レックス戦場をかける犬

最近、犬の本の売れ行きが好調です…

丸善 丸の内本店さん

最近、犬の本の売れ行きが好調です。ここ数年は人気ブログをまとめた、どちらかといえば写真に重きを置いた本が多く出版され人気を得ていましたが、その流れが変わってきているようです。

人間には理解できない不思議な犬の行動や心理を、犬との対話形式で解き明かしていく『犬に言いたいたくさんのこと』（池田書店）や、「飼う・飼われる」では表しきれない犬と人との深い愛情関係をオムニバス小説形式で描いた『犬から聞いた素敵な話』（東邦出版）など、犬好きの心をつかむ読み応えのある本が人気を得ているのです。震災以降、「絆」の大切さがたびたび説かれていますが、犬と暮らす方々にとってそれは人間同士の繋がりだけにとどまらない意味を持つのかもしれません。

良作が次々と出る中、今回おすすめしたいのが『レックス 戦場をかける犬』です。アメリカの海兵隊に属する著者とそのパートナーの軍用犬レックス（彼もまた兵の一員であり、階級もついています）はイラク戦争の只中、最前線へと派遣されます。文字通り死と隣り合わせの状況下で、助け合いながら自らの職務を全うしようとする姿には心を打たれます。犬の本としては特殊な舞台設定ではありますが、むしろそれが人間と犬との関係が他の動物とのそれとは異なるのだという事実を際立たせ、心に迫る読み物となっていると感じました。

書名で敬遠せず、多くの犬好きの方に読まれてくれると嬉しく思います。


（評者：丸善　丸の内本店　実用書担当　望月あゆ美）