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- カテゴリ:一般
- 取扱開始日:2012/05/11
- 出版社: 筑摩書房
- サイズ:20cm/233p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-480-84723-2
- 国内送料無料
紙の本
ありえないことが現実になるとき 賢明な破局論にむけて
著者 ジャン=ピエール・デュピュイ (著),桑田 光平 (訳),本田 貴久 (訳)
「想定外」は、なぜ起こるのか? 「知っている」ことが見えなくなるのはなぜか? 合理主義や道徳哲学を超え、破局に向かい合うために必要な思考のプロトコルを説く。【「TRC M...
ありえないことが現実になるとき 賢明な破局論にむけて
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商品説明
「想定外」は、なぜ起こるのか? 「知っている」ことが見えなくなるのはなぜか? 合理主義や道徳哲学を超え、破局に向かい合うために必要な思考のプロトコルを説く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ジャン=ピエール・デュピュイ
- 略歴
- 〈ジャン=ピエール・デュピュイ〉1941年フランス生まれ。哲学者。理工科学校名誉教授。スタンフォード大学教授。フランス放射線防護原子力安全研究所倫理委員会委員長。著書に「チェルノブイリある科学哲学者の怒り」など。
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著者/著名人のレビュー
破局に出遭ったときに、人は言う...
ジュンク堂
破局に出遭ったときに、人は言う。
「こんなことになるなんて、思ってもみなかった!」と。そして同時に、「いずれこうなることは、分かっていた!」と。
真っ向から矛盾する二つの言葉を、「9.11」、世界的な経済破綻、「3.11」などに際して、ぼくたちは何度繰り返し聞いてきたことか…。
生起する前には可能態の領野に入って来ない破局を、予測することはできないのだ。同時に、破局は、起こってしまえば、それまで絶えず必然的なものであったことになる。
われわれの行く手には、環境破壊や核戦争といった、更に壊滅的な破局が、彼方に(或いは意外に近くに)立ちはだかっている。それでも、破局について、人は知っていても信じることが出来ない。
破局を告げる預言者がペテン師の汚名を免れるのは、実際に破局が起こったときである。しかし、それでは遅すぎる。
では一体どうすればよいのか?
結果としての未来の視点からわれわれの現在を眺めるときに生まれる倫理を、わがものとすること。実現しないだろう不可避の出来事に注意を傾ける時にのみ、この不可避の出来事が実際には起こらないような方法を見出すことができる、とデュピュイは言う。
紙の本
「想像しえないことにどう備えるか」の哲学。
2016/03/13 15:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
9.11、3.11と、21世紀の地上に起こった大きな出来事。「ありえない」「想定外」との言葉しか直後には発することができないような「こと」に私たちはどう向かって行ったらよいのか。本書は9.11のテロ事件のあとの考察として書かれたものであるが、邦訳出版は3.11の後。原著者も一文を寄せて関心の強さを示している。実際、フランスの放射線関係の研究所で倫理委員会委員長も務める哲学者の著者は2011.7月に福島も訪れている。
沢山の哲学者の思想を引用しながらの文章は、哲学と聞くだけでもひいてしまうものとしては難解な部分も多い。しかし「想定外」をなくすための努力をする、という発想では対処できない部分がある、すなわち「必ず想定外という部分が存在する」という認識を持ったうえで考えて行かなくてはならないという発想は理解できる。
引用されているハンナ・アレントの「力はあるところを越えると思いがけないプロセスを起動する」=行為と思考の溝が最大の脅威だ、という言葉は「おもいがけない」ことは歴史の中で幾度も繰り返されてきたことでもあることも思い出させてくれた。
「想定外」に遭遇した時にどう対処するか。それはあらかじめ準備できていないことに対してどれだけ柔軟に対応できるか、ということでもあるだろう。本書には問題提起以上のことは書かれていないように思えるが、問題の性質上仕方のない部分もあると思う。
ここから考える。「想像しえないこと」の遭遇するたびに、私たちはそれを繰り返さなければいけない。そういうことなのかもしれない。