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読割 50
紙の本
きみは誤解している (小学館文庫)
著者 佐藤 正午 (著)
「ねえ聞いてるの?自分のことを僕って呼ぶ人間がギャンブラーになんかなれるわけないって、あたしは言ったのよ」婚約者がたしなめる青年の、唯一の趣味は競輪。死期が近い父親の当た...
きみは誤解している (小学館文庫)
きみは誤解している
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商品説明
「ねえ聞いてるの?自分のことを僕って呼ぶ人間がギャンブラーになんかなれるわけないって、あたしは言ったのよ」婚約者がたしなめる青年の、唯一の趣味は競輪。死期が近い父親の当たり車券を元手に、彼が大口勝負に挑もうとする表題作。競輪で儲けた金で十三年間暮らす独りぼっちの男が告白する「この退屈な人生」、八年前のある出来事をきっかけに車券を買わなくなった男が会社の金を持ち出したという兄を追って競輪場へと向かう「人間の屑」など六篇収録。出会いと別れ、切ない人生に輝く一瞬と普遍的な人間心理を、競輪場を舞台に透明感あふれる文章で綴った作品集。【「BOOK」データベースの商品解説】
出会いと別れ、切ない人生に輝く一瞬と普遍的な人間心理を、競輪場を舞台に透明感溢れる文章で綴った作品集。死期が近い父親の当たり車券を元手に大口勝負に挑もうとする青年を描く表題作を含む全6編を収録。〔集英社文庫 2003年刊に新装版解説を加え再編集〕【「TRC MARC」の商品解説】
競輪場を舞台に綴る切ない6つの人間ドラマ
「ねえ聞いてるの? 自分のことを僕って呼ぶ人間がギャンブラーになんかなれるわけないって、あたしは言ったのよ」とマリは婚約者の青年をたしなめる。JRの勤勉な駅員として働く彼の、唯一の趣味は競輪。そんな彼が、死期の近づく父の残した当たり車券を元手に大口勝負を挑もうとする表題作。信用組合に勤める女が、車券の一点勝負にギャンブルの真髄を見い出したきっかけを語る「遠くへ」。十三年間定職に就かず、競輪場で儲けた金だけで生活している独りぼっちの男が、中学時代の同級生と再会したときの顛末を告白する「この退屈な人生」。ある夜明けのくしゃみと三万円分のはずれ車券のせいで、夫婦のあいだに波風が立ちはじめた鮨職人の「女房はくれてやる」。賭けに負けたことがない女子高生が、姉の婚約者の応援に駆り出されたのを機にこっそり通い出した競輪場で淡い恋心を抱く「うんと言ってくれ」。同棲相手の会社の金を持ち出したという兄を追って、八年前のある出来事から車券を買わなくなった競輪ファンの弟が佐世保競輪場へ向かう「人間の屑」。全六篇収録。競輪場を舞台に繰り広げられる切ない人生が放つ一瞬の輝きを、透明感あふれる文章で綴った珠玉の作品集。
【編集担当からのおすすめ情報】
競輪を題材にした作品集ですが、この競技に詳しくなくても6つの物語をじゅうぶんに愉しんでいただけます。登場人物たちの普遍的な人間心理・複雑な葛藤などに、佐藤正午さんだからこそ描ける短編の切れ味と余韻も相まって、ギャンブルに縁遠い方にもぜひ読んでいただきたい傑作です。
【商品解説】
収録作品一覧
きみは誤解している | 5−46 | |
---|---|---|
遠くへ | 47−87 | |
この退屈な人生 | 89−130 |
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紙の本
競輪をテーマに人間を描く佐藤正午の「きみは誤解している」。
2012/04/04 10:29
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫化されたのですぐに読んだ。と思ったら、これ何と2度目の文庫
化だ。単行本は2000年に岩波書店から発売され、03年に集英社文庫に。
僕が読んだのはこの3月に出た小学館文庫のものだ。
「きみは誤解している」は6つの作品を収めた短編集だ。すべて競輪
をテーマにした話である。登場するのは、競輪がなかなかやめられない
男とそのことでギクシャクしている恋人、堅いと自分で信じているレー
スしか買わない信金勤めの女、子供の頃からひとりぼっちで今も働かず
競輪だけで食っている男などなど。一人一人が人間くさくてグイグイと
話にひきこまれていく。
さて、この本、競輪ファンやギャンブル好きしか楽しめないかという
とそんなことはまったくない。なぜなら、これはギャンブル小説ではな
くて、ギャンブラー小説だからだ。競輪選手を主役にした話はひとつも
ないし、選手がレースのアヤを語ったりもしない。ここで描かれている
のはあくまで「人間」。佐藤正午の他の小説がそうであるように、人と
人が出会ったり別れたりする中で、何かが変わったり、変わらなかった
り。何かを得たり、失ったり。運命にもてあそばれる人々のおかしみや
その変遷、人間心理の妙等々、ストーリーを通してじわじわっと心に迫
って来るものがある。これこそが佐藤正午の小説を読む醍醐味なのだと
思う。ある出来事をきっかけに車券を買わなくなった男が会社の金を持
ち逃げした兄を追い競輪場へと向かうラストの一編「人間の屑」が何と
いっても秀逸だ。