電子書籍
語り口がいい
2021/04/08 16:31
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
「炭素」というたった一つの元素から科学史は当然として 文明史 歴史学 哲学まで展開してゆく構成がとても良い。化楽に詳しくない人にでも容易に理解できる平易な語り口がこれまたとても良い。他の天体にも炭素があれば生命は誕生しているのだろうか?
紙の本
世界観の変わる本
2017/12/02 15:32
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投稿者:Chappie - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分がこの本に高校生までに出会っていたら、化学の道に進んでいた、と言えるレベルの一冊です。
窒素固定については本題とは異なりますが、いやがる子供に強引に読ませたほどです。
ここまで衝撃を受けたのは、私の知識が乏しかったせいでもありますですが、何をおいてもわかりやすいということに尽きます。
世界は何通りもの見方ができることを、思い知りました。
紙の本
著者の教養に脱帽
2016/07/21 21:15
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投稿者:わびすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「炭素化合物」をテーマに、歴史を絡めて語るエッセイ集。理系の作者の文才と教養に脱帽。文系でこれだけ書ける人はあんまりいないのではないか?専門を越境するスタンスがこれからの学問に必要ではないか、国立大学から文系科目をなくすとか、引き算の発想では将来が見えませんね。
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「読売新聞」(2013年9月8日付朝刊)で、脳研究家・池谷裕二先生が
紹介しています。
【著者(佐藤健太郎)の本にハズレはありません。
本書も高品質な知的好奇心を刺激してくれます。】
(2013年9月8日)
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炭素=有機化合物が如何に世界の歴史に影響してきたか書かれた本。名著。理系も文系も関係なくみな読むべき本。
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やばい。これはすごく面白い。興味深い。
炭素由来と言って簡単に思いつくのは鉛筆やダイヤモンド、せいぜい石炭だろうか。
現代の科学においては、有機物といえば炭素化合物になるのだそうな。私の中では有機物は生命が元になっているもの、無機物はミネラルなどの鉱物系のイメージだったので驚いた。
つまり、石炭は言うに及ばず、ガス、石油も炭素化合物なのである。
いやいや、それだけじゃない。でんぷん質、砂糖……我々が生きていくために、炭素は必要不可欠なのである。
人間が狩猟民族から農耕民族に代わり、穀類の争いが始まり、産業革命がおきてからはエネルギーをめぐる戦争が起きている。
オイルショックから温暖化問題、PM2.5など、未だに炭素からは離れられないし、楽観も出来ない。
炭素という切り口で、幅広く化学をめぐる歴史や実学を学べる。しかも大変興味深く面白いというすごい本。文章も読みやすいのでお勧め。
説明が分かりやすく豊富なので、化学が苦手でも小学校の理科レベルの知識があれば大丈夫です。たぶん。
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炭素を巡る過去から未来までの歴史を描いたノンフィクションです。
題名や表紙がとにかく地味でもったいないと思うのですが、内容は壮大で造詣深く、ひとつの”物語”としても楽しめる話でした。
読了後、カフェオレに賞味期限切れのシナモンを振りながら、これがかつての大航海時代を築き上げる原動力になったのか〜と感慨深くなる。そんな本です。
あとうちはナツメグの賞味期限も切れているので早く使いきりたい。
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地表における元素存在比0.08%の炭素が成り立たせる生命の世界。
我々の生活を支え、文明・文化のあり方に深く影響を与える物質を化学的視点から考察。
◯炭素が本領を発揮するのは、「化合物を作る」段階だ。今までに天然から発見された、あるいは化学者たちが人工的に作り出した化合物は7千万以上にも及ぶが、これのうち炭素を含むものはそのほぼ8割を占める。
・エネルギー源のグルコース、貯蔵形態としてのデンプン
・様々な化学構造で甘味を感じる不思議
・肉食、保存用途があった頃の香辛料の重要性。農業発達・冷凍技術で嗜好品化。唐辛子のカプサイシンは16世紀にアジアにもたらされて食文化を形成。発酵文化、新鮮な魚、穀物がある日本にはあまり浸透せず。
◯ニコチン、カフェイン、尿酸(プリン体)、エタノールの精神への影響、産業としての側面、文化の構成
◯エネルギー
・ニトロ:硝酸、衝撃に反応、珪藻土に吸収させてダイナマイトを発明
・アンモニア:本書で取り上げる唯一の無機化合物
生物の生育に必須元素、窒素固定は自然界では稲妻とマメ科根粒細菌のニトロゲナーゼのみ、採掘の限界、ハーバー・ボッシュ法による人工窒素固定、エネルギー大量消費の課題、毒ガスへの応用
・リン鉱石の採掘限界、2060年頃
・石油:現代のエネルギーの根幹。無機起源説等、未だわからない物質
・カーボンナノチューブ、人工光合成、オーランチオキトリウム等の新技術による新たな炭素循環
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世界史と有機化合物とを見事に繋ぎ合わせた傑作。過去に起こった様々な戦争が、実はたった一種類の有機化合物を巡っての争いであることも少なからず。このような観点で、化学の歴史も学べるなんて、まさに目から鱗。
もしこの現代になってアルコールが発見されたら、恐らくアルコールの摂取そのものが認可されないだろうというのは、確かにその通りと納得。
あとがきに書いてあるが、化学物質と聞くと世間一般には危険、汚染、悪者といったネガティブなイメージしか湧かないかもしれない。しかし、この世の人々の生活は全て化学物質・化学反応の進化の上に成り立ってるんだという著者の熱い思いには、同じ化学者として大いに賛同いたします。
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有機化合物を軸に人間の化学・生理学的欲求とそれに引きずられる歴史を鮮やかに描き出したとても面白い本。銃・病原菌・鉄を炭素を中心に、そして冗長にならないように簡潔に、でもサイドストーリーも忘れずにしたような充実した読後感。
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傑作である「スパイス、爆薬、医薬品」にひけを取らない良書。海外経験のない日本人研究者がこれほど読みやすい文章を書け、俯瞰的視点が持てるとは驚き。
・イギリスは阿片の自国流通は厳しく規制
・狩猟時代の1日の労働時間は3時間程度
・人体が甘味を感じる仕組みは謎。各種甘味料の構造式に共通点無し
・将棋の「桂」はシナモン「香」はナツメグ、クローブ
・タバコ擁護論者は他では論理的だが、好きなものに対するバイアスが多大にかかっていて、ニコチンに操られているかのよう
・400リットルのウィスキーには樽由来成分が2kg近い
・チンパンジーに貨幣経済を教えると売春、強盗が発生する
・石油の由来について、無機起源説の説得力が増してきている
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題名からは意外な流れで有機物(炭素化合物)が歴史に果たした役割を開設している。参考文献の最初に出てくるのが「銃・病原菌・鉄」で2番目が「スパイス・爆薬・医薬品」で似たような雰囲気ではある。他にも参考文献には読んだ本がいろいろ入ってたが帯の「今年度No1のサイエンス本の呼び声!」と言うのはちょっと言い過ぎだろう。化学式はちょっと出てくるがあまり専門的ではない。
序章のアヘン戦争にはじまり、デンプン、砂糖、芳香族化合物(香辛料)、グルタミン酸という食品のグループ、次にニコチン、カフェイン、尿酸(これだけちょっと毛色が違う)、エタノールと言うドラッグ、嗜好品、そしてニトロ、アンモニア(炭素ではないが肥料とニトロの原料)、石油というエネルギー関係そして最後にフラーレンやカーボンナノチューブ、そして人工光合成と炭素の未来の物質までつづく。「スパイス・爆薬・医薬品」が少しづつ関連する物質を紹介していたのに比べると並びは普通。
せっかくなのでなぜか混ざっていた尿酸について。
プリン体はもはや悪者扱いだが実はDNAをつくる構成成分のうち2つはプリン体骨格を持つ。青酸(HCN)とアンモニアという比較的単純な物質を混ぜて加熱すると高確率でできるアデニンに糖とリン酸が結合したのがDNAの構成単位でありアデノシン3リン酸(ATP)は糖の代謝経路にも使われる。このプリン体が酸化して出来たのが尿酸で水に溶けにくく、体内で結晶化すると痛風の原因になる。なんと最古の痛風患者は人ではなくティラノサウルスだそうだ。
歴史上の痛風患者にはアレキサンダー大王、フビライ・ハーン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ニュートン、ダーウィン・・・と錚々たる天才が並ぶ。20世紀に入り知能指数が高い人を調べてみると痛風患者が通常の2〜3倍もいることがわかり、「天才物質」という説が出てきたそうだ。う〜む、因果関係が逆で収入が高くていいもの食ってるだけじゃないのか?と思うのだが。ビールを飲みながらの小ネタとしてはなかなか使えそうではある。
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【由来】
・amazonでたまたま
【期待したもの】
・
【要約】
・図書館で24人待ち!
【ノート】
・
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【読前メモ】
平成25年9月8日産経新聞朝刊10面書評欄掲載。
人が存在するための大前提である「炭素」がどのようにして人類の栄枯盛衰に関わってきたのか。炭素を切り口に様々な視点から語られていて面白そう。
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題名にもある通り、古代から現代に至るまでの数々の歴史的出来事を、化学という観点から解説していくというもの。
非常に小さな分子一つの性質が、歴史の1ページを作ってきたという視点はひと味違ってとても興味深い。
これまで学校で習う歴史や化学はそれぞれが独立していて、特に文系・理系でカテゴライズされた両者の間には殆ど関わりをもっていないように感じる。
私がこの本の内容を非常に楽しく感じるのは、今まで何のつながりもなく覚えていた事項があれよあれよとつながっていき、驚くまでに魅力的なストーリーが出来上がっていくからだと思う。
個人的には、ただ大学受験の化学としてハーバー・ボッシュ法という単語や式を覚えていただけのものが、社会状況にどれだけ影響を与えていたかを知っただけでもとても感動した。
あんな教科書の片隅にあって、選択問題の一つに取り上げられるかどうかの反応がこんなにも凄い発見だったとは。
(だから教科書に登場?w)
化学や歴史の授業がただ暗記事項の羅列でなく、こういったドラマチックなつながりをもっていうことを学校の先生が伝えてくれていたらと思ってしまうw
ただそれが難しいw
難しいからそれが出来る人がこのような本を出せるのだとw
この著者はブログでもそういった楽しい知識を提供してくれているので、いつも拝見している。
またワクワクするような雑学を期待。
(今回は前回の『『ゼロリスク社会」の罠』に比べて言葉やストーリーが断然整っていたように感じたのは出版社のせいなのかな?w)