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紙の本
晋平の矢立 (徳間文庫)
著者 山本 一力 (著)
建て替え普請のため、家屋を壊すのが生業の「伊豆晋」のかしら・晋平は古道具の目利き。大火に見舞われた江戸で、焼け崩れた十八もの蔵を短期間で取り壊すよう頼まれた。次々と起きる...
晋平の矢立 (徳間文庫)
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商品説明
建て替え普請のため、家屋を壊すのが生業の「伊豆晋」のかしら・晋平は古道具の目利き。大火に見舞われた江戸で、焼け崩れた十八もの蔵を短期間で取り壊すよう頼まれた。次々と起きる厄介事にもひるまず、古道具好きの依頼主の助けを借りて難局を切り開いてゆく。男たちの職人仕事は緻密にして清々しく、古道具を通して浮かび上がる人の情と縁はしっとりと心をほぐしてくれる。【「BOOK」データベースの商品解説】
建て替え普請のため家屋を壊すのが生業の「伊豆晋」のかしら・晋平は、古道具の目利き。ある日、大火に見舞われた江戸で、焼け崩れた18もの蔵を取り壊すよう頼まれたが…。古道具を通して浮かび上がる人の情と縁を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
船簞笥 | 5−59 | |
---|---|---|
うずくまる | 61−114 | |
すんころく | 115−170 |
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紙の本
珍しくスッキリしない終わり方
2013/03/04 17:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
山本作品の好きな所はいくつかあるけれど、やはりスッキリと胸すく大団円!も一つの大きな魅力。これまで読んできた作品はみなそんな感じで、そこを期待して読んで来たのだけれど。本作品に関しては珍しく、あまりスッキリした気分になれず。なんかちょっと残念。
毎度色んな職業視線から、江戸時代の風情・文化を見せてくれる山本作品。今回は建て替え普請の為に、家屋を壊す稼業が主人公。おまけに普段から蔵を壊したりしているので、道具(骨董品)の目利きも出来るというのがまた面白い。連作短編のように、5つの物語が連なっていくのだけれど。江戸の大火で燃え落ちた街を再興しようと発奮する主人公達の元に、悪だくみを抱えた同心達が絡んでくる。公儀の力を悪用して金に換えようとする、その悪だくみを見抜いた主人公が義の心と知恵とで立ち向かうと言った流れは非常に読んでて興味深いし、胸もすくというもの。
しかし解せないのが最後の一遍。何でも無い名もなき砂糖壺に、主人公がそれと分かっていながら大金を払って手に入れるという物語。テーマは「物の本当の価値は値段ではなく、思い入れだ」という事なのだろうけれど。そこで展開する話がどうもいけない。気の良い町の饅頭屋の親子が、詐欺にあってみぐるみ剥がされ家屋も乗っ取られ、さらに借金のカタに美しいと評判だった長女までもが女衒に売り飛ばされていくという話。はるか昔に主人公がその長女からもらった壺と同じ型だった、というのだけれど・・・。そんな悲しい物語ではなくて、もちょっとぐっと来る物語を設定してくれた方が、読みやすかったなぁと感じた。というか蛇足な一遍とさえ感じてしまった。