紙の本
現代社会に
2015/11/15 15:09
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投稿者:ローラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通に当てはまる普遍的な内容でした。誰もが身に覚えがある話。個人、個人では大丈夫でも、日本人的な組織になると判断が鈍りがちになるなど。
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戦略の失敗は戦術ではおぎなえない
2018/10/15 21:45
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投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章 なぜ「戦略」が曖昧なのか
「戦略」が明確であれば目標達成を加速させる効果を生み、逆に曖昧ならば混乱と敗北を生み出す。
大局的な戦略とは「目標達成につながる勝利」と「つながらない勝利」を選別し、「目標達成につながる勝利」を選ぶこと。
戦略とは「追いかける指標」のことであり、戦略の失敗は戦術ではカバーできないので、有効な指標を見抜く指標の設定力こそが最大のポイントになる。
指標を正しく決めることが「目標達成につながる勝利」を決めることになる。
第2章 なぜ「日本的思考」は変化に対応できないのか?
現代日本企業の弱点
・前提条件が崩れると、新しい戦略を策定できない。
・新しい概念を創造し、それを活用するという学習法のなさ。
・目標のための組織ではなく、組織のための目標を作りがち。
・異質性や異端を排除しようとする集団文化。
創造的破壊
単に新しい技術ではなく、戦局を変える新技術がカギ。
日本企業の高い技術力による製品が、米国企業の戦略的な知的マネジメント(運用)によって「戦いの仕組みを変えられて負ける」ということを日本人は気づいていないのかも知れない。
第3章 なぜ「イノベーション」が、生まれないのか?
イノベーションを創造する3ステップ
1)戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する。
2)敵が使いこなしている指標を「無効化」する。
3)支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う。
高い技術力を誇る日本のメーカーは、消費者の指標を変化させるイノベーションではなく、単に技術上の高性能を追求しており、効果を失っているからだと推測される。
イノベーションを作り出すには、現時点で支配的に浸透している「指標」を、まず見抜く。
体験的な学習に陥りがちな成功体験の単なるコピーではなく、対象に隠れて存在する「戦略としての指標」を発見する思考法になれなければならない。
第4章 なぜ「型の優先」を優先してしまうのか?
日本軍の強み
・体験的学習によって偶然生まれるイノベーション。
・練磨の極限を目指す文化。
米軍の強み
・戦闘中に発生した「指標(戦略)」を読み取る高い能力。
・相手の指標(戦略)を明確にし、それを差し替えるイノベーション。
特定の業務、技術的スキルについては「型の伝承」は必要不可欠であるが、「型の伝承」と「勝利の本質」は明確に区分されて、共に伝えられなくてはならない。
第5章 なぜ「現場」を上手に活用できないのか?
組織運営の最終目標は、変化に打ち勝つ新たな指標としての戦略を効果的に生み出すこと。
組織内に存在する「人事・評価制度」は、組織の性格や能力を規定し、目標達成を邪魔する要因を作り上げることもあれば、有効に設計し運用することで、強力な組織を生み出すこともできる。
第6章 なぜ「真のリーダーシップ」が存在しないのか?
トップあるいはリーダーが「最も利益が期待できる、あるいは利益に関わる」瞬間に最前線が直面している問題を、どれだけ正確に把握できているか。
新たな指標としての戦略は、現場から生まれることが多く、リーダーはその価値を見抜く必要がある。
第7章 なぜ「集団の空気」に支配されるのか
集団の和を特に尊重する文化である日本では、集団の空気や関係性を重視するあまり、安全性や採算性よりも関係者への個人的配慮を優先し、グループ・シンクの罠に陥るケースが多い。
状況が今より良いようなフリをすることは、最終的にはほぼ確実に破滅に繋がる。
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わかりやすい
2018/08/22 14:25
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大東亜戦争の日本軍の組織的失敗と重ね合わせながら、現在の日本の問題を分析していて、わかりやすく理解できました。
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国民的欠陥を克服できていない
2015/09/29 23:32
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投稿者:Michiyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争等で旧日本軍が陥った失敗をつぶさに解説した「失敗の本質」。本書はこの本を解説した文字通りの入門書。近年刊行されたことから、昨今の日本企業の失敗とも絡めて解りやすく説明がなされている。
戦争の善悪は別として、何故旧日本軍が敗れたのか?コミュニケーション不全や過去の成功への執着、自ら大局作りができない点等が原因として挙げられる。残念ながら現在でも日本人、日本の組織、そして日本社会そのものがこれらの失敗要因を克服できずにいる。
戦後70年を経て、本当に反省すべき、歴史に学ぶべき点はそこではなかろうかと思う。
本書と「失敗の本質」原書を読み比べると、断然本書のほうが解りやすい。読むのに自信がない人、戦術的な話が苦手な人は、せめて本書だけでも読んでみて欲しい。
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失敗の本質の解説本
2020/04/12 22:38
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投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
第2次世界大戦で日本を破滅に追い込んだ日本軍の組織を批判的に継承、または拒絶するために分析した失敗の本質を解説した本。本書では日本軍に代表される日本の組織は想定外や突然の変化に弱く、変化に弱いとして23の視点から、日本軍とアメリカ軍、あるいはアメリカ企業と日本企業を比較している。日本の組織が失敗しがちな点は過去の体験に固執しがちで型が好きな点と現場、専門的知見を考慮せず空気が支配してしまうという点である。世界が混乱している中で、この観点は欠かせない。
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今の視線からの分析
2013/05/19 21:26
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投稿者:しんぴん - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在への反映をどうするのか。
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「失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)」という本の解説(紹介)本のようなのですが、非常に興味深い。組織の経営者、リーダはもちろんのこと、日本の教育現場に必要な視点が盛り込まれているように感じました。Amazonのレビューには「原書を読まなければ意味がない」とおっしゃるレビュアーもいますが、この本は「失敗の本質」という名著の存在を世に知らしめたというだけで、十分な存在価値があると思います。個人的には、原書もぜひ読んでみたいと思ってます。
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「ガンダムが教えてくれたこと 一年戦争に学ぶ“勝ち残る組織”のつくり方」などの筆者が「失敗の本質」のエッセンスを紹介した本。現代ビジネスの事例も交えての説明は、戦略やイノベーション、組織論やリーダーシップに至るまで考えさえられる点が多い。本家本元の「失敗の本質」は読んでいないのでさっそく読まなくては・・と思っています。
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これは思い当たることがいっぱい書かれすぎていて、もはや痛快…。経営やマネジメントに関わる人、雇われ社員で終わりたく人は、読んだ方がいい気がする。
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[購入] 名著『失敗の本質』のエッセンスを抽出してまとめるだけでなく、現代日本のビジネスの課題にもリンクさせて語られている本書。
多くの図や実例を交えて、我々現代に生きる日本人が過去の敗戦から何を学ぶべきか、そして次の時代の転換点にどう立ち向かっていくべきか非常にわかりやすくまとめられている。あくまで入門書的位置づけであり、内容の厚みは原著となる『失敗の本質』には及ばないものの(筆者もそれを目指している訳ではない)、原著や関連図書に興味の視野を広げる役割を十分担っていると感じた。
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原書の「失敗の本質」が難解な人はとっかかりとして、こちらを先に読んでみるのがよいかもしれない。
組織の中でのイノベーションを成功させるためには、同じ指標を追っていたり、単純な高性能・高価格であったりしては敗北の原因となる。
自分の頭の中の限界を、組織の限界と決めつけたりしてはいけない。
組織の可能性を無限に見いだせるのがリーダーなのである。
過去の成功の要因を把握しつつ、常に想定外の変化にも対応できるようにし、生き残りをかけるのだ。
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学生時代に読んだ"失敗の本質"。当時は近代日本史好きには面白い内容だったけど、硬くて難しい本だった。。そのエッセンスを抜き出しつつ、近年の例を出しながらわかりやすく要点をまとめた本。さくさく読めるので、原作読む暇無い人には良いかも。原作を併せて読んだら尚良し。
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想定外の変化に対応する組織だけが生き残る
日本軍も日本企業も転換点に弱い
失敗の本質から学ぶ敗戦の7つの理由
戦略性 日本人は大きく考えることが苦手であり、俯瞰的な視点から最終目標への道筋をつけることに失敗しがち
思考法 日本人は革新が苦手で練磨が得意
イノベーション 自分たちでルールを作ることができず、既存のルールに習熟することばかりを目指す
型の伝承 創造ではなく方法に依存する
組織運営 日本軍の上層部は現場活用が徹底的に下手
リーダーシップ
日本的メンタリティ 空気の存在や、厳しい現実から目をそむける危険な思考への集団感染。リスク管理の誤解
1 戦略の失敗は戦術で補えない
目標達成につながらない勝利の存在 日本軍の努力の70%は無意味
戦略とは目標達成につながる勝利を選ぶかを考えること。日本人は戦略と戦術を混同しやすいが、戦術で勝利しても、最終的な勝利には結びつかない
2 指標ことが勝利をきめる
石原莞爾 戦線の限定、縮小の必要性を説く 持久総力戦という発想 国家の国力、生産補給力で勝敗がきまる
日本軍 決戦戦争という発想、どこかの戦場で大勝利すれば勝敗が決る
勝利につながる指標をいかに選ぶかが戦略である。性能面や価格で一時的に勝利しても、より有利な指標が現れれば最終的な勝利には繋がらない
3 体験的学習では勝った理由は分からない
大局観に欠け、部分にのみに固執する日本軍
体験的学習で一時的に勝利しても、成功要因を把握できないと、長期的には必ず敗北する。指標を理解していない勝利は継続できない
4 同じ指標ばかり追うといずれ敗北する
体験的学習や偶然による指標発見は、いずれ新しい指標に敗れる。勝利体験の再現をするだけでなく、さらに有効な指標を見つけることが大切。競合と同じ指標を追いかけてもいずれ敗北する
5 ゲームのルールを変えたものだけが勝つ
練磨の文化をもつ日本と日本人の美点 型を反復練習することで型を超える 操縦技能、射撃精度を極限まで追求した日本人 当たらなくても追撃できる兵器をつくったアメリカ人(VT信管)
日本は人にアイデアを洗練させていく練磨の文化。しかし、閉塞感を打破するためには、ゲームのルールを変えるような、劇的な変化を起こす必要がある
6 達人も創造的破壊には敗れる
技術の運用法を変えてゼロ戦を追撃した米軍 相手が積み重ねた努力を無効にする仕組み
既存の枠組みを超えて、達人の努力も無効にする、革新型の組織は、人、技術、技術の運用の3つの創造的破壊により、ゲームのルールを根底から変えてしまう
7 プロセス改善だけでは、問題を解決できなくなる
シングルループ学習 目標や問題の基本構造が、自らの想定とは違っているという疑問を持たない学習スタイル
ダブルループ学習 想定した目標や問題自体が違っているのではないかという疑問検討を含めた学習スタイル
ダブルループ���習で疑問符をフィードバックする仕組みを持つ。部下が努力しないからだめだ、と叱る前に問題の全体像をリーダーや組織が正確に理解しているか再認識が必要
8 新しい戦略の前で古い指標はひっくり返る
戦略とは追いかける指標
戦闘の勝敗を決定する指標の発見 敵の指標が効果を発揮しない領域を探す
イノベーションを想像する3ステップ
戦場の勝敗を支配している既存の指標を発見する
敵が使いこなしている指標を無効化する
支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦う
イノベーションとは支配的な指標を差し替えられる新しい指標で戦うことである。同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。家電の「単純な高性能、高価格」はすでに世界市場の有効指標ではなくなった
9 技術進歩だけではイノベーションは生まれない
日本人は体験的学習から過去いくつものイノベーションを成し遂げたが、計画的に設計されたイノベーションを想像するためには、既存の指標を見抜き、それを無効化する新しい指標をダブルループ学習で見出す必要がある
10 効果を失った指標を追い続ければ必ず敗北する
イノベーションは既存の戦略を破壊するために生み出されており、効果を失った指標を追い続けることは、他者のイノベーションの餌食となることを意味する。高性能とイノベーションは偶然重なることもあるが、本来は別の存在である
11 成功の法則を虎の巻にしてしまう
日本軍と米軍の強みの違いが、大東亜戦争の推移と勝敗を決定した。型の伝承のみを行う日本の組織が勝利の本質を伝承できていないことで、強みを劣化矮小化させて次世代につなげている
12 成功体験が勝利を妨げる
戦略を以前の成功体験をコピー拡大再生産することであると誤認すれば、環境変化に対応できない精神状態に陥る。型のみを伝承することで、本来必要な勝利への変化を全否定する歪んだ集団になってしまう。常に勝利の本質を問い続けられる集団を目指すべき
13 イノベーションの芽は組織が奪う
一人の個人が行うイノベーションでさえも、組織の意識構造によって生み出されるか、潰されるか左右される。「型の伝承」から離れ、勝利の本質を伝承する組織になることで初めて、所属するすべての人間が変化への勝利に邁進できる集団となる
14 司令部が現場の能力を生かせない
あなたが知らないという理由だけで、現場にある能力を蔑視してはいけない。優れた点を現場にみつけたら、自主性独立性を尊重し、最大最高の成果を上げさせる
15 現場を活性化させる仕組みがない
米軍は作戦立案する中央の作戦部員が、現場感覚と最前線の緊張感を常に失うことなく侵攻に邁進できた。現場の体験、情報を確実に中央にフィードバックし、目標達成の制度と速度をさらに高めていく仕組みをつくる必要がある
16 不適切な人事は組織の敗北につながる
厳しい課題に直面していたら、お飾り人事を徹底排除し、課題と配置人材の最適化を図ること。能力のない人物を社内の要職に放置すれば、競合企業を有利にさせる以外の効能はない
17 自分の目と耳で確認しないと、脚色された情報しか入ってこない
組織の階層を伝わってトップに届く情報は、フィルタリングされた担当者の恣意的な脚色、都合のいい部分などが強調されていることが多い。問題意識の強さから、優れたアンテナをもつトップは、激戦地(利益の最前線)を常に自らの目と耳で確認すべき
18 リーダーこそが組織の限界を作る
チャンスを潰す人の3つの特徴
自分が信じたいことを補強してくれる事実だけをみる
他人の能力を信じず、理解する姿勢がない
階級の上下を超えて、他者の視点を活用することを知らない
リーダーとは新たな指標を見抜ける人物
戦略を理解しないリーダは変化できない
愚かなリーダは自分の限界を組織の限界としてしまう。逆に卓越したリーダーは組織全体がもっている可能性を無限大に引き出し活用する
19 間違った勝利の条件を組織に強要する
間違った勝利の条件を組織に強要するリーダーは集団に混乱を招き、惨めな敗北を誘発させているだけである。求める勝利を得るために、正しい勝利の条件としての因果関係に、繊細かつ最大限の注意を払うべきである
20 居心地のよさが、問題解決能力を破壊する
居心地のよさとは正反対の、成果を獲得するための緊張感、使命感、危機感を維持できる不均衡を生み出す組織が生き残る。指揮をとる人間には、見たくない問題を解決する覚悟の強さが何より要求される
21 場の空気が白を黒に変える
空気とは体験的学習による連想イメージを使い、合理的な議論を行わせずに、問題の全体像を一つの正論から染め上げてしまう効果を持つ。議論の影響比率を明確にし、意図的な空気の醸成が導く誤認を打ち破る知恵を身につけるべきである
22 都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない
方向転換を妨げる4つの要素
多くの犠牲を払ったプロジェクトほど撤退は難しい
未解決の心理的苦しさから安易に逃げている
建設的な議論を封じる誤った人事評価制度
こうあって欲しいという幻想を共有する恐ろしさ
情報を封殺しても問題は消えない
情報や正しい警告を受け入れなくとも、問題自体は消えることはない。グルーブシンクやサンクコストの心理的罠にどれだけ早く気付き、方向転換できるかが組織の命運を決める
23 リスクを隠すと悲劇は増大する
コンティンジェンシープラン(万が一を想定した計画)のない状態が招く2つの悲劇 損害を劇的に増やす、新たな損害を自ら生み出す
リスクは目を背けるものでも隠すものでもなく、周知させることで具体的に管理されるべきもの。ビジネスでは、リスクをかわすのではなく、徹底して管理しなければ、存続していくこと自体が難しくなる
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戦略とは、何を指標にとるか。指標とはゲームのルールとも言える。「~~戦略」と表現できるもの。
目標達成につながらない勝利の積み重ねは無意味。
リスクをかわしても、何もならないという指摘は分かりやすい。
おそらく日本軍・日本人を支えていたマインドは、日露戦争の成功体験だったのだろう。まさしくあの勝利は、精神主義、戦術主義に支えられていたのだから。
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身近な組織を見回しても似たような身につまされる事例がたくさん出てくるのだが、これは大東亜戦争当時の日本軍の組織論を分析した1984年出版の「失敗の本質」をもとにビジネス的にどのように活かせるかという視点で平易に読み解いた本。
「失敗の本質」の中の事例をキーワードとして組織内で共有することで、組織の問題点を共通認識として共有できる形で応用できる気がする。自分の周りの多くの人にも読んで欲しい。
元著の「失敗の本質」はずっと気になってはいたが、読んでなかったのでこれから読んでいきたいと思います。