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歴史的事実と科学知識の謎とを巧みに融合した期待を裏切らない活劇がますます冴えてきます。
2016/11/23 01:00
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は、ゾンビ・ドラキュラに通じる謎でした。歴史的事実と科学知識の謎とを巧みに融合した期待を裏切らない活劇がますます冴えてきます。シグマフォース側の主役たちが窮地に陥るのは毎回のことではあるが、今回はシグマ隊長グレイ・ピアースの両親までもがギルドの人質にされるという絶体絶命の窮地である。一方、ギルドのスパイが世界各国の主要組織に潜入しており、過去にはシグマとその上位組織であるDARPAの幹部にまで潜入していたことがあるが、今回もバチカン教会内部に潜入しており、加えて今回の事件の切っ掛けがギルドの冷酷な女性工作員であり過去に何度もグレイに痛手を負わせているセイチャンがギルドの同僚工作員に追われて助けを求めて来たところから始まるので、話は実に複雑な様相を呈してくる。さて、今回の楽しみは、『東方見聞録』を残したマルコ・ポーロの探検から派生して、シアノウイルス・ユダの菌株といった異常に高い致死率の伝染病の謎・治療法・発生源を調べて、マルコ・ポーロの航路を辿っていく謎解きは「天使の文字」と合わせて推理小説好きにはたまらない。今回は、科学的謎の組み合わせよりも、歴史的・考古学的な謎の組み合わせの方が多かったように感じた。事件は解決したが、多くの犠牲者や事後処理の問題が残っている。まず、人食いイカに海底へと引きずり込まれたシグマ隊員モンク・コッカリス(以前の事件で左手首から先を失い現代科学の粋を集めた未来型義手を着けている:キャットの夫)の遺品となった義手が埋葬直前にSOS信号を発していることにグレイが気付くことで生存を期待させる一方、伝染病に感染しながらも抗体を作ることで伝染病のワクチンを提供して人類の危機を防いだ海洋生物学者スーザンはこの奇病の原因であるウイルスの意志?に従ってウイルスの故郷で永い眠りにつくことになる。一方、今回の事件の発端となり、謎めいた行動を続けるセイチャンは、シグマの意図の下で事実上逃亡を容認されるが、逃亡する際にグレイに自分はギルドのトップを暴くためのスパイであると告げる。むーー、これも結末が気になる。しかし、続くシリーズ5『キルトの封印』ではどうもセイチャンの登場は無いようである。
なお、本書では、巻末に「著者あとがき 事実かフィクションか」と題した短文があり、小説中のことがらの「検死解剖」=「事実の部分とフィクションの部分の区別」を行っているが、本作では主な題材ごとに項目立てして解説しているのが初めてのこととして注目される。著者が、「小説の持つ信憑性は、話の中で提示された事実を反映するものである。・・・・・・たとえフィクションであっても、事実を見据えた上で書かれる必要がある。本書に登場する美術品、遺跡、・・・・などは、すべて実在する。・・・・・・・歴史的出来事も、すべて事実である。本書の中心となる科学技術も、すべて最新の研究と発見に基づいている。」(『マギの聖骨 [上]:The Sigma Force Series 1』(竹書房文庫、2012年7月5日、竹書房)より)
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2014年6月25日読了。
このシリーズは…なんだかいつも尻すぼみ。
今回も、風呂敷広げるだけ広げておいて、最後は未知の人が関与できない力のせいに片づけちゃった。
マルコポーロになぜの感染症…どうなる世界!何なの歴史の謎???っていい感じで膨らんでたんだけどな。
しかも小説の中とはいえ、アンコールワット遺跡群の中でも特に有名なバイヨン遺跡は破壊…どうすんの???
でも、そのうちまた続き読んじゃいそうですが。
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シグマフォースシリーズ、3作目。
マルコポーロの「東方見聞録」で語られなかった空白の期間を、「ユダの菌株」という未知の疫病と絡ませて解き明かす。
「東方見聞録」に秘められた歴史的ミステリ、天使の文字やアンコールワットに隠された歴史暗号に、バクテリアや疫病に関する自然科学的要素が加わって、今作も盛りだくさん。興味が尽きず、面白く読めた。最終的に、非科学的というか、神秘的な方向で結末を収めてしまうのはウーン、、、という気もするが、まぁ、生命の誕生自体、神秘的なところがあるのは否定できないし、、、、無理矢理納得せざるを得ないかな。
主人公のグレイはもちろん、周りの人物も魅力的なキャラが出揃ってきて、ますます面白くなってきた。皆が皆、魅力的で、誰に入れ込んでいいのか悩むくらい。そして、モンクにセイチャン!!この二人のそれぞれの行方が気になりすぎて、次作を読むのが待ち遠しくて仕方ないデス。
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アクション映画みたいに最初から山場の連続だったけど、何故か前作ほどのめりこめなかった。
グレイと敵対していた筈のセイチャンの告白や、死んだと思ったあの人が生きているかも?的な思わせぶりなラストで、次回作もたぶん読むでしょう。
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読書録「ユダの覚醒(下)」3
著者 ジェームズ・ロリンズ
訳 桑田健
出版 竹書房文庫
p88より引用
“だが、私が質問したかったのは、なぜそこ
を探すのかという点だ。その答えがわかれば、
城塞の遺跡の中で何を探せばよいのかに対す
る答えも、自ずとわかってくるはずだ」”
目次から抜粋引用
“禁じられた地図
魔女
湖底の悪魔
禁断の地
地獄への門”
機密部隊・シグマフォースの活躍を描いた、
長編アクション小説。シリーズ第三弾下巻。
客船のオーナー主催のカクテルパーティに
渋々出席していた医師・リサ。オーナーから
こっそり渡されたプレゼントは、彼女にとっ
て喜ばしいものだった…。
上記の引用は、バチカン機密公文書館館長
の言葉。
どんなに複雑に思える問題でも、一つ一つ理
由を辿っていけば、答えはその先にあるのか
もしれません。
歴史ロマンと科学的事実とフィクションが、
絶妙に絡み合った作品。ただ、長い。下巻も
本文だけで451ページあって、文庫ですがカ
バンに入れて持ち歩くのには向かないのでは
ないでしょうか。
巻末に事実とフィクションの区別が解説さ
れていて、より一層作品のリアリティを深め
ます。
ーーーーー
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ユダの菌株 恐ろしい病変を引き起こす菌。感染が世界規模に広がる前に治療薬を手に入れることができるのか。ドキドキの展開でしたね。治療薬を手に入れる手立てに意表を突かれました。
感染力の強い菌が現れたら、あっという間に世界中に広がるという怖い時代なんですね。そしてまだまだ新しい病気を引き起こす菌がいる可能性があるということに恐怖を感じます。
リサ達を救うために行動したモンクが生きているといいなと思いました。
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ジェームズ・ロリンズのシグマフォースシリーズ第3弾。
ユダの菌株という封印された細菌によって、バイオハザードの恐怖にさらされた世界、っていう設定。
アクションの連続で楽しく読めますね。
最後にカンボジアのバイヨンが出てきます。
大学時代1994年に訪れた場所で、感慨深い。
その年はUNTACによる選挙で新政権ができた1993年の翌年。
まだクメール・ルージュの残党がうようよしている時に、その拠点に近い北部に行っていたのだから、今から考えると後先考えない馬鹿野郎そのものですね。
しかも、当時の彼女が付いていきたいとせがむのを断れず、あんな危険地帯に連れていき、案の定戦闘に巻き込まれてしまう始末。シェムリアップの街が夜中にクメール・ルージュ残党の急襲に会い、ホテルで叩き起こされたまま朝まで裏山の草むらで過ごしたことは忘れられない思い出だにゃー。
ほとんど観光客がいないなか、彼女をホンダカブの後ろに乗せてカンボジアの田んぼを見ながらバイヨンまで行きました。このバイヨン、その2年前の1992年に世界遺産登録されたばかりで、当時はまだユニセフによる修復前。鬱蒼としたジャングルの中にポツンと佇むバイヨンは、遺跡の石積みの間から木々が生えている状態。人面の巨石や芸術的なレリーフがジャングルの中にある違和感に圧倒されたものです。
おっと、本著と全く関係の無い話になってしまいました。
バイヨンが謎の鍵になっていて、面白く読みました。
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米国で発行されたのが2007年。国内で翻訳版が出たのが2012年。コロナが騒がしい昨今、10年以上前に世界的なウイルスの脅威を扱っているのが興味深い。
一応マルコポーロの東方見聞録が題材になっているけど、歴史的な謎や神秘的な伝承なんかはほとんど出てこない。基本はドンパチ。
終盤は熱い展開が待っているし、伏線や会話も巧妙で楽しい。けど長い。どんなピンチになっても主人公サイドは助かるんでしょと思ってしまう。同じような展開が繰り返されるので途中飽きる。読むのをやめようかと思った。
科学的な話かと思いきや、なんか結局は、よくわからないけどそういうこともある的にまとめられちゃうのも相変わらずだし残念。
だからこそモンクが亡くなったのは意外。と思わせつつ、どうやら生きているっぽい終わり方。なんなんだ(笑
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歴史・科学・アクションの融合作。作品中の歴史・科学技術には、実際にあるものも多く含まれているそうで、読んでいてワクワクする。
4作目は2013年に翻訳されるということで、今から次回作が楽しみ。
ダン・ブラウンが好きな方にはお薦めです。
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マルコ・ポーロと猛毒を吹き出すバクテリア。
発症者の人喰いの掘り下げが少なくて物足りなかった。
謎解きも割とやさしく、知識がなくても(私でもわかった)とけるレベルだったのも残念。アクションや生死ギリギリのスリリングさはいつも通り楽しめました。
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シリーズ0を慌てて差し込んで読破したあと、連続で本編?シリーズに戻って読んだ。
驚くほど、テンポが上がっている。
訳者後書きに依れば本編はシーリズの中で転換期との事だが、確かに頷ける。展開にもたつきを感じさせないスピード感やシリーズとしての登場人物たちの入れかえ等…そして、次作に繋がる「続く」の提示。
作者はアメリカ人であるため、共有する社会意識が多いとは思いにくいが、同世代であることを強く感じる。
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相変わらずこのシリーズは場面がさくさく変わって、スムーズに進む。無理がある設定ではあるが、歴史の謎解きや科学のうんちくは面白い。続きを読んでしまいそうだ。
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シグマシリーズ3作目。相変わらず最後までテンポよく進んで面白い。モンクは?セイチャンは?次回作に期待。
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マルコ・ポーロ
名前だけは知ってるけどね。
そうそう、
ヴェネチアから中国まで旅した人。
つか、
17年もフビライハンの下にいたってのは知らなかったし、
フビライが嫁に出した人とできちゃったみたいのも知らなかった!
まぁ、
過酷な旅をしてれば吊り橋効果でできちゃうよね。
天使の文字って、
アレイスタークロウリーが最初に天使の文字を考案したものだと思ってた。
違うのね。。。
現在9巻まで読んでますが、
主人公のグレイのお父さんが認知症である必要ってなんだろう?
主人公を普通の人なんだよ!
と、
表現したいが為の役割なのかな?
もしくは、
普通にアメリカでも認知症が問題になっててとりあげた?
今回お父さんがややかっこよかったけどね。
必要なのかはいまだに不明。
この頃のセイチャンが好き!
後半になるにつれて微妙になっていく。。。
と、
ヴィゴーも1番好きなキャラ!
モンク!
死んじゃったと思うよね。
死んじゃった?
生きてる?
それは次の巻で!
と、
モンクもの職場恋愛はちょっと日本では考えられないのですが、
そういう懐の深さもアメリカなんですかね?
コワルスキは目の前にいたらうざいだろうけど、
いい味が出てるのは否めないし、
ちょっと、
最近では好きになってるので、
微妙な方もあきらめずに読んで好きになっていってほしい!
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Σシリーズ第三作目。今作のテーマは世界の脅威になりうる感染病。作を重ねる毎に面白くなってきた印象。毎回この著者の作品は、事実と著者の想像の境目が分からなくなるくらい展開が巧妙。マルコポーロに関わる話も興味深い。何より気になるのが、モンクどうなったのっていうこと。次作が楽しみである。