- カテゴリ:一般
- 発売日:2012/02/08
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:20cm/253p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-640210-6
紙の本
精選女性随筆集 1 幸田文
近現代の輝かしい女性作家の随筆を精選した本格的アンソロジー。1は、折々の身辺雑記や動植物への親しみなどを綴った、稀代の名文家・幸田文の随筆作品を収録する。【「TRC MA...
精選女性随筆集 1 幸田文
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商品説明
近現代の輝かしい女性作家の随筆を精選した本格的アンソロジー。1は、折々の身辺雑記や動植物への親しみなどを綴った、稀代の名文家・幸田文の随筆作品を収録する。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
ぶっ飛んだかっこよさ | 川上弘美 著 | 7−9 |
---|---|---|
【ソッ】啄 | 12−19 | |
金魚 | 20−23 |
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2012/03/27 08:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文藝春秋が2012年の目玉として刊行を始めた「精選女性随筆集」全十二巻の第一巻が本書である。
女性の書き手の随筆を、川上弘美と小池真理子という、現代を代表する二人の女性作家がそれぞれの書き手の作品から選び出して編んだというのが、本シリーズの特長である。
最近でこそ「女流」という呼び名はされなくなったが、かつて文壇の世界でも男性が主流であり、女性作家たちは「女流」という冠をつけて、区分けされていた。そんな時代に、このシリーズで取り上げられた女性作家たちはまさに孤軍奮闘しつつ、女性ならではの細やかな視点、大胆な意見をもって活躍した。
その第一巻めが、川上弘美選による「幸田文」というのがうれしい。
幸田文はいうまでもなく明治の文豪幸田露伴の娘である。
そのデビューはけっして早くはない。父親の死を境にして、それは幸田文が43歳の時であるが、文壇に華々しく登場する。
本書にも父親である露伴との思い出を綴った作品が数篇収められているが、生母の早すぎる死、継母との関係など複雑な家庭環境の中で彼女は生涯の教育を父親露伴から学ぶことになる。
幸田文の文章の特長ともいえる生活の智恵が、実は明治の男から受け継いだものというのがいい。
そのようにしてデビューした幸田文だが、次第に彼女特有の文章を綴るようになる。
それはしっかりした視線である。
幸田文の随筆をこうして一息に読むと、彼女の観察眼の鋭さ、そしてそれを丁寧に描いていく力に恐れ入る。幸田文の文章こそ、若い人たち、それも中学生ぐらいの人たちに読んでもらいたい。できればそれを書き写して欲しいぐらいだ。
本書に収録されている「杉」という作品の中で、幸田文はこんな文章を書きとめている。
「からだが疲れていれば、心も疲れ、心が疲れていれば、目も誤ってしまう」と。つまり、物を見ることは、心でしっかり見るということだろう。
そんな幸田文のことを、選者の川上弘美はこう評している。
「かっこよくて、面白くて、一筋縄ではゆかないけれどもごくほがらかな女のひと」、それはそのまま幸田文の文章にもいえる。