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職場の本屋の平積みから購入。
谷川先生が、東京市高低図という地図を発見して、その図面と現在の地名を分析。この地図は、市政専門図書館デジタルアーカイブスの資料4東京関係図の中にあって、ネットでみられるらしい。
みてみたい。
自分として、強く反省した点。
(1)都市計画を考えるときに、1万分の1とか、2500分の1の図面で考えるが、そもそもその前提として高低図などの地形を一緒にみながら考えるべきだった。
この先生の説によれば、東京の尾根沿いに甲州街道とか逭山通りがつくられたというが、都市計画道路を計画するときにそういう発想はほとんどなかった。
土地利用を考えるときにも、水害、津波はもとより日照の関係でも、地形は非常に重要なのに、あまり意識していなかった。
非常にはずかしい。
その他、役立つ情報。
(2)霞が関のあたりでは、永田町にむかって高くなっており、日比谷公園に向かってさがっている。首都直下がおきたときに、まちがっても日比谷公園に避難してはいけないと理解した。
(3)集中豪雨とか津波で注意しなければいけない地名、「谷」「窪」「久保」「池」「落合」「池尻」「江」「川」「砂」「浜」。
砂とか浜は液状化も心配。
東北の復興に併行して、首都直下の対策を真剣に勉強し、考えたい。
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現在の東京は徳川家康が江戸へ転封されてから本格的に作られたものだと、歴史的事実として理解していますが、普段は認識せずに都心にある会社へ通っています。数年前にゲリラ豪雨を都区内を襲ったときに、地下鉄の一部の駅で冠水した等のニュースがありましたが、これが津波だったらどんな被害になっていたのでしょうか。
この本は、東京都内の地名が、かつての地形を表していることを解説していて、もし東京地方を津波が襲ったらどうなるかを想定して書かれています。
都心へ通う私としては、津波(それを引き起こす地震)が来ないことを祈るばかりですが、この本を読むことで、いざというときの覚悟だけはしなければと思いました。ちなみに、この本では東京湾を巨大津波が襲うときの条件(房総半島沖か三浦半島沖の震源地、海溝型地震等、p20)を示しています。
以下は気になったポイントです。
・危険地帯の評定尺度は、「建物倒壊危険度」と「火災危険度」の2つの尺度のみ(p14)
・今までに東京湾に巨大津波が襲ったという記録はない、ほとんどの場合、房総半島と三浦半島に阻まれて安全であったことになっている(p15)
・311で首都圏を襲った津波の実績として、北茨城:8.2m、東京都:1.5m(p16)
・関東大震災の震源地は小田原沖であり、そのときの東京地方の津波の高さは2メートル、相模湾では6メートル(p17、20)
・地震のタイプは、海溝型地震(今回の東日本大震災)と、内陸直下型地震(阪神大震災)がある(p18)
・もし今度の関東地方の大震災の震源地が、房総半島か三浦半島沖の「海溝型」であり、M9程度の大規模であれば、東京湾は間違いなく巨大津波に襲われる(p20)
・東京都江東区木場にある洲崎神社には、波除碑(津波警告の碑)がある、1791年に襲った高潮で多くの死者が出たので、幕府が住むことを禁止した(p26)
・東京市高低図は、「市政専門図書館デジタルアーカイブス」の資料としてネット上で見れる(p27)
・東京は地名で地形がわかる、山の手には「山、岡」という地名があり、下町には「橋、川」が多い、その2つを結んでいるのが「坂」(p39)
・渋谷駅の地下には川が流れている、これが古川の源流で「渋谷川」とも呼ばれる、新宿御苑を水源地として、千駄ヶ谷という「谷」と通って、渋谷という「谷」に流れている、青山の台地を抜けた電車は渋谷の上空に出て止まるので、銀座線は地上三階から出発している(p41)
・日暮里駅の北口を出て北を見ると、見事な崖が続いている、これは武蔵野台地の東側、右手に続くのが沖積平野(p43)
・東京が坂の町と言われるのは、下町の沖積平野と洪積台地を結ぶスロープのこと、東京には1000を超える名前のついた「坂」がある(p45)
・現在の東京は、上野・本郷・小石川・麹町などの洪積台地以外は、沖積層(地盤が弱く昔は海)に覆われている(p51)
・東西線の南砂町駅付近には、地盤沈下の標識がある、最も高い地点(8メートル)は現���の堤防の高さ、7メートルの地点が、1917年の台風による高潮の高さ(p63)
・墨田区が、隅田から変わったのは、1965年に町村合併した時に、「隅」が当用漢字になかったため(p69)
・こち亀で有名になった「亀有」は、もともと「亀無、亀梨」であったが、江戸初期に縁起が悪いとのことで変わった、亀なしとは、水につかった時に亀の甲羅のように出るという意味(p81)
・311で液状化した地域は、1)海岸の埋め立て地、2)かつての川、沼、3)干拓地である(p83)
・江戸は、城郭と武家地、町人地、寺社地に分けて作られた、城郭とは外堀の内側までの一体でそれを丸の内をいう(p90)
・築地とは、「土地を築く、つまり埋立地」を示す一般名詞、江戸城も炎上した明暦の大火(1657)後にできた(p98)
・江戸に運ぶ物資は、種類によって荷下しの場所が決まっていた、日本橋は魚、京橋は野菜、それ以外にも、材木河岸、塩河岸、茅場河岸、米河岸があった(p106)
・汐留は、外から入ってくる潮を止める堤防があったことに由来する(p107)
・現在残されている台場(江戸湾を守るために砲撃を加える拠点)は6つ完成(第七は建設途上)した、現在のお台場は「第三台場」で残っているのは、ここと第六台場のみ(p116)
・神田川は3つに分かれている、井の頭池から文京区関口につくられた大洗堰までの「神田上水」、そこから飯田橋にあたる外堀との合流点までの「江戸川」、そこから御茶ノ水経由して隅田川合流までの「神田川」である、千葉県との境を流れる江戸川とは異なる(p120)
・江戸の町を守るために江戸の町の郊外に五色不動が置かれた、黒:目黒不動、白:目白不動(金乗院)、青:目青不動(教学院、三軒茶屋駅)、目赤不動(南谷寺、本駒込)、目黄不動(永久寺@三ノ輪か、最勝寺@江戸川区平井、竜厳寺@渋谷)(p137)
・東京十社とは、根津神社を筆頭に、神田神社、亀戸天神社、白山神社、王子神社、芝大神宮、日枝神社、品川神社、富岡八幡宮、氷川神社である(p140)
・注意すべき町の名前、谷、窪・久保:集中豪雨時に水が集まる、池:低地、落合:二つの川が合流する場所で、周辺では一番低い土地、池尻:池から水が流れ出る一番低い土地、江・川:要注意、砂・浜:液状化の危険(p170)
2012年2月12日作成
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3.11以来、地震関連の書籍に手を取ることが多くなった。この本は、地震が来たときの津波の被害が想定される地域を明示しつつ、その土地の由来や地形についても詳しく述べられている。古地図が大好きな私にはたまらない一冊だった。
東京は坂が多い土地であるという。確かに地名も「道玄坂」「宮益坂」「赤坂」などすぐにたくさん思いつく。但し今は地下鉄が発達していたり、高層ビルが多く見渡しが悪くなっているので、通常我々が坂を意識して歩くことは少ない。その感覚の狂いが、津波からの逃げ遅れにつながると著者は警告する。
この本を読んでから、自分が今どのような土地に立っているのかを常に意識するようになった。そうしたら「自由が丘」から「奥沢」まで実は緩やかな坂が存在していたことなどを発見して、散歩がますます楽しくなってきた。
津波対策に、散歩の友に、是非読んで欲しい一冊。
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かなり面白いです。「災害時の出来るだけ安全な帰宅」を可能にするためにも、「地理・地学好き、旅行好き」の人にとっても。はたまた家を選ぶ際にも大前提として読むべきでしょう。僕も家を借りる際には、このあたりのことを調べてエリアを絞るようにしています。
本文でも引用されていますが、柳田国男曰く「地名とは(中略)2人以上の人間に共通にしようせらるる符号」であって、「暗号」であると思いますので、その暗号を解読して“頭を使って”出来限りの災害を防ぐようにしないといけないな、と思いました(出来ない範囲もありますが)。
東京の地名とそれぞれの場所の分布、隣接具合を見ていると、まるでダヴィンチコードの中にいるかのようです。
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古地図本。都心部を高さ10mの津波が襲った場合に水没することが想定されるエリアをシミュレーションしている。
江戸以前の都心部各地の川、池、沢、谷、沼などの配置から、土地本来の地勢・水との距離を記述。坂、道の記述は割愛されている。
20〜30年前には台風で五反田一帯が床下浸水とかしていたことを考えると、台風と大地震がセットで発生する最悪シナリオは心のすみにおいておくことにこした事ないと実感。
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地名の中にさまざまな土地の情報が含まれている。
「名は体を表す」とは、このことのようだ。
前から気にしていた「五反田」「渋谷」の地形がわかって面白かった、
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『地名とはそもそも何であるかというと、要するに二人以上の人の間で共同に使用せらるる符号である。』(柳田国男)
地名の内容は、社会から暗黙のうちに認められていたものだが、世が変わるにつれ、内容は忘れられ語音だけが残る。
かつて水の都だった江戸も、埋立てや暗渠によって海や川が隠蔽されているが、地名からその土地がもつ歴史を紐解くことで、東京で地震が起きた際に、津波災害が起こるであろう地区を予想することができる。
内容はとてもおもしろかったが、その対策がスーパー堤防というのは安易だと思う。
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「もし東京に10mの津波が押し寄せたら、東京はどこまで沈むか?」その仮定に拠ったシミュレーションを試みた一冊。関東大震災後の大正時代に刊行された「東京市高低図」を使用して、その土地の持つ名称を絡めながら警鐘を鳴らす。一部地名の解釈が強引じゃない?と思う面もあるけれど、大きく見て危険を理解し、安全対策を計ることが大切だと思いました。水に弱い東京。天災の下、たくさんの危険を孕む場所に、避けるわけでなくどう楽しむか考えつつ、純粋に古地図の楽しさも知った一冊です。
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地名を解説していってくれるところが、詳細なのはありがたいけど、少し長い。
でも内容は、それなりにためになるのではないかなと。
東京の土地勘や地図が頭の中にないと少し厳しい。
しかし、それ故に、これから東京を歩くときに様々な観点を意識するようになると思う。
地名、高低差、河川等の水環境の位置など。
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確かに東京はアップダウンが激しいね。渋谷とか確かに三方高台だし、後楽園とか丸ノ内線はいきなり地上出るしね。
安全なのは甲州街道、青山通り、春日通、中山道。
地名でやばい場所わかるとの事で、うちの谷河内なんか、ホント最悪だわ。谷で川で内だもんね。ホント引っ越そうかなと思う。
神田川の支流で飯田橋付近に江戸川というのがあり、それが江戸川橋とは知らなかった。
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東京の高低図に照らして地名を探りながら、東京の地形と地名の安全度、危険度、震災への心構えを、読者に「立体的に」また「蘊蓄をもとに」気づかせようというのが、本書のねらいである。
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東京への興味をかきたてられます。谷、洲、橋などが含まれる地名の由来・歴史等を知りつつ防災意識に目覚めます。簡潔で過不足ない解説が、スラスラ頭に入ってきます。類似の東京・江戸探検モノとは一線を画す東京への愛を感じました。それは、東京人だけへのものではない人々への愛に通じているようです。感服。同時に見事な実用書。
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「隠された」と書名に入れているんだから、有史以前でも以来でもいいから、かつて東京に津波が押し寄せ、その痕跡が大地やら、碑文やらに残されていることを明かしていかなくてはいけないんじゃないでしょうか? どうです? 違います? そうでなければ「隠された」という表現は不適切ではありませんか? と、著者と編集者に詰め寄りたい気分でいっぱいだ。
津波の痕跡を訪ねた記録もなければ、だいたい津波が襲ってきたのかどうかもわからない。例えば河川の浸食によってできた台地の記述では、この台地の下は、津波がきたら浸水するかもしれない、程度の説明でしかない。そんなことくらいは小学生でも言えそうだ。
あとは高層建築が多い都心では、土地の高低差が判別しにくいから地名から判断しましょう、といった記述が続く。
渋谷は「谷」だから土地が低い。地下鉄の銀座線が地上3階を走っているのがその証拠、とか、「砂」とか「浜」の付く地名は地震時に液状化が起こりやすい、とか、「窪」や「沼」は水はけが悪い、とか、別に教えていただかなくても知ってます、という記述ばかりだ。
もし津波がきたら、それらの地域にいたら危険なので、高いビルに逃げなさい、とのこと。
著者は都市防災に関しては何も知らない素人なので、万が一のときには一切役に立たない本。
地名の由来を知りたいだけなら読んでもいいと思うが、もっと詳しくて良い本はたくさんあるから、この本を選ぶ必要はない。
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東京に10mの津波がやってきたらどうなるのかを、関東大震災後の大正時代に刊行された「東京市高低図」を使ってシミュレーション。その危険性を地名から読み解けるかという話を分かりやすく解説している。
都内に暮らし、山手線界隈を普段チャリで移動している身としては、日頃体感している感覚を文章で補ってくれる一冊であった。が、それ以上でも以下でもなく、比較的知っている、というか分かっている話も多い。
東京の東のほうは「砂」だ「浜」だと地名に付いてて、海抜0で浸水するとか、あるいは地震で液状化という話も知ってる人は多いのでは? 「谷」、「池」、「津」の付く地名も低地で湿地で地盤が盤石ではないのは東京に限ったことじゃないしね。
地域ごとに具に見ていくけど、主だった検証以外は、「柴又」はかつては「嶋叉」(水が島を避けるように流れていた地形)であったとか、「日暮里」は「新堀」だった、「三田」は「御田」(何らかの意味で「尊敬を受ける田んぼ」)といった地名の薀蓄が並び、それなりに面白いけど、さほど新しい発見は少なかったかな。
ただ、こうして地名が変わっていく、あるいは表記が別の字に置き換えられていくことで、本来の意味が失われていくことには注意が必要だ。本書でも引用されている柳田國男の言葉、
『地名とはそもそも何であるかというと、要するに二人以上の人の間で共同に使用せらるる符号である。』
を再認識し、地名に込められた記憶が失われていく危険性は知っておくべき。本書で、もっとそこを強調してもよかったと思う。「なんとか丘」とか「なんとか学園」とかの地名の、なんと意味ないことかってのがよく分かる。
サクっと読めて、知識欲をそこそこ刺激してくれる面白い一冊でした。東京都に暮らす・働く人なら体感しながら本書を読んでおくといいと思った。
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東京は高層ビルが立ち並んでて土地の高低感がなくなってしまってるんだけど、実際歩いてみたりしたところを振り返ると結構坂とか多いんだよね。そういった東京の地形を振り返りつつ地名を考えてみるとなるほどと思うところが多い。
東京だけでなく全国にも通じるところがあって、例えば亀という地名は水の中に浮かぶ亀の甲羅のような、すなわち島のことだとか、築地は埋立地だとか。
地名は面白い。この地名から歴史や地形的な特性を探究する本が出てるけど、今まで住んできた土地土地の本があればいいなぁ。