夫婦善哉 改版 （新潮文庫）

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織田作は、ぐいぐいと、本の前の人の心を、ぐいぐいと、物語に連れ去っていく、その引力がものすごいと思う。なにげなくページをめくったら最後、あとはもう終わりまで、織田作に引っ張られて、物語に引っ張られて、話の終わりまで私の心はまるで疾走していくように、猛スピードで、ぐいぐい、いくね。筆が乗ってる織田作はんにつられるように、なんだか、なんというか、リズムが良いんだと思う。この吸引力の強さは（自分内比較では）太宰よりも上。ぐずでのろまで頑固な六白金星男（ちなみに作者もこの星の生まれだとか）のお話（「六白金星」）なんて身につまされるようで大好き。「夫婦善哉」は読後感がすごく良かったな。心が、ほかほかと、あったまって、なーんかいい気分。

織田作にはもっと生きていてほしかった。彼はもっと生きるべきだったし、もっと書くべきだった。

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大阪を舞台に転々と職業を変える夫とそれを支える妻の話。男と女のことは本人同士にしか分からない。そういう話。

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オダサクの中でも古典的（？）名作と名高い『夫婦善哉（めおとぜんざい）』、『木の都』、『六白金星』、『アド・バルーン』、『世相』、『競馬』の６篇。「僕と共鳴せえへんか」カフェーの女中を口説くにもこんな素敵なセリフを垂れる織田作之助の不良文士っぷりがかっこいい♪戦中〜戦後の大阪の下町情緒に郷愁を誘われる。

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オダサクッ！！オダサクは全て良し！！
私は関東出身関東育ちなので、この関西弁で展開されるオダサクワールドにはちとびびるけど、とにかく人間がいきいきとしていて面白い。どうかどうか、二人の男女の物語なのだが、それで結局、結婚できたのか否か、実は別の作品「わが町」で蝶子と柳吉のその後がかいまみれる。

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今頃、織田作之助を読んだ。。

「夫婦善哉」を始め、初期の作品はいいっちゃぁいいんだけど、イマイチ読みずらい。だが、夫婦善哉に出てくる食べ物は興味深い。とか、そんなことを思いながらダラダラと新潮文庫に収められている他の短編を順序通りに読む。戦後の作品の「世相」と「競馬」は抜群にいい！！「六白金星」や「アド・バルーン」も悪くないんだけど、物語の滑らかさ、言葉の精度が違う。「世相」のあとに「競馬」を読むことになるので、なおさら、「競馬」で描かれる【嫉妬】が明晰になる。「世相」で嫉妬について吐露しているんだよね、そのあとに嫉妬にとりつかれたと言っていい主人公の「競馬」がある。「競馬」の主人公、石田のように、それで破滅的になるかというと、大方の人はどこかで正気に戻るのだけど、でも、そんな石田に厭な感じはせず、そこまでになるかは別として、共感できるのは、自分も、嫉妬心や執着心に歪められているからです。

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時代がまったく違うのに、大阪の風景がありあり見えるような。
心斎橋界隈の様子、昔よく歩いたな。その様子が本当に浮かぶ。
このころって、おめかけさんが当たり前だったのかしら？　普通の夫婦って何？と思わせるけども、それぞれの形があるのかも。とにかくいろんな描写が好きです。

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「夫婦善哉」のラストがすごく好きだなあ。食べ物がすごく美味しそうで描写が活き活きしてる。自分が大阪の地理に詳しくないのが残念
「木の都」「アド・バルーン」「六白金星」「世相」「競馬」

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どいつもこいつもバカじゃないのっていう明らかに嫌いなタイプのドロドロした愛着がこんがらがったような人たちの話なんだけど、なぜだか嫌いじゃなかった。
現象はドロドロだけど人物があっさりしているからかな。

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ダメ旦那の柳吉と妻の蝶子の物語。くすっと笑ってしまうようなところもあるし、ちょっとじいんと来てしまうようなところもある。良い作品です。

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なんか、
えーねー。
夫婦善哉。
猛スピードでしゃくしゃくと展開していくんで、
必死にすがって付いていくんだけど、
最後のページに差し掛かって
「はっ」と立ち止まる。
で、もう一度最初からさらっていく。
で、また最後のページにやって来て、
ググっとやられる。
「やられた」ってちょっと口惜しいけど
それ以上にうれしい。
ええタイトルつけたもんやね

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男に謝らせる機会を作るのがうまい女、との触れ込み。
それよりも、こんな仕事もできないくせに、遊びに散在して、おまけに女にもだらしない、こんな男になぜしがみつくのか、それが分からない。さっさと別れていい男探せばいいのに

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ポッドキャストで聞きました。

一番印象的だったのが、物語のラストで夫婦善哉の話を夫から聞いた蝶子が言った「一人よりも二人の方がええっちゅうことやね」という台詞。

散々夫に苦労をかけられてきて、それでも二人の方がいいと言う蝶子の気持ちがわかるような、わからないような。
どんなに不幸だったとしても、誰かと深く関わった思い出は否定出来ないものなのかな、もしかして結婚ってそういうことなのかなと考えさせられました。

この作品を読んだ後たまたま舞台になった辺りを通り掛かる機会がありました。どこか小説のままの雰囲気がのこっていて、感慨深かったです。

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≪あらすじ≫
『夫婦善哉』
芸者上がりの蝶子と家を勘当された柳吉夫婦。大阪で商売を転々と変えながら、つつましく暮らす夫婦の姿を描く。

『木の都』
幼少を過ごした口縄坂を上った先にある見慣れぬレコード店。そこを訪れた主人公の青春の回想と現実。

『六白金星』
六白金星という運勢の元に生まれた楢雄の厭世的な人生。

『アド・バルーン』
主人公の流転の日々を軽妙な語り口で描く。

『世相』
現代小説家の苦渋を通して当時の世相を描く私小説の傑作。

『競馬』
性根が真面目な男が見せる嫉妬。男女の仲を競馬に絡ませて描く。


≪感想≫
戦後の流行作家、織田作之助が短い作家生活で残した中でも出色の短編６作。テンポのよい軽妙な語り口で描かれる登場人物の流転の日々は一気に読み進めることができる。また、戦前・戦後の大阪の風景や露店の精密な描写は文字を追いながらも視覚に訴えかけ、聴覚をくすぐり、嗅覚までもを刺激する。
特に『世相』『アド・バルーン』あたりによくみられる昭和モダンとデカダンスの雰囲気は今の自分にすっと沁み込んできた。「今夜は生憎ギラがサクイんだ」と言ってポン引きを断る渋さに魅了され、ともすればいつか使ってみようなんて思っている自分がいることは、もしかするとあまりいい傾向ではないのかもしれないが、退廃的でヒラヒラとした文章の随所に見え隠れする織田作之助という人物そのものに興味を引かれているのも、やはり事実である。

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iPhoneアプリを使って青空文庫のを読んだ。大阪弁と知ってる地名が懐かしかったけど、どう考えても男に甲斐性がない。それでも一緒になるというのは縁なのかねえ。わからん。