紙の本
「学ぶとは真似ぶなり」とは、個人でも会社でも同じこと。模倣するための作法とは?
2012/04/04 15:49
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、すぐれた会社はすぐれた模倣を行っていることについて書かれた一般向けの経営書である。クロネコヤマト、スターバックスとドトールコーヒー、J&J(ジョンソン&ジョンソン)、グラミン銀行などの具体的な事例をつかいながら、すぐれた会社が、何をどう模倣しているのか、あるいは反面教師として経営戦略をつくりあげたかを分析したものだ。
模倣というと上品な響きだが、英語でいえばイミテーション、本質的には真似(まね)と同じである。日本語では「学(まな)ぶとは真似(まね)ぶなり」という表現があるように、「模倣すなわち学習」のことである。子どもが大人を真似るように、何事もお手本となるモデルがなければ、独自性も創造性もあったものではない。いや、真似して自分のあったものを取捨選択して身につけることじたいが、じつはきわめてクリエイティブな行為なのだ。
模倣は基本的には個人レベルで行われるものであるが、会社レベルでも行われる。もちろん、会社を動かしているのは経営者や個々の従業員である以上、模倣のプロセスはそれほど簡単ではない。本書で行われているのは、基本的には経営戦略をつくって実行させる立場にある経営者レベルのものだ。著者は、本書において、経営者がみずから書いた本を材料にして事例分析を行っている。
本書は経営書ではあるが、経営者が書いたビジネス書などを読む際のガイドにもなっている。経営者が書いた回想録や経営書を読むことじたい、じつはビジネスパーソンにとっては、ある種のすぐれた模倣となるべきなのである。読者は、自分に必要なもの本から読み取って模倣するための手引としても活用すべきだろう。
マネジメント専門書を読むのはハードルが高いと、ためらっている若手ビジネスパーソンはぜひ手にとって通読してみるといいと思う。
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■模倣
1.模倣の方法は4つある。他社のビジネスモデルを真似る「単純模倣」、同業他社を悪い見本と見る「反面教師」、社内の既存ビジネスの模倣を考える「横展開」、事故の失敗と向き合い自信を反面教師とする「自己否定」
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本書のいう模倣とは、サルまねではなく、他社からの学びである。たとえば、トヨタのJITは、スーパーマーケットの販売方式を参考にしたものだそうである。つまり、ある業界の優れた方法をいったんモデル化もしくは抽象化して、自分の対象エリアに落とし込むという、超高度なプラクティスである。これが、できればいいんだけど・・・。最近、サル真似すらできなくなってきている気がする。
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★ヤマト運輸、スターバックス、ドトール、グラミン銀行、ジョンソン&ジョンソン、公文などのケーススタディが学べる。
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これまで、模倣が創造性をを生むことへの指摘はあったが、本書は創造性が生まれるロジックまで立ち入り、模倣からイノベーションを起こすための作法と心得について深く考えていく。
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「模倣は知的な行為であり、そこから独自性や創造性が生まれる」というのは全くもって賛成。ただ、どこかで聞いたことがあるような内容が続く。いろいろな文献を引用しているが、著者による一次調査がどれくらいあるか不明。この本自体は模倣(というか寄せ集め)から創造にまで昇華されていないと思う。
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事例が豊富なので事例好きには面白いのかも。タイトルが模倣の経営学なので、模倣を分類してもう少し法則的なものを議論するのかと思っていたが、精神論みたいなものが多過ぎかな。精神論であれば学者よりも成功した経営者が語った方が納得感がある。
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競争戦略としての「模倣」の必要性について書かれた本。
社内と社外、成功と失敗とでマトリクスを作り、
それぞれの方向性について論理的に書かれており、
内容、著者の言わんとするとことは大変理解はしやすい。
しかし、事例として挙げられている企業が少なく、
その少ない事例から一般化しているが、汎用性にやや疑問を抱く。
どの企業も少なからずしているであろう模倣。
なかなか体系立てるのは難しいと感じた。
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書き味は易しめで、読み進め易い一冊。
内容は目新しいかは不明なものの、考え方としては凄く大事だと思えることがまとまっていた。
特に、「守破離」の考え方や、KUMON式のアドバイス(十秒以内且つ答えを教えず参考になるものだけを教える形により、自ら答えに辿り着かせる)は、自身の仕事上においても使えそうなので、その点はまさに、読んで良かったと思う。
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・業種を超えた共通性といのがイノベーションのきっかけになったりする。
・Position,Value,Activity,Resorce
*弊社の取材記事ものっているが、P-VARのValue部分がちょっと違う気もする。本来は、記載事項のその先の力を目指しているのでは?
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模倣のやり方にもいろいろあり、模範にするのか、反面教師にするのか、よく考えなければいけない。
第6章に「守破離モデリング」にあった、守破離という禅の考え方ベースに波及した学び方の作法・思想は常に頭に入れておきたいと思う。
守 → 師匠の教えを忠実に守る
破 → 次にあえてその教えを破る
離 → 最後に独自に発展させていく
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メッセージ性は強く、タイトル通りのテーマで事例を交えて説明されているので分かりやすいです。
だだ、取り上げられている事例は有名なものが多く、個人的にはKUMON以外は知っていたため残念だったため、この時点で☆3つ。
事例
・ヤマト運輸
・スターバックス
・ドトールコーヒー
・ジョンソン&ジョンソン
・KUMON
・任天堂
ほか数例
本書で掲げている模倣の手法は、さまざまなシーンで当てはまり、道具として馴染ませ、活用させるかが胆になると思います。こればかりは自身の実践でしか身に付かず、その背中を押すメッセージ性の強さで☆1つ追加です。
少し厳しい見方をすると、前述の通り、既知の情報が多く、出来る学生の論文という印象を受けたため、自作ではより独自の調査に基づく事例紹介が読めることに期待します。
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早稲田大学社会人MBAの教授だけあって、大変面白い経営分析の本です。こういった本を教科書にしてMBAで議論したら本当に面白いと思います。
すべて私のアイデアですといえる経営者はいませんものね。
温故知新とはよくいったもので、他社のいいところを取り入れてよくしていく手法は昔からの常等です。VAR分析で自社を分析しながらの取り組みは、会社の幹部研修で使ってみようと思います。
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模倣は独創の母である(小林秀雄)。
ウォールマートのサムウォルトンは「私がやったことの大半は他人の真似である」と述べている。
メタファーとは、隠喩のこと=別の世界に持っていくこと。
なぞかけで、新しい発想を生み出す。
ヤマトの宅急便は、吉野家の牛丼一筋から取り扱い荷物の絞り込み(利益率が高いものだけを扱う)を、ジャルパックから商品化をまねた。
トヨタ生産システムは、アメリカのスーパーマーケットの仕組みから考えられた。=富山の薬売りや御用聞きの対極=必要なものしか運ばない。必要なものを取りに行く(届ける)。
セブンイレブンは、アメリカから商標とロイヤリティーを売上高ではなく粗利益に対する比率で決めること、コンビニエンスストアの概念、の3つだけを取り入れて、日本的に換骨奪胎した。
フランチャイズは、ノウハウを学んだ加盟店が大量に脱退する可能性がある。セブンイレブンは、本部とつながった情報システムを作り上げて適切な品揃えを構築し本部への求心力を維持した。
GMはトヨタ生産システムをリーン生産方式としてまねようとしたが同じレベルには到達しなかった。
競争戦略は、いかにして戦わないか、を考え抜くこと。=差別化=製品サービスの差別化と事業の仕組みの差別化、がある。
UCCの事例=コーヒーといえばUCC。製品の差別化。しかし売上はコカ・コーラが勝っていた=自動販売機の数による。=インストールドベース。
キャノンの消耗品から収益を上げるビジネスモデルもインストールドベースによるもの。
遠い世界に優れたお手本を見出す。台湾の半導体ビジネスは、インドの露天商の高速な資本回転を見習ったもの。
楽天市場はストック型のビジネスモデル、キーエンスは同じような部品を使いまわしながらカスタマイズするマスカスタマイズ型。
実務では、ビジネスモデルは収益の上げ方、課金などお金の流れとしてとらえられる。学術的には収益の源泉の原理的な説明を含む。単純化して見えてきた共通点=業界を超えて参照できる。
単純にまねる=LCCのサウスウエスト航空はヨーロッパのライアンエア、アジアのエアアジアに移植された。
状況に合わせて作り変える=セブンイレブン、ドトールコーヒーなど。
新しい発想を得る=トヨタがスーパーマーケットから、ヤマトが吉野家とジャルパックから、半導体がインドの露天商から。
反面教師として模倣する=グラミン銀行。銀行マンとして実務に精通していないからできた。
横展開=ジョンソン&ジョンソンの使い捨てコンタクトレンズのアキュビュー。精度を落として大量生産した。社内モデルであっても、外部の優れた企業のモデルだと言えば他の部署にも広がりやすい。
自己否定=オークランドアスレチックス。出塁率をもとに統計データをとって選手を集めた。高卒の将来性には過大な評価をしない。学習棄却=過去の学習や常識を捨てて無垢な状態から学ぶことが必要。
社外の成功=単純模倣、
社外の失敗=反面教師
社内の成功=横展開
社内の失敗=自己否定
代理学習の効果=ニュートン、ニトリ��ど
成功より失敗から多く学べる。
成功教師と反面教師がそろうことが望ましい=弁証法と同じ。二つの反した命題を掲げてより高い次元でその違いを融合する。グラミン銀行の例。
ポジションを価値、活動、経営資源がささえる形=P-VAR。
何をどのように倣うのかは人それぞれ。独自の視点で咀嚼する。
ヨーロッパのカフェを模倣して、スターバックスとドトールができた。
スターバックスは優れたコーヒー豆の焙煎業者で、それをこだわりの体験として売り出す仕組み。シュルツは、カフェを立ち上げたのち、古巣のスターバックスを買収した。顧客との結びつきを失わないため、フランチャイズにはしない。
ドトールは、まず低価格を決めた。150円。一等地に出店する、スタッフの労働負担を少なくして笑顔で接客できるようセルフサービスのお店にした。
模倣というのは、とても不可がかかる作業だが、その過程で能力が高まる。これが成功のカギ。
模倣できそうでできないビジネス=KUMON。当初KUMONから分派した団体がいくつかあった。ちょうどの学習と自学自習。女性指導者。教えない学習。指導者たちによる自主研究会。教材が共通言語になっている。子供が分かる前に教えるのはNG。一斉教育では身につかない。
劇的な再逆転=
スイスの時計はクォーツ化で打撃を受けた。そこで逆転の発想でファッション性とブランド製を打ち出した。正確さがコモディティ化したため、機械式が希少になる。
大型オートバイは、男の乗り物だった。そこへホンダがシティーコミューターとしてのスクーターで席巻した。そこでハーレーは、逆転の発想で、モノとしてではなくハーレーのある生活を売る。
任天堂のファミコン。アタリ社がハードとソフトを分離。ハードの仕様をオープンにして多種多様なソフトを市場に投入させた。しかしソフトのレベルが低下。任天堂は仕組みは継承しつつ、ソフトの品質維持を第一に考えてクローズドな体制にした。生産量もコントロール。部分逆転の発想。
ゼロックスのコピー機。それまではジアゾ式こコピーは、消耗品で儲ける仕組み。ゼロックスのコピー機は高い。そこでリースにして、枚数に課金した。サービスとサプライから収益を上げる直営販売方式=新しい収益モデル。
キャノンのコピー機(ミニコピア、ファミリーコピア)。ゼロックスとは逆の発想。中小企業や個人。ドラムをトナーと一体のカセットカートリッジにした。壊れる前に交換する。メンテナンスが普通の人でできる。サービスマンはいらない。
先行企業を単純にまねる。迅速であれば技術開発や市場開拓のリスクやコストを抑えつつ売上をあげられる。先行者が利益を独占する前に参入する。
後発優位戦略。ソフトドリンクのコカ・コーラ。随一の自動販売機網によって後から参入しても高いシェアを得ることができる。パナソニックはパナショップで。マネシタ電気と呼ばれた。マイクロソフトはウインドウズで。
同質化戦略。=負けないための模倣。とりあえず類似商品を出す。相対的にポジションを落とさないために。
イノベーションのための模倣。新しい商品にあった仕組を作り出す。遠い世界のお手本か近い世界の反面教師。
創造の基本は模倣であり、天才でも起業はできる。
ユニクロの発想はたくさんの人が考えたが実行したのはユニクロだけ。
1990年以降、廃業率が開業率を上回る。
逃げ切りの世代はリスクを冒したがらない=新しい芽をつぶす。
経営学の教科書よりも経営を成し遂げた本人の本を読む=『トヨタ生産方式』『小倉正雄経営学』『勝つか死ぬかの創業記』『スターバックス成功物が立ち』『ムハマドユヌス自伝』。
他者が書いた本『セブンイレブン創業の軌跡』『寺子屋グローバリゼーション』『マネーボール』『破天荒』
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競争戦略の本質=いかにして戦わないようにするか
そのための手段:差別化。
→単なる差別化ではだめ。製品・サービスの差別化ではなく、事業の仕組み全体の差別化で。
本質を模倣せよ。
同業・異業からの、模範教師、反面教師として模倣する。
具体的方法:
1現状分析
2参照モデルの選択
3青写真を描く
4現状とのギャップを分析
5変革を実行。
*本書の公文研究会に関する記述はとても興味深い。