紙の本
震災画報 (ちくま学芸文庫)
著者 宮武 外骨 (著)
尋ね人の掲示板と化した上野の西郷隆盛像、人の土地に建てたバラックを売るつわもの、皇居のお堀で沐浴する人々…。明治大正期のジャーナリスト宮武外骨による一味違った関東大震災の...
震災画報 (ちくま学芸文庫)
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商品説明
尋ね人の掲示板と化した上野の西郷隆盛像、人の土地に建てたバラックを売るつわもの、皇居のお堀で沐浴する人々…。明治大正期のジャーナリスト宮武外骨による一味違った関東大震災の記録。貴重図版も多数収録。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
繰り返し
2014/03/30 17:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
震災関連本を読む、という個人キャンペーン第3弾。
ただし、今回は震災は震災でも、「関東大震災」
ジャーナリスト宮武外骨による被災した市井の人々の様子を伝える雑誌。
関東大震災が起きたのが、1923年(大正12年)9月1日。
そして、震災画報の第一冊が発行されたのが、9月25日。
以降、
第二冊:10月10日
第三冊:11月5日
第四冊:12月25日
第五冊:1月15日
第六冊:1月25日
に発行されている。
ところどころ、政府機関の復興に対する遅れを叩きつつも、大部分は被災した一般の人々の様子を伝える記事。
(特に変わった話を集めているそうだが)
予想通りではあるが、関東大震災の後に起きた事と、東日本大震災後に起きた事とでは、あまり大差ない。
混乱、デマ、便乗詐欺・・・。
悪名高い「朝鮮人暴動」のデマのような話がなかっただけ、よしとするしかないのか・・・。
ちなみに「朝鮮人暴動」については、本書にも何度も登場する。
自警団が誰何しても答えない者は朝鮮人、姓名がそれっぽければ朝鮮人、訛りがあれば朝鮮人、顔つきがそれっぽければ朝鮮人、挙句の果ては、手にビール瓶か箱を持っていたら、毒薬か爆薬を持っているだろうと因縁をつけていたそうだ。
しかもこのデマの広がりに一役買ったのは「公的機関」だったらしい。
平時に非常時の事を非難してもはじまらない、とは分かっているが、デマの恐ろしさが垣間見える。
なお、著者は震災画報第六冊で、朝鮮人を殺傷した自警団の人々は捕まえても、自警団の人々を誤らせた自分達の「罪」にはだまっている、という事を「官僚軍閥の大失態」と厳しく糾弾している。
ところで、一番、印象に残ったのは「解説」の部分にあった、次の一文。
"よく「災害は忘れた頃にやってくる」と言われるが、災害の体験を語る人がいなくなった時が、まさに「忘れた頃」という意味だ。"(要約)
(脱線だが「災害」を「戦争」に置き換えても、この言葉、そのまま使える)
東日本大震災の記憶もすでに風化が始まっている、というのが実態だが、「忘れた頃」に、また泡を食う事になるのだろうか・・・。
紙の本
記事内容を巡って何度も投獄され、政府から弾圧を受けた明治:大正期のジャーナリスト、宮武外骨氏による皮肉たっぴりの関東大震災の記録です!
2020/04/19 11:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、表題にもありますように「震災」、すなわち関東大震災について書かれた記録書です。しかしながら、同書は関東大震災をテーマとした他の類書とは全く違います。というのも、宮武外骨氏による著作だからです。彼は、明治から大正期にかけて活躍したジャーナリストですが、彼が執筆した文章で何度も投獄された、政治的な弾圧を受けた人物なのです。同書では、その著者らしく、関東大震災からの復興に対する政府の無能ぶりを激しく糾弾しており、そのような状況でもたくましく生きようとする人々が皮肉を込めて描かれています。例えば、尋ね人の掲示板と化した上野の西郷隆盛像、人の土地に建てたバラックを売るつわものたち、皇居のお堀で沐浴する人々、「丸焼屋」の屋号で再開した飲食店、朝鮮人暴動説を流し虐殺に手を染める自警団などです。同書の構成は、「地震学の知識概略」、「上野公園に集った避難者」、「尋ね人の貼紙」、「上野山王台の西郷隆盛銅像」、「吉原の遊女」、「貧富平等の無差別生活」、「東京を去った百万の避難者」、「見聞雑記」、「写真銅版の実景または図画」などからなっており、その文章や表現がとっても興味深い一冊です!
紙の本
さすが外骨
2015/10/31 05:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽこ仮面 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在にも当てはまる記述が多くて感心させられます。大変な状況下で当時の庶民がいかにしたたかに生き延びて行ったかも窺えてずっしり読み応えがあります。それでいて外骨先生の飄々とした書きっぷりも健在で嬉しい一冊です。