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商品説明
被災地の人びとの生活を支え、心の拠り所となっている12の仮設商店街に焦点を当て、その取り組みと今後の課題に、人口減少・高齢化を特徴とする成熟社会の未来を読みとる。【「TRC MARC」の商品解説】
東日本大震災の被災からすでに2年半を経過した。それでも30万人もの人びとが避難生活を余儀なくされている。他方、地域産業については、グループ補助金と事業用仮設施設の提供により、一つの階段を登った感がある。ただし、バブル経済崩壊以来の「失われた20年」の間に深く進行した内外の構造条件の変化に直面し、意外な思いを深めている方々も多い。
このような課題は、モノづくり系産業を軸に議論されてきたが、小売商業、飲食業、サービス業など、地域の人びとの「生活を支える産業」でも同様のことが指摘されうるであろう。これらの生活産業は生業、自営業として営まれている場合が多く、今回の津波被災で大きな打撃を被った。特に沿岸の中心市街地に立地している場合が多く、津波により事業施設の大半は破壊され、事業主自身が亡くなっている場合が少なくない。
このような事情に対し、今回は無償で大量の事業用仮設施設が提供された。その数は500カ所を超え、区画数は3000を超えている。一つの場所に10から50の商店、飲食店等が集積し、仮設で一定の規模の商店街を形成しているケースもある。そのいずれもが個々の商店等の自立へのキッカケとなり、また、地域で商いをすることの意味を深く痛感させている。事業主は「前のシャッター通りの頃より良い。このままの形態で本設にしていきたい」と語る場合も少なくない。自ら自立の方向に向かいながら、被災し仮設住宅に入っている人びとに商品・サービスを供給し、集いの場を提供することの意義が深く理解されているのであろう。特に、被災地域は人口減少、少子高齢化が際立つ条件不利地域である。そこでの取り組みは日本全体の将来を先取りしていることになる。
そのような点を意識し、本書では被災地の仮設商店街の中から12のケースを取り上げ、その成立背景、具体的な形態と機能、将来の可能性、抱えている問題等を切り開きながら、被災地における「商店街」のこれからと私たちの未来をみていくことにしたい。(せき・みつひろ)【商品解説】
収録作品一覧
震災復興と仮設商店街 | 関満博 著 | 14−26 |
---|---|---|
宮城県女川町/グラウンドに出現した「きぼうのかね商店街」と手づくり商店街「コンテナ村」 | 立川寛之 著 | 28−45 |
岩手県大槌町/浸水した小学校校庭に設置「福幸きらり商店街」 | 姜雪潔 著 | 46−60 |
著者紹介
関 満博
- 略歴
- 1948年生まれ。明星大学経済学部教授、一橋大学名誉教授。博士(経済学)。『鹿児島地域産業の未来』他。
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