投稿元:
レビューを見る
幸運にして仕事で MIT Media Lab を訪問する機会を得たため、少しでも Media Lab の雰囲気に馴染んでおこうと読んでみた。原著は 2011年、翻訳は 2012年の本なので、もう 6年も前。本当は Media Lab が公開している最新のビデオとか、Media Lab の人々が喋っている TED トークを見た方が情報は up to date なのだが、僕は本から入る体質なのだ。これは Media Lab の三代目所長フランク・モスが Media Lab の現在(当時)、過去に起きた最も印象的なエピソードのうちのいくつかを「イノベーションのスタイル」「我々の未来」という 2つの視点から紹介している一冊。どのエピソードも、楽器として発明したものが、マジックの道具に使われ、エアバッグ・システムの制御装置となり、プロ野球選手のフォームを測定する道具になったというような、セレンディピティに溢れた(しかし、どの応用も後から見れば必然としか思えない)ものばかりだ。話はテクノロジーに留まらず、障害者や貧困、浪費依存といった人間の弱さを解決しようとする試みもたくさんある。
Demo or Die は、著者のフランク・モスが流行らせて有名になった(当代所長の Joi Ito は、これを更に発展させて "Deploy or Die" と言っている)で、Media Lab の学生は自分のアイデアを形にするために、初年度に旋盤や溶接機、レーザーカッターといった道具や電子機器について学ぶ "How to make (almost) anything" というクラスを取るらしい。どんなに良いアイデアであっても、すぐに試してみなくては、死んでしまうのだ。
投稿元:
レビューを見る
第1章 情熱のちから;第2章 学問の消えゆく境界;第3章 難しい遊び;
第4章 必然の偶然;第5章 新しい“正常”;第6章 ともに暮らし、ともに学ぶ;第7章 エージェントの時代;第8章 私はクリエーター
要旨(BOOK):どうやったら実際に作れるのか見当もつかない、世界を変えてしまうインパクトをもったプロダクツを次々と生み出しつづける研究所がある。マサチューセッツ工科大学に設置された、MITメディアラボだ。ここの研究者たちは、けっしてヒモ付きになることなく、グーグル、GM、NECといった企業のバックアップを得て、自由奔放な発想をまるで魔法のように、現実のプロダクツとする。企業が開発費を出し渋る咋今、なぜこのラボだけはそうありつづけられるのか?イノベーションによる革新とビジネスチャンスを追求する人々の関心を惹きつけてやまない研究所の秘密を、長年所長をつとめた著者ならではの視点から明かす待望の書。
著者紹介(NS):【フランク・モス】プリンストン大学卒。MIT大学院修了。IBMなどを経て、チボリシステムズのCEO、会長に就任。起業家。2006~11年MITメディアラボの第3代所長を務め、目下同ラボのニュー・メディア・メディスン ・グループの代表などを務める。
【千葉敏生】1979年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部卒。翻訳家。訳書にリヴィオ「神は数学者か?」ほか
投稿元:
レビューを見る
突き進んで、突き抜けた先に、何があるかわらなくとも、
その見える景色に見出される価値はたくさんある。
自分に見えなくとも、他の人が見出してくることもある。
イノベーションはアイディアと行動から構成されていて、
考えては作る、その連続が新しいモノを生み出しているのだと思う。
連続して走り続けるための基礎筋力は、
いつどこでどうやって作られたのだろうか?
(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○テクノロジーは人々の情報消費、ショッピング、交流スタイルは変えたものの、
気候変動、貧困、慢性病など、人間や社会が抱える真の問題を解決していなかった。(P.45)
○ハーの医師は永久に足が使えないと言った。
しかし、その間違いを証明していく中で、彼はメディアラボでの研究の方向性を決める、
ひとつの事実に気づいた。
障害を抱えているのは”人”ではなく、
本来”障碍者”を支えるはずの”テクノロジー”のほうなのだと。(P.57)
○世界を変えるイノベーションを考え出すコツは、
既知の疑問に対して斬新な解決策を見つけることではなく、
斬新な疑問を投げかけることなのだと信じるようになった。(P.80)
○君たちが住みたくなるような都市とは?
その理想都市にふさわしい自動車を設計するとしたら?(P.96)
○子どもの学習能力が最大限に発揮されるのは、
モノを作りながら積極的に遊んでいるときだと理論付けた。(P.117)
○出席した銀行家たちが、ロイの子どもの言語学習の研究と、
銀行業界の抱える悩みを結び付けるとは、
誰も予想していなかった。(P.142)
○面白いことに、デジタル革命が進むについて、
実店舗での人々の交流を理解することは、
不要になるどころかますます重要になっている。(P.145)
●子どもが言葉を覚えるにつれ、
大人が子どもへの対応の仕方を絶えず調整し続けるという事実を見過ごしていた。
(中略)
ロイの赤ん坊が新しい単語を学ぶと、
三人の大人が自然とその単語を赤ん坊と話すときの語集に含めることがわかった。
ロイはこれを「調整行動」と呼んでおり、
子どもは静的な環境や不変な環境での体験から
言語を学ぶとする主流理論には欠けている概念だと考えている。(P.168)
○ロボットの”キラー・アプリ”は健康と福祉ではないかと思っている(P.216)
○実際、その多くがオートムに感情移入し、
テストの終了後には彼女との別れを惜しんだ。(P.271)
●子供用おもちゃ(P.291、305)
ビートバグ、ミュージックシェーバー、クリケット、ピコクリケット、WeDo
投稿元:
レビューを見る
テクノロジーを牽引するMITメディアラボでイノベーションが生まれ続ける環境を描写し、なぜそれが可能なのかを解説している本。
読むと、自分が過ごした閉鎖的で保守的なT大薬学部とのあまりにも違いに感激してしまう。
学んだこと
-イノベーションを生むには、多様性をミックスし、思いがけない視点から質問をすることが大事
-また、論理が完成したらとりあえず試作品を作り、改良を重ねること
-良いネタができたら、どんどん公表することによって、外部からの良いインプットや、ビジネスに繋がるアイデア、チャンスをもらうこと
-やはり、サービスを受ける顧客の視点に立つことによって、価値あるサービスを提供すること
研究者の人はぜひ一読することをオススメします。
投稿元:
レビューを見る
すげーーー面白い!!!
--
スピーチョムの行動追跡
ルール 1 未来の人々の生活を飛躍的に向上させる可能性のある発明をすること
2 ほかの人とは全く異なる研究をすること
自分の専門分野にとらわれる者などひとりもいない
(コンピュータは)人間や社会が抱える真の課題を解決していなかった
難しい遊び「ハードファン」
失敗という概念はない
バルーン 巧妙な報酬体系、探索ネットワークを効率的に組む
マイノリティ・リポート
「百聞は一プロトタイプにしかず」
アタリ社の由来は囲碁
デモオアダイは学生に積極的な発明を促すための言葉で、そこまで大げさではない
幼稚園こそ最高の学習モデル
レスポンシブエンバイロメント
responsive environment
ポータル、壁にぴったりくっつけられる、世界中の誰もが
投手の肩や手首の動きは早すぎてカメラでとらえられない
ファウルボールとホームランの区別、観客の歓声など
フェイスセンス:SmileMagic
iSetとiCalmを販売、affective社
iRobotもMIT
食べるの早すぎ教えてくれるフォーク
リリーパッドarduino
--
「メディアラボ - 『メディアの未来』を創造する超・頭脳集団の挑戦」
投稿元:
レビューを見る
MITに属するがほぼ独立した研究所のメディアラボ。資金はスポンサー企業が出すが研究内容に口出しはできず発明に対して非独占的な特許権を許諾される。スポンサーリストを見ると日本の大手電機メーカーはほとんどがスポンサーになっている。それだけの価値が有るかどうかは後で紹介するリンク先のビデオを見てもらえばわかると思う。
一般的な学問の境界は無くほとんどが学際的な研究内容になっている。例えば音楽と医療などと言うように。研究者は実際に発明を作ってデモをすることが義務づけられていてDEMO or DIEと呼ばれている。彼らは自分のやっていることを仕事とは呼ばずHard Fun難しい遊びと読んでいる。
次々にイノべーションを生み出す仕組みはセレンディピティ・バイ・デザイン(必然の偶然)と言う考え方に基づき、予想外でランダムな結びつきが起こらざるを得ない様な環境が作られている。違うグループの発明を仕切りの無い同じ場所で作っている巨大なワークショップやそこに訪れる人たちが別の発明を目にするのが一つの例だ。
よくイノベーションを起こせと言う話は聞くが通常の企業内の研究所はむしろイノベーションを起こさない仕組みを作ってるように思う。単に20%ルールで自由に時間が使える程度の話では無さそうだ。
実際の発明についてはHONZレビューに動画がまとめられていたのでこちらをどうぞ。
http://honz.jp/14107
パワーフット、シックスセンスのデモ画像もいいが何と言っても圧巻なのは最後にあるTEDカンファレンスでのダン・エルシーの指揮による演奏。
ダンは脳性麻痺のため顔から下はほとんど動かせないがその動きが何を意味するかをセンサーで読み取ることで曲を作曲し実演した。
原題は「魔法使いとその弟子たち」数年前なら映画の中にしかなかったものが発明されてきている。
参考までにメディアラボとその発明がよく発表されているTEDのHP
http://www.media.mit.edu/
http://www.ted.com/
投稿元:
レビューを見る
MITメディアラボ3代目所長による、研究所と成果の紹介。「すごいな〜」と感心しながら読んでたら、弊社の製品も登場して、瞬間「白髪三千丈の世界なんだな」と感じてテンションだだ下がり。
でも、メディアラボの仕組みとか、身体障害に研究成果は色々と考えさせられる。オススメ。
投稿元:
レビューを見る
最近、月曜の夜11時が待ち遠しくて仕方がない。NHKで「スーパープレゼンテーション」が放映されているからだ。世界が注目するイベント「TEDカンファレンス」を題材に、そのプレゼン手法を学ぶという番組であり、ナビゲーターをMITメディアラボ所長の伊藤 穣一氏が務めている。
そもそも「TEDカンファレンス」自体が面白いのだから、つまらないはずもない。学術、エンターテイメントからデザインまで、様々な分野で未来を切り開こうとする人たちのプレゼンは、毎回驚きがあり本当にわくわくさせられる。
そのTEDカンファレンスに近年数多くのスピーカーを送り込んでいるのが、MITメディアラボである。彼らはどうやったら実際に作れるのか見当もつかないような、世界を変えうるプロダクツを次々と生み出しているのだ。
本書は、そこで生まれてくる大量のイノベーションの中から厳選された20余りの物語が紹介されている、「MIT版TEDカンファレンス」とでも言うべき一冊だ。さらに開発プロセスの舞台裏も、徹底的に掘り下げられている。なにしろ著者は、元MITメディアラボの所長なのだ。
まず初めに、本書で取りあげられている研究のデモ映像をいくつかご覧いただきたい。
◆MITパワーフット<LABCAST #10 Powered Ankle-Foot Prosthesis>
参考リンク http://labcast.media.mit.edu/?p=13
これは金属と炭素の複合材料でできたロボット式の義足であり、高トルクのモーター、内蔵マイクロプロセッサ、環境センサーが搭載されている。ちなみにグループを指導するヒュー・ハー教授自身が、事故で両足を失っておりパワーフットの利用者でもある。
◆フェイスセンス<LABCAST #45 FaceSense>
参考リンク http://labcast.media.mit.edu/?p=117
自閉症の人々が学校や社会に適応できるようにするため、表情を読み取ってリアルタイムで感情に変換する、小型のウェアラブル・デバイスだ。
ここで、なぜ「義足」や「表情の読み取り」がメディアの研究対象に入るのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれない。しかし、古くから言われていることだが、メディアの本質とは「身体の拡張」という点にあるのだ。
自動車や自転車が足の拡張、ラジオが耳の拡張であったように、人間の生理機能の代わりとなるスマートな電気機械を開発する 。しかも、人間の神経系と自然にインターフェイスを取り、着け心地も動作も本物とまったく変わらないようなデバイスを開発しているのだ。彼らが目指しているのは、身体機能そのものをハックする「身体2.0」の世界である。
これらのイノベーションそのものを知るためには、映像で見た方が理解しやすいという側面は否めない。しかし、本書の意義は別のところにある。それは一見、偶発的に思える多種多様なイノベーションが生まれる背景には、原理原則があったということなのである。このような裏側の文脈を理解するためには、やはり文字での情報伝達が早い。
そのような事例を、いくつか紹介してみたい。まず初めは、自動車を再発明しようと目論んでいるスマート・シティ・グループのケースから。彼らが手がけたシティ・カーは、スマートで、��ジタル制御や折りたたみが可能で、エネルギー効率の高い、二人乗りの電気自動車である。内蔵型のロボット・ホイールのおかげで中央にパワートレインがないため、通常時の半分近い長さまで折りたためるという。
※参考リンク http://youtu.be/HnNHMw9QrVY
面白いことに、これまでスマート・シティ・グループに参加してきた十数人の学生の中で、自動車設計の正式な教育を受けたことがあるのはたった一人だけであったそうだ。残りの学生は、建築、都市計画、機械工学、コンピュータ科学、電気工学、システム工学、医学、神経科学、ビジュアル・アート、企業経営、インターフェイス設計、オペレーション&ロジスティクス、法律、民俗誌学、物質科学、社会科学など、さまざまな経歴を持っていたのだ。
このような多種多様の人材が、全員で力を合わせ一つの問題に取り組むと、問題を別の角度から考えられるようになるのだという。そしてこれこそが、メディアラボの「反学問的」とも言われるアプローチの特徴なのだ。従来の学問分野の枠組みを超えて考え、その分野の”専門家”が考えもしなかった型破りな疑問を投げかけることが、真の革新を生み出す最高の手段かもしれないと、著者は述べる。
このプロセスを経て生まれたシティ・カーは、交通渋滞や大気汚染だけではなく、車の所有スタイルそのものを変えうる可能性を秘めている。公共交通の利点と、自動車、自転車、スクーターのような個人向けの移動システムの自由性や柔軟性を兼ね備える、まったく新しい個人交通システムなのだ。
もう一つ特徴的なケースとして「シックスセンス」というデバイス開発の事例が挙げられている。これはジェスチャーで制御できるウェアラブル・デバイスであり、壁、テーブル、手のひらなど、どんな面でもタッチ・スクリーンに変えられるものだ。このデバイスを使えば、電話をかける、写真を撮る、メールを書く、フェイスブックを更新する、ツィッターでつぶやく、スポーツの結果をチェックするなど、スマートフォンでできるほとんどのことができる。
と、言われても何のこっちゃと思われる方も多いだろう。だが、こんなオーダーを受けたフルイッド・インターフェイス・グループのメンバーは、すぐにプロトタイプを仕上げてきたのだ。
参考リンク http://youtu.be/ZfV4R4x2SK0
このようなプロセスは、メディアラボに刻みこまれている「Demo or Die(デモができないなら死んでしまえ)」というアプローチの典型例である。メディアラボにおいては、”百聞は一プロトタイプにしかず”であり、提案とは簡単なプロトタイプを作ることを意味する。これを彼らは、子どもがモノを作りながら積極的に遊んでいる時のように、こなしていくのだ。
結果的に、これが”ものづくり”のユニークさにつながっているということも見逃せないだろう。彼らは”ものづくり”を「物体を変形・加工すること」というように狭く定義するのではなく、「ものに作りこむこと」だと捉え、情報を何らかの「もの=媒体」の中に転写するように作っていく。
そこにはメディア=無形のもの、ものづくり=有形のものといった既存のフレームは存在していない。彼らが実践しているのは、メディアと”ものづくり”の境界��融解し、全く同じようなプロセスで作り出される、新しい”ものづくり”の姿なのだ。
「未来の未来は現在である」という言葉がある。新しい技術は古い形式を表現しがちになるということだ。検索エンジンの次の進化が、ソーシャルな人間関係というアナログ回帰へ向かったことなども、その顕著な例だろう。本書で紹介されている事例の数々が、新しいテクノロジーの上に、広義の意味でのメディア=「身体の拡張」を搭載させているということは、非常に印象的なことである。
情報大爆発の時代と言われるが、一次的な情報の総量は人口の増加見合いに過ぎないのではないかと思う。変わったのは、情報の取り込みが高解像度になったことに伴う、再現性やアクセシビリティという時間軸上の変化だ。そこで引き起こされた情報の再配置によって、かつて偶然だったものは、必然へと変わっていく。
そんな情報の再配置を「アウトプット」と「制作のプロセス」の双方に取り込んだ、メディアな”ものづくり”とでも形容したくなる手法。ここに、MITメディアラボという組織の強さの源泉があると言えるだろう。
本書には「魔法のイノベーション・パワー」という副題こそ付いているが、その正体は極めて論理的なものであるという印象だ。そして読めば読むほど、メディアも”ものづくり”も可能性は無限に広がっているように思える。まだまだ出来ることは、沢山あるじゃないか。と、なかなかその気にさせてくれる一冊なのだ。
投稿元:
レビューを見る
2013年18冊目。「MITメディアラボ 魔法のイノベーション・パワー」読了。
TEDや特集番組などでMITの発明には興味があったので手にとった一冊。MITの教育のあり方がよくわかる。一番印象的だったのは
「考えるな、作れ」
というMITの文化。思いついたことを即座に作れる環境(人的にも、予算的にも、物理的にも)がこの文化を実現している。MITで行なわれている”ほとんど何でも作れる方法”という講義は一度見てみたいものだ。(この講義では、あらゆる工具、製造機器の使い方を学ぶらしい)
こういった環境で専門家たちが発明を行なうのならば当たり前のように思うのだが、MITでは電子工学、情報分野の専門でない人達がそれをやってのけるのに驚く。これからは学際的な集団こそ、新しいのもを生み出すのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
読んで良かった。これは、今、読めて良かった。何となく、武者震い、
というか、そんな感じで終止ふるふる震えながらの読書。所感としては、
人工知能系の知識をツールとして早急に備えようと思う。ふむ。
投稿元:
レビューを見る
MITメディアラボの風土や研究内容が紹介されています。単純に紹介されている研究ひとつひとつが魅力的ですし、「専門分野にとらわれない斬新な疑問がイノベーションにつながる」などの組織文化もいい刺激になりました。
巻末にメディアラボ用語集が載っているので、それを元にYoutubeやTEDで動画を見てみるとさらに面白いです。
CityCar : http://www.youtube.com/watch?v=dSKpE2d3BaY
SixthSense : http://www.ted.com/talks/pranav_mistry_the_thrilling_potential_of_sixthsense_technology.html
投稿元:
レビューを見る
知的好奇心がある人、技術が好きな人必見の一冊で、めちゃめちゃ面白い。
マサチューセッツ工科大学のメディアラボで実際に研究・開発されているものが紹介されている。これらは全て最先端、これまで見た事がないものばかりである。しかも、何十年後には実現する可能性が高いものばかりである。
どんなものかと言うといくつかはTEDカンファレンスでトークを行っているため無料で見れる。20分もない動画で、日本語字幕も付けられる。
「プラナフ・ミストリー TED」、「デブ・ロイ TED」、「ダン・エルシー TED」で検索して欲しい。
また、このラボで面白いシステムは、資金繰りだ。
色んな企業が資金を提供するが、決してそれらの企業は口出しをしないのだ。目先のことだけに囚われず、自由に、そしてクリエイティブに、学生と先生は研究ができるのだ。では、なぜ企業は資金を提供するのであろうか?それは、そこで開発された知的財産権を無償で使用できるのだ。
正のスパイラルを描くシステムだ。そして、イノベーションが生まれる。なんて面白い場所なのだろう。いつかここで学びたい。
投稿元:
レビューを見る
メディアラボの最先端技術が幾つも紹介されているが、一貫していることは、学際的であることとテクノロジーが人間に近づいている事だと感じた。
約四半世紀前に上梓されたネグロポンテが所長時代のメディアラボを紹介する本と比較するとその進化ぶりが良く分かる。
使い古された学際的であること、本書では「反学問的」と記述されているが、学問同士、研究者同士に境界がないことがまず何より重要であると感じた。何しろメディアラボの建物自体が透明であることにその徹底ぶりが窺える。学際的であるべきということは、随分前から日本でも言われている事だが、そのビジョンを建物にまで適用する徹底ぶりに驚かせる。ビジョンというものは本来この様に強烈であるべき物だと気付かされた。
自分自身、小さな小さな専門性に自らこだわり過ぎていることを痛感させられた。
また、テクノロジーに人間性を与えようとする姿勢にも目から鱗が落ちるものがある。
本書の最後は、以下の言葉で締められている。
「われわれはテクノロジーを人間化しなければならない。人間がテクノロジーから人間性を奪われる前に」
テクノロジーを人間の上に置いて物事を考えてしまう事は、技術に携わる人間が一番陥りやすい罠であると思う。
自らの体験に基づき義足の研究をするハー博士の言葉も胸を打つ。
「障害をかかえているのは、”人”ではなく、本来”障害者”を支えるはずの”テクノロジー”のほうなのだ」
更に、ハー博士はよくこんな冗談を言うらしい。
「私は、”健常者”の方々にいつも申し訳ないと思っている。だって、彼らは私のように、ロボッド義足で足を”アップグレード”するなんてできないんだからね」
ハー博士の言葉は本書の本の一例に過ぎない。視点が違うのだ。テクノロジーに関する考え方が違うのだ。
技術に携わる若い人達にほど読んで欲しい本んだと思う。
投稿元:
レビューを見る
MITメディアラボは、米国マサチューセッツ工科大学の建設・都市計画学部に設けられた研究所であり、主に人間とコンピュータの協調によるコミュニケーションや表現に関する研究が行われている研究所です。この本は、元MITメディアラボ長(2006~2011年)だったFrank Mossの著書、The Sorcerers and Their Apprentices の日本語翻訳版です。本の大部分は、自由奔放な発想から生まれた革新的なプロダクトの紹介と、それらの誕生秘話です。例えば、手近な表面をどこでもタッチスクリーンにしてしまう、ウェアラブルデバイス(シックスセンス)や、キャンパスに絵を描く感覚で作曲ができるソフト(ハイパースコア)などがプロダクトの例です。どの研究プロジェクトにおいても、共通することは、「好奇心をもち、疑問に思うことがあったら、ちゅうちょせずに、まずプロトタイプ(実験作・試作物)をつくる」ことでした。これは、デザイン・ものづくりをする者にとってとても大事な心構えだと思いました。世界の最先端にあるラボには、さすがにこのような心構えをもった様々な人達が集まって、真の学際間研究が行われていることに感心しました。ぜひ、ものづくりをしている方に、この本を読んで刺激をたっぷり受けて欲しいです。
これらのプロダクトは実際どう動くかを見た方が、テキストより分かりやすいので、まず動画を見た後にこの本を読むことをお勧めします(YoutubeでもMITラボの多くのプロダクトが見られます)。
(2013 ラーニング・アドバイザー/感性 HONG)
▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1458056&lang=ja&charset=utf8
投稿元:
レビューを見る
新しいことを進める力が大学から生まれている.革新を起こすことのできる研究者は大学組織自体も革新したのだ.
自らワクワクすることができない研究環境ではイノベーションも生まれない.研究者として何を行わねばならぬかを痛烈に考えさせられる.