紙の本
猪木教授の真髄
2018/09/05 19:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JFK - この投稿者のレビュー一覧を見る
猪木教授の市販されている著書のほとんどに目を通しています。この書物は、そのなかでも教授の学問における出発点から論じられており、著者の存在を身近に感じとることができると思います。
紙の本
経済学に限らず
2015/11/14 02:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:リョウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済学に限らずもうひとつ大きな枠組みで書かれた本であることは間違いなく筆者の研究人生の集大成とも言えるような内容になっていた
紙の本
重厚な知見を示す一冊
2015/10/15 06:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済学の理論がどの範囲までを説明でき、そして我々の世界でどう機能しているかをしっかりと理解させてくれる一冊である。
今、この質の高いレベルでの著述ができる経済学者にはお目にかかれなくなった。
リフレ政策の是非とピケティで一時期もりあがった経済学であるが、半年位までで、理論はゲーム理論やマッチング理論が花盛りで、「誰かに与えられたパズル解き」の仕事であり、自分でフレーム組み、課題に答える力量の無いものがほとんどとなる。
我々の生きている世界での制度的枠組みが「どう変わるかまで気にもしていない遊戯になってしまっている。
著者の捉えるスコープは学問の流行りものでの一喜一憂ではない、われらが生きている世界での制度の機能をぶれなく語っている。
投稿元:
レビューを見る
経済は物質的な面で人間生活の基盤をなしている。経済の冷徹な原理にさらされていない人間はいない。そのため、誰もが経済について経験と価値観に基づく「一家言」を持っている。
本書では、歴史的な流れの中で、経済制度や慣行を捉え直している。
経済学が力が発揮できるのは、その論理を用いて説得が可能な価値選択以前の段階までであり、それ以降は政治的な選択に任される。そこが理論と政策をわける境界線である。
投稿元:
レビューを見る
現在経済学が解決しなければいくつかの課題と経済学の対処方法等を述べていく。
経済学が想定する仮定の限界を示してくれる。
投稿元:
レビューを見る
さまざまな「価値」がぶつかり合う、現代の自由社会。その結果、様々の難題が私たちの前に立ちはだかっています。
人間にとって正義とは、幸福とは。
著者は、経済学の基本的な論理を解説しながら、問題の本質に迫る。
デモクラシーのもとにおける経済学の可能性と限界を問い直す試みがなされたものである。以下、内容。
序章 制度と政策をめぐる二つの視点
第Ⅰ部 自由と責任
第1章 税と国債 ― ギリシャ危機を通して見る
第2章 中央銀行の責任 ― なぜ「独立性」が重要なのか
第3章 インフレーションの不安 ― 貨幣は正確には操作できない
第Ⅱ部 平等と偶然
第4章 不確実性と投資 ― 「賭ける」ことの意味
第5章 貧困と失業の罠 ― その発見から現在まで
第6章 なぜ所得格差が問題なのか ― 人間の満足度の構造
第7章 知識は公共財か ― 学問の自由と知的独占
第8章 消費の外部性 ― 消費者の持つべき倫理を考える
第Ⅲ部 中庸と幸福
第9章 中間組織の役割 ― 個人でもなく国家でもなく
第10章 分配の正義と交換の正義 ― 体制をいかにデザインするか
第11章 経済学的厚生と幸福 ― GDPを補完するもの
終章 経済学に何ができるか
*人の世をはかる尺度は百家争鳴ですが、自分が納得できる一つの思考パターン「型」を持っていれば、人間、この世を上手に生きれるのではと思います(笑)。
投稿元:
レビューを見る
過去の経済学者の理論の紹介だけでなく、最近の経済データや哲学的観点からの意見など、読み応え十分。これまで読んだ「経済学の新書」のイメージとは全然違う。良い。
投稿元:
レビューを見る
経済学を学び直すor経済学をこれから学ぶ人に最適な一冊。猪木氏すごい。
2013年を生きる私たちを取り巻く経済施策(アベノミクスやユーロ危機対応しかり)をはっきり意識させながら、その施策の妥当性は経済学の基礎的論拠としてはどこに求められるのか、歴史的実証と、アダムスミスを始めトクヴィルや果てはアリストテレスの考察を引いて解説してくれる。
その網羅性に、感服。
個人的には貧困問題にもうちょっとページを割いて欲しかった。他、『不確実性と投資』『なぜ所得格差が問題か』『経済学的厚生と幸福』の章が面白かった。
新書だけど内容を理解するにはちゃんと追加の勉強が必要。
投稿元:
レビューを見る
新書としては、超第一級の名著。これだけ丁寧に経済学を解説し、なおかつ文章が練り込まれており、経済学の限界を素直に認めながら、その可能性を探っている。
投稿元:
レビューを見る
著者は「経済学に何ができるか?」という問いに明確な答えは、出していない。重要なのは、経済政策における経済学の限界を知ることだ。現代のミクロ経済学の主流は、「合理的で独立した自由な個人」を想定することから出発する。しかし、これは人間類型のひとつを代表したモデルにすぎない。したがい、経済理論と政策の関係について、我々は常に用心深くあらねばならない。
そして、本書の冒頭に著者は「むしろ理論の役割を限定することによって、その力を適切に発揮できるようにするためである。理論は、我々に何を示し、実際の経済政策の運営のどの段階までの知恵を授けてくれるのかを反省することである」と断言する。経済学の限界を知ることによって、我々は経済学の役割を知ることができるのだろう。
本書は経済学者の猪木武憲さんが朝日新聞に1年間連載されたコラム「わかりやすい経済学」で取り上げたテーマを中心に、書き下ろされた新書。ただし、本書は、難解な部類に入る本と思う。
著者は「自分の仕事が人の役に立っているのだろうかとふと考えたことが幾度かあった」。したがい、本書については、経済学者の著者が経済学の限界を、どう考えているのか、そしてどう限界を克服するのか、その訴えに耳を澄まし理解することが、正しい読み方と思う。
1日1章のペースで読んだが、充実した読書体験だった。★4つ。
また、同じ著者の「戦後経済世界史」は★5つのお勧め。
なお、最近、インドネシアでは毎年の最低賃金をインフレ率と経済成長率の合計値で規定するという大統領令が発効し、労働組合は猛反発している。おそらく、定昇分とベアの理論から、政治家が安易に考えた足し算と思うが、これこそ、シュンペーターが「リカード的悪弊」と呼んだ「単純化され抽象化された理論をそのまま現実の政策に当てはめようとする安易な発想だ。
投稿元:
レビューを見る
学問の限界を探り、経済学と経済政策の違いを明らかにしながら、各々できることとできないことが冷静に議論されてる良書。
投稿元:
レビューを見る
経済学に関する書物というよりは、経済哲学と政治哲学と貫く社会科学全般に関する考究といった感じです。なので、今でいうとマイケルサンデルの著書に親しみがある方は読みやすいかもしれません。内容的には流行りの新自由主義は採らず、かといって大きな政府を求めるものではないと言ったところ。つまり、「真理は中庸にあり」と言ったスタンス。
投稿元:
レビューを見る
税と国債 徴税能力
中央銀行の責任 ハイエクの貨幣発行自由化論
インフレーションの不安 富の強制移転 自己実現的という罠
不確実性と投資 有限責任の不思議
貧困と失業の罠
なぜ所得格差が問題なのか 豊富な情報はやる気をそぐ
知識は公共財か
消費の外部性 倫理は習慣である
中間組織の役割 結社
分配の正義と交換の正義
経済的厚生と幸福 効用と福祉
経済学に何ができるか
投稿元:
レビューを見る
経済思想の歴史的な変遷を追いつつ、「経済学に何ができるか」というテーマについて理論と現実の対比によって明快に論点を提示している。
かなり高尚な内容だが、非常に平易で読みやすい。おすすめ。
投稿元:
レビューを見る
猪木武徳が2012年に発表した新書。ガッチガチの経済学に関する本かと思ってましたが、社会学や倫理学など幅広いクロスオーバー的な内容でした。昨今、社会的に取り沙汰されている様々な問題について、経済学だけでは語れないし、逆に経済学を知らないままでも語れない。それだけ純粋な理論よりも実践や色々なものに対する知性が重要だと感じました。この本を理解するには、ある程度の素地が必要かもしれないです。あと、一つ一つの話題の分量が少ないので、気になった部分は別の参考書にあたりましょう。