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商品説明
話は学生時代、35年以上前にさかのぼる。サックスプレーヤー通称「イモナベ」は『孵化』と『幼虫』という二つのライブを全裸で演奏して以降、精神に変調を来したとの噂とともにジャズシーンから消えてしまったはずだった。ところが1990年、小説家になりたての私は『変態』と題されたライブのチラシを見つけてしまう。そして現在―。もう一度イモナベの行方を尋ねた「私」が見たのは、絶対にありえない戦慄の風景だった。【「BOOK」データベースの商品解説】
虫への「変身」を夢見た伝説のサックス奏者。彼の行方を追い求めた先に「私」が見たのは…。カフカ「変身」を通奏低音にして描く音楽ミステリーの新しい挑戦。『すばる』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
川辺のザムザ | 7−30 | |
---|---|---|
地中のザムザとは何者? | 31−40 | |
菊池英久「渡辺柾一論−虫愛づるテナーマン」について | 41−55 |
著者紹介
奥泉 光
- 略歴
- 〈奥泉光〉1956年生まれ。国際基督教大学大学院博士前期課程修了。「ノヴァーリスの引用」で野間文芸新人賞、「石の来歴」で芥川賞、「神器」で野間文芸賞を受賞。
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書店員レビュー
カフカの『変身』のように…
ジュンク堂書店池袋本店さん
カフカの『変身』のように、虫への変態を夢見るサックスプレイヤー通称「イモナベ」。彼は1973年、『孵化』という題のライブを行うが、そのライブは演奏中に着ているものを全て脱ぎだし、全裸で演奏を続けるという奇妙なものだった。
そのライブの話を聞いて興味を持った「私」は1976年、『幼虫』と題されたライブに行く。そこでもイモナベは、今度は最初から全裸で、演奏していた。このライブを機に、イモナベはジャズシーンから完全に姿を消してしまうのである。
そして現在。イモナベをモデルとした「川辺のザムザ」という小説を書いた「私」は、再びイモナベの消息を尋ねることに。そして、少しずつ彼が表舞台から姿を消したあとの活動を知る「私」が最後に見たものとは・・。
何が現実なのか。自分の立っている土壌がぐらぐらゆれるような、強烈なラストに、しばし呆然してしまう。そして、もう一度読みたくなる。「私」が書いた小説「川辺のザムザ」が収録されているなど、仕掛けたっぷりのこの作品は1回読むだけではもったいない、贅沢な1冊。
(評者:ジュンク堂書店 池袋本店 文芸書売場担当 田村友里絵)