紙の本
意外な読みどころに満ち溢れた本
2023/04/08 21:06
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が授業毎に配布していた
配布印刷物の密度の高さに驚愕。
著者が一読者として手紙を
書き送ったことから始まった、
中勘助との交流にヮ興味津々。
灘高にも国語にも関心のない人でも
一読する価値のある一冊。
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橋本武さんにとっての仕事とは、限りなく趣味に近いところにあるものなんだな。だからこそ、時間とお金をかけることが苦にならないんだ。そして、情熱をもち続けることができるんだ。
エチ先生は、『銀の匙』を教科書として使っていたけれど、『銀の匙』だけを読むことで、生徒の読む力を育んだわけではない。
『銀の匙』からどんどん横道にそれて多くのことを獲得する授業を展開した。それと同時に、生徒がいろいろな本を読む機会をしっかりつくっていた。
教材研究や教材の準備の取り組み(中勘助との手紙のやりとり、ガリ版でのプリント作りなど)については、本当に頭が下がる思いだ。
教員が読むと元気が出る本の類だと思う。
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「銀の匙」というと、昨日からマンガの方が話題ですが、こっちを読みました。
ガリ切りをしていた先生の姿って、小学校低学年の頃の学校生活の記憶の中にうっすらと残っている程度です。
高校の修学旅行の時、クラスで歌集を作ってましたが、これもガリ版とはいえ、すでにボールペン原紙でした。
教育実習でお世話になった大平先生という定年間近の先生は、鉄筆でのガリ切りを懐かしそうに語って下さいましたが。
そんな訳で、橋本先生のガリ切りでのプリントづくり、圧倒されました。教師になったはなから、自分の悪筆に絶望していた私は、ワープロ登場に、すぐ飛びついてしまいましたので。
しかし、プリント中心の授業には非常にシンパシーを感じます。そして、国語への深い洞察にただただ圧倒されます。本当はそれじゃいかんのですが。
同僚にもぜひ紹介します。
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『銀の匙』『奇跡の教室』を読書会で読んだので、その副読本的に軽く読んでみた本。橋本さんに関する本はもう3冊目なのでさすがに同じ情報がたくさんありすぎたのだけど、この本は彼の著書からの引用も多くて、そのぶん「授業」というよりも「橋本武」という著者の人となりがよくとらえられると思う。
面白かったのは、本当に夜を徹して作ったのだろうなという手書きのガリ版資料が実際に見られること。実際に見てみると、一つ一つの言葉の語註が非常に詳しくて、なるほど、ここまで徹底してやるから一ヶ月で二・三ページのようなペースになるのかと納得した。この徹底した語註の姿勢は、自分にはとても真似できない。その価値を信じているからこそできるのだろう。大村はまと同様、力量抜群の教師が人生を授業に賭けて準備をした時の、有無を言わさぬ迫力のようなものを、この人の手作りプリントから感じる。30代から40代にかけての、まさに働き盛りの時の成果なのだろうなあ。
それともう一つ、橋本さんの決して上手ではない(気がする)短歌も個人的には大好きだ。自分で実際に書くことを楽しんでいる姿勢はとてもいいなと思う。見習いたい!
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有名な銀の匙の授業について著者自ら書いた本です。
生徒の感想中で、「自分で銀の匙の各章に題を付けて読んでいくと、その本が自分専用の銀の匙に見えてきて、自分独自の解釈ができるようになる」とあったのが印象に残りました。著者の先生もこのような独自視点を持ってもらうのが授業の狙いだったそうです。また銀の匙を選んだ理由としては、あと夏目漱石が絶賛していたからだそうです。
授業としてはひたすらこの本を読み続け、わからない言葉は逐一調べて、それに関連する事柄も深く調べ、いわば寄り道ばかりしているような授業だったそうで、1ページ進むのにも1週間かかることもあったそうです。ただ、そうやって興味のある事柄をちょくちょく調べていくことで国語教育に対して興味を持つようになるそうです。
今は社会人で時間もあまりなく本書で言われているようなスローリーディングをする時間はないかもしれませんが、中学生高校生の頃にはこのような授業を受けて見たかったなーと少し思いました。
銀の匙は時間のある時にゆっくり読めはしないと思いますが、一度目を通して見たいと思いました。
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名門灘高校で国語の授業で教壇に立っていた伝説の教師、橋本先生の最新の著書です。
私自身があまり国語が好きではなかったので、こうした先生に出会いたかったなぁ、と思いました。
やはり国語力は自分で調べて興味を持って、地道の努力する大切さが重要であることを知りました。
今度、『銀の匙』を買ってもう一度読み返すと更なる面白さがあるのではないかと思いました。
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おそらくは教師としての仕事が趣味の延長線上。だからそれにいくらでも時間を費やすことができる。ガリ版でプリントをつくるくだりなんてその象徴。草書体の『枕草子』、たしかに中学生でもなんとか読めそうだ。大学での文学講読の授業のイメージ。だいぶ前に黒岩祐治『恩師の条件』を読んで以来、久々に橋本先生の「銀の匙」の授業に触れた。それとだいぶかぶってるのかな。どこかで聞いた話が多いような。
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灘中、灘高で、51年間一つの教材だけを使用して国語を教え続けた教師の話。百歳を記念にもう一度灘中の教壇に立つとのことが話題となりテレビで放映されていた。このニュースではじめて著者の存在を知った。独自に作り込んだプリントを使用し、徹底して基礎力を身につけることで、応用問題にも対応できる学力を生徒につけさせた。私立とはいえ、無名私立校であった灘が、日本一の学校をめざすため、それぞれの教師にすべての権限を与え、自由に授業をさせたというのもすごいが、多くのプレッシャーをはねのけ自らの思う通りにやり通した著者は素晴らしい。こういう人はどんな世界に行っても成功するんでしょうね。
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教材研究がすごい。一つの題材から広っがていく世界がすごい。学生の頃は、数学の方が好きだったが最近は「国語ってやればやるほど、言葉にこだわればこだわるほどおもしろい」と学ぶことに楽しさを感じている。
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夏目漱石が激賞した中勘助の『銀の匙』ってどんな文章?それを教材に授業をした現在百歳の伝説の灘高教師の授業に興味があり、読んでみました。
一つの作品をじっくり味わうというのは受験対策勉強では得られない何かがあります。
でもこんな授業でいろんなことを身につけたら、受験も難なくクリア出来るにちがいない。
国語とは生涯勉強していくものだそうです。
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学生時代、坊主の兼業教師が『学問のすすめ』と『般若心経』で、1年だか2年だか授業をやった
本書を読んで初めて本を読むと言うことが分かった気がした
理系だからでも無いが、文章を体系化、数式化して理解したがる
そうではないんだ
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橋本氏の授業の具体像が見える。手書きのプリントはとても参考になる。「観賞の手がかり」は発問で、200字要約は久保氏の言う「今日学んだこと」にあてはまる。良い授業の原則は共通するものがある。
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国語を学ぶことは豊かな人生を送るための感受性を涵養するために必要な基礎学習であり、一生かけて行っていくものだという基本姿勢に共感。そのために先生が用意したレッスンは、作中の言葉で例文を作ったり、作品の各章に自分でタイトルを付けたり、読後感を書いたりと、アウトプット重視のトレーニング。これは灘校の秘術ではない。誰でもできるがほとんどの人はやらない、愚直な正攻法。
よく「国語には正解はない」という言葉が勉強しないことの言い訳に使われるが、この言葉が意味するところはむしろ逆で、国語学習においては本人がかいた汗以外には価値はないということなんだと思う。
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こんな先生に出会いたかった!
思考の基である「国語」を、こんなにも楽しい授業で、遊び感覚で伸ばせる先生がいたとは。
橋本先生には、このような授業の出来る先生を育てていって欲しい!
それにしても、この本を書いた年齢が99歳とは思えない、エネルギーを感じる一冊だ。
私のような主婦でも、これからでも国語をしっかり勉強したいと思った。
橋本先生関連、これからむさぼり読みます!
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教科「国語」って考えれば考えるほど難しい。
国語という教科を通じて何を教えるのか。
そんなことを考えて教壇に立っている、国語教員が増えてほしいものです。
決して、指示語の指すものがわかる事が国語ではないはず。