電子書籍
映画化を期待
2017/12/24 08:18
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投稿者:yoshy640 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代設定が1998年と現在では既に過去となっているが、内容としては少しもふるさを感じさせない。
ブレードランナーのように是非映画化を期待します。
紙の本
日常への違和感
2015/12/10 03:47
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピーター・ウィアー監督が本書を読んで「トゥルーマン・ショー」の参考にしたことは有名だ。懸賞に勝ち続ける男に降りかかる思いもよらないドラマは斬新だ。誰しもが日々の生活の中でふと気づく不思議な感覚が、とてもよく伝わってくる。
紙の本
時は乱れて
2016/11/07 12:28
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投稿者:によ - この投稿者のレビュー一覧を見る
すごい!すごくおもしろかった!!
少しずつ増えていく謎に「この世界は一体何なんだろう…」とレイグルたちと一緒に謎に満ちた冒険をしているような気でいたら、最後の1/5で全てのピースがはまってゆき、SFだからこそできる大きな問いかけを残して、ぴったりと着地した!
すごい!
ちなみに、SFだからこそできる問いかけ、とは、私は
『エンタテイメントの形を取って「戦争とはどのようにして起こるのか」「何故起こるのか」を考えることができる』ことだと思っている。
私は、p.371の「彼らはみな、みずからの信じていることに忠誠を果たしてきた」結果が戦争だと思っているからだ。
その意味で、本書のp.371は大切な問いなのだと思っている。
自身の信じる道をそれぞれが行く、これは正しいことなのに、理想主義的すぎて最大の犠牲を払い、現実に得られるものは何もない…
何を得たいのか、誰が何を主張しているのか、見極め、落としどころをはかるのが、知恵なんだろうな…と、私はやっぱり思っている。
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新聞の懸賞クイズ〝火星人はどこへ?〟で全国チャンピオンの座を維持する有名人レイグル・ガムが、オ-ルド・タウンという田舎町で妹夫婦と住んでいました。レイグルは、事あるごとにディシャブ(既視感)の体験を重ねていて、本当の自分はいったい何者で、どこから来たのかと苦悩するようになります。物語は1959年に生きるレイグルが、40年後の未来の記憶に目覚め始め、読者をタイムパラドックスの世界に誘っていきます。時間軸の歪みに呑み込まれ、闘争社会に蠢く人間の精神的不均衡を描いた【P.K.ディック】初期のSF小説です。
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他の作品と文体が違うので戸惑うが、読み進めればいつものディック小説。映画「トゥルーマン・ショー」がインスパイアされた物語。
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新聞の懸賞クイズ「火星人はどこに?」に2年連続で勝ち続け、クイズの賞金で生計を立てているレイグル・ガム。片田舎の小さいのどかな町で、妹夫婦と共に穏やかな日々を送っているガムは、しばしば自分を取り囲む現実が「現実ではない」という感覚に囚われていた。ある日、甥っ子が遺棄された空き地から拾ってきた古びた電話帳と古雑誌。電話帳に掲載された電話番号はどこにも繋がらず、雑誌のグラビアでは見知らぬ女優について報道されていた。疑惑を確信に変えたガムは、クイズを始めてから一度も出たことの無い町を出て真相を確認しようとする。彼の動きを監視するかのように振る舞う隣家の夫婦、何かを知っているらしい市民活動家の老婦人・・・自分は騙されているのか、それとも自分が狂っているのか?何度も困難にぶつかりながら真相に近づいて行くガムが、最後に見たものとは?
表紙のアートワークで盛大にネタバレしているのはまぁご愛嬌として(^_^;
いやー、久々にやられました。やっぱりディックは面白い!
この作品がSFだという予備知識なしに読み始めると、前半で描かれる米国地方都市の日常の風景、その中でこじんまりと展開される市井の人々の日常が実に「普通」で、本当は主流文学を目指していたディックの筆力を感じさせます。お隣同士の交流とちょっとした確執とか、ちょっとしたアバンチュールとか、そんな本当に「普通」の風景の中から薄皮をはがすように立ち現れてくる「非現実」。この過程の背筋が薄ら寒くなる怖さは、前半の日常風景の丁寧な描き方があってこそ。
少しずつ少しずつ、足元の現実が崩れ落ちて行き、それに追われるように真実へと突き進んで行きつつも実は自分が狂っているだけとの考えからも抜けきれないガムの焦燥感は、読んでいるこちらも本当にヒリヒリするほどサスペンスフル。ガムを取り囲む謎めいた登場人物達もキャラが立っており、物語にメリハリを付けています。
物語全体のスケール感は他のディック作品と比べるとかなりこじんまりしており、SFのアイディアとしてもそれほど特筆すべきものはないのですが、無駄の無いストーリー展開で一気読み必至!の洗練された作品ですね。
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最近だと『叛逆の物語』に似ているが、半世紀前の本作の方が全然面白い。倦怠感、不気味さ、焦燥感、登場人物の凡人っぷり。初期の作品だけどディックの魅力十分。
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いま自分がいるところは、本当に自分の居場所なのだろうか。
このような不安を微かに(しかし確実に)感じながら生きている男の物語。
上記の不安は、作者が以後の作品で反映させていく不安群――たとえば、自分が記憶していることは、本当に自分の記憶なのだろうかという不安――の一つと考えてよいでしょう。
戦後アメリカが舞台ということで、共産圏に対する不安や敵意なども描かれていて、SFという要素以外でも知れるところがあります。
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SFマガジンのPKD特集に再度刺激され、ディック祭り継続中。
57年の「虚空の目」と62年の「高い城の男」の間に位置する作品。何かが違っているように見えるのは自分が狂い始めているのか世界が本物なのか?普通小説にしか見えない出だしから、徐々に不安感が高まって・・・100ページ以内でどちらがおかしいのかがわかってしまうのですが、それは何のため?という謎がじわじわと深まっていくサスペンスは強烈。一気読みです。
PGMにリゲティを流したところ、すがすがしい秋晴れの中で読んでも不安感MAX。実にディックな日となりました。やっぱりディックすげー。
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初期の作品ではあるがディックのパラノイアの予兆のようなものを感じる。
得意の現実崩壊系の作品で、プロットが面白く・破綻も無くしっかりしていて珍しく綺麗にまとまっている。
良く言えばまとも、悪く言えばディックの良さが足りないかなと言ったところ。
でもこういう話はすごく好きですw
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知らないタイトルだったので購入。内容はディックではよくある現実崩壊~実は戦争やってた系。クイズの内容が訳わからないのがおもしろい。前半はいまいち乗りきれなかったのだが、中盤~後半にかけて、外に出ようとして妨害されるところとか、外の現実がわかってくるところとかはおもしろかった。何もルールがわからないまま現実世界に出て行った時がすごく怖かった。オチはよくわからなかった。戦争はまだ続くのか、主人公が終わらせに行くのか?
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「与えられたものは信じるな、ってことなのかな」
蛹はそう言って、小さく首をかしげた。
「自分で掴んだものだけ信じろ、と?」
葉月も同じように、小さく首をかしげる。
「いや、それも疑っておいた方がいいんじゃないかな」
「……どっちなんですか」
ふたりは、蛹の家の居間にいた。
いつものように、向かい合ったソファに、向かい合って座り、向かい合ってコーヒーを飲んでいる。
「例えば家族や友人が、あるいは住み慣れた家や歩き慣れた町が、誰かから与えられたものだとしたら、っていう話」
はあ、と、葉月は曖昧な相づちを打つ。
「それってつまり、幸せが、誰かから与えられたものだとしたら、ってことですか?」
「どうだろう? ここでは、そう言ってもいいかもしれないけど。その幸せから抜け出して、本来の自分のあり方を取り戻すことが正しいことなんだろうか、って」
「でも、別に記憶を消されたり、書き換えられたりしなくても、元々幸せってそういうものじゃないでしょうか」
「うん?」
「何が欲しいとか、何が心地よいとか、みんな人から与えられた価値でしょう? それで、幸せとか不幸せとか言っているでしょう?」
それを聞いて、蛹が笑った。
「そういう幸せなら、いらないかもね。でも、正しさもいらないんだ」
そして、その話題にはそれ以上、突っ込まなかった。
「それにしても」
と、葉月は独り言のように言う。
「こっちは西暦二千年も過ぎたというのに、宇宙戦争どころか、地球から出ることもままならないんですよねえ」
「描かれた未来が現実よりも先を行っていたなら、それは想像力の勝ちじゃないかな。悪くないよ」
「ああ、それはそうかもしれませんね」
「それと、実際に宇宙戦争になったら、月は敵に回さない方がいいという教訓もある」
「月を制するものは、地球を制す?」
「石と砂の世界から青い地球を見下ろすのは、どんな気分だろうね」
これは単なる思考遊びだ。
粘土をこねるように、頭の中の現実をこねる遊びだった。
そして、それは休日の午後の過ごし方としては悪くないと葉月は思った。
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ディック流セカイ系SF。
主人公レイグル・ガムは、無職で独身の中年男だ。弟夫婦宅に居候している。
ディック先生お得意のダメ人間か...というとそうではない。レイグルは地元の有名人である。もちろんいい意味で。というのは、新聞の懸賞企画「火星人はどこへ?」に2年間も正解し続けているチャンピオンなのだ。
この懸賞は、ファミコン版ロックマンのパスワードが複雑になったみたいなものらしい。一般人は分からないが、レイグルだけが分かる法則性と天才的な勘で正解を導きだしている。
舞台は50年代後半のアメリカの小さな町。レイグルは平穏で満ち足りた日々をすごしていた。
ところが、しっくりこないことがたびたび起こる。電気のスイッチを間違えた(ボタン式なのに紐を探してしまった)。甥のサミーが、架空の電話帳を拾ってきた。同じくサミーが造った鉱石ラジオから、軍事機密のような通信が聞こえてきた。などなど、デジャビュや幻聴にしては、どうも生々しい間違いが多いのではないか。
レイグルは思い悩む。もしかしたら、仕事のしすぎて疲れているのか?いや、実は世界が...?
レイグルの苦悩を追っていくと、SF的展開が広がっていく。さすがディック御大!面白い作品だった。
細かいところも面白い。例えば、ガムの隣人ブラック夫妻の掛け合い。夫ビルはホワイトカラーで、妻ジュニーは(言葉が悪いが)尻軽だ。当然、相性が悪い。お互いにすれ違う様子は、ひどくリアルである。もっとも、どうしてこんな不釣り合いな夫婦であるのかが、だんだん分かってくるのだが。
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久しぶりのディック.今は亡きサンリオ文庫から出ていたものらしい.
ディックお得意の「模造記憶」「泥沼化した戦争」「並行世界(ちょっと違うか?)」がキーワードだが,比較的前期の作品であるために,作者自身がパラノイア化したともいえる後期作品とは異なり,短編の延長のようで読みやすい.
「なぜ彼らの側についたんだ?彼らは女性や子どもを殺しているんだ−」
「それは彼らの方が正しいからだ.」
今の世の中でこんな台詞を読むとゾッとしないでもないが,何が「正しい」かは読んでからのお楽しみ.
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ハードカバーを見て、表紙のかっこよさで読んでみたいと思った本。
洋物なのに大変読みやすく、内容もすごく面白かった。30年前の本だというのが驚きです。
ただ、後半の急展開になかなか付いていけなかった。終わり方もここで終わり!?て感じで、もう少し先を読みたかった。