紙の本
わたしも見つけて欲しい
2013/09/24 23:26
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投稿者:まさにゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の心の動きや揺らぎ方が自分に凄く似てて共感しながら一気に読みました。自分も、 救い や 光に向かう出口 を欲してるんだなと思いながら~
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
施設で育った少女が、やと見つけたのは准看護師として勤める医療機関。といっても、施設出身のため正看ではなく、また、この居場所では医師に意義を唱えることもできない。「きみはいい子」に続く問題作だが、主人公のやさしさが染みる良い作品。社旗に問題提起する中村氏の積極的な姿勢を買いたい。
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三月に生まれたから弥生、ではなく
三月にに捨てられたから弥生。
准看護師として働く、親に捨てられいい子でも悪い子でもない弥生の物語。
ところどころじーんとくる言葉たちが多い中で、惜しいなーって思うことが多すぎる。前作きみはいい子でこの著者を知りましたが、感動系、可哀想系でキレイに物悲しくまとめただけでなんか足らない。その物足りなさ、惜しいなーと思わせる感じが今作ではより強くて、じーんとくるものがあったなかでほんとうに残念。
終わり方もそう。結末とかわからない感じとかうまくやればそれはそれで良いけど、これは弥生が初めて世の中にはいい人もいると思わせてくれた菊地さんの生死をハッキリさせないこと。雰囲気的に多分助かるんだろうけど、こういう終わり方は好きではないし、好きな人いないんじゃないかな。
なんか携帯小説っぽいんだよね、随所で。
それかセカチュー的な。泣かせてやるよほらほらという作者の意気込み的なものはひしひしと伝わりました。惜しいな。
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中脇 初枝先生、担当者様(@kimi_iiko)、ありがとうございます。
大過なく、ひたすら自分を・息を殺して過ごす、その日常が・人生がぐわーっと中盤から大きく動き出すところが、いや、本当は序盤から動き出していることに気がついたとき愕然とするというか
ああ、『自分』は変わる・変えられるのかなぁ。
変わろうとする人、戦っている人、みんながんばれ。
個人的には、この直前に読んだ小説が『世界地図の下書き』で、事情のある子どもたちの施設が出てくるあたりうっと胸が詰まりかけた。
いやホント、選択の妙だったんだけど、偶然て無くて全てが必然だとすると、何に呼ばれたんだろう私。
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自分がどこのだれなのか、というアイデンティティがないということ。その足元の不安定さは多分、自分がそうでない限り、絶対にわかることはできないのだと思う。
生まれてから物心つくまでのことは記憶にないからどんな環境で育ったとしても変わらないだろう、なんてことは絶対にないはず。記憶としては残ってないとしても、心の、そして身体のどこかに、誰かに無条件で愛されたしるしが残っている、そう思いたい。
それが親であろうと、ほかのだれかであろうと。
だから、もしも、もしも、何かの理由によって親に捨てられたとしても、だれかほかの人に愛されて育ったのであれば、それは、まだ幸せなのだと思う。
実の親に虐待されて育つよりも、はるかに、はるかに、はるかに。
これは、「救いの物語だ」、と思った。
子どもをめぐるたくさんの悪意と、悲しみと、不幸に満ち溢れたこの世界において、どこかに変わらずある希望の光を見せてくれる。
そして、どんなにつらい過去を背負って生きているとしても、どんなに深い悲しみの中に沈み込んでいたとしても、人は必ず変われるんだ、ということを教えてくれる。
どこかで、わたしを見つめていてくれる人がいる限り
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「きみはいい子」で引き込まれ、読みたくて読みたくて単行本を買った。こんなことは珍しい。
主人公の境遇と私は全く違うけれど、痛みの部分で共感し、引き込まれた。
前作の「きみはいい子」と繋がるところもあり、再生と希望の物語に感じた。
重く辛く苦しいけれど、私は彼女の文体が好き。
次作も楽しみ。
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いい子じゃないと、いけませんか。
施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。
なぜならやっと得た居場所を失いたくないから――
『きみはいい子』(第28回坪田譲治文学賞、第1回静岡書店大賞、2013年本屋大賞4位)で
光をあてた家族の問題に加え、医療現場の問題にも鋭く切り込む書き下ろし長編。
中脇初枝が再び放つ感動作!
内容(「BOOK」データベースより)
施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。なぜならやっと得た居場所を失いたくないから―。『きみはいい子』で光をあてた家族の問題に加え、今作では医療現場の問題にも鋭く切り込んでいく。新境地となる書き下ろし長編。
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現市長の苗字の山本、親に捨てられた月が3月だから弥生
そんな悲しい名づけ方があることをこの本で知りました。
弥生の名前にコンプレックスを持つ主人公は「また捨てられないために」
誰にでもいい顔をしてしまう。時間を守らない医者にも手術前にいいかげんな態度をとる院長にも。自分が何者なのか、誰から生まれてきたのか分からないままただ日々生きるために仕事を無難にこなす。唯一自分の家だけが”ずっといてもいい場所”だと安心できる。
そんな日常を生きてきた弥生が新しくきた看護師長に感化され、少しずつ変化していく様が描かれています。
”我慢”して”いい子”でいないと誰からも必要とされないと思っていた弥生に対して師長は優しく間違いを正してくれる。師長の言葉で今まで気づけなかった人の優しさを知り、弥生が”我慢”することも”いい子”でなくてもいいのだと思えるようになるまでの道のりにでてくるエピソードはじわじわと胸を打ちます。
師長によって変わったのは弥生だけではなく、神田さんもその一人です。正看護師ながらミスを繰り返す神田さんは暴力を振るう男性と縁が切れず、子どもに対して暴力を振るってしまう。
立場も性格も違うけれど弥生と同じ”我慢”をしている神田さんも師長により他人からの優しさに気づきます。
「きみはいい子」でもでてきた子どもに暴力を振るってしまう親の立場を偽善的ではなく、何故悪いことだと自覚していて繰り返してしまうのかが描かれていて考えさせられます。
「暴力の痛みは暴力を受けた人にしか分からない」痛いと知っているのにそれを子どもにしてしまう。
ままならぬ感情と葛藤を抱いている神田さんが師長により前を向いていく姿は弥生とはまた違う側面から人のさりげない優しさを垣間見ることができました。
医者と看護師、看護師と患者の家族、すべてが思い通りにいくわけではありませんが、困難のなかでも師長や菊池さんのような善意の人がいて見守ってくれていると思える。そんな人のために生きたい、自分のような人を見守っていけるようになりたいと願うようになる弥生。
日常のなかでは見過ごしがちなさりげない優しさ、自分ひとりで生きているわけではないということに気づかせてくれる本でした。
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親に捨てられ施設で育った准看護士の女性のお話。新任の師長との出会いをきっかけに心を閉じていた主人公が強く逞しくなっていく展開は丁寧な心理描写で良かった。でも、前作ほどの感動はなくサラッと読了。医療現場のエピがよくある内容だからか。
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里子の子どもで確信を得たくて、わざとワガママ言ったり困らせたりすることがあると聞いたことがある。今回の主人公はまさにそれで、里親宅からかえされたあとは施設で育ち、現在は准看護士をしている。
居場所を失いたくないあまり、そこに理不尽なことがあろうが無かろうか、従順でいようとする。
そんな現状に新風を起こすのが新しい看護士長と、偶然出会った患者の存在でした。子どもを囲む問題と、そこに医療問題も含め話は展開していく。
明るい主題ではないが、希望を感じることかできる。
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親に捨てられ施設で育った准看護士の女性の話。
心を閉ざしていた彼女だが、新しく赴任されてきた師長の行動や言葉でたくましく成長していく。
ずっと彼女が抱えてきた自分の居場所をなくすのが怖いという心理描写が細やかで、痛いほど伝わってきた。
それにしても、なんてひどい院長だろう。看護師たちの意識が変わることによりあの病院も変わっていくといいのだが。
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損なわれてしまった人たちが、徐々に自分を見出していく。なんとなくではない。努力して温かさは伝わっていく。師長と菊池さんに感謝。おかしいけれど。フィクションであることをわかった上で。
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ページを開いた瞬間、優しい印象を受けました。行間、インクの濃さ、上下の空きなどのせいだと思います。本を読んではっとしたり、気づかされることがよくあります。それは複数の本にまたがって、同じ事だったりもします。この本からは、「現状の自分が持つ幸せに気づく大切さ」をメッセージとして受け取りました。
医療現場の描写は、本当にこんなんだったら怖すぎる!し、大変なお仕事だよなあ、とも思う。読んでおいてよかった、とも思います。
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生まれてすぐ捨てられてしまい施設で育ち、
大人になり、准看護師として働いている女性の物語。
「きみはいい子」に根底で通ずる作品と感じた。
捨てられてしまったからという特有のものではなく、
誰もがみな共感できるアイデンティティの形成、獲得にかかわる
ゆらぎ、葛藤、抑圧などが見事に描かれている。
子どもの頃、いや大人になってからでも持ち続ける
「いい子にしなくては…」という強迫観念めいた不安。
その不安と向き合いながらも自分というものを主張したり、
周りから諭されたりして自分というものが確立されていく。
本作では捨てられたという自分の存在にとって決定的な事実により、
「自分」というものの不安定さやあいまいさ、
根本的にわるい子ではないかと思う感情など、
主人公の心の機微がやさしくつつましく紡がれている作品だと感じた。
自分に自信のもてないひとにとくに一度は読んでほしいと思った。
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前作 きみはいい子 の短編の続編?総まとめ的な位置づけかな。順番に読んだ方が楽しいと思う。
前作で気になってた子供も今作で何とか救いのある方角へ進め、ホッとした。
どろっとした話ではあるけど、最終的にはみんないい方向へ進めそう。