさまを喝破してみせる。「アメリカの中のドイツとギリシア」という構図は非常にわかりやすい。冒頭のアイスランドの話が断然面白く、その反動もあって中盤以降にダレるが、兎にも角にも欧州経済危機の本質はきっちりと理解できる。好著。
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サブプライムローンの破綻にかけて大儲けしたヘッジファンドの経営者カイル・バスは08年ギリシャ破綻の保険CDSを買う。100万ドルの保険金に対する保険料はわずか年1100ドル。11年夏には保険料は23万ドルに値上がりし、4年以内に破綻するかどうかのギャンブルになる。バスがこの時点で最大の掛け金を投じているのがフランスと日本の国債だという。マイケル・ルイスの次の著作の舞台が日本でなければいいのだが。
ここから欧州を舞台にマイケル・ルイスがメルトダウン・ツアーをガイドする。
アイスランド、命知らずの漁師の国は金融市場でも命知らずでとにかくリスクを求める。
漁師達は借金を元に投機に走り、バブルによる見せかけの利益はやがて吹っ飛んだ。
30万人の漁師の国は銀行が出した1千億ドルの損失を分け合い、個人的な損失も100億ドル単位となった。
ギリシャ、選挙結果緊縮財政は否定された。ギリシャ人の意思は自分達は我慢しないが、その分はEUが穴埋めしろと言うことを意味する。とてもじゃないが付き合い切れない。
ギリシャの問題はまともに仕事をしない公務員の給与が民間の3倍で、さらに賄賂を受け取り、年金を受け取り、緊縮策に対しストを起こし、ついでに銀行に火をつける。ギリシャでは誰もまともに税金を払わず、土地取引に登記簿は無く、国家に予算はない。ユーロから切り離し破綻させる以外に解決策は思いつかない。
アイルランド、3つの銀行が借金で国内不動産を買いまくったが、出来たのは完成しないゴーストタウンだった。銀行の破綻に対し本来は預金保証で良かったはずが、政府は税金による救済を決め、負債を転嫁された国民は黙って耐え忍ぶ。アメリカの投資銀行ではファンドマネージャーは大金をつかんで逃げおおせたが、アイルランドの銀行ではマネージャーは自社株を買い一緒に沈んだ。銀行はただバブルに踊り国を沈めた。
ドイツ、国内については手堅くバブルを起こさなかったドイツが、サブプライムローンに関しては最後まで保険CDSを引き受け続ける最後の金の出してだった。ドイツの銀行のマネージャーは自らが儲けることは許さなかったが損失については抱え込むことになった。真面目で勤勉なドイツが同じようなヘマをせず、ユーロを支え続けることはできるのか。
カリフォルニア、アーノルド・シュワルツェネッガーは勢いで知事に立候補し、失う物もなく改革を進めようとしたがそれは州民が望んだ事ではなかった。州は負債を市町村に回すことで破綻を回避しヴァレーホ市は破綻した。
メルトダウン・ツアーの行き先は明らかに他人事ではない。
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本当に面白かった。
各国の金融危機への関わりと対応が、これほどわかりやすく、笑いを散りばめながら、的確にレポートされているルポはない。
読みながら思わず声を出して笑う事もあったが、最後には怖くなった。あとがきと全く同感で、次の作品は日本だろう。
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・ヘッジファンドのカイル・バスが保険であるCDSを買い、100万ドルの保険金に対する保険料は年間わずか1100ドル。保険料は終焉が近づくとともに一気に上がっていく。
・アイスランド
漁師の国が、扱ったこともない金融取引で、価値のないものに、大きな価値をつけ、アイルランド人同士で交換し、無価値な資産を築いてきた。
・ギリシャ
仕事をしない公務員が民間の3倍の給与を得て、賄賂、年金と受取り、最後には銀行に火を付け出す。国民は税金を払わず、土地の登記簿はなく、国家予算のない国。
巨額の赤字、負債を帳簿から消してしまう図太さ、EUに加盟し調達コストを10%も引き下げたが、今の負債は結局ドイツが引き受けることになる。この国に、自らの責任を取る覚悟があるのか。
・アイルランド
2007年の財政赤字がGDPの32%とユーロ一の数字。
かつてない不動産パブル、GDPの4分の1近くが建設業が占め(標準は10%以下)、5分の1の人口が従事している。街はからっぽの建物だらけのゴーストタウン。
銀行の破綻には、預金保証さえすれば良いのに、政府は税金による救済を行い。債務は国民に転嫁された。それでも国民は耐え忍ぶ。
返済見込みのある債務を持つものは銀行の言いなりになるが、途方もない債務を持つものは銀行を言いなりにできる。
・ドイツ
最後のCDSの引き受けて。
ドイツはサブプライムローンからギリシャ国債に手を出した。そしてギリシャを救済することで、ギリシャ銀行からドイツの銀行に返済がなされるという構図を作り出した。
・アメリカ
無駄使いで財政難を引き起こした知事をリコールして、選ばれた知事が改善案を出しても、市民は拒否する。自分の利益が縮小するからだ。
おかしな状況で選ばれたんだ。おかしな状況に乗り込んで行こう。
意味のある変化を起こすには、必要量の苦痛を与える環境が不可欠だ。
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ゼロ年代に起こった世界的な金融バブルの崩壊という、未だ解決の目処がたっていない問題ですが、その成り立ちは国ごとに異なるというところが興味深かったです。国自体がヘッジファンドと化したアイスランド、国家財政を粉飾していたギリシャ、アイルランドは古典的な不動産バブルといった有様です。
また、最終章のアメリカの地方自治体の財政難の話は、日本の状況と類似しているようにも感じられて、とても陰鬱な気分になりました。
日本については、本書では冒頭でヘッジファンドがCDSを買い集めていると書かれているだけでほとんど触れられていませんが、一概に大丈夫と言えないところに怖さを感じます。
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アイスランド、アイルランド、ギリシャ、ドイツとその危機の原点の人々まで綿密に取材して描かれており、とても詠ませる本。
日本人にとって、バブル時代のあり様と重なりとても既視感を覚えた。最後に描かれている、ブーメランの帰ってくる先、アメリカの地方自治体の話は、他人ごとではないと思うと、空恐ろしくなってくる。