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モノのデザインと機能の関係性とか、モノを使う人と作る人の関係性とか、ものづくりの話で本質中の本質みたいな話ばかりが次々と出てきて、とにかく、圧倒されてしまいました。久しぶりにこんな骨太ノンフィクションが読めてよかった。Amazonでレビューが1件もないのはあまり売れてないから・・・?
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それこそ「リアル」読んでるみたいに面白くて一気読み。これ原作に漫画にすればいいんじゃね?
人が困難に直面しても前向きに生きてる姿は素直に勇気づけられる。
出てくる義足は、美しすぎた。ワンピースから出てる義足が生足よりキレイ。
本人どんだけ嬉しかったやろかと思うとまた感動。
こんなに想像もつかん、先の見えなさすぎるプロジェクトをがんがん進める統率力がすごい。今までにないものを作るっていう困難さを乗り越えて行く経過を読んでると、関係ないけど自分の仕事にやる気出てきた(笑)。いい本。
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Suicaのカード読み取り部の角度を決めた山中さんの話。スポーツ用義足にデザインを融合させるまでの顛末を綴っている。
この人の本を読むと「デザイン」の概念が変わります。見た目がかっこいいだけじゃない、本当の「デザイン」に触れられる本に仕上がってます。
この本気に入った人は是非「かたちだけの愛」も読むといいですね笑
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ロンドン5輪の400mで、義足で走っていたランナーがいた。
テレビでも報道されていたので、見た人も多いと思う。
惜しくも決勝には進めなかったが、あのランナーを数年前にみて、
ランニング用の義足をデザインしようと思い立った人がいる。
SuicaのICカード改札機を13.5度でデザインした著者である。
この本には、義足ランナー達と出会い、義足にまつわるを様々な関係者と
ランニングや自転車用の義足をデザインし、
開発していく過程が書きつづられている。
義足の人たちの苦労、作る人たちの苦労、学生の苦労などが、
伝わってきて、目頭が熱くなる。
デザインとは何か、機能美とは何かを考えさせられるとともに、
ランナーのはしくれとして、走れることの幸せも感じる。
この本の中でデザインされた義足で、パラリンピックを走る人たちがいる。
一読されれば、テレビを見る目が変わると思う。
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プロダクトデザインって凄い。デザインって目でみたとき、山中氏がスポーツ義肢を知ったときの「便利などという次元を超えてしまった人と物との共存関係がそこにある」の言葉は印象的。なんか圧倒的過ぎて、、、自分の分野のデザインてなんのためにあるのかとか、あらためてもっかい自分の仕事でなにができるのかとか考えてみたい。何度考えてもタスクに流されるんだけど、何度も考えてかないとほんとに処理班になるなとおもった。
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山中さんは、Suicaの自動改札機のデザインなどで有名な、日本を
代表する工業デザイナー。工学部の出自故か、機能性と審美性を兼
ね備えたデザインを得意とする方です。
本書は、そんな山中さんが、学生たちとともに、競技用義足のデザ
イン開発に取り組んだ三年間の記録です。まだ現在進行形中のこの
プロジェクトの成果である義足を見たことがありますが、それは本
当に美しく、義足とデザインの出会いに大きな可能性を感じさせる
ものでした。何より、「売れるためのデザイン」ではない、「人の
幸せのためのデザイン」の可能性がそこにはありました。
競技用義足のことを知り、最初は、恐る恐る障がい者スポーツや義
足づくりの現場に入っていった山中さんと学生達は、デザインのこ
とを語ってはいけないような雰囲気がある一方で、「必要とされる
デザイン」があることも知ります。デザインができることがある、
デザインにも役割がある、ということを確信した時に山中さんが学
生達に語る「宝物を見つけたと思う。だれも手をつけていない宝石
の原石のような物だ」という言葉が印象的です。
宝石の原石を磨き上げていくそのプロセスは、しかし、苦難の連続
でした。何よりも障がい者スポーツのことを理解しないといけない。
山中さんは、現場に通い、スケッチをすることで、その理解に努め
ます。絵を描くことで物事を理解する、という方法があったんだと
デザイナーならではの方法論に目を見開かされる思いがしました。
本書が問うているのは、大量生産ではなく、個人に焦点を当てたも
のづくりの可能性です。デザインは大量生産の申し子ですが、これ
からのものづくりは、企業の都合ではなく、一人一人の都合に合わ
せたものでなければいけません。すっかり使い古された感のある言
葉ですが、多様性(ダイバーシティ)こそが、これからのものづく
りやデザインの目指すべきもので、それがいかに大変なことである
か、ということ共に、それがいかに素晴らしく可能性に満ちた領域
であるか、ということも本書は教えてくれます。
義足の二大メーカーは、ドイツとアイスランドのメーカーだそうで
す。福祉機器というと、どうしてもヨーロッパですね。戦争で不具
になった方が多いアメリカでも研究開発は進んでいますが、日本は
この分野はとても遅れています。本書執筆時点(2012年)では、
義足に保険の適用もありません。ものづくり大国日本と言っても、
それは健常者に向けたものづくりの世界であって、マイノリティに
対しては、日本は圧倒的に遅れています。
その遅れを取り戻すチャンスが、2020年のオリンピック・パラリン
ピックだと井上は考えています。パラリンピックが、これまでにな
く注目される大会になるでしょうから、何としても、そこに向けて
福祉機器や障がい者スポーツを支える義肢・義足産業をもりたてて
いきたいものですね。
これからのものづくりのあり方だけでなく、障がい者との向き合い
方も考えさせてくれる一冊です。是非、読んでみて下さい。
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▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)
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手足を失った人のことを医学用語ではストレートに「切断者」とい
う。
多くの義足アスリートたちは、日常的にも義足であることを隠さな
くなるという。それは切断者が自然に社会に溶け込み、社会が切断
者を受け入れるための精神的な基盤を形成する。
すぐれたデザインは、どんな場面でも、人の気持ちを少し明るくす
るのだ。それは大きな力ではないかもしれないが、決して無力では
ない。素敵なデザインの義足は、きっと切断者たちを少し前向きに
することができる。それは小さなきっかけかもしれないが、大きな
成果となりうる。周囲の人が気持ちよく眺められる義足をつくるこ
と、それにはきっと意味があるに違いない。
デザインのない大地がここにある。しかもここにいる住人たちに求
められている。
私が義足のデザインに踏み込んだのは、最初は好奇心だったと思う。
そこには何か、見たことのない人とモノとのかかわりがあるように
思えた。「おもしろい」と表現すればそれを不謹慎という人がいる
かもしれない。しかし、好奇心こそは人が真実を知り、何かを成し
遂げるための基本的な動機であり、興味をもつということは無関心
よりも、対象への愛情を示す行為だと思う。
この日を境に、義足デザインプロジェクトはその動機において、迷
いのないプロジェクトに変わっていく。
ここにはデザインが入り込んでいないという感触以上に、デザイン
を黙殺してきたような雰囲気があった。そんななかで、少しだけよ
くデザインされた義足を見ることができたが、それらは思った通り
外国製だった。
日本ではたとえば交通安全や医療など人の生死にかかわる場面では、
デザインはむしろ「不謹慎なもの」として軽視されてきた傾向があ
る。
決して普通の足には見えないオスカー・ピストリウスのスポーツ用
義足は、「外観を人の体に似せること」から解放されているように
見えたのだ。
「個人的には大切だと思うが、現実にはなかなか…」という話を聞
くと、関係者がそうしたいと思っているなら、なんとかなるのでは
ないかと思ってしまう。実際、そういう場面では、ある条件さえ取
っ払ってしまえば急に見通しがよくなるものだ。
まだだれもほんとうに「かっこいい義足」「美しい義足」に接した
ことがない。それが登場しさえすれば、何かが変化する。
まったく新しいものは、それが提示されてその価値を初めて認める
ことができる。
「両足義足なので、人間の足の形をしていなくてもいい。人間の足
の形よりももっと効率のいい形があるなら、そうするのが一番いい」
(藤田柾樹選手)
「この義足を使うようになってから、友人たちが義足について聞い
てくるようになりました。以前は目の前にむき出しの義足があって
も、まるでそれが見えていないかのようにしていた友人たちが、こ
の義足を見ると『義足で走るってどんな感じ?』とか、『どういう
仕組みになってるの?』とか素直に聞いてくるようになったんです。
それがうれしくて」
デザインは、周りの人の気持ちを変えることができる。私たちが施
した色や形の工夫が、これについても話していいんだよ、という声
を周囲に発している。
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●[2]編集後記
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いよいよ今年も残りわずかとなりました。
今年は何かと変化の多い年でした。長年住んだ東京を離れて、神奈
川の縁もゆかりもない田舎町に引っ越したことは何よりも大きな変
化でした。
山と海に囲まれた小さな町なので、自然や地域の人々とのつながり
を感じるようになりました。東京にいた頃は、仕事の時間か家族と
の時間が中心だったのに、そこに地域の人々との時間や自然の中で
過ごす時間が加わりました。おかげで何だかやたらと忙しくなりま
したが、つながるものが増えるほど、自分は安定してくるんだなと
いうことも感じています。
変化への対応に追われ、何をなした一年かよくわからないけれど、
嬉しいこと、ワクワクすることも多かったし、いい方向に向かって
いるんだろうなと思います。
何かをなしたのは実は妻のほうで、先日、ついに地元に鍼灸院を開
業しました。女性による、女性のための鍼灸院です。東海道線で東
京から1時間ちょっとの二宮という町です。観光がてらお灸の体験、
いかがでしょうか?
そんなこんなで変化の多い一年ももうじき終わり。変化への対応は
今年限りにして、来年は、飛躍の年にしたいものです(毎年、言っ
てるか…)。
本年は今日が最後の配信になります。いつもお読み頂き、有り難う
ございます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
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最初の頃は読みたかった内容と違い、義足をデザインする側の内容だったので、『失敗したかな?』と思ったが、スラスラ読めた位興味深いものだった。
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編集者が優秀なのか、それとも著者の文章力が優れているのかわからないが、若い人たちにも非常に読みやすく仕上げられている。
ここに書かれているプロジェクトに参加出来た学生は、その幸運に感謝すべきだ。デザインするコトを生業に出来たとしても、このプロジェクトを通して得たものと同等の経験をする事はなかなかないからだ。
この本は、アスリート用義足をデザインする事を題材としながら、デザインの本質を学ぶ事のできるものとなっている。
更に、この義足を必要とする人たちの「生の声」を届けてくれる。かつて通勤電車の中で文字が滲んだ本はなかなか無いが、ここには随所に散りばめられている。それは意図的なものではなく、ここに登場する人たちの素直な感想、真摯な態度が感じさせる結果である。
この本は、デザインに関わる人と、これから様々な人に接する事になる若い人達にぜひ読んでもらいたい一冊である。
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デザイン とは こういう場面だからこそ
必要なんだ
デザイン は 単なる 格好 を越えて
それを必要とする人への 生き方 なのです
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かっこいいものにはみんな惹かれる。それは車だろうと自転車だろうと義足だろうと同じことだ。義足にデザインの要素を取り入れようと乗りだした大学の研究室の話。義足にデザインの要素を取り入れたことで、義足が「触れてはならない話題」から「自然に話題にできること」になった。すごい。
デザインの話自体もまったく門外漢の私にも面白いし、義足をデザインすることによって、ただ見かけが美しくなるだけじゃない効果が得られる過程もおもしろい。
たくさんの失敗があり、まだ成功と呼べる結果が出たわけでもないけれど、未来への希望が見える。
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非常に面白い。
義肢製作ということを通して、デザインという仕事がいかにして進められていくのか。デザインとはなにか。デザインにできることとは。デザインと人の関わりといったことがなんとなく見えてくるような気がする。
今デザインを学んでる人、これからデザインを学ぼうと思ってる人、そういう人には是非読んで欲しいと思った。
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「あ、結構、重いんですね。もっと軽いのかと思っていました」
はじめて競技用の義足を持たせていただいた時、
思わず、そう言ってしまいました。
義足で走っている人の姿が、とても軽快に見えたため、
義足そのものを、とても軽いものだと思いこんでしまったのです。
自分の足も、片足だけ計量してみたら、それなりの重さがあるはず。
上体を支えて走るわけですから、それほど軽いものではバランスがとれないはず。
軽快な走り=軽い義足
というわけではないのに、
想像力が乏しくて、浅はかなことを言ってしまったなぁ…
と思いました。
義足については、まだ、知らないことが多いのですが、
最近、出版された『カーボン・アスリート』(山中俊治著/白水社)を読みました。
慶応義塾大学の山中教授と学生たちによる
「義足」と「デザイン」という
これまでになかった取り組みの記録です。
この本で、私が気にいったのは、次の記述。
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スティーブ・ジョブスも言うように
「人々は、ほんとうに自分たちが欲しいものを知らない」。
多くの人は目の前に提示されて、
初めて「これが欲しかったんだ!」と声を上げる。
まだだれも本当に「かっこいい義足」「美しい義足」に接したことがない。
それが登場しさえすれば、何かが変化する。
まったく新しいものは、それが提示されてその価値を初めて認めることができる。
もちろん、私たちのつくろうとしているものが「本当に価値あるもの」として受けとめてもらえる保証はないが、つくらない限り何も動かない。
だから、つくるしかない。
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この世の中にない「新しいもの」
でも、おそらく、「これは必要とされている」と信じられる。
だから、つくる。
なのだと思います。
誰のために
何のために、
何をするのか。
人生を豊かにする行動の原点があるように思いました。
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慶応義塾大学SFCキャンパスで行われていた義足デザインに関する研究の記録。研究のプロセス、恐らくとても濃密な時間を過ごしたであろう、選手や学生さんに関する記述もとても興味深かったけれども、それ以上に、なぜデザインが大切なのか、必要なのかを考えさせられた。なお、著者は2020年10月現在、東京大学生産技術研究所に所属されているよう。
オススメ度:
★★★★☆
ふかし芋(図書館職員)
所蔵情報:
品川図書館 501.8/Y34
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No.486
JR自動改札をデザインした山中氏の新たな試み。それが機能美を追求した義足だった。
「デザインの骨格」にも一部紹介されていましたが、今回は義足に着目した背景や、ひととのつながり、デザインへの想い入れなどが詳細に書かれており、デザインが社会貢献できる力を実感しました。
そして実際にプロジェクトから生まれた美しい義足によって、パラリンピックで活躍できた選手のエピソードもあり、義足の認識が大きく変わりました。
元の姿を取り戻すことから離れた答え。それを与えられるのがデザインなんだなと。
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オリンピックはもちろんのこと、パラリンピックに出場した選手たちの活躍はすばらしかった。オリンピック金メダルを上回る記録を出すパラリンピック選手がいるということを知った。競技用義足にデザインと機能性を両立させるプロジェクトを立ち上げた山中氏と学生たちの記録である。