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紙の本
1年後の3.11 被災地13のオフレコ話 コミック・エッセイ (SAKURA MOOK)
著者 ゆうみ えこ (著)
死体の指輪泥棒、人を撥ねて逃げる車、Vサインで記念撮影、無神経な報道カメラマン、震災ドロボー…。宮城在住のマンガ家が報道されなかった真実をコミックで明かす。【「TRC M...
1年後の3.11 被災地13のオフレコ話 コミック・エッセイ (SAKURA MOOK)
1年後の3.11 被災地のオフレコ話
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商品説明
死体の指輪泥棒、人を撥ねて逃げる車、Vサインで記念撮影、無神経な報道カメラマン、震災ドロボー…。宮城在住のマンガ家が報道されなかった真実をコミックで明かす。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
静かに、祈るように
2012/04/21 10:36
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:お月見 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者のゆうみ・えこさんは被災県に暮らしています。このマンガエッセイは、震災の一年後に刊行されました。
私も、作者と同じく被災県に暮らしています。新聞(河北新報)の書評欄でこの本のことを知り、購入しました。
震災関係の本をマンガも含めて数冊読みましたが、正直、言葉にできない違和感を感じていました。
誤解を恐れずにいうと、被災地から遠く離れた人が語られる事は、どうしても「どうせ、地元の人でもないのに」と思ってしまう。
テレビの番組で識者の方が「貴方はもう(被災地に)行かれましたか」と問い、問われた人が「ええ、私は震災○日後に、○○に行きました」と答える。○日後の数字が少なければいいのか。行った場所の被害がより酷いところならいいのかと、順位づけのようなものを感じてやるせなかった。実際、私の知人が遠方に住む家族に「そろそろ、そっち行っていい?一度は被災地も観ておかないとね」とまるで観光地のように言われたと嘆いていました。
著書のゆうみ・えこさんが謙虚に語られていた、避難所で出会った女性の言葉。彼女は津波で家をなくし、両親も亡くし、炊き出しのおにぎりを配る人にさえ、「どうせあんたは助かったんでしょ」と嫌悪感を感じてしまう。
私も、家族と数日間連絡がとれず、最悪の事態を予想し一時は絶望感にとらわれました。おかげさまで再会できたので、何もかも失った彼女からすれば、私が嫌悪する遠方の識者たちと同じ立ち位置です。
その女性が、久しぶりに口にしたトン汁を吐き出してしまい、反射的にもったいないと思ってしまう。それはわずかに残った生命力なのか。助かった人が恨めしい、ボランティアの人たちも、何もかもが恨めしくてたまらないのに、掛けられた言葉と、トン汁の温かさに気持ちを取り戻していく。
この本は、著書のサブタイトルにあるように、被災地のオフレコ話を語ったエッセイでもあり、実際、語られるテレビでは報道できないような犯罪は、残念だしやりきれない。だけど、この本の魅力は、にゃんこ達とのふれあいや、今は住める状態にない実家で育てていた植物への愛着など、普通の暮らしの延長の心やすらぐ描写にあると思います。
最後に、まるで関係ない話題かもしれませんが、大震災を経験して、一番意外だったこと。
人は、災害に遭うと、もっとパニックになると思っていた。実際、大震災を扱ったドラマのシーンでも、ビルから見下ろす通りのシーンでは、通行人がワーキャー言いながら走っていた。
震災直後、余震がおさまってきた30分後に勤務先から帰宅する途中。駅前の通りはたくさんの人であふれかえっていたけど。
皆、一様に静かだった。大勢の人が静かに立ち尽くして、携帯と、空を交互に見上げていた。
一年後、同じ商店街で、震災があった時間に追悼のために黙祷を行った。
偶然、家族と友人と駅前を歩いていたら、今から追悼のための黙祷を数分行いますとアナウンスが流れ、道行くたくさんの人々がその場で足を止め、お店の店員さんも店先に出て目をつぶり祈った。
休日で、家族連れも多かったけど、小さな子供まで静かに祈った。
黙祷が終わったあと、泣いている人も多かったけど、何事もなかったようにまた人ごみが動き出す瞬間、何人かの人が上を見上げていた。アーケード街で空なんか見えないけど、私も、見上げた。
やっぱり見上げてしまうもんなんだなあ。