米国の研究者が書いたＴＰＰがよくわかる本

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タイトルが適当かどうは疑問があるが、ＴＰＰの経緯、趣旨、論点、意義、そして今後の二国間・多国間のＦＴＡ等の経済連携協定の向かう方向などが客観的視点から書かれている。「ＴＰＰがよくわかる」かどうかはともかく、現在の貿易ルールであるＷＴＯの各種協定と比べ、関税率にしろ知的財産権の保護にしろ「より深いレベル」のものにし、また、これまでカバーされていなかった国有企業の規律など「より広い範囲」のもにする、つまり、縦にも横にも広げ、２１世紀型の新しい国際間経済規律を策定しようとする野心的なプロジェクトであることは、よく分かった。
個々の論点については、すべてに関心があるわけでもないので、一読しただけで身につくわけではないが、各分野の進展などの報道に接した場合に、本書の該当部分を読んで理解を深めるという使い方はできるだろう。
本書の本文は、日本がＴＰＰへの参加表明をする前の段階のものであり、その後の展開については、末尾の（といっても４０ページもあるが）監訳者の解説がフォローするという形になっており、当該解説まで読んでおきたい。
本書は、基本的にはＴＰＰのような貿易・投資等の自由化を推進する立場で書かれているが、無根拠で手放しの礼賛論ではない。「研究者が書いた」というだけあって、面白みには少々欠けるかもしれないが、じっくり読めば得るところも多い一冊といえる。