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奇妙な味わいの短編集。ユーモアといってもブラック気味の、かといってダークになりきれない程度の、ちょっと離れたところから覗き見ニヤニヤされてる程度のユーモアでしたな。(『ユーモアミステリ』でほんわか・ほのぼの系を期待されると、この作品集はちと違う)
お気に入りは「エディプス・コンプレックスの変種」と「買い物」かな。ちょっとゾッとする「豚」と「ビリーとカッターとキャデラック」も良い。
この作品集、一作ごとに味わいが違っており、個人の好みでお気に入り作品が全く違ってきそうなので、他の方々の感想も聞いてみたいですね。
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好き嫌いは別れるだろうなと思いますが(ーー;) ニヤリとしてしまう洗練が素晴らしい。白眉であるとおもうのはやはり 買い物 で、情報のみを与えられる削ぎ落としまくった洗練を楽しませて頂きました。
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短編集。暗くて重い話も多いですが、全体的に軽快な文章で堅苦しさを感じません。この軽さがかえって気味悪かったりします。
明確な説明やオチがなく独特の雰囲気で、こういうのを「奇妙な味」というのでしょうか。どれもアイディアが光る作品です。
【マイロとおれ】事件の捜査に赤ん坊の好奇心を介入させて手掛かりを探ろう、という制度。好奇心いっぱいの活き活きとした赤ん坊マイロと、すれた大人の「おれ」の掛け合いが楽しい。事件の手掛かりも赤ん坊と関わっていて凝っていました。
【緑】機械的な都市を感じさせる物語にこのラストは非常に楽しいです。
【エディプス・コンプレックスの変種】う~ん、よく分からない作品でしたが、気味の悪いストーリーを別の気味の悪い意外なラストで締めてびっくりしました。結局気味悪かったです。
【豚】最後の豚の態度がなんとも皮肉で、恐ろしい話なのにちょっと笑ってしまいます。冗談か本気かぎりぎり分からない所であの笑い声、というのが気持ち悪くて良かったです。
【買い物】日々の買い物リストが記されているだけの短編ですが、なんちゅうもの買ってなにしんてんだと突っ込む所あり、おいおいそんなもの買って何するつもりだと不安になる所あり、想像力をかきたてられるおもしろい短編でした。
【エスター・ゴードン・フラムリンガム】推理小説を書くのも大変だな、と…。これまでにない探偵のアイディアが悉く却下されるのがおもしろかったです。
【万事順調(いまのところは)】明確なラストまで描かずにこのタイトルが良いです。何気ない日常にふと訪れた殺意。楽しいです。
【フランクを始末するには】とってもブラックな内容をユーモアたっぷりに描いています。
【契約】一体何が起こっているのか分かりません。しかし読者はなんらかのストーリーを感じることが出来ます。悲しみと虚脱をまとう男がまともなのか、友人がまともなのか…。不穏な空気に包まれた作品でした。
【ビリーとカッターとキャデラック】賭けでわいわいと賑わう男達が楽しい。どう頑張っても勝てそうにないカッターはさてどうするのか、と思っていたらとんでもない行動に出てびっくりしました。確かにその方法があったか!賭けで賑わう愉快な場面から一転ゾッとするオチでした。
【プレストンの戦法】チェスというゲームを破壊してしまう解法というアイディアがおもしろいです。なんでもやってる最中が楽しいもので、当然といえば当然の結果でした。
【凶弾に倒れて】これはまたブラックなストーリで、いろいろと深く考えさせられるものがあります。そしてこの唐突な終わり方が上手い。なにか事件を予感させてゾクゾクします
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『フランクを始末するには』短篇集。きりきりしていないふんわりさが好き。ふんわり奇想かつふんわりブラック。冒頭の「マイロとおれ」のチャーミングさったらない。マイロになら職質されても怒らない。だっこする。ぬいぐるみをあたえる。〈おれ〉もいい。人と感想を語り合いたいのは「買いもの」。
何月何日に何を買ったかのメモだけで構成されてる「買いもの」。これは何通りか読みかたがあるのかな。わたしは、ばかだなーって笑ってたら、…?えっ?あああ、、となった。「緑」のつきぬけるのも好きだし、表題作も、これ日本でもごほごほごほってなる真ん中くらいのあれも。「エディプス・コンプレックスの変種」も決まってていいな。
この著者はたぶんシャイでだいぶいいひとで、そこも笑ってしまった。
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なんと言っても、買うのを躊躇っている時に軽~く目を通しただけでレジまで持っていかせた「買いもの」に触れないわけにはいかないでしょう。
表題作は、風刺が利いてるという点ではピカイチですが、ミステリスキーとしてはやっぱり「買いもの」を推したいのです(^з^)
購入を迷われてる方は、とりあえずこれだけでも読んでみて決めていいと思いますよ~
記録取る前に売っちゃったから、内容よく覚えてないな…
いつにも増して浅い感想…囧rz
◎マイロとおれ…刑事に欠けているのはセンス・オブ・ワンダー!そんな理由で、俺は赤ん坊のマイロとコンビを組んで捜査に当たるのだった。
◎緑…病的なまでに統一された庭の景観に拘る隣人達と、雑草を愛する男の戦い。
◎エディプス・コンプレックスの変種…チェスの必勝法は、父親を殺すこと⁈
◎豚…豚ちゃんを愛し過ぎた金持ち夫婦の顛末。。
◎買いもの…買い物リストから読み取れる、戦慄の事実。
◎エスター・ゴードン・プラムリンガム…死亡した有名作家の代筆を頼まれた小説家。
◎万事順調(いまのところは)…
因縁の相手に出会った男の話。
◎フランクを始末するには…なかなか死なない有名人の暗殺を依頼された男。二転三転。
◎ビリーとカッターとキャデラッグ…不可能に思われたダイエットを仰天方法で成功させた男。
◎プレストンの戦法…チェスの必勝法を見つけた男と、チェスを愛するその友人の話。
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独特な世界の短編集。
冒頭に13ヶ月の赤ん坊が刑事の相棒に抜擢され、一緒に捜査を行う「マイロとおれ」を持ってきて、読み手にこの1冊は一筋縄ではいかないと思わせる構成。
期待を裏切らず、最後まであれやこれやで楽しませてくれた。
買い物リストだけで構成された「買いもの」は誰かと語り合いたい気分にさせる。
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買い物メモだけで書かれたミステリ「買い物」が気になって購入。
まさに買い物メモだけしか提示されないがゆえに
「いや、多分、こういうことが起こったと思うんだけどなぁ」
というのはあるが明確な「答え」はない。
提示されたカードからの解釈があるのみ、というと、
ちょっと、イタロ・カルヴィーノの「宿命の交わる城」みたいだなぁと思ったり。
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推理小説ではない…かんじですが、「ユーモア小説集」と読めば、面白い。どれも短いおはなしなので、ちょっと気分転換でも〜。という時に読むと良いかも。
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久しぶりに面白い本に出会いました。
でも短編集なところが残念だけど。
こういう面白いので長編のものないかな。
オーストラリアの作家さんだということで、シドニーの情景などが出てきて懐かしかったです。
ちょっと血なまぐさいので夜寝る前に読むのはどうかと思うけど、空いた時間に読むならいいと思います。
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「奇想とユーモアの短編集」と帯にありましたが、どうでしょう。「奇想」はともかく、「ユーモア」…か?
なんとも説明しにくいタイプの短編集です。普通ではない。明らかにおかしい。SFチックだったり、常識から外れてたり、さらには作品の表現方法として斬新だったり。けど読んだあとの感覚はモヤモヤしていてどう表現していいやら。想像力が働く人なら楽しんで読めるかもしれません。映画の会話みたいなテンポのよい掛け合いが楽しめる表題作「フランクを始末するには」と、三人のチェス愛好家の考え方の違いを比較できる「プレストンの戦法」が好き。
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マイロとおれ (Milo and I | 玉木亨 訳) / 初出 Crimewave 5: Dark Before Dawn (2001.6)
緑 (Green | 玉木亨 訳) / 初出 Indigenous Fiction 2000年10月号
エディプス・コンプレックスの変種 (The Oedipus Variation | 玉木亨 訳) / 初出 Ellery Queen's Mystery Magazine 2002年8月号
豚 (Pig | 玉木亨 訳) / 初出 Chapman 1998年
買いもの (Shopping | 玉木亨 訳) / 初出 Crimewave 4: Mood Indigo (2000.11)
エスター・ゴードン・フラムリンガム (Esther Gordon Framlingham | 玉木亨 訳) / 初出 Crimewave 7: The Last Sunset (2003.6)
万事順調(いまのところは) (Things Are All Right, Now | 玉木亨 訳) / 初出 Crimewave 3: Burning Down the House (2000.3)
フランクを始末するには (Taking Care of Frank | 玉木亨 訳) / 初出 Crimewave 2: Deepest Red (1999.6) (1999年英国推理作家協会短篇賞)
契約 (The Deal | 玉木亨 訳)
ビリーとカッターとキャデラック (Billy, Cutter and the Cadillac | 玉木亨 訳) / 初出 Ellery Queen's Mystery Magazine 2002年11月号
プレストンの戦法 (Preston's Move | 玉木亨 訳) / 初出 CHESS Magazine 1998年1月号
凶弾に倒れて (Gunned Down | 玉木亨 訳) / 初出 『Signals-2: 25 London Magazine stories』 London Magazine Editions (1999.5)
解説 「A・マンの面倒をみるには」 (野崎六助)
『MILO and I』 2003.11 Elastic Press 原著
カバーイラスト ソリマチアキラ
カバーデザイン 中村聡
印刷 フォレスト
製本 本間製本
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切れ味鋭い短編集。
かなりの傑作です。
アイデア豊富でブラックユーモアもあり。
レシートだけで構成された短編や、探偵小説のシリーズを始めたくとも、どんな職業も既に使われてしまっていると編集者につぎつぎに却下されるという大笑いの一幕も。
「マイロと俺」は、「天真爛漫計画」という奇抜な発想で、赤ん坊が刑事として配属されているという設定。
相棒のマイロが行く先々で好奇心のままに行動するのを世話するうちに、事件は解決。
主人公の心にも、何かしら変化が起きていた…
「フランクを始末するには」は大スターのフランクが長生きしているので、追悼番組で儲けたい面々が暗殺を依頼。
依頼を受けた殺し屋がフランクの家に行くと、フランクは殺し屋の名前も知っている。
そして…?
奇想天外な展開で読ませます。
苦みもあるけど、それだけじゃない。
「契約」は、犯罪に巻き込まれた被害者側の様子を描いた作品。
報道に晒される俗っぽい人間模様がしっかりと。
父親の態度に、失った子への一筋の悲痛な真摯さが、感じられました。
オーストラリアの作家。
「フランクを始末するには」が1999年、英国推理作家協会短編賞を受賞しています。
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これは久々当たりの短編集です。
素晴らしい感性をお持ちの作家さんです。
「豚」も良かったけど「買いもの」に激しくやられました~
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スーパーおもしろかった。独特の着眼点と、ユーモア。しかもブラック。“マイロとおれ”、“エディプス・コンプレックスの変種”、“フランクを始末するには”の3編が特にお気に入り。あ。“豚”はすごく怖かったよ!
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「期待していなかった」という言い方は失礼かもしれないのだか、本当に何気なく手にとって読み始めると頁を繰る手が止まらなくなってしまった。
ない期待を裏切られた。
短編ミステリだが、どの編も趣向が違って飽きさせない。
ご丁寧に一から十まで説明してみせてくれる作家というのが時に存在するが、彼はそうではない。
私たちの想像力を掻き立て、物語が終わる毎に素晴らしい余韻を残してくれる。
「そういうことか!」
「この後どうなったのだろう?」
この感嘆符こそミステリのエッセンス。
私たち読者はそれをゆっくり咀嚼すればいい。
「マイロと俺」
「緑」
「エディプス・コンプレックスの変種」
「豚」
「買いもの」
「エスター・ゴードン・フラムリンガル」
「万事順調(いまのところは)」
「フランクを始末するには」
「契約」
「ビリーとカッターとキャデラック」
「プレストンの戦法」
「凶弾に倒れて」
全12編。