紙の本
陰謀論の彼方に。
2012/02/18 22:38
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユダヤ、フリーメーソン、イルミナティ等々、陰謀論の常連?として登場する面々は陰謀論者達が見た幻である。陰謀論から見えてくる常連達は陰謀論者達が自分の見たい世界を映し出す虚像であるが、案外単純なカードを何回も出しているのだ。しかし、その虚像には反ユダヤ主義というキリスト教社会に存在する地下水脈が関わっているのだ。この本に語られている陰謀論は欧米経由で日本に流れ込んだものを扱っているので、日本社会にあまりなじみがないはずのヨハネの黙示録や福音派の解釈も取り上げている。
18世紀に消滅したイルミナティはともかく、フリーメーソンについての実像は乖離しているようだ。フリーメーソンが活動したとされる18世紀には結社の存在自体が協会や王権にとって脅威に見えたのが、未だに尾を引いているわけだ。
日本の陰謀論には反ユダヤ、反イスラエル的なものも見えてくるが、ソ連東欧圏の反シオニズムとして再生した反ユダヤ主義が流れ込んでいる点もある。共産主義思想には元々反ユダヤ主義的なものが見え隠れしているものだが、この本では、それも触れている。
しかし、日本独自の陰謀論といったものは、あまり出てこない。昨今の反韓国、反中国的な発想には朝鮮や中国に対する差別思想と共に陰謀論的なものも見え隠れしているので、触れてほしいところである。
この本の中で陰謀論者達には旧約聖書の預言者達の行動に似て、孤独な存在として自らを見ているとあるが、案外そんなものかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
陰謀論者は、分かりにくい現実を分かりやすい虚構に仕立てあげるという。それはいいけど、この本は分かりにくい文章だからもう読むの断念。やっぱり陰謀はフィクションで楽しむのがいちばん。
投稿元:
レビューを見る
アメリカ3大テレビネットワークも創業者はユダヤ人。
娯楽による愚民政策はセックス、スポーツ、スクリーンの3S。ユダヤ人の謀略なの?
タルムードにはユダヤ人だけが人間で異教徒では獣である、ユダヤ人は異教徒に対しては騙したり殺したり何をしても良いと書かれている。非ユダヤ人はゴイ、複数形でゴイムと呼ばれ、家畜という意味。嫌われる訳だ。
中世ではカトリック教会がキリスト教徒同士の利子のやり取りを禁じていたからユダヤ人は金融業には自由につくことができた。
旧主派の人にとってはフリーメーソンはユダヤ人とい同じく近代主義の象徴であり、王政と教会にもとづく古き良き秩序に対する脅威であった。
ドイツではフリーメーソンはユダヤ人は入れなかった。
アメリカはフリーメーソンが作った国。
666は黙示録における獣の数字。日本の硬貨を全部足すと666円。
現代アメリカのプロテスタントは主流派(リベラル)と福音派(保守)。
投稿元:
レビューを見る
荒唐無稽な笑い話を読むという意味では書店でトンデモ本をパラパラと立ち読みするのは堪らなく知的好奇心を満足させるので楽しい。が、流石にその荒唐無稽な論理展開を眺めただけで、羞恥心が先に立ち購入はちょっとばかり躊躇われる。
トンデモ本の作者として名高いのは中丸薫、船井幸夫、ベンジャミン・フルフォードに加え最近はリチャード・コシミズなどが頑張っているようだ。そしてトンデモ本としての二大テーマは超常現象(例・アセンション)と陰謀論(例・ユダヤ人)で最近の人工地震なんかもこの第二のカテゴリーに分類されるものであろう。で、何度立ち読みしても未だに良く判らないのが中丸薫の著作で頻繁に出てくる「アセンション」なのだが(ウィキ等で調べると現在の三次元世界から五次元世界への移行らしい)、其れに変わり最近出てくるのが「イルミナティ」だ。次から次へと良く判らない言葉を発見するモノだと感心しきりだ。
本書はこうしたトンデモ本とりわけトンデモ陰謀論に出てくるユダヤ人、フリーメーソン、イルミナティに注目してトンデモ陰謀論の「誤解」「事実誤認」などを丁寧に論証している。例えば、ユダヤ人陰謀論者が常に引用する「プロトコール」文書は実はロシア秘密警察がでっち上げた秘密文書であると明らかにしている。(冒頭に簡単にトンデモ科学の人工地震発生装置等についても触れているが
)
確かに個人的にもトンデモという認識はあってもそれの何処が事実と異なるのかを知識として持っていることは余り無いので、その意味でも本書は非常に有益であると言える。著者は宗教学者というのだが、良くぞ世に蔓延する多数の(詰まらない)トンデモ本を沢山読んでひとつひとつ丁寧に反論を積み上げたものだと、それだけを取り上げても本当に感心する。
と、云うことでようやくこの本を読んで理解しましたよ、中丸薫の「イルミナティ」。イルミナティは実在した組織で1770年代にバイエルン地方で発足した秘密結社のことだったのだ。おお、中丸たちのでっちあげではなかったのか!と思ったらまあ実在したことだけは確かだが、当然ながらユダヤとも陰謀とも全く関係のない組織とのこと。いやあ、スッキリした。
投稿元:
レビューを見る
世の中は不思議なこと・不可解なことで溢れている。どんなことでも
解決出来る便利なフレーズがある。それは「○○の陰謀だ」なのだ。
これさえ使えばすべての説明が出来てしまうのだ。素晴らしいでは
ないかっ!陰謀史観って。
偶然の連鎖だって陰謀論者にかかれば必然になり、単なる意匠も
陰謀の印になっちゃうのだ。
そんな陰謀論者の三位一体(?)が本書の副題にもなっている
ユダヤ、フリーメイソン、イルミナティなのである。三者が混然
一体となって世界征服を目指してるのだっ!
そして私たち一般庶民は知らず知らず陰謀を企んでいる者たちに
洗脳され、操られているのだっ!なんと怖ろしいことか。
こんな陰謀論はまったく信じていないので、本書のように陰謀論に
反論する書は面白い。突き詰めていくと陰謀史観はご都合主義の
都市伝説となんら変わらないのだよね。
陰謀論はどのように生まれ、発達するのか。分かり易く解説している。
9.11アメリカ同時多発テロの時も様々な陰謀論が展開された。
東日本大震災の時だって「人工地震だっ!」なんて話が流れた。
どうしてこういうのを信じる人たちが出て来るかねぇ。ちょっと考え
れば分かるはずなのに。
陰謀史観・陰謀論は単純に楽しむだけでいい。エスカレートすると
オウム真理教のようになってまうから。
あ…もしかして、本書のように「陰謀論なんて存在しない」と記すこ
とで安心させることが陰謀なのかもしれない。爆。
投稿元:
レビューを見る
陰謀論の面白さはネタ其々の真偽ではなく、それらに(あの人が)どういう態度をとるか…にある。あ、こういう思考をする人なのね、と。悪趣味ですかね(笑)。叙述がクドイが、陰謀論の基本を概観するに良い本。
投稿元:
レビューを見る
「シオン賢者のプロトコル」
「『タルムード』には、ユダヤ人だけが人間で異教徒は獣である、ユダヤ人は異教徒に対しては騙しても殺してもよいと書かれてある。非ユダヤ人はゴイ(Goy)、複数形でゴイム(Goyyim)と呼ばれ、これは『家畜』という意味である。そう彼らは主張する。
実際には『タルムード』にそのような記述はない。逆に、(中略)相手が偶像崇拝の異教徒であっても他人を騙してはいけないと述べられている。また、ゴイとはヘブライ語で『国民』を意味する単語であり、陰謀論者たちが主張するような意味はない」
「イスラエルは世界中のユダヤ人すべてに移住と国籍取得の権利を認めている。移住条件を規定している国籍法によれば、ユダヤ人とは『ユダヤ人の母から生まれ、あるいはユダヤ教徒に改宗した者』である」
「例えば、ロックフェラー一族はユダヤ教徒ではなくプロテスタントであるし、わかっている範囲ではユダヤ系ですらない。しかし、陰謀論の世界ではたいてい、ロックフェラーはユダヤ系ということになっている」
「陰謀論は確かに物事に対する疑いを出発点としているが、その論理は健全な疑いとは正反対のところにある。陰謀論には自らに対する疑いがない。」
投稿元:
レビューを見る
代表的な陰謀論と、陰謀論が産まれる背景や理論的な根拠と、その向き合い方について考える。
ざっくりまとめてしまうと、まぁ、世の中いろんな人がいるのね、いろんな見方があるのね、を再確認してきましょうって話かな。
投稿元:
レビューを見る
世界にあふれる陰謀論の紹介と仕組みを解説している。ユダヤ、フリーメーソン、イルミナティ…。いろいろな陰謀が語られている。分かりにくい世界を分かりやすい虚構に置き換えているとの指摘には納得。
投稿元:
レビューを見る
「信じるか信じないかはあなた次第」というフレーズに代表されるように,陰謀論は,それを信じない者にとってはばかばかしく,それを信じる者にとってはリアリティがある.3.11の「人工地震説」にしてもネットで書き込まれた内容が流布していき,一部の人々に信じ込まれている.いったん陰謀論の世界観にはまってしまうと,そのすべてが都合よく解釈され,被害妄想に陥ってしまうという怖さがある.典型なのはオウム真理教の陰謀論だ.このような陰謀論にはテンプレがあり,そこには私たちの心理を巧妙に突いた理屈があることを知っておけば,陰謀論に陥らずに済むかもしれない.
投稿元:
レビューを見る
脳が情報を改変することは明らかになってきているが、それらの積み重ねがこういった陰謀論信仰につながるのだろう。
各論はやや退屈だが総論はうまく文章化出来ていて、自分の中で感じていながら言語化しにくかったモヤモヤがすっきりする。
せっかくのネット、ゴミ情報も多いが一次情報にも辿り着きやすくなった現代の状況を活用しない手は無いだろう。
投稿元:
レビューを見る
ユダヤ、フリーメーソン、イルミナティーの実態には、関心、予備知識が無かったのと、正月休みの酒漬け頭脳には、内容をよく理解することはできなかった。
陰謀論は、論というよりも妄想に近いように思えるが、マジックや詐欺と同じように、結局人は信じたいものを信じてしまう。イソップ寓話”すっぱい葡萄”にも通ずる。
投稿元:
レビューを見る
世界に蔓延る陰謀論の構図を歴史、言説双方から分析した新書。原発もTPPも陰謀論に満ち溢れている昨今、人間が陥りやすい魔力を理解する上で重要だし、類書がないのできわめて有意義。
投稿元:
レビューを見る
記述に重複が多く、また、自分の読解力がないせいか、今ひとつ内容が頭の中にスッキリ入ってこなかった。
キリスト教の素養がない日本人には、陰謀論の根源にあるものは理解しにくのかな。面白がっている分にはいいがけど、真面目に信じるととんでもないことになる。
まぁ、その過程なり背景を解き明かしてるのが本書なんだろうけど。
投稿元:
レビューを見る
陰謀論の歴史・陰謀論に陥る心理についてとてもよくまとまっている。反近代主義から陰謀論が芽生えたこと,保守主義との親和性が強く,個人主義・社会主義・国際主義といったリベラルな価値観に抵抗してきたこと,歴史を経て陰謀の主体は曖昧になる反面,その内容は新世界秩序を目指す長期・地球規模の壮大な陰謀へと進化したこと。陰謀論者は全能感,孤立感,使命感に酔っており,自説を放棄させるのはほとんど不可能であること。そして,陰謀論者はただ妄想の世界に閉じこもっているのではなく,現実の世界に影響を与えてきたし,これからもそうであろうこと。こうして見てくると,陰謀論から社会を守っていくのは,決して簡単なことではないように思う。根気よく否定していくしかないんだろう。それでも日本はまだましな方で,アメリカの状況はかなり根深いものがあるようだ。