紙の本
サイエンスの初学に
2015/12/05 21:06
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:森のくまさんか? - この投稿者のレビュー一覧を見る
マイケル・ファラデー先生の晩年に行ったクリスマス講演の議事録チックな内容。
ロウソク1本の炎から サイエンスが始まり
堅苦しい数式なんかはない。
大英帝国の懐の深さを感じた。
小学生も十分読めると思います。
紙の本
一本のロウソクの炎がやがては人類の未来を明るく照らす灯台の光となるのだ!
2019/06/13 19:45
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般大衆(素人)向けに難しい科学現象を易しい言葉で伝えることに、齢70歳(古希)のマイケル・ファラデーは、用意周到な下準備と工夫を重ねた実験を通じてこれを成し遂げた。
読者を驚かせるのは、先ず、目には見えない空気の成分(水素、酸素、窒素、二酸化炭素)を巧みな実験で可視化(見える化)している点だろう。
19世紀半ばの娯楽が少なかった時代には、ファラデーのような科学者が最新「科学」の意義と恩恵を解説してくれる講義が何よりの娯楽であり、不思議をもたらす科学者こそが憧れの的(スーパースター)だったに違いない。
次に、大老暗殺(桜田門外の変)の翌年(文久元年、1861年)の講演会なのに、日本のロウソク(和蝋燭)が登場している点だ。
木と紙でできた建物内で主に仏儀に用いられる和蝋燭には、風で炎が消えぬように(縁起が悪いから)中空の芯構造を採って空気の通り道とする工夫が施されていることを学べるのだ。
更に、「化学親和力」(元素の組合せで強弱が示される化合力)や「毛管引力」(表面張力)といった用語や電池、電灯、写真の様式に発展化学の歴史が感じられる点だ。
本書(全6回のクリスマス講演記録)は、一本のロウソクの炎がやがては人類の未来を明るく照らす灯台の光となると信じた科学者の揺るぎない信念と情熱を教えてくれる。
序文末尾のW.クルックスの言葉(「科学のともし火は燃えあがらねばならぬ。炎よ行け。」)も、ファラデー終演の言葉(「皆さんが、ロウソクのように皆さんのまわりの人びとに対して光となって輝やいていただきたい」)も、ロウソクの美に魅せられし者の熱き情熱そのものだ。
紙の本
読みやすいです
2022/05/31 06:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るい - この投稿者のレビュー一覧を見る
個人的には説明文としては、かなり読みやすい方だと感じました。一方的ではなく、相手を納得させながら話しを進めて行っていると感じました。
紙の本
読みにくいところが残念
2018/05/04 11:53
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わかりやすく実験しながらの講演記録であるが、講演の内容をそのまま訳しているので想像力が必要で理系に興味のある人でないとわかりにくい。図や動画を見ながらであれば大変興味をそそる内容だとは思う。科学に興味を持ってもらうに良い教材だとは思う。
紙の本
☆科学好きを増やす1冊☆
2022/11/24 22:38
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロンドンの貧しい鍛冶屋の家に生まれたファラデーは、1本のロウソクを用いて科学と自然、人間との深い交わりを伝えます。
子供たちへの慈愛に満ちた語りと鮮やかな実験の数々で、科学の面白さ、人類の未来をも照らし出します。
1本のロウソクに火を点せば、深遠な科学の世界への扉が開く。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱーぷる - この投稿者のレビュー一覧を見る
本を読みながら、サイエンスを学べることが良いなと思いました。中学生頃に学んだことが、書いてあったりしたので、思い出しながら読むことができました。
電子書籍
読みづらい
2022/06/01 15:15
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投稿者:ku - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の中盤は口頭で解説しながら実験をしているので、頭の中に絵を思い浮かべないと難しい。
難しく感じるのは和訳にも問題?
もし子供が読むのなら、漫画版の方をおすすめします。
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ノーベル賞が決まった吉野彰さんの「科学への興味を持っ原点」となった運命の一冊。2016年にもノーベル生理学・医学賞を受賞した大隈良典さんが科学を志す切っ掛けになったと明かして注目されました。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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面白い!でも読みにくくて分かりにくい!文章じゃなく実際に講演を聞いてみたい!と思わされた。かの有名なファラデーが晩年に行った一般向けの演示実験付き講演の記録。
翻訳の問題も少しはあるけど、そもそも、ファラデーが助手を使いながら演示実験をしながら行った講演をほぼそのまま口述筆記した内容なので、簡単な実験装置の図があると言っても、読むだけでは理解が難しい。こんな講演を自分で出来たらいいなぁとは思うが、かなりの準備は必要だな。
物が燃えて光るとはどう言うことなのか、正直今まで正確には理解していなかった。燃料としてはなぜ常に石炭や木炭、石油などの炭素系が使われるのか。深い。
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中身は要するに、
水から水素と酸素が取り出せるよ、
もの燃やしたら二酸化炭素ができるよ、
とか、中学生レベルの話なんだけど、
翻訳が古いからか、
私の頭が理科苦手だったからか、
うまくその場面を想像できなくて読み進めるのに苦労した。
実験の流れを説明する挿絵がもう少し多ければ、
もっとわかりやすいのかなあ。
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本書の読者のうちのいくたりかは、知識の蓄積を増すことに一生を捧げることであろう。科学のともし火は燃えあがらねばならぬ。
炎よ行け。
タリウムの発見や陰極線の研究に業績を残したウィリアム=クルックスが寄せる序文の熱さがこの本の魅力的なことを約束する。
マイケル=ファラデーによって、1861年末のクリスマス休暇に、ロンドンの王立研究所で行われた連続6回の講演の記録。一本のロウソクの物語。
カドフェス最強決定戦2017ラインナップ作品となっております。
KADOKAWAさんの文芸情報サイト『カドブン(https://kadobun.jp/)』にて、書評を書かせていただきました。
https://kadobun.jp/reviews/187
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たった一本のロウソクをめぐりながら、ファラデーはその種類、製法、燃焼、生成物質を語ることによって、自然との深い交わりを伝える。大科学者18世紀のファラデーの講演記録。
このほどノーベル医学生理学賞を受賞した大隅教授の愛読書で一躍ベストセラーになったので読んでみた。子ども相手に眼前で実験をした講演の記述(ご覧のように…的な)のため、残念ながら想像力が追いつかなかった。「19世紀の子供向け」の講演なのに「20世紀の純・文系」の私にはレベルが高すぎた。後半に入ったところで断念。
(E)
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【本の内容】
「この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいくらいです」
ロンドンの貧しい鍛冶屋の家に生まれたファラデーは、1本のロウソクを用いて科学と自然、人間との深い交わりを伝えようとする。
子供たちへの慈愛に満ちた語りと鮮やかな実験の数々は、科学の面白さ、そして人類の未来をも照らしだす。
時を超えて読者の胸を打つ感動的名著。
[ 目次 ]
第1講 一本のロウソク―その炎・原料・構造・運動・明るさ
第2講 一本のロウソク―その炎の明るさ・燃焼に必要な空気・水の生成
第3講 生成物―燃焼からの水・水の性質・化合物・水素
第4講 ロウソクのなかの水素―燃えて水になる・水のもう一つの成分・酸素
第5講 空気中に存在する酸素・大気の性質・その特性・ロウソクのそのほかの生成物・二酸化炭素・その特性
第6講 炭素すなわち木炭・石炭ガス・呼吸および呼吸とロウソクの燃焼との類似・結び
[ POP ]
化学式や物理法則に悩んで「文系コース」に逃げ込んだ身には、科学に「どーせ、わかんないわよ」という恨みがある。
本書は、そんな思い込みを鮮やかに覆す。
150年前のクリスマス休暇、「科学の父」ファラデーによりロンドンの王立研究所で開かれた少年少女向け科学講演の記録。
ロウソクはなぜ燃えるのか、燃えた後に残るものとは――。
実験を通じ、燃焼という化学反応を水素、炭素、酸素が織りなす「ロウソクの身の上話」として語っていく。
貧しい鍛冶屋に生まれ、苦学して電気分解や電磁誘導の法則を発見した「自然の探究者」はこの時、70歳。
「ひとりの青年」と自己紹介して聴衆に親しく接し、物質の燃焼が、生命の燃焼としての呼吸と同じ作用であることをそっと指摘して、講演を終える。
自然の法則への驚嘆と感動が静かに胸を満たす瞬間だ。
クリスマス講演は英国で今も続き、日本では研究者と専門外の人々とをつなぐ「科学コミュニケーション」が注目を集める。
偉大な科学の語り部に敬意を表し、今夜は、ロウソクに火を灯してみよう。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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今年のノーベル化学賞に選ばれた旭化成の名誉フェロー、吉野彰氏。彼が言及したことによって、ふたたび注目を集めた本がある。古典的名作、『ロウソクの科学』だ。
本書に収録されているのは、「ファラデーの法則」で知られるファラデーの、クリスマス講演の内容である。ファラデーは1本のロウソクを通して、科学の面白さ、自然の法則、そして人間同士や人と世界との交わりを伝えている。
読み進めていくうちに、ファラデーの講演の構成がいかに緻密か、気づくことだろう。誰もが見慣れた1本のロウソクから話を広げ、科学的な法則を少しずつ導入し、集まった少年少女たちの知識を少しずつ積み上げていく。普段当たり前のように受け入れている現象の不思議さを説き、その背景にある仕組みへ目を向けさせようとする。実験の内容は、現代の理科の実験でも採用されているものが多数含まれており、少年少女たちの心をつかむような工夫の凝らされた実験も盛りだくさんだ。幼少期に吉野氏が、本書を読んで科学のおもしろさを感じたというのも納得の内容である。
古典的名作ということもあり、現代の読者にはやや読みにくいところや、実験の内容がわかりづらく感じられるところもあるかもしれない。しかしファラデーのメッセージは、現代にも通ずるものだ。学生時代に戻ったつもりで、科学のおもしろさにいま一度浸ってみてはいかがだろうか。
要点1:私たちの身近にある1本のロウソクには、この宇宙を支配するすべての法則にかかわりがあると言っても過言ではないほど、たくさんの科学的な現象が起こっている。
要点2:当たり前だと思って見過ごしてしまうような現象にも、たくさんの不思議が隠れている。それを見つけ、考える視点を持つことが重要だ。
要点3:ロウソクのように周りを明るくし、人とかかわりを持ちながら、自分の義務をはたす人間になってほしい。それがロウソクを使った講演を行った著者からのメッセージだ。
1本のロウソクが教えてくれること
宇宙を支配する法則を見せてくれるロウソク
この宇宙を支配する法則のうち、ロウソクが見せてくれる現象に関わりがないものは1つもないくらいだ――ファラデーは講演に集まった少年少女たちにそう語りかけ、実験を始める。誰もが身近に感じられるだろうロウソクを題材に、聴衆に科学を親しみやすい形で見せようとしたのだろう。
普段何気なく目にしているロウソクだが、石油ランプと比較して燃え方を考えてみると不思議なことに気がつく。石油を油つぼにいれ、そのなかに芯をたてて火を灯す石油ランプでは、炎は芯をつたって下にいき、油の表面で消えている。考えてみれば、油自身は燃えないのに、芯の上だけは燃えるのは不思議ではないだろうか。
ロウソクではもっと不思議なことが起こっている。ロウは固体であり、液体と違って動くことができない。それなのにどうしてロウは、炎のところまで上っていって燃えることができるのだろうか。
不思議な現象に目を向け、原因を理解する
この不思議な現象について、ファラデーは次のように解説する。火をつけたロウソクをじっくりと観察してみると、ロウソクの先端部分がくぼんでいくことに気づくはずだ。あたかもきれいなカップのように。
ロウソクの周りの空気は、炎の熱で温められる。熱せられた空気は上へ動く。そうすると、ロウのヘリの部分には熱せられる前の空気が入り込み、ロウソクの中心部よりもへりの部分のほうが低温に保たれることになる。その結果、カップの内側の部分が溶ける一方で、外の周りの部分は溶けない状態になる。ロウソクの先端部分にできたカップは、規則正しい上昇気流によって形作られているのである。
しかし風によってロウが外側に流れ出したり、装飾が施されたりして不規則になったロウソクは、上昇気流が均一ではなくなり、燃え方が悪くなる。火の灯らないロウソクはいくら美しく装飾が施されていたとしても失敗作だと言えよう。
ファラデーは飾りロウソクの設計者のこのような失敗を例にあげ、やってみなければえられないような性質の教訓について、「何が原因だろうか」「何でこんなことが起きるのだろうか」と疑問を持つことの大切さを呼びかけた。
毛細管現象で上へとのぼる液体
ロウソクのさらなる謎は、溶けて液体となったロウがどうやってカップから出て芯を上り、炎の燃料となることができるのかということだ。
ファラデーは食塩を使用した実験で、毛管引力(毛細管現象)について説明を行う。食塩の山と青く染めた食塩水を用意し、食塩水を食塩の皿の上へと注ぐ。すると青い液体は食塩の山をのぼり、食塩は青く染まっていったのだった。
これは管状の物体の中を液体が登っていく、毛管引力によるものだ。私たちがタオルで手を拭くことができるのも、毛管引力のはたらきによるものである。身近で当たり前に感じられるような現象でも、理由を考えてみると不思議に思えるものがある。それをなぜと考えるのは、とても重要なことなのだ。
燃焼で消えるロウソクと、新たな生成物
ロウソクはどこへ消えるのか
ロウソクは燃えるとだんだん短くなっていき、最後には姿を消してしまう。いったいロウソクはどこへ消えるのだろうか。
ファラデーはロウソクとガラスの曲管、フラスコを用意し実験を行った。ロウソクの炎の中心に、ガラス管の端を差し込む。ガラス管の反対端には、フラスコを置いておく。そうするとフラスコには、炎から発生した何かがたまっていく。その正体はロウソクの燃料物質が蒸気になったものだ。
さらにファラデーは、ロウソクの炎の中心にガラス管を差し込み、ガラス管の反対側に火をつけた。するとロウソクから離れたところに、ロウソクの炎と同じ炎をつくることができた。つまりロウソクに火が灯るとき、蒸気の生成と蒸気の燃焼が起こっているのである。
ちなみにロウソクの熱がどこにあるかを調べるため、ロウソクの炎の中心に紙テープを差し込むと、炎の外側にあたる部分の2箇所が焦げて、中央ではほとんど焦げなかった。このことから化学反応が起こって熱が高まるのは、ロウソクの炎の外側ということがわかる。
燃えるとできる水
ロウソクの燃焼の結果として、ある種の生成物が出る。それははたしてどれくらいの量なのか。それを示すために、ファラデーは熱気球船を用意した。
燃料となるアルコールを入れた皿をロウソクのカップに見立て、その���に煙突のように管をかぶせる。燃料に火をつけると、燃焼の生成物は管の上から出てくる。この生成物は、ロウソクの燃焼であらわれるのと同じ物質だ。煙突の上に風船をかぶせると、たちまちふくらむ。そして風船は上へとのぼっていく。燃焼によって多量の物質が発生したというわけだ。
ただロウソクの燃焼の場合、ほかにも生成物が出る。生成物のなかの凝結性の部分の正体は、ただの水だ。氷と食塩を入れた器の下でロウソクを燃やす。するとそこにはロウソクから出てきて凝結した水を観察できる。可燃性の物質は、燃焼によって水をつくるのだ。この炎から出てくる水は、いったいどこからきたのだろうか。
水はロウソクの中にあったわけでも、空気中にあったわけでもない。空気中にある酸素と、ロウソクに含まれている水素原子が合わさって水になったのである。
ロウソクにまつわる気体酸素を「テストガス」で可視化する
水を電気分解すると、水素と酸素ができる。そのことを実験で示したあと、ファラデーは空気と酸素の違いについて検討する。空気中にも酸素が含まれているが、ロウソクの炎は空気中と酸素中で燃え方が異なる。酸素中のほうが、ものはよく燃える。
ファラデーは一酸化窒素を用意し、酸素の有無を可視化した。一酸化窒素は酸素と反応すると赤褐色になる。空気中にも酸素が含まれているので、一酸化窒素と空気を反応させると、やはり赤褐色の二酸化窒素になる。
だが空気の入った瓶と酸素だけを入れた瓶を用意して、一酸化窒素と反応させると、どちらも赤くなるが色の濃さが異なってくる。空気には窒素という、酸素以外のものが含まれているのだ。
空気中の窒素の割合は、酸素よりもはるかに大きく、風変わりな性質を持っている。水素は自分で燃え、酸素は小ロウソクを燃やすことができるが、窒素はすべての物質の燃焼を妨げる。においもなく、水にも溶けず、酸でもアルカリでもない。一見するとつまらない性質のように思えるが、だからこそロウソクからたちのぼるニオイや煙を運び去ることができる。また植物を養うことで、人類に対して恩恵をもたらしてくれる。
燃焼で得られるもう1つの生成物
ロウソクを燃やすとさまざまなものができる。これまでの実験では水に着目していたが、他のものは空中に逃してしまっていた。今度はこの逃したものについて調べてみる。
火のついたロウソクの上に、煙突のような容器をかぶせ、上からも下からも空気が出られるようにしておく。煙突の上から出てくる気体のそばへ別の火を近づけていくと、火は消えてしまう。
そこで今度は空の瓶を燃えているロウソクの上にかぶせ、ロウソクの燃焼で得られた生成物を瓶に集めることにする。ファラデーが石灰水をつくり、ロウソクから得られた気体の入ったビンに入れたところ、石灰水は白く濁った。これはロウソクから出てきた気体が、二酸化炭素であったことを示している。
燃えてできる炭素の行方
酸素が足りなくてロウソクが不完全燃焼をするときは煙、すなわち炭素が出て、完全燃焼をするときには炭素は出ない。海綿にテンピン油を染み込ませ、それに火をつけると、煙が立ちのぼる。それを酸素で満たしたフラスコのなかに入れると、煙はすっかりおさまる。
酸素や空気の中で燃えた炭素は、二酸化炭素になって出ていく。だが燃えるのに十分な酸素がないとき、炭素は煙になって外に出ていくのだ。
【必読ポイント!】 私たちと世界の関わり
ロウソクの燃焼と私たちの体
ロウソクの燃焼と、私たちの体の中で起こっている現象にも、似たところがある。ファラデーは2つのガラス管を用意し、トンネルのような溝で2つの管を繋いだ装置を用意した。一方の管には火のついたロウソクを入れ、一方からは呼気を吹き込めるように穴が開いている。
管に息を吹き込むと、ロウソクの火は消えてしまった。これは火を息で直接吹き消したのではない。呼気を送り込んだことによって酸素が足りなくなり、その結果として火が消えたのだ。
石灰水に呼気を吹き込むと、白く濁る。私たちは呼吸によって二酸化炭素を出している。ロウソクの燃焼と私たちの呼吸、どちらも二酸化炭素を生成するという点で共通しているのはおもしろいことだ。
1本のロウソクになるべし
ロンドンでは、24時間に住民の呼吸だけで548トンほどの二酸化炭素がつくられているのだという。これがもしそのまま溜まっていけば、私たちは呼吸をすることができなくなる。しかし呼吸によって生じた変化は、地球の表面上に生成する草木にとっては生命そのものである。水の中の魚も、空気から水に溶け込んだ酸素で呼吸をしている。
ファラデーは講演の最後に、生きとし生けるものすべてと自分につながりがあるのだと語る。そして聴衆に「1本のロウソクにたとえられるのにふさわしい人になってほしい」と呼びかけるのである。ロウソクのように、まわりの人の光となって輝き、自分の活動を通して、ともに生きる人たちに対する義務を果たしてほしいのだと。
ファラデーの実験と講演は、こうして幕を閉じた。
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マイケル・ファラデー(1791~1867)が、ロンドン王立研究所で行った講演の記録。
ロウソクを通して、様々な化学のテーマ・歴史に切り込む。