紙の本
生への執着
2015/09/28 16:28
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある日、日本は隣接する島国の高国と開戦した。そしてその直後、日本から人類のほとんどが消滅してしまった。そんな世界で生き残った女子高生のコウは、高国兵士にレイプされかけていた女子高生のチィを助ける。目の前でその兵士を銃殺したコウを恐れていたチィだったが、次第に心を開くようになり、住所も電話番号もわからないという彼女の自宅を探すため、二人は旅に出る。
手がかりは僅かにチィの描いた、近所にあるという鉄塔の絵だけ。うち捨てられた店から食料を手に入れつつ、あてどなく旅をする二人だったが、高国の軍曹である男性と、上野綾という国防軍の女性軍医に出会ったことがきっかけで、それまでの二人きりの生活は終わりを告げることになる。
いわゆる終末ものという世界観なのだが、世界に何があったのかは語られない。登場人物たちがそれを知らないからだ。世界に解決を求めないところは「旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。」に似ているが、こちらは出会った人々よりも自分に意識が向いているので、より内面的だ。
そんなわけで、非常に狭い範囲の事柄しか扱わない。ほとんど、コウの独白で構成されているといっても良いくらいだ。物語としては発展性があまりないと思われるので物足りないが、習作と考えれば、描写などに見るべきところはあると思う。
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終末ものならば読まないわけにはいかないという想いで読んだが、少々手こずった。
文章の拙さはやむなしとして、世界観としては好み。ただ、背景として描かれている戦争については、少々蛇足なように感じた。あと、銃を無駄に撃ってるあたりとかが、主人公たちが置かれている状況を考えるとちょっと違和感があるとは感じた。この本のエンディングの後の物語が読みたい。
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二人の女の子の話。
世界の終わりで生きる、儚くて脆くも強固な絆で繋がっている二人の女の子。
お互いを想い合っている二人の女の子はとても美しい。
二人の女の子だけの世界。素晴らしきこの世界。
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人がどんどん消えていった世界を旅する二人の女の子の話。
人が消えて行ってしまう理由だとかは不明です。
隣国との戦争が云々……という歴史設定も、物語の展開に必要最小限の部分だけが語られていて、詳しいことは分かりません。
人のいなくなった世界を、二人の女の子が特に目的地もなく旅を続ける……みたいなのを予想していたら全然違った。
終わってしまったはずの世界で、終われない人たちが苦しんだり戦ったりあがいたりする姿を描いた話だったと思います。
一方で、ゆっくりと崩壊していく舞台の、なのにどこか牧歌的な優しい空気も感じ取れたり。
続刊出るのかなー。語られていないエピソードはあるから、書けないこともないはずだけど。ただ出すなら10巻くらいは続ける覚悟でやってほしい。それが出来ないなら単巻で綺麗に終わらせておいた方がいいかなと思う。
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久しぶりに終末放浪系だと期待してみたんだけど、生き残りの大半が困ったことに軍属もしくはそれに準じる人間ということで、若干血生臭め。戦争の果ての終末世界ならともかく、謎の現象で人類の大半がある日突然消滅しましたみたいな設定との相性はちょっと疑問符。人類消失、戦争勃発との関連性は全く在りそうにないが…?
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2012 9/12読了。宮原にあるBOOKS PAGE ONEで購入。
出張中に読む本がなくなりそうだったので追加でなんか買おう、と思い買った本。
著者はこれがデビュー作?
日本と隣国との戦争のさなか、突如人々の大部分が「消える」という事象が起こった後の世界を、少女2人が旅する話。
廃墟の世界にはまだぱらぱらと人が残っていて、その中には攻め込んできた隣国(「高国」)の兵士たちもいて、銃撃戦になったりもする、そんな世界の話。
『キノの旅』の時雨沢恵一が帯コメント書いているけど、同作とか、それ以上にこの表紙の雰囲気とか口絵の雰囲気が好きって人は、だいたいその雰囲気通りの中身なので楽しめるんじゃないかと思う。
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これは面白かった。
終始前半の感じのまんま展開する雰囲気を楽しむ作品なのかなと思ってたら、いやはや。
チィの父親の登場や耳の欠けた男の活躍で、一気にきな臭くなる。
バトルシーンや人が死んでいく様は若干急展開な感もあってどうかなと思わなくも無いけど、コウというキャラを描くのには必要なシーンでしょう。
チィとコウの絆に拍手。
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細かい風景の表現が「あぁ・・あるよね、こういうこと」
ってニコニコしちゃいます。2人が幸せでありますように。
・・伏線はりっぱなしのところありますけど、続編やりますの?
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もしも世界から人類がほとんどいなくなったら・・・
そんな世界を旅する2人の少女チィとコウ。
彼女たちは何を思って生きていくのか。
いつ消えるかわからない恐怖。
一人になる孤独。
戦う意味。
人との出会い。
様々な思いを持った彼女たちが描かれている物語です。
ストーリーよりも考えや思いを重視していると感じられた。
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ぶらっと本屋を巡っている時、平積みにされていた本書を手に取り、表紙絵に心を打たれ、勢いで購入しました。
ライトノベルを読まなくなって長く経っており、読み終われるかと少し不安でしたが、読んでみると心配は杞憂と終わりました。
人が消えた世界を旅する少女達という、個人的には好きな部類のジャンルの中に、登場人物一人一人の心情を細やかに描いた地の文、多人称視点で進行していく物語に吸い込まれて行きました。
愛情ではない、友愛・親愛を心に注いでくれる本だと思います。
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帯のうたい文句で、「少し物悲しい二人旅」なのかな?と思いながら読み始めました。結果としては、大筋その通りでした。なんか血なまぐさくなってきたな、と思ったら話のスピードが一気に上がり、終わりまでしっかりと引っ張ってくれました。話はおもしろかったのですが、登場人物が軍人ばかり、というのは、やはり違和感があります。もっと、一般人が出てきてもよかったのではないだろうか……。
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評価:☆4
敵対する近隣国『高国』との開戦直後、突如として人類のほとんどが消えた''終わってしまった世界''。その片隅で出会ったチイとコウ。2人の少女は古いトラックに乗って旅に出た――。
まずビックリしたのは、表紙や口絵から連想される爽やかな感じが全然無いということですね。
戦争に関する重たい題材を取り扱ったり、残酷な描写があったりするので面食らいました。
メインの登場人物は二人の女の子なんですが、そのうちの一人は普通に銃ぶっぱなすし人を殺すことに躊躇いがありませんw
と言ってもこのギャップは良い方向に作用していたと思います。自分は引き込まれました。
敵味方で視点が変わる戦闘描写はなかなかスリルがあって読み応えあった。
旅を続けたいと思っていたのは、コウだけじゃなかった。
チイのスケッチブックに書かれた文字、そして最後のチイの言葉にはグッとくるものがある。
コウもチイもチイの父さんも複雑な感情を抱いていたけど、どれも分かるんだよね・・・。
ただ根本的な問題として、いきなり人々が消えた理由が全く触れられてないこと(これはわざとだろうけど)、そして世界が終わったみたいに書いてた割には普通に無人のコンビニから食料とかとってきてたりしてて世界観がハッキリしてないようには感じたかな。
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前半はただ人のいなくなった街をひたすら旅するだけでだらだらとしており退屈であり、つまらないなあと思っていたが、後半になりチィとコウの話になるにしたがって面白くなってきた。
前半はどうにもその辺をほっつき歩いている女の子二人組を遠巻きに眺めているだけのような気がして、どうにも退屈である。後半になりようやく読者が二人の近くに寄って行って一緒に旅でもしているような気分にさせてくれた。初めのうちからもう少し突っ込んだ話をしてくれると、もっと面白くなるのではないか。軍曹の話と部下の流れはもっと早めにくっつけておいた方がテンポが良くて楽しめたと思うが、なにぶん軍曹の話は退屈な前半部分であり、読んでいるこちらもダラダラと時間をかけて読んでしまっていたので、次にその部下で出てくる箇所を読むまでに相当時間がかかり、だれてしまった。
一気に読みつくせるような勢いのほしかった1冊である。
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タイトル通り終末後の世界モノで,(二人)旅モノ。
序盤は漫画『少女終末旅行』を想起させるような雰囲気(どちらが先か,という話は措く)。
過剰に感じない程度に豊かな表現もあってすっと進んでいく。
期待を裏切らず,旅モノのエッセンスである「旅の終わり(定住)」,二人旅のエッセンスである「別れ(目的の分かれ道)」が一番の山場となる。
約束された結末だが,丁寧な演出と描写でそれなりの満足感がある。
星を-1したのは,旅情のワクワク感も,ドンパチのハラハラ感も,出会いと別れのドキドキ感も,どれもそれなりにあるのだけど,それなりに留まっている点。
そのバランス感が売りだとしたら,そこは好みの問題ということで。
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全3巻完結。
人の消えた世界を旅する女の子二人の話ですが、思った以上に人が沢山出てくるので、寂寥感は無くて、メルヘンでもないです。むしろ、闇の中、見えない直ぐ先に人殺しが潜んでいる感じのような妙なストレスを読んでいて感じました。
ほとんどの人がいなくなった世界で、変わらずに自国を愛し、他所の国の人を殺す「高国」の人達のなんと醜い事か。
これはどの国のことなんだろう?コウは誰のことなんだろう?