紙の本
多くの福島県民に読んで欲しい
2012/02/20 12:33
16人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pappy - この投稿者のレビュー一覧を見る
フクシマの放射能汚染による被害がそれほど深刻ではない、とする立場で記載された書籍である。
これまでに出版された多くの書籍が放射能汚染を深刻に考えて数年後にはパニックが生じるさえとするものが多い中で、ていねいに放射能被害はそれほど深刻ではないことを示している。注目すべきはチェルノブイリ事故後の小児甲状腺癌の増加に関する記述である。放射線被害を深刻に考える書籍では、この報告によりフクシマでも今後がん患者が増加すると予測している。一方で本書ではフクシマでの放射性ヨウ素の人体摂取は少なく、放射性セシウムの摂取で発癌した例はないことからがん患者は増加しないとしている。
放射線の専門家同士でこのように意見が食い違っていることは意外なように思われるが、データが解釈次第で大きく評価が変わることはしばしばあることなので驚きには値しない。慎重に判断すれば本書の記述の方が正当であるように思われる。
そして、チェルノブイリ事故に関する調査報告書にあるように、放射能被害を過剰に深刻に考えたために受けた被害の方がずっと甚大であるとの指摘には共感させられる。福島の住民はいたずらに不安をかき立てるような報道もあって非常に困惑している。自ら線量計を購入して、放射線量のわずかな増減に一喜一憂しているフクシマの住民にはチェルノブイリの教訓があまり生かされていないように思われる。ぜひ、多くの福島県民に読んで欲しい書籍である。
紙の本
「放射線が怖い」患者さんへの説明に使える。
2012/02/07 10:48
8人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:QQQ - この投稿者のレビュー一覧を見る
中川さんはお怒りである。
彼の経験と科学的な見地に立った叡智は
今こそ役に立つのに
何の根拠もないデタラメをいう
偽物が跋扈しデタラメをいい
それがあたかも真実であるかのように広める人もいる。
彼のところには
放射線被曝の叡智が集まっている。
今の状況でどうすべきか
またもし緊急な事態が起きたらどうすべきか。
何を心配しおそれるべきか
そんなことが書かれている。
重要な資料として
2011ロシア政府の総括報告書の最終章がのっている。
場合によっては
放射線被曝よりも
恐るべきことがある。
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中川先生,放射能の危険を煽る人々に対して随分怒ってる。混乱の元凶は「正確な情報の欠如」にあるとして,広島・長崎で得られた知見,チェルノブイリの教訓をもとに,「福島でがんは増えない」と断言してくれる。
アマゾンの評価はホント両極端。でも放射線医で,過去の著作もとても信頼できる内容だし,そんなに疑う理由はないと思う。生涯累積100mSvで癌死リスク0.5%上昇っていうのも,短時間で浴びた場合のデータがもとになってるようだし。慢性被曝なら相当安全と考えていいのでは。
今の日本が癌大国っていうのも長寿が原因。その説明として挙げられている事例が面白かった。波平の設定年齢54歳(!)と郷ひろみ56歳を比較して,「どう見ても波平さんの方が年配に見えます。漫画が描かれた当時の50代は隠居暮らしの一歩手前といったところですが…」(p.59)だってw「フネさんは48歳、松田聖子さんは49歳です。こちらもとても、ほぼ同年齢とは思えません」とも。いやあ,中川さんセンスあるな。
内容的にはそれほど真新しいことはなかったけど,大事なことが書いてある。チェルノブイリと同じレベル7だ!と単純に騒ぐのではなく,チェルノブイリで得られた結論「放射線の被害より,住み慣れた土地からの移住,生活の激変の方がリスクが高い」というのは銘記しておかないと。
チェルノブイリの低線量被曝で起こった唯一の被害は子供の甲状腺癌で,セシウムの影響は見られていないこと,放射性ヨウ素による内部被曝は福島ではわずかだったことが,著者が「福島でがんは増えない」とする根拠。これはほかにも多くの人が同じことを言っていて,信用してよいと思っている。
数値や単位に関して誤植があるみたい。
http://cknbstr.tumblr.com/post/15755712702
p.39のは結構まずいな。計算違い?
アメリカ駐在の商社マンが日本とアメリカを(誤:7→正:15)回往復すれば、日本での自然被ばくの(誤:3→正:2)倍にも達します。
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原発事故の放射線に不安があるなら読んで損はないと思う。読みやすいのでそれほど読者の時間もかからないと思います。
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ある方面からは多大な批判を受けている東大教授が満を持して(!?)自説を世に問う著作。この先生のグループはTwitterも利用して、情報を発信している。
まず、帯から挑発的。「フクシマではがんは増えない」(本文でも太字になっていた)。出版社が意図したものかもしれないが、その意味では、意見が真逆の中部大学の武田教授と手法は一緒である。
著者に「科学的に確認されていません」と言われても、それは現時点では・・・という注釈が付くものではないだろうか?そもそも科学的とはどういうことかという命題から説明しないと素人にはわからないと思う。
話をすり替えていると感じる部分もあり、そのまま咀嚼嚥下できない。チェルノブイリ事故後の膀胱がんに関する記載は、同じ東大教授の児玉龍彦先生とは真逆で、読む人の判断、取捨を要する。あなたはどちらを信じるか?
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これを読んで納得できなかったら、西日本でも国外でも逃げられた方がよいと思います。
基本的には中川教授が言い続けていることをまとめた本であり、これはというのはないのですが、ICRPの基準値の考え方だったり、どのようなことが問題なのかということであったり、実際どうすべきかということが丁寧に書いてあります。
放射線の被害については不明なところも多く、ICRPの基準があくまで「ほぼ大丈夫だろうという合意の基準」であるというのは留意すべき点だと思います。
また、放射線による発がんリスクの上昇が他の要因と比べてどうなのかという説明もあり、非常に丁寧です。
ICRPやロシアのチェルノブイリに関する報告をうのみにし過ぎという話もありますが、ICRPに関しては前述の通りですし、チェルノブイリに関しては、信じられないなら反論を出してほしいという感じです(本や映画の題名しか引っかからないチェルノブイリハートは信用できません)。
こういう本はきちんと放射線の恐怖を煽る本と並べて置いてほしいです。
3つの書店に行ってようやく見つけたぐらいですから。
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福島以来、放射線内部被曝についていろいろ不正確な情報が飛び交っているので、その本とのことを知りたいと読んだ。
期待に応えたところもあるが、やや期待外れもある。結局、問題の低線量被ばくの影響について、筆者はほとんど影響がないと言い切っているが、その根拠についてICRPとか、国基準とか、外部の権威にに頼っているようなところもあり、本とのところはどうなんだという不安に答えきれるのかがやや問題。
被ばくの問題はなかなか奥が深いというのが実感。
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東京大学医学部の放射線医である中川恵一氏が、福島第一原発からの放射線被曝の影響についてまとめたもの。
放射線の話になるとエキセントリックな反応を示す人が増えるが、以下のいくつかの点を忘れてはいけないと思う。
1.原発からある程度(避難を考えなくていい程度)離れたところに住む人間にとっては、放射線はなければないほどいいものであること(したがって、判断も1次元的になりがちである)
2.原発の近くに住む人間にとっては、避難をすることによるリスクの増大や、経済的なことなどを含む生活すべてへの影響との勘案が必要であること
この前提に立った上で本書を読むと、筆者が医者としてガンになるリスク全体を考えていることがよく分かる。議論の争点になりがちな100ミリシーベルト以下の被曝による影響が、「100ミリシーベルトでがん死亡率が0.5%増加」という影響と線形な関係にあるかどうかという問題であるが、科学的に見れば、影響はない、あるいは影響は検出不可能と考えられる。
このときに「放射線防護のポリシー」として100ミリシーベルト以下でも避難すべきとするのは、上記で言うと1の考え方に近いと思う。一方、本書の筆者の考え方は2の基準に立っている。避難による生活ストレスの方が放射線の影響よりも大きい可能性が高く、実際チェルノブイリの報告書でもそのように記されているという。
発がん性を高めるものとしては例えばアルコールもその一つである。1日日本酒2合以上3合以下飲む人の場合、ガンにかかる確率が1.4倍になるという。かなりの増加である。だからといって、飲酒はすべてやめるべきと考える人は少ないだろう。飲酒には娯楽的な側面もあるわけであり、それをすべてなくしてしまうデメリットと、アルコールによるガン増加のデメリットを勘案すれば、少量なら飲んでもいいと思う人の方が多いのではないだろうか(そもそもアルコールの場合も直線的なデータになるという証拠はないのではあるが)。
放射線だ、ということでエキセントリックにならずに考えれば、何が福島の人たちにとってベストなのか、また新たな見方ができてくるのではないかと思った。まずは本書を読んで、きちんと科学的な知識を持つべきだろう。
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原発事故による放射性物質の拡散で健康被害が心配なのは当然であるが、ではどのくらい恐れるべきなのかについては大から小まで極論がマスコミに喧伝されていることから、一向にコンセンサスが得られる方向性が見られない。
著者は広島・長崎、そしてチェルノブイリのデータ分析を通じて勤めて冷静に対応するように訴えている。基本的には国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に従って、年間100ミリシーベルトの被曝で発癌率が0.5%の上昇が認められるが、それ以下の被曝での疫学的影響は見られないという立場を貫いている。其れ以下の放射線量についてはどこかに閾値があるとは想像するがデータが得られないし、政府が定めた年間20ミリシーベルトで有ればデータ的には「影響無し」と結論できるというものだ。また主として今般の福島原発で飛来した放射性物質がセシウム(チェルノブイリでの幼児の発癌は主としてヨウ素による甲状腺癌)であるとの前提では体内に取り込まれたとしても排出されるので内部被曝と外部被曝はその影響度において本質的に何も変わりはないという説明をしている。ここの部分は特に目新しい話題はない。
放射線被害は当然出来得る限り回避するのは当然としても、より注目したいのは本書が指摘するロシア政府が2011年に出した報告書の中で述べている平均寿命の著しい低下問題だ。1986年の事故当時のロシア・ベラルーシでの平均寿命は65歳だったのが、1994年には58歳と7年も下がっているという。直接的な死者やその影響とみられる発癌による死者を考慮しても理解できないような変化で、これについてロシア政府は「原発事故が及ぼした社会的、経済的、精神的な影響を何倍も大きくしてしまったのは、”汚染区域”を必要以上に厳格に規定して法律によるところが大きい」と述べている。つまり避難に伴う「精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動の制限という事故に伴う副次的な影響のほうが、放射線被曝よりも遥かに大きな損害をもたらしたことが明らか」と言うのだ。
何とも皮肉な話ではないか。福島の現状を見ても避難した人達、そして避難が出来ない人たちも含めてこうした生活の不自由さに伴うストレスは決して見過ごすことができないし、軽視してはならないという事だ。一刻も早く、新しい生活が始められるように改めて十分な支援が必要ということだろう。また、その関係で言うと、徒に極端な「白か、黒か」議論を展開し、放射性物質は1ベクレルたりとも許容しない、というような生き方も相当ストレスを溜め、ひいては寿命を縮めることになるだろう。
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FBの経産をやめた古賀さん批判をしていたら、時間が無駄になった。こんな人にかかずらわっている暇はない。
自分は、放射線が人体に与える影響について論点になっていることは知っているし、自分の専門ではないので、判断もできない。
ただ、みなさん共通なのは、年間100ミリシーベルトを超えると発ガン性があがるが、それ以下については、科学的なデータはないこと。このそれ以下の対応策について議論になっている。
いろいろな意見を幅広く勉強したいが、中川先生の指摘で、改めて考えさせられた点。
(1)チェルノブイリ避難は、年間5ミリシーベルトを基準に行ったため、過大な避難が行われ、高齢者などを中心に避難による生活様式の変更、経済活動の制限が放射能の影響よりも大きな影響を与えたと、ロシア政府報告書で書かれていること。(p108)
p113からp121までその要約が和訳してのっているので、立ち読みしたらいいと思う。できればそのURLものせてほしいなと思う。
(2)大胆に、放射線被害に関する国際機関の評価をしてくれたこと。国連科学委員会、国際放射線茫乎委員会(ICRP)は、まあまともだが、欧州放射リスク委員会(ECRR)は、委員長があやしいサプリメントの販売に関与しているなど、あやしい。(p129)
そもそも、話題によるあがるICRPでも民間団体なんだけど、海外の団体の話だとなんだか信じやすくなるわれわれに対して、勇気をもって裏話をおしえてもらえるのは助かる。
あと、扱われていないが、国の役人として気になること。
(3)やはり命にかかあることで、お金の問題はつきもの。除洗は徹底的にやるにこしたことはないが、その費用は東電など電力会社の料金、つぶれれば国民の税金で面倒をみることになる。その試算もちゃんと情報公開して、政策判断をする必要がある。
いずれにしても、今、この論争の中で中庸な意見をはくと、「御用学者」とか罵倒されそうなのを気にせず、情報提供していただいた著者に感謝する。
もっと、放射線被害については勉強を続けたい。
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なんだか、どのレビューも長くて御用学者って多いんだなと思うレビューばかりです。僕はこれを読んでさらに日本の現状を悲観しました。
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福島の原発事故でいかに私達が不安に駆り立てられているかがわかる。専門外の人が事実と違ったことを簡単に口にして悪い噂が広がっている。この本は放射線の専門家が放射線の解説をしており信頼できる。
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放射線を扱う臨床家としてツイッターでも積極的に発信を行なっていらっしゃる東大放射線科の先生の著。科学的な見地から割合公平な視点で書かれているとは思いますが、突き詰めて考えていけば、不確実でよくわかっていないことが多いことにも気づかざるを得ませんでした。ただ、受動喫煙なども発がんのリスク因子としては100mSvの放射性と同等であるということが認知され、意識されてもいいというのは間違いないと思います。
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チェルノブイリ、広島・長崎のこと、福島で見てきたこと、がんのリスクについて、分かりやすく書かれた本です。
なぜ「福島では今後がんは増えない」と言っているのか。
(ただし「不要な被ばくは、あくまで不要」とも言っています。)
どちらかというと、私は不安感のほうが大きくて憂いていたのですが、この本を読んで、少し落ち着いたかもしれません。
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東大放射線科准教授の著書。著者は1960年生まれ。1999年の東海村の臨界事故の治療チームの一人。原発事故直後からTwitterで医学・疫学的な立場からの発言をしている人物。本書の主旨は、今回の原発事故を原因として福島でガンの発生が増えることはない、というもの。論理的な説明であり、納得できる。