紙の本
衝撃的な設定だけど…
2023/09/23 10:36
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
高齢社会が行き詰って、70歳になったら安楽死するという法律が通った世界で、姑の介護を一手に引き受けさせられている女性とその家族が変化していくストーリー。ちょっとうまく行きすぎでしょうという結末に興ざめしないでもないですが、家族の一人にだけ介護の負担がかかりがちな現実やヘルパーさん達が労働に見合わない低賃金であること等、社会の問題点を上手く小説に盛り込んであり、「そうそう、こういうことあるよね」と思いながら読みました。
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物議を醸すようなタイトルはいかにも幻冬舎らしいけれど、この著者は前にも「特別な法律ができて……」という内容の小説を出しているので、これが特別ぶっとんだものではないと思います。
介護・引きこもり・家庭をかえりみない夫・ブラック企業、と日本社会の問題あれこれてんこ盛り。前半すべての登場人物にイライラさせられた分、後半、母・東洋子さんが行動を起こしてからは「いいぞいいぞ」と急展開。横から鋭い指摘をしてくれる友人たちあり、ついにぶつかるお互いの本音あり。こんなにもつれまくった人たちを、どうやって最後に救済できるのだ?と不安に思いつつ読み進みましたが、さすが垣谷さん。ありがとう、ありがとう、のラストです。都合がよすぎる? まあまあ、いいじゃないですか。がんばれよ正樹!
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政府は大きな決断を下す。「日本国籍を有する七十歳以上の国民は誕生日から30日以内に死ななければならない」という七十歳死亡法案を可決したのだ。
に惹かれて速図書館予約。やっと順番がきました。
法案が執行されてからの話かと思ったら、その前。
「寝たきりのお義母さんが死んでくれる。「家族」の本音を、生々しくリアルに描く新・家族小説」でした。
全体に暗い話にはなってないので良かった。
でも結局、お母さの立場って・・・・と思ったらチョット落ち込むな・・・。
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常々自分が考えてた事が小説に…。安楽死承諾すると国から何らかの報酬が得られるとか、若い内に高齢になったら安楽死するって契約すると国から生活保障してもらえる法律とかね。膨らむ医療費を減らす為に死ぬ事が宗教で禁じられていない国ならなんかの勢いで立法されちゃうかもって思ってた
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おもしろかった。介護を押し付けあっているところは、コメディチックだけどなかなか現実的。最後みんなハッピーになるのはやっぱり小説だな。
ただ、お父さんとお母さんの話し方は50代に見えない。若者っぽい。父と息子の会話なんて、友達同士みたいだと思った。
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あまりに生々しい小説だった。
登場人物の誰もが、どこかで見たり聞いたりしたことのあるような人ばかり。
「七十歳死亡法案」はある種のショック療法だったのかもしれないが、本当にこれくらいやらないとだめなんじゃないかと、常日頃密かに思っていたので、小説なのにひどくリアルでドキドキしながら読んだ。
東洋子さんという人は、まったく主婦の典型のような人だが、家庭における介護はこういう人がいて初めて成立しているともいえる。
夫や子供がなにもしない、というかお互い押し付けあうという状態も、よくある話。
もっと早くに、ぶち切れて放り出してしまえばいいのに、と読みながら歯がゆくて仕方なかった。
でも現実はこんなものだ。私の知っている人にもたくさんの「東洋子さん」がいる。
たまたま今毎日新聞で連載されている「だから荒野」という小説でも、主婦が家出するというストーリーで、そろそろ我慢の限界が来ているのかもしれないなあとふと思う。
「家にいるんだからヒマだろ」とか「なんにもしないで家にいる人がやればいいのだ」といわれる。
たいていの場合はそれを言うのが夫なので、「まったく男って」とまるで男性の専売特許のように思ってしまうが、本作の中で、娘である桃佳が「弟はなにもしないで家にいるんだから、おばあちゃんの世話をすればいい。私は働いているんだから」という。そのセリフにドキッとする。外で働いていることを錦の御旗にするのは男女の区別はないのだ。
極端な提案ができるのが小説の醍醐味である。
「もういっそのこと70歳になったら強制的に死ぬことにすればいい」
という提案は、喧々囂々の議論を巻き起こすことは必定ではあるが、そのおかげでみんな真剣に考えるようになると思う。
ただひとつ。この小説がSFじみていると思ってしまうのは、総理があまりにも非現実的だという点。
ほんとに悲しいことに、ここまで力のある政治家は存在しない。少なくとも今の日本には。
でも、こんな総理が出てきたらいいのに、と思ってしまった。
そうしてみんな本気で、真剣に、生きることや死ぬことを考えた方がいいのだ。
ただなんとなく流されてみたり、闇雲に我慢してみたり。期限を切られてないからこそそんなもったいない生き方ができてしまうのかもしれない。
ちなみに、私はもしこの法案が可決されたら、おとなしく従おうと思っている。
老後の何が怖いって、寝たきりと認知症だから。そうなってしまって死ぬことも叶わなくなる状態を想像するとぞっとする。それなら、きっぱり死ねる方がどれだけいいかと思うのだ。
70まで生きたら十分である。
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今の国会議員に是非、読ませたい一冊ですね。
この先、現実的にこの本のようなタイトルの法案は成立しないとしても、作り話だから、と笑ってやり過ごせる問題でもないと思うくらい、今の日本の現状は大変です。話はやや飛躍しすぎていて、荒唐無稽な感があるものの、専門的な用語も出てこないし、福祉、高齢化という問題を考えるとっかかりにする本としては、自分も含めて、非常に良いように思いました。
また、内容自体にすごい面白さはありましたが、個人的には主役格になる家族が、普通の人よりも大分恵まれている(普通よりも裕福な家庭)こと、最後がキレイに終わりすぎている事、が何となく共感を呼べなかった感もありました。
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新聞の広告かなんかで気になったので買ってみました。
ある家族を中心にして,人生を考える。
リアルな感じで読みやすかったです。
結末は大衆受けという感じがなくもないですが,読みやすい1冊として☆4つ。
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内容(「BOOK」データベースより)
2020年、高齢者が国民の3割を超え、社会保障費は過去最高を更新。破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法」を強行採決する。2年後に施行を控え、宝田東洋子(55)は「やっと自由になれる」と喜びを感じながらも、自らの人生の残り時間に焦燥感を隠せずにいた。我侭放題の義母(84)の介護に追われた15年間、懸命に家族に尽くしてきた。なのに妻任せの能天気な夫(58)、働かない引きこもりの息子(29)、実家に寄りつかない娘(30)とみな勝手ばかり。「家族なんてろくなもんじゃない」、東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。すぐそこに迫る現実を生々しく描く。注目作家、渾身の書き下ろし小説。
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タイトル通りになったらどうするよ、という物語。
こんなのありえないし、トンデモ話的な感じかと思いきや、ごっつり生々しい展開に凹まされた。終盤はトントン拍子に話は進むが、そうでもなきゃ、せつなくて読んでられない。
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なかなか過激なタイトルですが、中身は心暖まる話でした。これからくる高齢化社会に、どのように立ち向かっていけばいいのでしょうか。社会保障費の捻出は税金に拠らなければならないけど、賄いきれるものではない。家族・社会が一丸となって介護に携われるような仕組みづくりが必要ですね。と、言うのは簡単だけど。。
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装丁に惹かれて購入。70歳になった国民は死ななければならないという法律が可決された日本での、家族のお話。強引に話を纏めた感は否めませんが、とても考えさせられるお話でした。特に、要介護者のおばあちゃんのあたり。頭を下げたり感謝を口にすることは、自分の置かれた状況を全て認めなければならない、ってことと同義なんですね。
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タイトルが秀逸です
まぁ 一つの家族小説だと思います
物語の進め方が
なかなか上手ですね
どうやって
つなげていくんだろう
どこへ
運んでいくのだろう
それらが
それなりに
無理のない自然さで
好感が持てました
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70歳でみんな死亡することとする。
そうすれば年金問題や介護問題から国民が解放されるようになる―。
実は、自分がまだ若くて両親も若かった頃、この本のテーマと同じことを考えたことがある。
残酷な考えだとはわかっていたので口にすることはなかったけれど、「合理的だし、寿命が延び過ぎたんだ。70歳ぐらいで死ぬのは人間の本来の姿なのでは?」と思っていた。
しかし自分がある程度の年齢になり、両親も70歳までそう遠くはない年齢になったとき、やはりそのような合理的なだけの考え方はできなくなっていた。
そんなとき、本屋でこの本を見つけた。
自分と同じようなことを考える人が他にもいるのかなと興味を持った。
内容は、おばあちゃんの介護問題を通して家族が離れ、そして変わり、1つにまとまっていくというありきたりな感動ものなのだが、それでも考えさせられることは多く、あったかい気持ちにもなれる。
読んで損はない1冊だと思う。
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タイトルのインパクト!しかし途中から飽きる。結末はイマドキの家庭の介護・引きこもり・就労問題がちりばめられたハッピーエンドの落とし込み。「老人は死んでください国のため」の川柳が頭から離れない。