紙の本
難しい憲法を身近に
2015/10/30 02:03
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投稿者:シエル - この投稿者のレビュー一覧を見る
「憲法の創造力」と言うぐらいだから憲法の事について書かれた本なのは当たり前だが憲法って何よ?と言うそもそも論が良く分っていない。
そんなことは小学生レベルなのか、本書には触れていないけれど自分なりに解釈しているのは国家の根本となる基本原則、原理を説くものだろうと思う。
本書は計八章からなるがここに取り上げるテーマが違って、筆者が様々な角度や立場からの解釈や解説を行っているので中学生程度でも読めるだろう。
唯、法律用語と言うのは日常使う言葉とは違ってどう言う訳か日本の憲法なのに中国語と言うか漢字がやたらと多くて分り難い。
ざっと全体の構成を以下に記すとこんな感じ。
序章 話、本書の書き起こしのような文
第一章 思想・良心・業務遂行に関して-君が代不起立問題
第二章 選挙権の問題-一人一票の規定→選挙の違憲問題
第三章 司法の独立-選挙権
第四章 政教分離-日本特有の多神教世界
第五章 生存権
第六章 公務員の中立性
終章 9条問題
こんな感じであるが読み物としては簡単に読める。
然し、先程も指摘したように法律に関する特有の表現が各行と言って好いぐらい出て来るから法律慣れしていない身には最初の部分はツッカエ、ツッカエな感じで進捗しなかった。
マスコミなどでも先の安保法制だけでなく頻繁に憲法の話題は出て来る。
違憲か合憲かという論調が殆どだけれどそれ以前の問題として憲法の規定するものはどう言うことなのか、どの部分をどう解釈して違憲と判断するのか合憲なのか一般には分り難い。
と言うより、自分だけが弱いのかもしれないが専門的な話以前に、解釈の仕方を憲法はどう求めているのかとそれを今まで司法はどう判断してきたのか?と、言うことが分っていないで違憲合憲の判断だけが独り歩きしているようで素人として六法以前の問題、憲法は何を求めてどう決めているのかを知りたくて読んだ。
自分なりに得るものがあったし、分り易い文章だったからそれを助長したのかもしれないがチョッと引っ掛かる時には本書の当該個所を読んでみれば一助になるだろうと思った次第。
紙の本
どこがよいのだろうか
2015/09/16 00:52
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前評判の高い新たな世代の憲法学者でテレビ朝日や朝日新聞で良く出ていらっしゃる。ではと読んでみた。法律用語による論述というのではなく自説を展開するする運びに憲法学者らしくないという点が前評判なんだろうか。
むろん分野として独創性などという言葉と無縁で、正直、法律の専門家ではない(そういう人を対象にしたのだと思うが)評者にはどこがいいんだがわからない。
むしろなんか揉み捏ね続けるだけみたいな長谷部恭男氏の著作の方がなんか好きである。
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改憲が叫ばれてる近頃、法律の類にはからっきしダメな自分ですが少し興味が持てた1冊になったと思います。素人ながら、法律って言葉の綾というか言葉遊びじゃないかと思ったり。言葉の意味する範囲ってのは曖昧だな・・。
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最新判例を素材にした憲法の入門書。
著者の見解が前面に押し出されているが、最高裁の論理を丁寧に分析しているので、司法試験受験生にとっても参考になると思う。
特に、第一章(君が代不起立問題)、第二章(一票の較差)、第六章(公務員の政治的行為)については、司法試験論文で出題されても文句が言えない分野だと思うので、本書を読んで議論の要点を押さえておくことは有用だと思った(もっとも、君が代不起立問題についてはその性質上、そのままの事例が試験に出ることはないと思うが)。
個人的に、裁判員制度や生存権についての記述はあまり説得力を感じなかったが、全体的には参考になる部分が多く、面白かった。
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裁判員制度、確かに裁判員法は上から目線だな。でも、専門性の高い仕事ってある程度は上から目線が必要だと思う。
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憲法の入門書。扱われているテーマは、今流行のものが中心。
個人的に、筆者の鋭い指摘には、気付かされること、
考えさせられることが多かった。とりわけ、生活保護に関する指摘では、なるほど、と思った。あとは、思い込み程恐ろしいものはないということか。
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「ニッポンのジレンマ」に出演していた若手憲法学者の本。テレビ出演時の意見が興味深かったので、購読。
<国家と憲法の定義>
国家:権力を作ることを目的とした組織。
権力:暴力を背景に有無を言わさず人に言うことを聞かせる権利のこと。
憲法:国家のルール。国家の領域範囲、王位継承の方法、裁判の手続き、軍隊の指揮権の所在などを決めたもの。
<入学式での「君が代」ピアノ伴奏拒否事件の判決について>
・入学式で「君が代」伴奏を拒否したピアノ教員は、「君が代」を軍国主義と結びつけて拒否した。
・反対論者は、「君が代」を古い日本の歴史と結びつけて擁護した。
・どちらも「君が代」と思想、歴史的価値の連関を認めている。
・最高裁は、「君が代」の固有の意味や、歴史的価値について考察することを留保した。「君が代」は今国歌なのだから、入学式で歌うことに問題ないとドライに扱った。
・憲法は、個人的なこだわりを他者に強いることを否定する立場を取っている。
<生存権保障>
・人間が人間らしく再生産される社会の創造は我々の義務。
<憲法9条の想像力>
・9条は自衛のための必要最小限の自衛権を認めている。
・憲法9条は世界の中で特殊な憲法なんかではなく、むしろ世界で主流の考え方。自衛以外で戦争するのは、世界では侵略行為と呼ばれる。9条が言っているのは、国際法の常識に照らしてみれば、実は当たり前のこと。
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憲法の入門書。
なぜか、章の冒頭に時々同級生の「トミナガ」が登場し、ユニークなエピソードが披露される。これに引き込まれ本論は法律解釈の専門的な議論から離れ、一般常識を使った想像力により、法律の解釈を創造するというアプローチ。
もちろん、判例や通説も紹介されており、独善的な内容ではない。憲法にこんな考え方もできるのか、と新鮮な気持ちになった一冊。
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「憲法の想像力」を経て、「創造力」に進んだステージ。学校で「君が代」を歌わせる問題が、「君が代」でなくて「ビューティフル・サンデー」だったらどうなるのか。それを同列に扱うのをイカンというのなら、それを他者に押し付けることも憲法は禁止している。
憲法は、新しくするとか改正するとかが大事なのではなくて、そこから想像力を使ってよい国を創造するのがよいことだ、と。かなり砕けた書き方で読みやすく、そしてその想像力と創造力が染みてくるではないか(簡単すぎて怖いけど)。
憲法というと、眉間に皺をよせ、頭に血を上らせて、となりがちだけど、これは上機嫌に憲法を語れそうだ。選挙結果は白紙委任ではない。裁判所だって、どうでるか。今こそ、下地を持っておきたい。
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最近、注目を浴びている若き憲法学者の著書。
『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)がとても読みやすく、取っつきやすい作品だった事から興味を持ち、本作も読んでみました。
各章ごとに事例を挙げながら、憲法に照らし合わせた際にこれはどう解釈されるのかを丁寧に説明してくれます。解釈については実際の判例・判決に沿っている為、実用性も抜群です。
また導入部に当たる話がとても面白く、著者の実体験を元にしているのか映像が目に浮かぶ様なものが多く、小難しい話を敬遠しがちな方にもお勧めです。
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最近注目されている気鋭の憲法学者による本。「憲法が今の社会や時代にそぐわないから変えるべきだ」とか、「憲法の理念が~だからその原則に従うべきだ」とかの極端な主張にすぐに行ってしまうのではなく、憲法の基本的な性格や特徴を踏まえた上で、憲法に関係する世の中の問題をじっくり考えて、「もし…だったらどうなるのか?」という想像力を働かせ、すぐに極端化するような思い込みを避けるように説く一冊。いわゆる「憲法問題のケーススタディ入門」と言ったところ。非常に読みやすい。
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最近何かと喧しい「憲法」周辺。この本は特に改憲の是非に議論を絞ったものではないが、憲法をめぐる諸問題に触れながら、国家のあり方を議論するうえでのベースとなる考え方のいくつかを示してくれている。
この本の特徴としては、君が代不起立問題や公務員の政治活動等の憲法上の問題について重要なファクターを抽出し、これをより卑近な例に置き換え、その場合に生ずる不都合からより根源的な論点を照射する方法が多く取られていること。例えば、
・君が代を否定する思想をもつ公務員にその斉唱を強要する行為と、ベジタリアンに肉を強制的に食べさせる行為との違いは何か?
・公務員が職務時間外に政治活動をするのを禁止すべきというなら、より政治色の強い行為である「選挙権の行使」も禁止すべきなのか?
といった具合。全て納得できるわけではないが、なかなか分かり易い。
私も「そんなの国や自治体から給料もらってんだから当たり前だろう」と安易に考えていたが、そのように短絡的な思考では見落とす部分が沢山あることを思い知らされた。
なお、終章で少しだけ9条に触れているが、安倍の改憲論を精神論呼ばわりしている。ある程度肯けるのだけど、それをいうなら本書の「9条が日本の非武装を選択できるための世界の創造を要求する」という主張もかなりナイーヴな精神論なのではないかと思ったりもした。
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憲法改正問題が取り沙汰されている中、平易で読みやすく、現実的な問題を憲法を通じて解説してくれる良著だと感じた。作者を変えて、何冊か読み、自分なりの考えを持つべきなのだろう。
著者は引用する。憲法は終わりの無い仕事であると。
自衛権の行使以外に武力を行使してはならない、というのは、憲法第9条以前に、現在国際法の大原則である。9条の内容というのは、それが守られるような、国内外の状況を作っていかなければならない、という意義そのものなのだと。
現在の憲法があるのが当たり前のように感じているが、その存在意義を改めて考えることは、現在の国の成り立ちを考えることでもある。
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木村草太氏の憲法入門書。君が代の不起立問題・一票の格差問題などなどホットな話題から、日本人の宗教観・憲法9条などの根深い問題までさまざまな課題を扱っている。一見関係ない無駄話のように見える話題が導入に書かれており難しい憲法の話題にすんなりと入っていけた。
団体とは、要するに、共通の「ルール」に従う「人の集まり」である。「ルール」と「人」の二大要素のうち、「ルール」は頭の中にしかないが、「人」は目に見えるし、触ることもできる。団体の「正体」を、「ルール」だと見るのが擬制説、人間という「実在」だと考えるのが実在説だが、団体の「正体」などという怪しげなものを観念する必要はなくて、擬制説と実在説は同じものを右から見るか左から見るかの違いにすぎない、と評価するのが筆者の立場である。
経験により検証できない性質の事実認識を「宗教」と呼ぶのである。
ボーアの蹄鉄 ある人が宗教を「信じていない」といったからといって、その宗教を行動の前提としていないとは限らない。
などなど参考になる文章が多数
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ピアノ伴奏拒否事件を、校長による女性教員へのパワハラと捉える。校長の君が代斉唱ピアノ伴奏拒否による女性教員への戒告処分は、思想良心の自由の侵害として捉えない。むしろ、憲法14条の、すべて国民は、法の下に平等であつて、信条(略)により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない、という差別されない権利の侵害と捉える。私は妥当と思う。校長はただの嫌がらせ、個人の思想強制を、権力を用いて怠惰なやり方で行っているにすぎない。治安維持法と同じだ。歴史は繰り返される。