紙の本
ユーモアを含んだ大変に読みやすい文章
2020/12/10 10:57
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
天文学者が書いたとは全く思えないほどユーモアを含んだ大変に読みやすい文章にたいへん感心した。
出産予定日偏差のヒストグラムや、赤ん坊の夜泣きの周期の観測など大いに笑ってしまったし、新たに発見した天体の発表のタイミングなど、ドキドキして引き込まれた。
惑星とも文字通り「惑うホシ」。未知の惑星を発見する方法も動いている星を見つける という原理に基づいた方法なのだな と改めて感心した。
紙の本
意外な惑星の殺害法
2018/09/16 16:16
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投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
冥王星が惑星の座から転落し、その名前を奪われたのは天文ファンではない人々にも(にこそ?)驚きを与えました。その遠因が著者の発見した「第十惑星」にあったとは。ちょっと切ない発見譚でした。
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著者の天文学者は、出産予定日がどの程度の信頼性があるのか、実際の出産日との差の分布を調べたいと提案し、妻にあきれられる。自分が娘にミルクを飲ませた時と妻が飲ませた場合で、寝る時間がどれくらい違うか克明に調べ、t-検定で差をチェックする。さあ、身に覚えのある人は手を上げてみよう ^^
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第九惑星でにぎわっていたので読んでみた本です。
私としてはこの本のポイントは『惑星の定義』に関する話なのではなかろうかと思っています。冥王星より大きいと推定される”惑星”ジーナの存在が今まであいまいだった惑星の定義について天文学者たちに再考を迫りました。こういう人間の世界観を揺るがす大きな発見に関する話はワクワクいたします。読みやすいのでぜひ多くの人に手に取っていただきたい本です。
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時間が無くてちゃんと読めてないんですが、本当に面白かったです。 また惑星あらわれるかもしれないし~わくわくしますね。 やぁ~天文学者は大変ですね。
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冥王星の外側に惑星らしきものが見つかったというニュースは何となく覚えている。また冥王星が惑星ではなくなったのはそれよりハッキリ覚えている。
マイケル・ブラウンは2002年以降冥王星以遠の天体を数多く発見している。これらの発見により冥王星は惑星ではなく準惑星と呼ばれるようになったのだが、実は惑星の定義ははっきりしていなかったし、衛星の定義はいまでもはっきりしていない。冥王星と言えばそもそも大きさが月よりも小さく、質量も月の0.2倍ほど。実は惑星と衛星の比較で言えば月が以上に大きい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Transneptuneobjects.jpg
マイケル・ブラウンのチームは軌道上をひたすら天体の写真を撮り、乾板上の光の点をコンピューターで比較し移動しているものを探すのだが残念ながら多くは乾板上の傷だったりする。2002年6月マイケルにとってこの週で一番嬉しい出来事は彼女がプロポーズを受けてくれたことで、大学に戻って1週間後に3番目に嬉しいニュース、大学の終身在職権(テニュア)をとる。そして2番目のニュースが冥王星より大きい(結果としては反射率が高いために明るく、大きく見積もり過ぎていた)天体Quaoar(クワオアー、こんな発音しにくい名前にするんじゃなかったと後悔)を発見する。
2003年秋の観測では天体候補を37000発見、一度はあきらめかけたが特定の領域にエラーが出ることに気づき写真の10%を捨てることで候補を一気に100個にまで絞り込む。こうして発見されたのが太陽を1万千年かけて1周する天体セドナ。運がいいことにセドナは近日点近くに来ていた。そしてセドナを確認する間に見つけたのがサンタことハウメアだがこれが後で騒動の元になる。天体の発見というのは望遠鏡を除いて見つけるのではなく、一定期間の観測の結果移動したことを確認するので、撮影時点では発見ではない。サンタの観測は2004年5月6日で12月28日に発見した(だからサンタ)のだが、証拠を抑えるために発表を待つことになりこれが後の騒動の元となる。
論文がもう少しで完成の7月7日長女ライラが生まれる。この辺りの話もおもしろく、落ち着かないマイケルは陣痛の感覚をはかり、記録し、娘のライラが生まれてからも授乳と睡眠の間隔など育児日記を記録しブログにアップするオタクっぷり。(www.lilahbrown.com) このタイミングが少しずれていたらサンタの発見はマイケルグループの成果になっていただろう。しかも1月8日にエリス、3月31日にマケマケを発見と1つの天体の確認に半年くらいのつもりがとんでもない同時進行になってしまった。エリスは冥王星とほぼ同じ大きさであり後に冥王星とともに惑星になるかどうかの議論を呼び、ギリシア神話の不和と争いの女神の名を元に命名されることになる。
サンタは冥王星の1/3の大きさしかないことからマイケルグループは本命の発表を邪魔しないようにひっそり発表しようとする。2005年9月の学会でK40506A(04年5月6日に発見されたカイパーベルト天体1号=サンタ)を発表するとプログラムに載せたとたんの7月29日にスペインのオルティスグループが2003EL61(ハウメア)と言う天体を発見したと発表する��後でわかったことだがオルティスグループはK40506Aで検索しチリの望遠鏡にアクセスし座標を確認した後天体の発表を発表している。それでもマイケルはきちんと説明してくれさえすれば発見者の栄誉はスペイングループのものだと繰り返し言うのだが発見者はオルティスは逆にマイケルを発見した天体を隠していたと非難し、結局はマスコミの非難を受ける。非難の矛先はマイケルにも向かう、いわく「なぜすぐに発表しなかったのか?」しかしこれはマイケルの言うように科学的な発見は充分な証拠を掴んでから論文を書くものだ。またこの騒動のためにハウメアが衛星を持っていること、自転時間が4時間と非常に早くそのため葉巻のように長細くなっていることなど本来科学的な興味をそそるはずのサイドストーリーが全て吹っ飛んでしまったことをマイケルは残念がっている。
同じ天文台のデーターにエリスとマケマケもあることからマイケルはデーターが充分揃わない不本意な発表を余儀なくされる。10番目の惑星発見のニュースは7月30日ニューヨークタイムズの1面を飾った。
クライマックスは2006年8月25日、3年に1度開催される国際天文学連合の総会でエリス(当時の呼び名はジーナ)の運命が決まる。惑星として認められるかどうか。そして何を持って惑星というのか。冥王星より大きければいいのか?もし小さくても惑星というならどの大きさまでを惑星と呼ぶのか?
可能性は4つ。①エリス=ジーナを惑星とする。科学的な根拠は不足しても世間的な認知ではこれで正しい。②惑星は8個、冥王星を惑星からはずす。③惑星はこれまで通り9個 ④惑星は200個以上、太陽を回り丸くて衛星でないものは惑星だ。マイケルの科学者としての理性は②を選ぶが、一方でジーナを娘とかぶせているところや、発見者としての栄誉、そして星に興味を持ってもらえばいいと言う感情は①を選ぶ葛藤する姿を見せる。そして会議ではいろいろな思惑が渦巻く中「冥王星は死にました。」
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第10の惑星の発見者という立場を捨て、惑星の定義を見直すことで冥王星を惑星から外した筆者の科学者としての真摯さには敬服。
また、結婚や子供の誕生などプライベートな出来事も織り交ぜて語られているので、かた過ぎず読みやすい。
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「水金地火木土天海冥」から冥王星が消えてしまった2006年。
太陽系の惑星から外れて準惑星へと格下げになった裏側には、
冥王星発見以来1世紀以上も果たせなかった「第十惑星」となるかも知れない天体を発見した著者。
彼こそが『冥王星を殺した男』なのだ。世紀の大発見をした功績や名誉よりも天文学的に冥王星は惑星ではない、と自分の発見と刺し違えて引きずりおろすことに成功した。
初めて天体望遠鏡で天空を眺め目をキラキラ輝かせた少年の日。
そのキラキラした目のまま大人になったような著者。
冥王星と同等もしくはそれより大きいかも知れない天体を発見したとほぼ同時に進行した初めての我が子の誕生を、同じレベルで尊重し慈しみ、
少年のような科学的好奇心でもって生命・宇宙の神秘を語る。
科学ノンフィクションだが科学者当人の人柄そのままでフレンドリーな語り口、非常に読みやすく天文学への入門書にもなっている。
また日本の「すいきんちかもく・・・」に相当するアメリカでの惑星順列語呂合わせが「My Very Educated Mother Just Served Us Nine Pizzas(私の教養溢れるお母さんがたった今私たちにピザを9枚出してくれた)」であるとか、新惑星が発見された後発見された新元素には惑星の名前が由来となること。(冥王星(プルートー)発見後の元素は悪名高き名前(プルトニウム)になったことなど、一般人にも分かりやすいプチ知識も。
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最近、図鑑を読んで仕入れた知識をひけらかしてくる息子が『冥王星は惑星じゃなくて準惑星』なんて話しかけてきた。確かにそんなニュース合ったなぁとか思っていた矢先に出会った本。
冥王星が太陽系の惑星から外れることになる経緯が、天文学者である筆者の私生活と共に語られている。詳細な説明よりも、基本は物語として書かれており、数式がたくさん出てきて投げ出したくなる、なんて事がないのが良い。
この本に出てきたエリスを始めとする星星を正直知らなかったのだが、驚くことに息子の図鑑には載っていた!
息子が大人になる頃には、この図鑑の内容が変わるような発見があるのかなぁ。
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太陽系「第10の惑星」を発見したことで、冥王星を惑星の座から引きずり下ろすことになった天文学者のドキュメンタリー。どんな社会も、人が集まると感情や利害が絡まり合って、面倒くさくなるもんなのね。
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【レビュー】
ビジネス誌の書評で紹介されていたゆえ読んだが、確かに面白かった。子育てのあたりなどは飛ばし読みしたが、本書を一言で描写するとすれば「事実は小説よりも奇なり」であろう。
【特記事項】
・赤ん坊は言葉を話せないうちから意思を伝える準備はできているのだが、ただ発声器官が発達していないゆえ意志疎通できないだけ。手話を教えるとコミュニケートできる。
・定義なんてどうてもいい、という人もいるが、そうではない。科学は、発見物を分類していく営みがあるが、それには定義が必要。しかし、言葉尻を重視する定義ではなく、初めに「概念」あり、次いでそれを言語化する「定義」がある。
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2006年、冥王星は惑星から準惑星へと格下げにあいました。
その際、本書の著者、カリフォルニア工科大学マイク・ブラウン教授は自らの「第10惑星発見」の功績を犠牲に、冥王星(と¨第10惑星¨)は惑星とは言えないと主張しました。
そしてその結果、今ではこの冥王星格下げの立役者と見なされ、gizmodoの記事(信念を貫き、冥王星を惑星から外した天文学者へのインタビュー。)によれば、愛娘に
娘は、私が冥王星killerであるということとkilerは悪い人であるということから、私のことを悪い人だと思って腹を立てているよ。
と言った扱いを受けている有様です。
本書は、世間の冥王星ファンに激しくクレームをつけられるのを危惧しつつも、また何より太陽系の新惑星発見と言う天文史に確実に名を残す業績を犠牲にしてまでも、冥王星は惑星ではないと主張した当人による、自らの研究キャリアや私生活、そして冥王星格下げに結びついた一連の流れを解説した本です。
本書のテーマは天文学関連のものですが、本文中の随所でその時折の著者の私生活についても触れており(特に第8章は全て、生後間もない愛娘の育児について記述)、決して固い本ではなく生き生きとしたストーリーとなっています。
では前置きはこの位にして簡単に内容紹介を。
アポロ計画時代、ロケット産業の街、アラバマ州のハンツヴィルで生まれ育った著者。
その後、星に魅了されて天文学の道へ。
天文学者としてのキャリアを、(少なくとも当時の)学会の常識に反して太陽系の新惑星発見に賭け、戸惑い迷いながらもクワオアー、セドア、ハウメア、エリスの4つのカイパーベルト天体を発見する。
また私生活でも結婚、愛娘の誕生と吉報が続くも、セドア命名時のトラブルを切っ掛けにインターネット上で著者に対して徹底的な批判を加えたグループの一部メンバーによって、著者のハウメア発見の業績が奪われかけると言った災難にも見舞われる。
そして2006年、著者は筋を通して自らが発見したエリスは惑星ではないと主張し、冥王星もろともこの天体も惑星では無いと決定される。
この他にも、(上でも触れた)第8章まるまる使った生後間もない愛娘の育児記録では、育児に夢中になるあまり、
妻がミルクをあげると黒、著者の時は青。娘がむずかっている時は赤、ご機嫌の時は緑と言った風にグラフに色を塗ったり、
睡眠の回数、ミルクの回数、泣き出す回数、一日の睡眠時間、一日のミルクの量と言ったデータをとってまとめ、統計的な相関関係を求めようとした。
"
#これらの情報はインターネット(www.lilahbrown.com)で公開中"
冷凍保存していた妻から搾乳した母乳の管理が高じて、母乳供給量データーベースまで作成。
妻に「頭おかしいんじゃない? ほかにやることないの?」と言われる。
と言った様子が書かれています。
"この様な文章を読むと、「まったく科学者ときたら・・・」と呆れられるかもしれませんが、本書の記載によると、あるイギリス人から「子供の夜泣き等���悩まされ、先行きが見えない育児生活に疲れた時、子育ての詳細なデータが載っているこのサイトを見て助かった」と言った趣旨の感謝のメールが届いたとの事で、この種の厳密な育児データは役に立つ様です。
"
この様に著者のキャラクターが全面に出ている本書。
(上記しましたが)生き生きとした文章でつづられていますので、科学と聞くと頭が痛くなると言う方でも楽しめるのではないかと思います。
興味をお感じになれば、お時間のある時にでも一読をしてみては如何がでしょうか?
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著者の科学的にフェアな態度に感服。自分が「発見した」星が惑星でないのなら、冥王星も惑星ではない、と道連れにしてしまった記録。
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思ったほどには楽しめませんでした。
内容は大変興味深いのですが、
・文章が冗長なことと、
・私のような、予備知識があまりない読者向けに分かりやすい解説(例えば図表とか)が今ひとつされていないこと
が今ひとつ読みづらい原因かと。
逆に太陽系や冥王星について充分に予備知識のある方にはこれで良いのかも知れません。
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2006年に太陽系の第九惑星であった冥王星が惑星から準惑星へと格下げされたことは記憶に新しいと思います。
その原因ともなった第十惑星と騒がれたエリスの発見者本人が書いた本です。
冥王星格下げの裏話、天文学者という職業の生活、新しい天体の発見とそのために費やした労力、といったものが面白く書いてあります。
一般人からしたら冥王星が惑星じゃなくなった、ふーん。
程度の認識ですが、そこには色々な出来事があり、事件や陰謀(?)もあったんですね。
勘違いで大騒ぎしたり、発見を横取りされそうになったり・・・
発見を精密に検査してから確実な論文にして発表するのと、第一発見者が命名権を得ることから横取りされる前にいち早く発表しようというジレンマがあったり。
命名の仕方とかもすごく運命めいたものを感じずにはいられません。
そんな科学者としての一面だけじゃなく、一父親としての私生活も興味深く書いてあって面白いです。
育児日記のところとか最高ですねw
話自体が興味深く、それをユーモアたっぷりに書いてあって面白かったです。
映画になりそうな感じでした。