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強烈なGS批判の暴露本かと想像していたが意外と控えめで逆に読みやすい。
主人公がインターンでGS入社を目指すところから、退職に至るまでの12年間を描いている。GSの収益の主力が企業のために資金を集めるといった投資銀行業務から自己資金の投機で儲けを生み出すヘッジファンドへ変貌していく様子が分かる。GSが顧客への助言とは正反対のポジションで利益を得たり、「単純な顧客」・「質問のしかたを知らない顧客」に利幅の大きい仕組み金融商品を売りつける場面は印象に残る。個人的には若手のセールス時代を描いた場面は好感を持てた。
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読み応えのある本だった。著者の真摯で堅実な考え方が全編を貫いていて、それが当時のGSの企業倫理の欠如を際立たせる効果もたらしているように思う。この本に描かれている時期の数年前にニューヨークの金融界に身を置いた自分にとって、極めて身近で懐かしい日常を思い出させられた。主たる舞台であるGS本社のディーリングルームを訪れたこともあり、ひどく臨場感を持って読み進めることができた。因みに、本の中にも出てくる9.11のWTCの崩壊も別のビルの屋上から目の当たりにしたし、その当時著者が住んでいたハドソン川沿のアパートメントも、滞在期間中に住もうとして実地にチェックしたこともある。いろいろな意味で、大変懐かしく読むことができた。
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ゴールドマンサックスの顧客に対するスタンスがどのように変わっていったのかを、社員として働いていた作者の視点で書いており、大変興味深い内容だった。
やはり投資は人の意見鵜呑みにしてやっちゃいけない。確実にババを引かされるということが判った。
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450ページ。かなりボリュームのある1冊です。ゴールドマンサックスのビジネスには元々非常に興味があるし、自分なりに理解をしていた点も多かったですが、内部からの詳細な情報を凄く面白いです。そしてこの数年に起きている、会社としての方向性の移り変わり。これも非常に興味が深い点です。投資を学んでいる人には是非読むことをお勧めしたいと思います。
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ゴールドマン・サックスの元インサイダーが書いた回顧録。暴露本の類ではなく、筆者の等身大の成長物語である。9.11~リーマン・ショックを世界最強の投資銀行で体験した記録は大変貴重である。投資銀行家ならではの自慢も(あるにはあるが)謙虚で、爽やかな青春期として読むことができる。
魑魅魍魎のイメージが強いウォール街にあって、かつてのゴールドマンが如何に顧客主義であって、今どうなってしまったか、企業カルチャーの変化で思い悩む筆者に共感を覚える。特に愛社精神を持ち、ロンドン転勤を甘受しつつもGC至上主義に変わりゆくGS社を心寂しく見つめる筆者の視点は、切なくもある。
本書単体でも十分面白いが、『リーマン・ショック』や『ヘッジファンド』も併せて読むと、競合他社や顧客側の視点や対比ができて更に楽しめるだろう。
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"Why I Left Goldman Sachs" by Greg Smith
I was impressed the scene Warren Buffett was shown the trading room by Blankfein and partners.
Author is not a prop trader but an agency trader.
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なんだかんだで出世できなかったから古巣に唾棄して書いた感は否めない。でもまぁ、GSのことがよくわかる。また、こういうたぐいの告発本もあんまり読んだことなかったので面白かったのは面白い。
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★2013年9月29日読了『訣別 ゴールドマン・サックス』グレッグ・スミス著 評価B+
おそるべき経済崩壊だった2008年秋の金融恐慌の裏舞台はどのような状況だったのか? 現代の錬金術、そして世界の混乱の原因?である金融工学を駆使する米銀の内幕はどのようなものなのかを知りたくて読んでみた。
著者は、南アフリカ共和国出身で、スタンフォード大学からゴールドマンサックス(以下GS)へ入行した金融エリート。
入行当初のGSは、顧客中心主義で、たとえGSが得するとしても、顧客の為にならない商品、取引は行わない文化であった
次第にそれがマネジメントの変質により大きく変化し、会社もうけ主義に落ち込んでいく様子が語られる。それが、著者をGS退職へ決意させることとなる。
ここまで、ひどくはないとは思うが、本邦の金融機関も同様のSTEPをたどったのではないかと予想がつく。
一度堕落してしまった企業文化の回復は容易ではない。さて、如何にして高邁な企業文化を形作ることができるのか。グローバル企業間競争に勝ち残るのは、結局はそうした企業文化を創り得て、世界の顧客の支持をもらえた企業だけなるのではないだろうか?さて、あなたの会社は?
大変示唆に富む作品だと思う。
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アメリカの証券事情について書かれた本。同時テロなどの時の証券の取引、彼らの証券に対する熱意を感じました。
小説としては面白い
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メインテーマ:儲けたかどうかのみが評価の基準となり、それに基づく人事評価がもたらす倫理観の欠如。著者はそのスパイラルに陥っている投資銀行業界における倫理観の再構築を求めている。一種の告発とも言える。
内容:序盤→中盤は、著者がGSに採用されるまでの過程やメンターとの出会い。インターン→アナリスト→アソシエイト→パートナーへの昇進過程や、その過渡期に起こった9.11やリーマンショックに言及し、終盤では倫理観の欠如を伴った投資銀行業界へ疑問を提示している。ところどころに挿入されている上司の彼への助言やエピソードは含蓄がある。正確な引用ではないが、内容として以下の二つを例にあげる。
・質問に答えられない時にベストの回答というのは、「わかりません。でも、すぐに調べます」そして、それに答えるための方法を知っておくことだ。
・変化は怖いものさ。だが多くの場合、変化はいいことだ。新しい、面白い経験につながることがある。
まとめ:
投資銀行が自社利益のためであれば、年金基金をはじめとした無知な顧客から利益をせしめる現状に疑問を呈している。GSの14箇条の社則の第一条に示されている「顧客第一主義」がないがしろにされ、『エレファント級』の取り引きで利益を上げることが最も評価されている。著者はこの短期的に暴利を稼ぐ倫理観の欠如を含んだ体制から脱却し、従来投資銀行が請け負ってきた顧客からの信頼や評判に基づく長期的な儲けについて再評価すべきと説いている。
読了:4H
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確約された将来を投げ打ってまでよくこんなリスクの高い内容を書けたと感心するばかり。ただの告発本ではないのは、彼がゴールドマン・サックスや金融界に心から愛情を持っていて、変わってほしいという目的のもとに書かれているところであり、愚痴や文句の本ではまったくないので素晴らしい。
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大卒後投資銀行に12年勤続し、時代の変わり目を見た著者の自伝。
仕組み債の話は食傷気味だが。環境は大いに違っていても、上司に対してどう根回しするかという点に関しては学べることがとても多い。
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最初に知ったゴールドマン・サックスのことは就活時代で、「ケタ違いの年収」の企業というイメージしかなかった。そんなゴールドマン・サックスのここ十数年の変遷を一社員の立場から語った一冊がある、と知って読んでみた一冊。グラウンド・ゼロの頃にNYを訪ねたことがあったけど、まさにそのときに著者もそこにいたそうで少し縁を感じたりもしました。ただ、この本を読んでやっぱり環境が人を鍛える部分が大いにあるように感じましたね。しんどい思いをして、期待に応えて競争に勝って仕事を続けてきた人でないと身につかないものってやっぱりあるなと思います。そんな時期の工夫について、実力を認めてもらうためにできることを自分もまだまだ考えていかないとなと思わされた一冊でした。
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160730 中央図書館
南アフリカ出身の著者。綿密でありかつ物怖じせずに献身的に仕事をするユダヤ人という像。スタンフォードを出て、ゴールドマンサックスで過ごした10年の自伝のようなもの。
投資銀行、トレーディング、デリバティブを説明する金融入門のカラーは薄い。むしろ、インターンシップの中身や、組織内での振る舞い方、人事評価の要諦が、アメリカの中のアメリカらしいウォール・ストリートのトップ企業ではどのように考えられているのかが、非常にクリアに記述されているので、「ライトスタッフ」や「ハーバード・ロースクール」のように知的なことや世俗的成功にアグレッシブな考え方を持つ人向けの修養読み物なのかもしれない。
テーマは、サブプライム問題以降、ゴールドマンサックスが誠実さやチームワークや顧客への忠誠心が希薄になってしまったという主張。
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インターン生は徹底的に質問攻めにされる。そこで求められるのは知識と正直さであり、嫌われるのは嘘とごまかしである。
新規公開株の主幹事は会社と顧客の利益相反を抱える。会社の問題点に精通しながら、顧客にはなるべく高く売ろうとするからである。
先物取引の起源は農家が収穫時の販売価格をあらかじめ決めてリスクヘッジすることである。これを株式に応用したのが先物取引である。
人事評価から人格面の考慮が無くなり、売上という数字の評価のみになっていった。
06年頃から投資より自己資金による投機が収益のメインと変わっていった。顧客は助言相手から取引相手に変わった。利益相反を敢えて選ぶという理屈がまかり通っていた。資金調達契約書の中断条項を厳格に主張し顧客の現金引き出しは中々認めないようになった。
08年サブプライムローンにより、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに吸収されリーマンブラザーズは倒産した。GSは政府から金利ゼロで借入可能な銀行に業務転換した。投資銀行ではなくなった。
質問の仕方を知らない顧客はカモにされた。短期的な利益をを欲しがるようになった。かつての長期的に貪欲であれという格言は忘れられかけていた。
2010年、証券取引委員会からサブプライムローン販売時の説明義務違反により詐欺罪で提訴される。複雑怪奇な金融商品は顧客どころか作り手さえも理解できていないことがある。
サハラ砂漠で氷を売る連中が出世し、いい奴は出世できない状況が生まれていた。