読割 50
紙の本
悪霊 別巻 「スタヴローギンの告白」異稿 (光文社古典新訳文庫)
「スタヴローギンの告白」として知られる「悪霊」第2巻「チーホンのもとで」には3つの異稿が残されている。そのすべてを訳出し、近年のドストエフスキー研究の進化をふまえ、精密で...
悪霊 別巻 「スタヴローギンの告白」異稿 (光文社古典新訳文庫)
【期間限定価格】悪霊 別巻~「スタヴローギンの告白」異稿~
03/30まで通常935円
税込 468 円 4ptこのセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
「スタヴローギンの告白」として知られる「悪霊」第2巻「チーホンのもとで」には3つの異稿が残されている。そのすべてを訳出し、近年のドストエフスキー研究の進化をふまえ、精密で画期的な解説を加える。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
失われた「告白」 | 亀山郁夫 著 | 15−85 |
---|---|---|
『悪霊』第2部第9章−「チーホンのもとで」初校版 | 87−169 | |
『悪霊』第3部第1章−「チーホンのもとで」ドストエフスキー校版 | 171−255 |
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
ドストエフスキーの思考を追体験する
2012/03/12 10:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桑畑三十郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1871年1月より、家庭向けの雑誌「ロシア報知」に連載されていた「悪霊」。その第2部9章に予定されていた「スタヴローギンの告白」は、その少女凌辱というショッキングな内容から、社会的な影響と検閲に対する配慮により編集部の意向で、掲載差し止めになった。
本書では1906年に一部が発表され、1921年にふたつの異稿が発見されたこの「スタヴローギンの告白」を3つ載せている。この3つを読むことによって、我々はドストエフスキーの思考の過程を追体験できる。本書にあるようにこれを併せて読むことで二つの意味を理解できる。ひとつは「ロシア報知」の編集人の意に沿えるように改作することであり、ふたつめは作者自身による純粋に芸術的な見地からのブラッシュアップである。
ドストエフスキーが表現上どこにどんな言葉を入れ、または削るかを考え、悩んだあとを知ることができるのは物書きを目指すものにとって、この上のないぜいたくであり、第一級の資料である。
たとえば最後にチーホンがスタヴローギンに呼びかける場面。初校版では「あなたは、もう出口を求めるみたいに、新しい犯罪に身をなげだしてしまう。」が、ドストエフスキー校版では、「おまえは、もう出口を求めるみたいに、新しい犯罪に身をなげだしてしまう。」となっている。「あなた」を「おまえ」に変えるだけでずいぶん印象がちがってくる。
また、アンナ版だけに見られる、象牙の磔像を真っ二つに割る場面。ドストエフスキーがなぜこのエピソードを挿入したのか、想像するのもおもしろい。
ただ内容が重いだけに続けて3つを読むと、精神的にどっと疲れる。