紙の本
振り回されてきた力を振り回す
2015/09/14 16:22
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
山星高校文研部は「ふうせんかずら」という超常存在が引き起こす、人間関係をグチャグチャにするような超常現象に引っかきまわされながら、逆にそれをきっかけとして、それぞれのつながりをあらためて確認して来た。新入生の宇和千尋や円城寺紫乃との関係もそれなりに深まり、二年生の八重樫太一や稲葉姫子、永瀬伊織、桐山唯、青木義文らが北海道への修学旅行を控えるころ、顧問の後藤龍善が部室へやってくる。
そうして「ふうせんかずら」はこれが最後だと宣言し、彼らに「夢中透視」の能力を与えて去っていく。それは、これまでとは異なり、文研部以外の人々の願望を一方的に夢で見るだけという、無視すればそれで事足りるような、切迫感のない能力だった。
しかし、青木義文の父にピンチが訪れ、それをこの能力で助けられるかもしれないと知った時、八重樫太一と桐山唯が、理不尽な力で未来を捻じ曲げるのには理がないという稲葉姫子や青木義文の反対を無視して、暴走してしまう。
その結果やって来たのは、際限のない願いと、それを反射的に叶えてしまう異常な状態でしかなかった。名探偵と化した藤島麻衣子は「ふうせんかずら」の秘密に気づきかけ、クラスメイトの中山真理子や瀬戸内薫、栗原雪菜などの人生にも影響を与える。みんなを助けるという美名の下、自分を放棄した太一の至る結末とは…。
これまではみんなを助けるヒーロー役を演じて来た太一ではあったが、それは体制に無条件で反発する主義者の様な行動であり、アンチ巨人が巨人ファンである如く、自分より上位の存在を前提とした上での、それに寄りかかった生き方でしかなかったことを、他人を傷つけるという形で目にする展開となっている。そして、暴力という意味では一番の力を持っているはずの唯ですら、新たに得た力はコントロールできず、振り回されてしまうのだ。
それに対して、力を得ても振り回さず、自らの分を知り、最も利用したい状況にありながらも利用しないという選択肢を選べる青木義文や稲葉姫子に、太一は理解できないものを感じてしまう。そして、理解するという行為を放棄し、誰かの求めるままに行動してしまうのだ。
自分の行為は全て自分の選択の延長線上にある。そう弁えて生きなければ、真の個人は永遠に見えては来ないだろう。
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毎度の事ながら、序盤の会話劇が浮いているよう感じるのは、私だけでしょうか、、、しかし中盤以降はぐいぐい持っていかれて最後まで楽しませていただきました。
今回は久方ぶりにヒロインと主人公がちゃんと中心となった話でした。
双方に不憫な展開ではあったんですが、終わり良ければというか、教会で再告白なんて、出来すぎですな。
懸案の別の二人も収まるところに収まったし。
さて、次は。と思ったら、短編集挟んで次回で本編最終巻になるそうな!!
メディア展開含め、盛り上がってきた作品にしては、巻数的に少ないような気もしますが、引き伸ばす為にだらだら続けられても良くないですからね。
そういう意味では、今巻は物語の終わりに向けた良い話だったと思います。
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謎の生物(?)ふうせんかずらとの戦いを描く愛と青春のペンタゴンコメディの第6弾。
今回は他人の夢を無理やり見せられる「夢中透視」
なんだろう個人的に好きではないラブコメ要素が強くなったせいか、全体的に駆け足な展開というか全体的に落ち着かなかった印象を受けた。
まぁ、それなりに面白かったんだけど(笑)
次の短編が最終巻になるのならばもっと神展開があってよかったような・・・
まぁ、最初(1巻)から神展開が続いていたともいえるんだけど(笑)
なにか足りない。
あ、そうそう!
この巻で藤島がさらに好きになりました!
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ココロコ、現時点での最新刊。
ラスト前を感じさせる展開でしたね。
今回は、久々に伊織たんが光っていました。
てか、彼女に一番感情移入できた。
ひとまず太一君&唯たんの、とりわけ太一君には
全く感情移入できず、「○○のためにしてあげたい」て
単語だけで虫唾が走るほどでした。
皆のためなんて、してあげるなんて、思い上がってる時点で
「それ自分のためだから!」て。
行動しようとすることが間違いというよりは、それを誰かのためと
思い上がること、その責任を背負ってないことが
間違いなんですね。
稲葉ん達の考えが正しいというよりは、彼等は「自分の意思」で
「自分のため」と覚悟していた点において勝っていただけだと思います。
稲葉んが今回間違えたとすれば、彼女の言動で逆に煽ってしまった
ことかなですね。
このあたりが彼女の不器用さで可愛いとは思いますが。
今回も、イライラしながらも「これって同属嫌悪?」をしてしまう
この鋭さは毎回唸ります。
好きに大きさも形も、ある程度はあるかもしれないけど、あまり
意識したくはないなぁですね。
あとは「依存」しない節度を持つことも大事だと思いますが、
稲葉んのようにセーブできず葛藤する姿も否定できない。
この難しい「ココロ」にどう決着がつくのか楽しみです。
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青木おめでとぉぉ!悩み抜いて成長への一歩を踏み出した太一よりもこっちの方が印象に残ってたり。やっぱりデレばんが少なかったのが原因か(笑)まぁ太一の心境は過去の(今も?)自分にも身につまされる部分もあったんで人から見るとこんな感じだったんかしらと思いながら。そして軽く無双状態に感じられた我らが藤島様。流石でございます。新、もとい真・藤島様の今後の活躍に期待しています。あとちょいちょいぶっ壊れる紫乃がいい感じでした。
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基本的に稲葉に感情が寄っているので、終始なんとも言えない気持ちでしたが、後半で太一が開き直ったら面白いなーって思ってたけど、まぁそんなことはなく、みんなピュア過ぎんのよ……。黒いキャラがいないんよ。この中に黒い人がいたらまた面白いんだろうなぁと耽ってみたり……。残りは短編一冊と本編一冊で終わる予定みたいだけど、まぁそろそろネタが尽きそうな感じはあるしいいのではないかと。永瀬はどうなるんですかねー。最後の卓袱台返しを期待してます。異常の中において日常の価値観など消しゴムのカス以下だぜ。
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これがココロコネクト・・・だと!?
前回、なんか微妙とか思っててすみませんでした(土下座
今回はラスト目前らしくいよいよ太一のターン。
毎回文研部のメンバーが追い込まれて追い込まれてから解決する展開だったけど、地の文である主人公がガンガン追い込まれるのは読んでて辛いものがある。
力を与えられた自己犠牲野郎・太一が正義のためと思って行動するがそれによって多分シリーズ上最も険悪な対立を生むことに。特に稲葉との距離が遠い、遠すぎる・・・
周りの生徒たちを片っ端から救っている一方一番近い存在だったはずの稲葉が見ててわかるほど追い込まれているのに救わない(救えない)というのが痛い。
なんか心をかなりエグられた、酷い(褒め言葉
今回の藤島様はなんと稲葉と組んで最強(かつ最凶)の壁として太一に立ちはだかる。
他にも太一の家に入ってあんなことや・・・ゲフンゲフン
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前巻に続き、いつもと少し違った攻め口。善意で始めた筈が空回り、破綻する、という流れは今までありそうでなかった展開かと。こういう虚淵玄的な話はやっぱり読んでてキツいものがあるね(^_^;) この辺がキモでありながら、それ故にかなり人によって好き嫌いが分かれそうだなこのシリーズ。どの巻も話が重めなので。進路、といった話と絡めて「自分とは何ぞや」という辺りのテーマが描かれるが、些か説教臭く見える、という人もいるかもしれない。「エヴァ」以降のセカイ系直撃世代にはウケるかと思うけど。自分はこのセカイ系っぽさに完全にハマったクチ。アニメ化という話題も楽しみ。あと、ゲーム化ってどゆこと?何するのかね?まぁ何だかんだ言って買いそうだけど(笑)。
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「皆のため」にすることは誰のためにもならない。自分は自分のためにやるべきことをする。
太一が中途半端な自己犠牲主義から変わっていった。読みながら、自分と太一を重ねて、似ているなあと感じイライラした。同族嫌悪のような感じで。
稲葉んの言葉がかなり耳に……心に痛かった。
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今回は太一と唯が中心。相変わらず小っ恥ずかしい青春をしてるのがすごくいいです。今まで少しずつ成長してきたけど大きな転機となる出来事のなかった太一の変化が印象的。他人を助けることにこだわり続けることに対する問題に気付けたようで何よりです。太一の夢は彼らしく臭くてかっこいいです。そしてようやく唯の決断が見れたのも嬉しい限り。あとほぼ復活した藤島さんが最強です。やっぱり藤島さんはこうでなきゃ楽しくない! 次回の短編集も楽しみにしています。
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今回は主人公的存在の太一に焦点が当てられます。
修学旅行を前に、二年である太一達に進路問題がのしかかります。
文研部の他の二年部員は差はあるものの先を見ている中で
漠然とした進路すら思い浮かべられない太一は焦りを覚えます。
そこに今迄数々の不思議な現象をもたらし、
彼等を悩み苦しませたふうせんかずらが現れ告げます。
「これで最後です」と。。
今回ふうせんかずらによって仕掛けられた現象は
文研部以外の人達の願望が見えるというものでした。
此まで自分達に直接発生していた現象とは正反対の状況に
部員達は戸惑いを覚えます。その中で部の頭脳たる稲葉は
皆に現象が起こり、願望が見えたとしても何もしない事を強要します。
しかし、露骨に助けないまでも、支え、後押しして
皆が幸せになれるなら・・・そう考えた太一と唯は
密かに現象を活かし行動へと移します。
太一らの行動は敢えて動かぬ事と決めていた稲葉、青木にも知られ
思わぬ組合わせで部は二分されてしまいます。
互いに反発しながらも、太一ら行動を続けた事は次第に歪みが波及し。。。
シリーズ中最も充実した内容であるかもしれません。
兎に角考えさせられました。
未だ自分の自分たるものが掴めていない太一が
先に行く仲間に対し抱く焦燥感、劣等感と言うものが
人を助けるという行為によって存在を自らに見出そうとの思考。
それが今回の現象と不幸にも噛み合ってしまい、
行動を取れば取るほど足下が闇に呑まれていく様子は痛々しい限り。
そういう太一に晴れて恋人となり太一を信頼し
期待を掛けていた筈の稲葉ですら太一の姿が遠のいてしまう。
自己犠牲野郎と普段から呼ぶ稲葉の声が逆に太一を追い込み、
人の助けになろうと行動する太一を一層駆り立てるのですが、
逆に隣に寄り添うはずの稲葉を見なくなり、
稲葉の不安や怖れを救ってやれなくなっている矛盾が
実に心を締め付けるようでした。
現象の対象を逆転させただけでより深い心的葛藤へと持っていった
作者の構成力に感心するばかりです。
これまでも現象が起こっては乗り越えてきたパターンでした。
それに対してマンネリと決め付ける意見も見られますが、
よく読めば各巻毎に対象が異なっておりますし、
心理描写、そして人間関係の変化はきちんと移ろってきていたのは明らか。
その最後の仕掛けに此まで周りを助ける事で動いてきた太一が
そうした性癖、そして実際にはまだ自己確立が
為されていなかった事が露呈させられ、
結束を崩される柱として描かれているのが非常に印象深い。
この作品に登場する少年達は抜きんでて優れたキャラはいません。
頭脳派の稲葉ですら不安を隠し、震えながらも懸命に抗っている姿が
きちんと描かれています。
それぞれの個性を要所で活かしながら、絆を深め、
必死で抗い続けて成長しているのですね。
ふうせんかずらによる現象にしか目が行かないと
現象の繰り返しにしか見えな��なってしまうかもしれませんが
現象は切欠にしか過ぎず、実際には己との戦いの連続なのだと感じます。
今回の物語を読んでいて私はふと『とある魔術~』の上条当麻の事が頭に浮かびました。
一般受けの良い主人公キャラですが、私はどうも共感を覚えられずにいました。
その理由の核心が今回の話に見えたように感じます。
記憶を失うとの切欠はあったにしても、何にでも首を突っ込み、人助けをする上条ですが、
余りに他人優先させる姿が嘘くさく感じていたのです。
度を超え、己が何とか出来ると思い上がった思考と行動とは反対に
自分を余りに大事にしていない所は、今回の太一と被る部分があるのではないかと感じました。
今回の人助けに追い立てられている太一に対し、後輩の千尋が告げた言葉が私の中にも浮かんだのです。
「気持ち悪い」
今迄他人の為に自らを省みない事で仲間を支えていた太一の格好良い姿を崩し、
全てをさらけ出させようとした時、そんな格好悪い姿が私には寧ろ格好良く見えました。
独り善がりに異能を振るい周りを振り回すよりも、私は血の通った、泥臭く頑張る姿の方を好む様です。
短編集をひとつ挟み、次の長編が物語の結末となります。
本巻の最後にふうせんかずらと彼の同僚と思しき者との間に交わされた不穏な会話が
最後の嵐を予見させるだけに楽しみでなりません。だらだらと続けずきっちりと終わらせられるのは素晴らしい。
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2012 3/29読了。WonderGooで購入。
シリーズももうだいぶ積み重なってきて、前の巻では絶大の絆を見せた主人公たち5人。
しかし進路希望調査の時期、何も先が定まらない自分に太一が焦りを覚えていたところで、"ふうせんかずら"が現れ5人に「ボーナス」を与えると言い出す。
自分たち+後輩2人以外の願望が見える能力を手に入れた5人は、みんなの希望をかなえたいと思う太一・唯と動くべきではないという稲葉・青木、どうすればよいか悩む伊織の3人に分裂してしまい・・・。
自分たちのことならもう揺るがない5人だけど、自分たちに塁が及ばないがためにかえって「どうしたいか」という自分の信条が問われることになる。それが太一の今回の混乱を招いた形なのかなあ。
クライマックスは修学旅行@北海道。場面を想像しつつ読んでしまった。
次の短篇集を挟んで、もう2冊でシリーズ完結とのこと。
今回で終了を宣言した"ふうせんかずら"の真意やいかに。
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ふうせんかずらの最後(?)の現象により4人が対立することに。それぞれの言ってる事も分かるし理解できる、ココロコで最も考えさせられる話でした。
自分と太一を重ねながら読めたので稲葉んの言葉が突き刺さり耳が痛い。 ていうか同族嫌悪??
アニメ化おめでとー。 主役もさることながらサブ2人のCVはぴったりだと思う。 残り2巻となった原作ともども楽しみだ。
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こちらは逆につまんなくなりましたねえ…
落とし所が少ないわりに、
展開にイライラするかつ、
面白味がなくて、
途中で挫折しちゃいました。
キャラぶれするなら続けるなって思うんですが…
成長云々じゃなく、初刊と比べて全員キャラ崩壊してますから。
まあ、とりあえず保留です。
また読む気になるかもしれないけど、
まあ…読むまで次は買わないかな。
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太一に焦点を当てたストーリー。
「自分」というものがなくて、それをどうしたらいいのかわからない、という点は非常に自分とも重ねあわせられる部分で、テーマとしては面白かった。けれど、伊織に活を入れられて立ち直る部分において、いまいち共感しきれず★4つ。