紙の本
さわやかな読後感
2018/03/18 08:04
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
負の感情を持つ人に取り憑くアメーバのような生物の粘菌との戦いという一風変わったお話。愛媛県のとある中学が舞台で、田舎での暮らしの様子が目に浮かびます。教師、生徒や東京で母親の看護をしている人など、合計5人程の視点で描いたストーリーが交互に展開され、どう関係するのかと読み進めると、これらが終盤に向けて見事に収束。最後は生徒たちの友情などに感動できるストーリーで、さわやかな読後感が得られました^_^
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文句なしに面白かった!
平家落人の伝説が残る四国の集落。
過去にそこで起きた残忍な事件。現代とどう繋がるのか。
オカルト、伝奇要素が満載で、特に校歌に残された謎を探すシーンは本当に堪らなくウハウハしながら読み進めました。
まとめ方がとても上手く、最後に色々な事が繋がっていき思わずため息が漏れました。
久々に面白い伝奇小説が読めました。満足満足!
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まず、民俗的・伝奇的な要素が前面に押し出された舞台設定が私の好みで、最初から嬉しくなる。
これは「パラサイト・イヴ」(瀬名秀明 著)や「天使の囀り」(貴志祐介 著)などのように、創作された科学的根拠に裏打ちされたSFミステリー、あるいはホラーなのかな…と思いながらページを繰っていったが、どうやらそこまで厳然と定めているわけではないようで、さらには過疎地の農村移住につきまとう諸問題、愛に飢えたティーンエイジャーの苦悩、老親の看取りを巡る家族の軋轢、挫折を味わったスポーツエリートの再生に至る道筋…等々、現代の日本社会が抱える様々な歪みや課題までがてんこ盛りに詰め込まれているではないか。
それが確かな技術と筆力のおかげで、特にとっ散らかっている感もなく、スムーズに読み進められた。
人が触れられたくない恥部というか、記憶の底に封印してしまいたい瑕疵のようなものにこうもズバズバ斬り込まれると、もう拒否ではなく感心するしかない。
肝心要の粘菌にまつわるくだりは、やや説明が硬く回りくどいきらいがあるので少しもったいなく感じ、付け足しのようなエピローグもいかにも凡庸な印象で、そこは残念だった。
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ジャングル奥地を開拓することで、人類と未知の生物が遭遇し世界に疫病が大流行、致死率が極めて高いウイルス性の病原菌のはなしならば定番である。本書は少し趣向が違い、四国山中の村落で起こる奇怪な出来事の謎がじつは・・・謎解明の面白さは、最後まで読むものを飽きさせない。
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平家の落ち武者の伝説が残る四国の山村でおこる事件。
都会から家の事情で祖母のもとにやってきた少女に、中学の教師、そしてIターンでやってきたものの地域になじめない男と、三者の抑圧された気持ちが、まぁ怖いんですわ。
でも、じわじわっとくる怖さはあるものの、だからどうよとつっこみをいれたくなる感じ。
ま、基本空気読めないオヤジは大嫌いなので、なんかそういうところがシンパシーの邪魔をしてるかもね。
と、オチがね。
まぁ、いいんだけど。ちょっと、技ありとみせかけてあざといかな。
なんか、残念。
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過疎化の進む四国山間の集落、そこにまつわる平家の落人伝説、過去に起った凄惨な殺人事件、深い森に潜む“もの”、さらには南方熊楠の名まで登場する。ガジェットを見る限りではいかにもジャパネスク・ホラー的な要素が詰め込んできた感じだが、それらを過不足なく扱いつつ、謎解きの要素も無理なく絡ませて一気に読ませる。
詳しくはこちらに。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2012-06-17
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これは、スゴイ(^ ^;
オカルトであり、ホラーであり、伝奇物であり、
基本的には「絵空事」なのは100%承知しておりますが。
それでも、「絵空事部分」以外の描写がリアルで、
もしやあり得るかも、と思わされてしまう(^ ^;
登場人物が、みな良い(^ ^
会社勤めに嫌気がさして、田舎暮らしを始めた男やら、
大きな挫折を抱えて仕方なく中学教師をやってる男やら、
親との確執から祖母と暮らす金髪の女子中学生やら。
田舎の人も、中学生から偏屈な爺さんまで、
皆それぞれに「実にいそうな」キャラクターで(^ ^
性格も人間関係・力関係も実にありそうで、
これがまた物語にリアリティを与えている。
主要な登場人物それぞれの視点で話が進み、
中盤に差し掛かるとストーリーが絡み始め、
終盤次々にパズルのピースがはまるように
全ての伏線がカチッと収まって一本の線になる様は、
もはや小気味よいほど(^ ^
ともすれば「ご都合主義」と取られかねないような、
え、そう来たか的な展開もあるのですが、
そこに至るまでの丁寧でリアルな描写と、
事前に釘を刺すような「全てに意味がある」的な台詞で、
偶然が必然に転換されてしまう。
むしろ「なるほど、だからこそ、か」と思う展開(^ ^
例によって細かいことを書くわけにはいきませんが...
本当に最初から最後まで「隙がない」印象(^ ^
不気味なシーンでは鳥肌が立ち、
時にホロリとさせられるシーンもあり、
一冊で二度も三度もおいしい佳作(^ ^
映像化したらとても魅力的になりそうな作品です(^ ^
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複数の独立したストーリーが上手く交錯し、まとめあげられている。
読み進めるうちにスムーズに先が見えてきてスピード感をもって読める。
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四国の小さな集落に赴任した若い体育教師、東京から転校してきて祖母の家に暮らす女子中学生、田舎暮らしを夢見て移住した定年後の夫婦、それぞれが語り手となって話は進んでいく。
体育教師は本当は教師になりたくなかったとか向いていないのではないかなどの悩みを持ち、女子中学生は5人の同級生たちと馴染もうとしない、移住夫婦の妻は集落に溶け込んでいるが夫は距離を置かれている、という状況のなかで、元々は平家の落人の里だったとか、その昔陰惨な殺人事件があったとか、初代の校長が突然人を殺したとかいろんな話が絡んで、さらに山の森から得体の知れない何かが姿を現し始める。
半分ぐらいで読むのが苦痛になって最後まで読めなかった。なのでなにが起こってどんなエンディングなのかわからない。とにかく全然おもしろくない。
大きな事件への伏線なのだと思うが、要素がありすぎるのと散らされているので、話が入ってこない。
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早期退職して田舎で農業をしながら穏やかに暮らそうとしてるけど、閉鎖的な人間関係になじめない男をはじめ、はぐれ者たちが因習の残る村でなにか得体の知れない感覚に襲われる。ジャンルとしてはホラーなのかファンタジーなのか。うまく作られているなぁ。
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タイトル・表紙・あらすじに惹かれて購入したものの、本棚で「積読」になっていたのを思い出し読み始める。
舞台は自然に囲まれた集落の寄り集まった村。
そんな環境に馴染めずにいる思春期の少女・自分に自身の持てない青年・理想を追い求めて移住してきた壮年の3人が主軸になって話が進んでいく。
他の登場人物にもちゃんと役割が振られており、それぞれが過不足無く動いていく。
一見どのような役割を持っているのか分からない登場人物も、以外な関わりを持っている(いささかご都合主義のような気もするが)。
事件の「犯人」は早い段階で見当がつくが、それがどのような形で関わっていくのかが面白い。
ラストシーンは「きっと、こうなるんだろう」と予想していた通りだったが、それも含めて満足の1冊だった。
少女が語る「これは私の目印だから」の言葉が印象深い。
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たまたま見かけたホラー作品。ちょっとフリが長かったけど展開は良かった。映画化しやすそう。アイドル主演で。
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山間の町で繰り返される陰惨な事件と不気味な森、謎の生物との戦いというB級ホラー。謎の生物の動機や生体にはかなり無理があるが、ハラハラ巻はあるし、子どもたちの頼もしさや、新人教師の頑張りはよかった。
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「愚者の毒」と同じ作者だったので。
怖かった。
どこにも書いていなかったが、
人ならずものが好むのは人の心の闇だと思い、
それぞれ闇を抱える登場人物の誰が餌食になってしまうのだろうかと、
怖かった。
ホラーは好きではない。
カバーによるとダークファンタジーというらしいが、
昔の人殺しの話とつながる気味の悪い粘菌の話だとわかっていたら読まなかったと思う。
しかし、面白かった。
次々とピースがはまっていくジグソーパズルのように、
様々な話がつながっていく。
ただし、そのピースは普通のジグソーパズルとは違って、
大きさも形も一定ではない。
大きくて何が描かれているのかが判るピースは当然真ん中に置くとして、
描かれていることはわかるけど、
全体の絵の中のどこに入るのかさっぱりわからないピースもある。
脇にまとめて置いておく。
そして、ピースとは思わず見過ごしてしまう小さいピースもある。
しかも、小さいピースが後で重大なかけらとなる。
最後のピースをはめたときに見えるのは、
ただの謎解きではなく、人の心の美しさであり、醜さであり、強さであり、弱さ。
この作品はミステリー、美しいミステリーだと思う。
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“死んでも残る念”の恐ろしさは感じるけれど、粘菌に馴染みがないので圧倒的な恐怖は今ひとつ。狭い集団の人付き合いの方がよっぽど…。画像検索もしたけど、粘菌躍動の力の入った描写やクライマックスがどうしても想像しにくかった。
そんな苦戦の反面、結集した杏奈の同級生たちの活躍と杏奈を最終的に救った決め手がストレートに胸を打つ。
次々と見事に回収されていく伏線にもゾクゾクさせられっぱなし。別々の点だった場所と人が一つの線になった瞬間、驚きと興奮の高ぶりが背筋を一気に駆け上がってきた。思わぬ満足感に遭遇。