紙の本
20世紀を代表するオーストリアの美術史家であったゴンブリッチ氏による一味深みの増した世界史の書です!
2020/07/21 08:37
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、オーストリアのウィーン出身で20世紀を代表する美術史家として知られたエルンスト・ゴンブリッチ氏の作品です。同書は、表題にもありますように、若者たちに向けた非常に分かりやすく示唆を含んだ世界史の書です。中公文庫からは上下2巻で刊行されており、同書はその下巻です。同書の最初にある「歴史の川というものを想像してみよう。わたしたちが知るのはただ、流れが限りのない先へ、未知の海へ向かって流れていることである」という言葉が歴史をよく物語っています。同書は、ルネサンスから20世紀までを解説してくれます。同書の内容構成は、「新しい都市と市民の誕生」、「新しい時代」、「新しい世界」、「新しい信仰」、「戦う教会」、「おぞましい時代」、「不幸な王としあわせな王」、「その間に東欧で起こったこと」、「ほんとうの新しい時代」、「暴力による革命」、「最後の征服者」、「人間と機械」、「海の向こう」、「ヨーロッパに生まれたふたつの国」、「世界の分配」となっています。
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最近、文庫本って高いのね。
上下2冊で1,500円もした。
えっ?アタリマエだって?
最近は、BookOffで100円の本ばかり買っているので感覚がズレたのかもね。
でも、この本は値段に十分見合う内容です。あるいはそれ以上かな?
本来は著者が25歳のとき(1935年だから77年も前なんですが、)に書かれ、その50年後著者が75歳のとき追加のあとがきと多少の修正を加えて出版されたものが、今年になって日本語に翻訳されぼくの手元に届いたというわけです。
まず、25歳の青年がコレだけの内容を書けたものだと驚嘆させられる。
ドイツ系ユダヤ人らしいのだが、民族としての彼らの優秀さに、勝手に感心してしまう。
コレだけの長い時間の歴史をコレだけ短くまとめるには簡単な作業ではなく、逆にとてつもない深い知識が必要なはずである。
長い歴史を彼の価値観に基づいて関連付けて理解しているのがスゴイ。
もちろんここで重要なのは、彼の価値観という点である。
歴史というものは、歴史家自身の価値観に基づいて書かれ、評価されるものであろう。
ということは、本人の価値観が大きく問題となるはずだ。
その点、彼の価値観はとてもリベラルで、好ましい視点を持っている。
これは若い人のみではなく、是非大人が読んで欲しい本である。
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バランスの取れた記述。歴史を語る時にバランスこそが決め手となる。後書きも素晴らしい。歴史嫌いの私が、ワクワクして読めるなんて、、、個人的には啓蒙思想についてもっと学びたくなった。
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二つの鏡の前に身を置くと、鏡に写るきみの姿はどこまでも続く。「昔、むかし」はこれと同じ。「いつ」、「どうして」を問うことから歴史が始まる。なんと魅力的な書き出しであることか。世界史の主要な流れを静かな語り口で語ってくれる。青少年に勧めたい一書。
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原始から現代(第ニ次世界大戦まで)を「過去の出来事でもっとも多くの人間に影響を与えたもの」(213頁)を基準に扱う。第二次世界大戦以後や執筆後判明した事実に関する訂正は50年後のあとがきで著している。美術史が専門の著者。6週間で執筆。西洋史が中心。世界史の基礎知識を学ぶために手に取った。知識を学ぶという点では期待していたものとは違ったが、良い意味で期待を裏切られた。平易な言葉で書かれており読みやすい。ひとつの物語を読んでいるようである。知識は正直身についていないが、世界史の外枠をつかみきれた点と、深く学びたいと思えた点で
この本を読んで良かった。国ごとの歴史を少し知っても、大まかな全体像が今まで全くわからなかったためである。次は『世界史』に挑戦する。『美術の物語』も読む。
また私は、歴史を、ノンフィクションの物語だと考えている。そのこともあり、相性が良かったのだと思う。
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なぜ教育に歴史が必要なのか。
それは歴史の総体を捉え、血肉とするため。
しかし、その根本の理念は教科書からは学べない。
この本にはある。逆説的な話だ。教科書に成り得ないこういう本だけが、歴史の総体を教えてくれるのかもしれない。そんな稀有な栄養価の高い本。
また、ww2の前に書かれてること。価値観の転換期の視点はほんとうにおもしろい。
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美術史家による簡易な世界史概説書の下巻。下巻になると時代が下り、扱う地域も出来事も大きくなってくるため、かなり概念的な話が増えているように思うが、逆にそれが歴史の見方として分かりやすいかもしれない。著者の孫のあとがきにあるように、細かい事項や年代などを把握するための本としては全く不向き。
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第2時大戦前に書かれた世界史の本。あとがきが大戦後に追記されている。とにかくそこを読むために最後まで読む本。
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面白かった。歴史の主流を大まかに把握するのに最適。
下巻で特に印象に残っているのは宗教改革のことかな。日本史にも馴染み深いイエズス会が、宗教改革を受けたカトリック側の自己改革組織だとは知らなかったし、それが結実して反宗教改革が成立したというのも知らなかった。二つの対抗勢力のぶつかり合いによる歴史のダイナミクスを感じた。もう一つ強く印象に残っているのは、産業革命と各国での市民革命の勃発のところ。社会主義の起こりが意外と早くて驚いたが(知ってしまえば必然のタイミングなのだけど)、先に革命に結びついたのはブルジョワ市民による自由主義革命の方で、だから自由主義側が保守派になるのだなと。しかし世界史を通して見ると大衆や市民はたびたび反旗を翻しているが、それは常に生活のためであって、思想や主義主張は二の次であることがわかる。理屈づけの根拠は宗教から思想に変わり、思想は変遷を遂げているが、もっとも大事なのは生活であるということを忘れないようにしたいと思った。
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ドイツ中心の世界史というのが新鮮で、そこに日本が独立に取り上げられているのは面白い。 書かれたのがゴンブリッチが25歳の時で第一次大戦までで終わっているのがポイント。 その後の50年を透徹した歴史家の視点で振り返った「50年後のあとがき」が悲しみを誘う。それでも「半世紀前に私が期待した、より良い未来を今日なお期待してよい」という言葉には感動した
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堅苦しい世界史ではなく、まるで小説を読んでいるかのようだ。ヨーロッパ中心の内容に偏ってはいるものの、十分に楽しめて勉強になる。長年疑問だったイエズス会やプロテスタント誕生の経緯、ナチスのユダヤ人迫害の理由等を知ることが出来た。著者のこの言葉が、本書のすべてを表している。「読者には、メモをとることもなく、固有名詞にも年代にもとらわれることなく、ただくつろいで、楽しく、歴史を追いかけていただきたいのです。試験などけっしてないと、約束します。」
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上巻に引き続き。
世界史苦手だった自分でも一通するのに苦は強いられなかった。
線としてみるのにオススメ
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下巻の方が一気に読めました。本編では11世紀辺りから始まり、産業革命、第一次世界大戦までです。以降は「50年後のあとがき」で少し触れています。
下巻は、ヨーロッパの各国の国家(統治者、民族、宗教、国境や王政等)が定まってきて現代社会の国名で物語りが進むため上巻より読み易かったです。上巻は民族と宗教が複雑かつ混沌としていたので何を軸に理解すればよいか整理がつきませんでしたが、一方でイギリス、ヨーロッパ、中東、北アフリカはこうした歴史の上に成り立っているのだと思いました。
遥昔の学生時代に暗記した十字軍遠征、フランス革命、宗教革命、植民地政策や産業革命などなど、こうした背景があり繋がっていくのかということと、各国の関係や違いが少しながら理解ができ、とても興味深く読むことが出来ました。
世界史は書き手や立場により同じ事象でも見解が異なると思いますが、ヨーロッパの歴史はやはりヨーロッパ人が書いた歴史書を比較読書するのがよい(可能なら原書で)と思いました。
なお、本書ではアジア(中央、東南、中国)、オセアニア、北米や南米、アフリカサハラ以南は余り登場しません。
改めて世界史は本当に幅広い分野で一生かけても読みきれないと思いました。
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面白い!!!抜け落ちた世界史の知識を補い、深掘りしたいテーマが見えてくる。大きな流れで歴史がわかる。おかげでいくつか本をポチりました。
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歴史は時代が変わると見方も変わりますが、この本のように50年後の後書き、まであると考えの移り変わりも含めてよく分かりますね。日本語で読む、日本人の描く世界史と、ヨーロッパの世界史とでは異なることがよくわかります。