紙の本
閉じられた人間関係が全ての源
2019/10/04 21:48
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズは人間の暗黒面をこれでもかと見せつけてくれるのが特徴だけど、今回はとりわけ視野の狭い・・・というか視線が自分にしか向いていない人間ばかりが登場してきて、ちょっと食傷気味。
特に冤罪被害者の収監中、度々訪ねてきてくれて励ましてくれていた友人の裏切りが余りにひどい。出所時に迎えにきた時点から、嫌な予感はしていたけれど「やっぱりそうか」と悪いほうに予想が当たってしまった。
もう少し救いのある人間も登場されてくれないと、せっかく現実から離れて楽しもうと思っているのにいつまでも悪い後味が尾を引いてしまう。
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二転三転し、少しずつ新事実が明かされる時系列な物語―変な“フラッシュバック”が無く、章の始めに順番に日付が付されて、淡々と物語が進む筆致が好い!!―で、夢中で読み進んだ。
「トビーの帰還」で村に拡がる波紋が何処に至るのか?なかなかに読み応えが在る。本作は「人の非常に嫌な部分」に向き合ったり、「知っているつもりで、実は何も知らないという状態の中で暮らしていること」に想いを巡らせる…というような、何か不思議な感じもする作品だ…
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「深い疵」で知った作者の2冊目。面白く読みましたが、登場人物が多かったり、時系列がわからなくなったりなので、自分でカレンダー的にメモを取りながら読みました。
オチは容易にわかるのですが、この小さな村の人物相関図を理解する面白さはありました。
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まずこのタイトルのインパクトが凄かった。
実際にこの言葉が出て来た状況はちょっと肩透かしを食った感じだったし、物語の核というか本質を言い表してもいないと思うのだけど、それでもやっぱりこのタイトルはいい。
何という残酷な話……。
現代生活の中で人間や社会が“堂々と”行える残忍な行為を、これでもかこれでもかと詰め込んだような。
11年。奪われるには長過ぎる年月。
11年。2人分の命の償いには短過ぎる(と私は思う)年月。
前作の『深い疵』の時も思ったけれど、この著者は、秘密にしているようで、本気で隠すような気もないような描き方をしつつ、それでも最後には「あ、それはそういう事なの」と驚かせてくれる、独特な雰囲気の文章の人だな。
まだ2作だけなので、全てがそうかは分からないけど、出来れば他もそうであって欲しい。面白い。
オリヴァーの弱点が分かる場面、唯一そこだけが笑える内容だった。
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2014年5月25日読了。
今回のオリヴァーのグダグダっぷりには、「しっかりしなさいよっ!」と尻を蹴っ飛ばしてやりたくなったわ。
その代わり、ピアが本当に大活躍だったわね。
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ありがちな展開ではあるが、集落の閉鎖性と排他性が際立っている。過去の事件と、それに端を発した現在の不穏な空気をない交ぜにした微妙な殺気が、いい意味で予想を裏切る。
ストーリーの進行と共に登場人物たちの醜い側面が露になるにつれ、作品の奥行きが一気に拡がる。人物描写に加え、そこに至った動機にこの作者の手腕が発揮されてるようだ。人の醜さおぞましさ、シンプルな欲望の行き着く果てに、自らを追い詰める罪人たち──こういう心理の巧みさは前作と共通しており、誰が悪人なのか最後まで判らないスリルが一層サスペンスを盛り上げる。単なる冤罪事件で収束しないスタンスに作者の個性が表れていて好感度高し。
今回、オリヴァーはほとんど沈殿してるよう。私生活のトラブルに振り回され事件に集中出来ていない。その分ピアがひとりで頑張っている。このシリーズの主人公ってピアだったっけ。二作読んでも作者に対する印象は変わらないので、リピートはほぼ決定ですね。
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評価ページなどでは評価も高く、
冤罪や秘密を強要する閉じた部落での謎解きと、事件を追う刑事をとりまく人間模様と
内容も盛りだくさんでサスペンスフル・・みたいに書かれていたので楽しみにしていた。
いや実際にその通りだった。
冤罪を主張したが状況証拠と本人の記憶障害(泥酔?)によって10年もの間、
刑務所に入っていた青年。迎えに来たのは幼馴染で大親友、いまや大スターの女優。
ところが戻ると家はあらされ、両親は離婚。父は老いてかつての繁盛した店を閉め、
ほそぼそと日々の労働で糊口を潤していた。母は耐えられずに土地を離れるが、
息子の帰宅を知って村に戻ろうとしたそのときに、なにものかに歩道橋から突き落とされて
重傷を負ってしまう。
犯人と目された青年は村中に愛されたかつての好青年で、
殺された娘は二人とも彼と付き合っていた。
10年たっても殺された娘たちの両親も彼の父親もそこに暮らし続け、
事件の関係者がすべて揃った状態で、かれは当然のように迫害される。
閉鎖的な村での事件はなんとなくこそこそとしつつも、
多くの村人がなんとなく彼の迫害に多かれ少なかれ賛成しているので隠し方も杜撰。
それがいやらしさを産み落としていて、ストーリーの縦糸の味付けになっている。
ここで他の方が評価していた横糸の警察側のストーリーだがこれはわたしからするとかなり大味だなと言う印象だった。
冤罪や被害者家族の書き込みであれば薬丸岳とか東野圭吾とか、
あるいは刑事の内部であればもっと他の海外モノとか多々ある中で、
わたしとしては広がった内容と収斂の仕方がいまひとつ。
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カバー内側の登場人物一覧は確認に便利。
いざという時の、女性の良くも悪くも逞しい傾向と男性の脆い傾向が登場人物を通して顕著だった印象。めげないピアは応援したくなる。
狭いコミュニティーの絡み合った人間関係が事件をより複雑にし解決への興味が尽きない。村ぐるみの隠蔽の怖さに、黒い感情やしがらみに生き方をどんどん縛られてしまう怖さが重なった。
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『白雪姫には死んでもらう』なんてずいぶん物騒なタイトルだなぁと興味深く思い手に取ってみましたが、想像以上に面白かったです。
登場人物が多く、いろんな人が怪しくて犯人はこの人!と推理していくのは楽しかったです。予想を覆す物語の展開もとても面白かった。
また、恋愛要素も結構あり、ヤンデレ好きさんにはたまらない作品かなと^^
この作品はシリーズもののようなので、違う作品も機会があればぜひ読んでみたいです。
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2008年ドイツ。11年前の連続少女殺害事件の犯人とされていた男トビーが、10年の刑期を終え出所してきたところから話は始まる。それと同時に11年前の人骨が発見され、刑事のオリヴァーとピアが捜査にあたり、11年前の連続殺害の真相を追い、トビーの冤罪を証明していく話。
出所した主人公が生まれ故郷のもとの村に戻ると、かつて親しくしていた村人全体が敵意丸出しの様子が、人の怖さを伝える。一人だと無害だが多数になると脅威になるのは恐ろしいと感じた。
真犯人はそうそうに判明するが、その裏に大人の事情や親の体裁などが隠されていて終盤は一気に読み進めた。
「深い疵」の感想と同じだが、刑事二人の私生活の様子はもう少し削ってもよいと思う。おもしろくない。
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ネレ・ノイハウスの白雪姫には死んでもらうを読みました。
ドイツの片田舎で10年前に起きた美少女失踪事件、状況証拠からその犯人として逮捕され、刑に服したトビアスが出所してその村に帰ってきます。
ところが、その村から離れた空軍既知跡地でその事件で失踪した少女の白骨死体が発見されます。
オリバー主席警部とピア警部は現在起きている事件と10年前の冤罪事件の事実を解明しようとするのですが、村人たちの結束に阻まれてしまいます。
登場人物も多く、最初のうちは巻頭の登場人物一覧と引き比べながら読んでいましたが、だんだん物語に引き込まれてくると気にならなくなってきました。
それでも、つぎつぎと事件が起きてしまい、誰が犯人なのかわからない展開なので、どきどきしながら読みました。
オリバーもピアもそれぞれ妻と夫を持ちながら、すてきな異性が現れると心を奪われてしまうという描写が多いのはちょっと驚きましたが、これは作者が女性だからなのでしょうか。
そういえば、桐野夏生の警察小説でもそうだったような気がします。
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タイトルと帯が気になり購入した作品。内容の重さ、複雑さに関わらず書き口がサラッとしており、どんどん世界にめり込んで読んでしまいました!出会えて良かったと思えた1冊です!
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登場人物が多く、入り乱れ、どいつもこいつも怪しい。
……ので、久しぶりにメモ取りながら読んだ。
トビアスが主人公扱いなのかな、と思いきや
感情のままに、特に何も考えてなかったり、女に誑かされたりと割とひどい扱いだった。内に秘めたるナントカ……とかも無く。
オリヴァーは登場人物紹介のいちばん右端に書かれていたのに
終始ジメジメグダグダしていた……何だったんだ、こいつ。
おかげで、女性キャラクター達の生き生きと快活な場面が映えて良かったのかな。
いやー、やっぱヤンデレっていいわ。
最後まで面白かった。
もうすぐ旅行だし、飛行機の中で読み直そうかな。
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刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、翻訳紹介2作目。
ドイツで人気の警察小説です。
11年前の少女失踪事件の犯人トビアスが刑期を勤めあげて出所。
故郷に帰ったトビアスは、両親が離婚、店は寂れて父は弱みに付け込まれて財産を奪われたという悲惨な有様を知ることに。
事件当時、トビアスは無罪を主張していたが、泥酔していて記憶がない時間帯もあり、状況証拠で有罪となっていた。
張り合う美少女二人が殺されたらしい‥?
トビアスの帰郷を憤る被害者の親たちは敵意をあらわにする。
遠くに住むトビアスの母親まで、歩道橋から突き落とされてしまう。
半年前から村に住み始めた高校生アメリーは、鼻ピアスをしたパンクなスタイルで村人からは浮いていた。トビアスに好感を抱き、事情を探り始める。
普通の格好をすると、じつは行方不明の少女にそっくりなアメリー。
村を支配する企業家の息子ティースは自閉症だが、アメリーには心を開いていた。
最初はいかれた子みたいだったこのアメリーが爽やかで、救いになっています。
オリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン主席警部と部下のピア・キルヒホフ警部は村で聞き込みを始め、冤罪の可能性を感じる。
前作では申し分のない幸せな家庭を築いていたようだったオリヴァーが1年4ヵ月後に一転、妻を疑うようになり、人生最大の危機?!
捜査にも熱が入らないが、転機を迎えることに。
ピアにも難題が起きていますが‥
村の閉鎖性がなかなか怖くてリアル。
それぞれに濃い事情のある登場人物たちの入り組んだ行動が書き込まれて、ドラマチックな仕上がりです。
物騒なタイトルに最初は引いたけど~それだけの読みではある内容。
オリヴァーの変化は意外でしたが、3作目4作目を読んだことになるので、1~2作目を読んでいたらそうでもないのかどうか?
盛りだくさんなのが好みなら★五つの出来だと思います。
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ドイツミステリー界の女王が執筆した本書。
以前読んだ事がある「深い疵」のシリーズ続巻にあたります。
主要登場人物たちはそのままですが、しかしその人間関係が激変する一冊になっています。
では前置きはこの位にして以下であらすじをご紹介。
2人の少女の殺害よる10年間の服役。
これを終えたばかりの29歳の男性が出所する所から物語は始まる。
自身の無実を訴える彼は、釈放後、故郷の小さな町に戻り事件の真相を明らかにしようと決意する。
しかし、故郷では変わり果てた実家と服役中の彼には隠したまま離婚した両親の姿を目にする事となる。
自身を敵視する住民に取り囲まれる中、それでもくじけずに父との生活を何とかしようとする男性。
そんな彼の帰郷が故郷の村に思いもかけぬ波紋を広げる事となる。
別々の地で起きた新たなる犯罪。
旧友たちの真実。
一方、オリヴァー指揮下の捜査11課も新たに発生した犯罪の捜査により10年前の真実に近づいていくが・・・
25年連れ添った魅力的な妻コージマの不倫疑惑に苦しむオリヴァーの姿が描かれている等、冒頭で触れた様に主要登場人物たちの人間関係が大きく変わるストーリーにもなっています。
ネタバレになるので不倫疑惑の行方には触れませんが、今後のシリーズの方向性に変化が表れてくるやも知れませんね。
なお、元服役囚の29歳男性がイケメン設定になっているなど、シリーズ前巻の「深い疵」同様、「大衆文学」的な所は相変わらずです。
しかし、ストーリーが練られている所も相変わらずなので、やはり本巻も前巻同様、ただの大衆文学には終わらない、「ザ・大衆文学」と言った所でしょうか。
娯楽小説として文句なしの一冊です。