チューリング 情報時代のパイオニア

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空の上でカンバーバッチがチューリングを演じている映画を観ていたら、20年程前にチューリングが自分のアイドルの一人であったことを思い出した。当時、息苦しいコネチカットの田舎の空気から逃げ出すように車を走らせて訪れた週末のボストンのBORDERS書店で手に取った「The Emperor's New Mind」を蝸牛並みの速度で読み進めていた中で知ったのがいわゆる「万能（チューリング）マシン」という仮想計算機で、ゲーデルの不完全性定理と共にロジャー・ペンローズが紹介していたのを読み夢中になったのだった。もちろん、カンバーバッチに教えられずともチューリングがエニグマ暗号を解くのに貢献していたことも、人とは異なる性癖を持っていたことも学習済みであったけれど、自分の理解がハリウッド映画並みに表層的であったことも、本書を読んで改めて認識させられた。

いわゆるデータ解析を生業としてきた身として、コンピュータの進歩と解析できるデータの量、解析の精度の向上には敏感であった筈だが、その嚆矢はフォン・ノイマンのENIACであるとずっと認識していた。もちろんチューリングが理論上コンピューティング・マシンの可能性を示唆していたことも理解していたが、ブレッチリー・パークで実際にプログラム内臓型の電子式の計算機製作に係わり、エニグマ暗号解読以上のことを成し遂げていたとは初耳だった。そのことを含め、チューリングの余り認知されていない貢献について光を当てたことは本書の充分に大きな成果だと思う。それでも「シミュレーション・ゲーム」のような映画は今後も依然として作られるだろうし、皆がチューリングのことを今日の情報化時代の生みの親だとは言わないだろうけれども、戦後ようやく開示された長く秘されていた英国政府の資料に当たり、かろうじて生き永らえていている関係者から丹念に証言を集め、伝記としてまとめあげた著者に、個人的には賞賛の拍手を贈りたい。

本書は、チューリングが関与した数多くの分野の黎明期についても同時に語られているため、チューリングの伝記と思って読んでいると多少肩透かしを喰らったような印象を時として感じることは否めない。もちろんそれだけチューリングの為したことが理論から応用まで広範囲に渡り画期的であった為なので仕方がないのだろうけれど、一方で謎めいて他人には中々心を開いかなかったチューリングその人のポートレートを描くにはこのようなやり方しか無かったのだろうなとも理解する。チューリングに夢中になった切っ掛けを作ってくれたBORDERSが、その情報化時代の波に乗り切れずに市場から退場してしまったことが、やけにアイロニカルであるなと思わずにはいられない。

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☆死因ははっきりしていない
（関連）エニグマ、チューリングを読み、チューリングの計算理論、ノイマン・ゲーデル・チューリング、暗号解読　シン、蘇るチューリング、暗号機エニグマへの挑戦、思想としてのパソコン、チューリングを受け継ぐ、機械と言語、記号と再帰、計算機科学の応用

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第二次世界大戦期には暗号解読者として、
他方ではコンピュータの持つ無限の可能性について
恐るべき先見の明を誇ったチューリングの伝記。

内容が時系列ではなく、
登場人物の入れ替わりが多いことや、
唐突にチューリングから離れたエピソードが紹介される、
あえて学術的な詳細をぼかすことで
逆に分かりづらくなっているなど、気になる点はあったが
チューリングという偉大な人物の生涯や
その業績を垣間見ることができる。

戦時のエピソードについては
未だ不明な点も多いのかもしれないが、
もう少し紙面を割いてもよかったのではと感じた。

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コンピュータの創始者はアメリカのフォンノイマンではなく
英国のチューリングであること。
初代のコンピュータはENIACではなくACEであったこと。
そのチューリングの伝記なのですが、訳がもうひとつ
なのか、非常に難解。読みづらい。
万能チューリングマシンの理論はよく理解できたかどう
かは不明ですが、この時点で今の論理とほぼ変わらず
すごくよくできていると思います。

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2014/09読了。コンピュータの基本モデルをデザインした、チューリングの伝記。チューリングの学生時代から暗号解読に携わったこと、終戦後人口知能の研究を始めたこと、など彼の短い人生全体を網羅する内容。

学術的な部分は分からないところもありましたが、その人柄と功績について、知ることができました。ゲイだっただけで犯罪者となったなんて、厳しい時代だったんだと思う。でも、現代だって、後の世の人が見れば、非人道的なことがいろいろ行われているのだろう。

それはさておき、あとがきに、「スター・トレック・イントゥ・ダークネス」で好演したベネディクト・カンバーバッチによる映画製作が進んでいる、という記載があってびっくり！

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チューリングの伝記である。最初のコンピュータがENIACではなく、ACEであるということは高校の教科書にも記載されていないので、それだけでも価値がある。

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コンピューターおよびその構成とアルゴリズムの基本的考え方を生んだイギリスの数学者の伝記。
通説では少なくともハードウェアはアメリカでジョン･フォン･ノイマンを中心に開発されたのが現代のコンピューターの直接の始まりとされているが、実際は英国がナチスドイツのエニグマ暗号およびタニー暗号を破るのに成功したのがチューリングとフラワーズの機械であり特に後者のものがそれである。ただ軍事機密で長年明かされることはなく最近わかった事である。チューリングはチェスや音楽、人工生命のプログラミングのアイディアも戦後出し続けフラワーズとは違ってコンピューターの業界に名を残すこととなった。
ただ後半生はゲイであることで逮捕され化学治療を受けさせられたり不運な面もあった。41才での最後も自殺とされているが本当のところは不明。

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コンピュータサイエンスの本質部分は、チューリングの理論やアイデアから、未だに進化してない事を痛感させられる内容。

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図書館で借りて読了。
映画で知ったアラン・チューリング氏についてもう少し詳細を知りたいと思い読みました。
数学について、暗号解読について、コンピューターについて、人工知能についてなどなど、難解な部分もありましたがチューリング博士の人柄の中のユーモアの部分も随分伝わってきましたし、理解者や支援者もいたことも知れました。そしてなによりチューリング博士の発想がどれほど先を行っていたのかということも。
現在のすべてのコンピューターの始祖と言っても過言ではないその発想、発明にただただ感服です。
ただ、この本に関しては映画の原作となったものに比べると描かれている部分が本当にそういった業績に特化している感があるのは少し残念でした。
上下巻出揃ったところで原作本も読んでみたいと思います。

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伝記ですが、戦記物、暗号解読のスパイ戦、数学史、コンピュータ史、人工知能史、死因をめぐるミステリー、といった多面的な読み物です。

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映画『イミテーション・ゲーム』で注目されるようになった科学者アラン・チューリングの伝記。これを読むと、ある程度、彼の死も脚色されているとわかった。また映画では触れられていない「イミテーションゲーム」の内容について書いてある。暗号解読、コンピューターの基礎、人工知能までずっと未来を見ていたともいえるし、ぶっとんだ思考の持ち主ともいえる。