紙の本
<リンカーン弁護士>、第二弾。
2018/08/21 03:55
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
久し振りにコナリー作品に復帰。どこから読んでないんだっけ、と思ったら『真鍮の評決』だった・・・<リンカーン弁護士>シリーズ2作目。もう5作目も出てるよね・・・まぁ、ボッシュものもっと放置してるけど。
そんなわけで6年遅れで読みました。
一作目『リンカーン弁護士』事件から約一年後、ひどい痛手から刑事弁護士業務から遠ざかっていたミッキー・ハラー。しかしそろそろ復帰しようとしていた矢先、弁護士仲間のジェリー・ヴィンセントが非業の死を遂げる。ジェリーは自分に何かあったときの代理人としてミッキーを指名していた(別に命の危険を感じていたからではなく、形式的なもの。ずっとミッキーも同じ書類にジェリーの名を書いていた)。おかげで休業明けの弁護士はいきなり32件の訴訟を抱える売れっ子に。その中でもいちばん大きく、厄介な案件は「映画製作会社のオーナー、妻とその愛人を殺害」というやつ。その事件の被告ウォルター・エリオットは検察側が十分な証拠を持っていると言っているのに落ち着き払い、「自分は無実なんだから当然、無罪評決が出てすぐに元の生活に戻れる」と疑っていないようで、その動揺のなさに逆にミッキーは疑惑を覚えるが・・・という話。
いつも「ミッキー」と呼ばれているし自分もそう言っているので、実は本名(?)はマイケル・ハラーだと思い出させる場面で「あぁ、そうだったね!」と深く頷く。外国語の愛称の付き方のルール、やっぱりよくわからない(愛称をどの状況でまで使うのか、を含めて)。
物語はそんなミッキーの一人称で進みますが・・・あぁ、そうだった、ミッキーは口は達者だけど(弁護士だから?)、結構腰抜けで、でもお坊ちゃま育ちだからか根本的にはいい人でつい人を信じてしまいがちで、だから「依頼人が有罪であろうと関係ない、無害を勝ち取ることが仕事」とあえて悪ぶっている自分に酔いつつ、そんな自分を恥じている。ダメ男だがにくめない、そんな人だった。
で、前任者が殺されて犯人が見つかっていないため、その調査と護衛の意味も含めてロス市警からやってくるのがハリー・ボッシュ。
ミッキーとハリー、初共演!、が本作の肝。とはいえLAタイムズの新聞記者ジャック・マカヴォイくんも出てくるんですが・・・あくまでちょい役。そんなちょい役でもいい印象を残さないジャック・マカヴォイ、私はほんとに彼が好きではないらしい。ジャックに比べたらミッキーなんてかわいいもんさ。
事件の方は・・・翻訳時差と私個人の時差のせいで、裁判物としての意外性はあまりなかったかも(その間にあたしが裁判物の映画やドラマをかなり見ちゃってたから)。でも事件を構成した背景などは、いかにもLAというか、映画製作にどれだけお金がかかるかということにも絡んでいてなんだか悲しくなる・・・映画は夢でも、それをつくる過程は容赦ない現実なのね。
しかし驚いたのは、ミッキーとボッシュの秘密のつながりについてこの話で明らかにしてしまったこと(ボッシュが知っていることは読者もわかっていたけど、ミッキーは知らないことだったから)。
それで引っ張るような話は書かない!、というマイクル・コナリーの矜持か。
でもシリーズものってどうしてもキャラクター小説になっていくもの。その制約の中で、単体のミステリとして面白いものを書く、という気概を期待しています。
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「リンカーン弁護士」のシリーズ第2弾。
ミッキー・ハラーは刑事弁護士。
法廷や刑務所を効率よく回るため、3台のリンカーンを事務所代わりに乗り回している。
正義の味方のつもりでいたくても、ほとんどの仕事は、常習犯罪者の刑を出来るだけ軽くする手続きというのが実情。
元妻マギーは有能な検察官で、幼い娘ヘイリーとは時々会う。
いろいろあって1年もの療養期間を過ごし、ようやく仕事に復帰しようとした所。
相互に契約を結んでいた弁護士仲間ジェリー・ヴィンセントが殺された。
ジェリーの仕事をいきなり引き継ぐことになったハラー。
信頼している秘書ローナと、ジェリーの事務所に乗り込むが。パソコンとファイルの一部が盗まれていた。
ローナはもう一人の元妻だが、長年の友人で、一時結婚したが間違いに気づいたという仲。
ジェリーはセレブの弁護を引き受けていて、裁判がもうすぐ始まるというタイミング。
映画プロデューサーで富豪のエリオットが、妻と浮気相手の二人を射殺したとされる事件。
25万ドルもの前金が振り込まれていた。
証拠はほとんど状況証拠だが…
ロス市警強盗殺人課の刑事ハリー・ボッシュも登場。
作者が長年書き継いでいる人気シリーズの強面刑事です。
殺人事件に対しては素人っぽいミッキー・ハラーと、互いに反発もしながら、そろそろ協力も。
上手く絡んで面白くなるか!?作者のお手並み拝見☆
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ただでさえ期待値が高いのにあの人が登場するというのだから手が伸びちゃう。
上巻読了。最初の数頁でひきこまれる。何故、上下巻一緒に買わなかったのかな。
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コナリーのメイン・シリーズは、ロス市警のハリー・ボッシュと決まっているようなものだが、時にノンシリーズと思われるキャラクターであれ、メイン・シリーズに登場したり、続編が出たりすることも数多くあるので、『リンカーン弁護士』のミッキー・ハラーが再び登場して、シリーズ化の勢いを見せ、さらにハリー・ボッシュが共演することになろうことも予測の範囲でなければならないのだろう。それにしてもいつもいい意味で裏を欠かれ、ツイストを見せられてしまうのが、コナリーの作法であり、手腕であるのだ。全く侮れない作家である。
前作のラストシーンを受けて長い休養から復帰することになったミッキーは、のっけから、殺された友人弁護士の仕事を引き継ぐことになる。弁護士の殺害犯を探るヒントは、弁護士の引き受けていた仕事の中にあるだろうことを、ミッキーのみならず警察の捜査官も当然探るはずである。案の定、知人弁護士の職場には、ハリー・ボッシュが事件資料を漁っている姿が。早い段階で二人の小説ヒーローが顔合わせとなり、読者サービスの美味しさに舌鼓を打ちながらページをめくることにになる。
前作でも見せたとおり、機転の利くミッキーである。一流の法律事務所を経営しているわけではなく、今もなお運転手は弁護料代わりに調達している。31件ある死んだ弁護士の仕事をミッキーは振り分ける。金にならぬ仕事、捜査の困難な仕事は、他の事務所に回す。しかし新聞を賑わしたような有名な事件には飛びつく。そこに大きな罠があるとも知らず。
コナリーのストーリー・テリングについて今更書き記すことはないと思うが、大船に乗った気持ちでストーリー展開の二転三転ぶりを楽しんでもらえればいいと思う。ましてやボッシュとのやりとりは、そのキャラクターの違いもさながら、お互いのスタンス、距離感などは、味わい深いものがある。事件とは別に彼らの関係にとんでもない真実が見出されるラストでは、少し出来すぎのきらいがあるものの、コナリーだから、ということで容赦してもいいような気がする。
今後のシリーズ化は占えないものの、少なくともこれで二人の共演は今後約束されたようなものである。楽しみがまた一つ増えたと言っていい。できれば、『わが心臓の痛み』『夜より暗き闇』登場のテリー・マッケイレブのような結末を迎えては欲しくない。
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軽快。軽薄ではない。北欧ミステリを読んだ後だとなお更そのように感じる。
本書にあるようなことがおこなわれているなら、陪審裁判というのはりっぱなビジネス。
名前だけ出てくる女性弁護士みたいなのが存在するなら笑うに笑えない。
日本でも裁判員裁判が始まってから、検察と真っ向対立する裁判が増えたような気がする。
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「リンカーン弁護士」ハラーに、ボッシュとマカヴォイが絡む。まあなんと魅力的な出だしだろう。ちょっとまだ調子が出ないけど、下巻に期待。
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マイクル・コナリーの「リンカーン弁護士」シリーズ第二作。
何者かに殺害された知人の弁護士に代わって、ハリウッド映画業界の大物を弁護することになったハラー。そこにハリー・ボッシュ刑事やジャック・マカヴォイ記者がからんできて・・・。
感想は下巻読了後に。
「キネマ旬報」を読んで知ったのだが、一作目の映画化作品が、今年いよいよ日本でも公開されるようである。これは楽しみ。
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コナリーの別シリーズのキャラクター ハリー・ボッシュと車のリンカーンを事務所にする弁護士 ミッキー・ハラーが共演するリーガル・サスペンス
といっても、ハリー・ボッシュはまだ読んだことがないのですが。。。
「人はみな嘘をつく。 警官は嘘をつく。代理人は嘘をつく。証人は嘘をつく。被害者は嘘をつく。」がこの本の出だしで、全編を貫くテーマになっている。
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マイクル・コナリーが生んだ新たなキャラクター。
私には、あのジェフリー・ディーヴァーと肩を並べていると思えるのに、日本での人気はどうなのだろう。
出版し続けて欲しい。
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待ちに待ったコナリーの新作。リンカーン弁護士ミッキー・ハラーものの第二作(でしたよね?)。もともとリーガルサスペンスはお好みの上に、ご贔屓のコナリーの作品。堪えられませぬ。ムフフフ。おまけに、ボッシュとマカヴォイまで登場とサービスは満点。下巻が楽しみ、タノシミィィ。
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海外小説で今年評価が高い小説として紹介されていました。
上下巻に分かれているとのことなので、しばらくしたら下巻を買おうと思います。
主人公はここ数年本業を離れていた弁護士。
知り合いの弁護士の殺人事件を発端に、その業務を引き継いで復帰するところから物語が始まる。
弁護士はなぜ殺されたのか…その秘密に近づくにつれ、引き継いだ事件に隠された闇に気づいていく。
海外小説らしい非常にテンポのよい進行と、皮肉の利いた個性豊かな登場人物が、まるでドラマを見ているかのような感覚に導いてくれます。
どいつもこいつも一筋縄ではいかないキャラクターで、今後どう活躍していくのか非常に楽しみです。
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リンカーン弁護士シリーズ二作目。そして、著者のもう一つのシリーズの主人公である、ハリー・ボッシュが登場します。
前作の最後で、ミッキーは銃撃を受けたのですが、その後、ジャンキーにまでなってしまっていたんですね。まぁ、アメリカでは、鎮痛剤の多用で、ジャンキーになってしまう例が少なくないと言われていますが。
衝撃的な幕開けで始まりますが、上巻では、まだまだ事件は動きません。嵐の前の静けさです。下巻で、どう、事件が動くのか?
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上巻で動きはほとんどなく。ワクワク感はありつつも。一番人畜無害っぽいヤツが怪しいのかな、とか。下巻に期待!
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また間違えてしまった。
先に「リンカーン弁護士」を読まないといけなかった。
後でこの作品の前の話となる「リンカーン弁護士」を
読むときに死ぬほど後悔することになるかもしれないが、
とりあえず、面白かった。
警察または刑事とからむ場面は効果的だが最低限で、
弁護士稼業の詳細が楽しめたし、
「ロッキングチェア探偵」ではないが、
ばたばたしないところも良かった。
(下巻へ続く)
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リンカーン弁護士の第2作。1作目も十分面白かったがこの作品も冒頭からグイグイ引き込まれる。もうひたすらマイクル・コナリーの職人技的な起伏にとんだストーリー展開、魅力的なキャラに陶酔できる。しかも、今作はそれに加えて、なんとハリー・ボッシュが登場!今までハリーの作品は一人称のハードボイルト形式が多かったので、リンカーンの視点で3人称的に描かれるハリーは興味深い。こうやって読むと意外と嫌な奴?
後半の謎の急展開に期待大!!