電子書籍
最後のフレーズにシビれる。
2016/02/15 00:37
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投稿者:やきとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
カジシンと言ったらリリカルSFの名手ですが、その中でも本作「おもいでエマノン」は最高傑作と名高い名作です。歴代日本SFでも常に上位にランキングされる程の人気作品だったのですが廃刊になっていたため最近は読めませんでした。巻末の対談で当初はシリーズものではなく読み切りで終わる予定でしたが、短編ネタがないので再登場させたことにより現在に至る事になったと語っています。
さて地球に生命が誕生してからの記憶を持った少女という魅力的な設定ですが、超能力などの能動的能力ではないので周りが動いて話が進むという流れになります。ただどの話も登場人物が彼女に答えや許しを求める話が多く、そう言う意味では彼女は地球の思い出であり地母神ガイアなのかもしれません。時代設定も近代から近未来とバラエティに富んでおり時代が特定できなくファンタジー感を醸し出しています。私は第一話の最後のフレーズが好きで「数時間一緒にいても、数十年間一緒にいても同じ(刹那)ことなのよ」というエマノンの時間的スケールに圧倒されます。
電子書籍
短編集だが何といっても表題作がいい
2020/06/16 13:14
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者梶尾真治の代表作ともいえる短編集だが、何といっても表題作がいい。
様々な形に応用できるアイデアのエッセンスが詰まった作品。
特に終盤のプラットフォームの場面が衝撃的。最初読んだときはしばらく呆然としてしまった。
他の作品は変奏曲。
紙の本
時をかける名作
2017/04/11 04:42
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
カート・シオドマックなど、古今東西の名作SFへの敬愛が感じられる。30億年の記憶の中に、世界中の名作が込められているはずだ。
電子書籍
コミックではない
2015/08/28 20:53
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投稿者:みるお - この投稿者のレビュー一覧を見る
コミックと勘違いして購入。何気にしっかりとしたSF作品。オムニバスになっていて、主人公が必ず過去の全ての記憶を引き継いだ少女エマノンが主人公。読みやすく楽しめた
紙の本
心地よさに抱かれて
2015/09/23 21:31
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投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
梶尾作品には、どの本を取ってみても、そこはかとない心地よさを感じる。
エマノンシリーズにしてもしかり。
しかし、同時にどうしようもない絶望感も一緒に感じられる。この本の中では「うらぎりガリオン」などその良い例だろう。
バリンジャー隕石など、実在の現象を「トンデモ科学」にしてしまうのは梶尾作品によくある手法だが、ちょっとやり過ぎの感がある。どうしようもないやりきれなさが残るのは私だけだろうか。
しかし、「ガリオン」に出てくるサンディという女性は好きです。
私も熊本の出身なので、「しおかぜエヴォリューション」に出てくる天草の光景も、「ありがち」だなと楽しめました。
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2011年5月16日漫画版を読み終えてから
「是非活字で読みたい!」と思っていたから
★は甘めかもしれない。
表題作のなんともいえない空気の漂う感じは
この短編にあう音楽を見つけたいのだが見つけられない。
切なさをまとったロマンティックな時間と恋愛系の
「ゆきずりアムネジア」「あしびきデイドリーム」
MADな感じの
「さかしまエングラム」「うらぎりガリオン」
超能力者の意味を追う「たそがれコンタクト」
それらの中間に位置する「とまどいマクトゥーブ」
人類の存在の方に中心を置いた「しおかぜエヴォリューション」
あたりはずれはあるけれど、これから3ヶ月連続で
エマノンに会えることが、まずは幸せ。
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読んだのは1983年刊の単行本。
【感想】
・長年気になっていた作品をようやく手にした。
・鶴田謙二さんのファンなので彼の絵がカバーの文庫本をと思ったのだが最初の形で読みたくもあったので単行本を。カバー絵は新井苑子さん。一九八三年、まだ活版印刷の時代。本って感じがする。
・今となってはちょっぴり古くさい感じはする。
・「キノの旅」の原型って感じもある。
・三十年前に読んでたら耽溺してたかも。
【一行目】一九百六十七年といえばジェミニ計画が一段落した翌年で、まだアポロも月に着陸していなかった。
【内容】
・地球に生命が誕生してから現在までの記憶を持っているエマノンと、彼女に惹かれた男たちのせつないお話。
・不死者譚もののバリエーションのひとつと言える。
・大型フェリーでエマノンと出会った青年。
・事故でケガをしエマノンから輸血を受けた少年。
・記憶を失ったエマノンと結婚した男。
・人類を超えた能力を持つ少年。
・vsコンピュータ異星人。
・超能力者コンビ。
・放送局のアナウンサーと石油備蓄基地建設予定地にはえてきている植物たち。
▼エマノンについての簡単なメモ
【アイオン】エマノンと同じくすべての記憶をもっている植物。「永遠の時」という意。エマノンの知り合い。
【猪部一雄】肥乃国日報文化部芸能欄担当の記者。裏のない性格で飄々としている。
【エド】サンデイの夫、トミーの父。
【エマノン】だいたい粗編みのセーターとジーンズを身に付けナップザックを背負っている若い女。《私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ》「おもいでエマノン」p.18。そして記憶の重みにうんざりしている。昭和二十五年生まれ。最初の話の時点で十七歳。娘が生まれたら記憶は娘に受け継がれ元のエマノンには残らない。
【エマノンの名前】no nameの逆さ読みらしい。
【邑上】九肥放送のVTR編集室勤務。大柄で繊細さとズボラが同居している男。「ワイドおはよう列島」というキー局発信の番組で鉈地英子と組むことになった。
【学生】名前はわからない。最初のエピソードでエマノンと出会った青年。SFが好き。ずっと後にエマノンと再会するが。
【片岡雅子】九肥放送のアナウンザーだったがある日突然マイクの前でしゃべれなくなって今は資料室勤務。
【神月潮一郎】初めてエマノンと会ったときどういう者であるかをを看破した傲慢で酷薄な高校生。わかってしまう能力とケガをしてもすぐ治る肉体を持っている。
【ガリオン】コンピュータ。意志が感じられる。
【記憶の引き継ぎ】娘が生まれたらその娘に記憶は移行してしまい母には残らない。ということは「生命の記憶」そのものがエマノンという存在なのだろう。
【傷つける】《本質的に彼女には、決定的に他人を傷つけることができないのだ。》「とまどいマクトゥーヴ」p.119
【サンディ・ペイジ】新しい人生を送ろうとしている女。トミーという息子がいる。
【晶一】セラピーにかかっている瞳の大きな少年。出生前の記憶を持っている。両親が死んだ交通事故のときエマノンから輸血を受けた。《でも、晶一くんはほしになったんだわ。願いがなかったじゃない。》「さかしまエングラム」p.60。
【ダウジング】エマノン特殊能力のひとつ。道具なしでダウジングできる。砂漠で水を見つけるのも簡単!
【田口】セラピスト。晶一を治療している。
【旅】《エマノンは記憶の原初からずっと、旅を続けているのだった。理由など見当たるはずもなかった。そらはエマノンにとって本能なのだ。》「とまどいマクトゥーヴ」p.120
【丹下丈二】創業以来九肥放送勤務していたが取材中の事故で退職したらしい老人。今は酒びたりの日々。
【ツチノコ】美郷健が高校教諭をしていたころのアダ名。ツチノコに似ているからとか。今はJ・K・インダストリィ傘下の企業をやっている。
【トミー・ペイジ】サンディの息子。
【鉈地英子】ローカル局、九肥放送報道局のアナウンサー。天草に行く途中のバスでエマノンと出会う。エマノンと同じE・Nというイニシャル。
【ヒデノブ】予知能力者。ヨシフミと組んでいる。未来に起こることが全て書かれている一冊の本を持っている感じで読めばなんでもわかるが、決定された運命を自分がなぞるだけだと悟りヒデノブはなるべく読まないようにしている。エマノンとは真逆の方向の能力者。
【古橋】東阪石油の備蓄基地建設のための駐在員。いろいろ苦労している。
【フレデリック・F・フリードマン】サンデイの父、トミーの祖父。〝狂気の3F(ルナティック・スリーエフ)〟と呼ばれた有名な研究者。宇宙生物学を研究していた。ガリオン・ラボを開いた。
【マクトゥーヴ】「運命づけられたもの」とか「予定されたもの」といった意味。神月潮一郎が自分のことをそう評した。
【ヨシフミ】精神感応力者。元暴走族だがケガをしてオートバイの運転ができなくなり今はヒデノブと組んでいる。
【良三】五十間近の男。フリーのシナリオライター。1973年に記憶を失ったエマノン(荏麻/えま)に会い結婚した。その娘が荏衣子(えいこ)。
【歴史】《歴史って、人類や生命全体の〝おもいで〟に違いないのよ》「おもいでエマノン」p.30
【老人】良三が荏麻と名付けたエマノンの父親。
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ものすごく久しぶりに読んだ。第1話が書かれてから、もう34年もたつんですね。エマノンはそのテーマ故にどの時代でもマッチするので、これだけ時間がたっていても色あせた感じはないですね。
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30億年分の記憶を持つ少女。
noname→エマノンさんの短編連作。
設定はSFだけど、むしろノージャンル。
色々考えちゃいます。
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とても有名な本なのですね。
読み放題になっていたので手に取ってみました。
時代を感じさせない、SFさをあまり感じさせない優しいお話です(宇宙戦争なんて出てきません)。
構成はショートストーリーの集まりになっていて、どこからでも、どの巻からでも読めるようになっています。エマノンは、旅をしながらいろいろな人と出会い、自分の ”おもいで” として記憶していきます。それが彼女の旅、なのでしょう。
原始時代、まだ単細胞のような時代、というようなくだりもでてきます。
小さな生物は、なんのために、どうやっていきているのか、単細胞は1つで1つの生命なのか、と考えるとやっぱり違うように思います。
今年のベスト本として挙げられる、植物について書かれた本「樹木たちの知られざる生活」で、樹の根本では、菌糸が樹とネットワークを作り大きな生命体として機能している、と書かれていました。
生物の単位が1個体だ、というのは狭い考えだったのだと改めて思います。
ウィルスも1つ1つが生きているのではなく、連携してひとつの世界を創っているのかもしれません。共生、とは思いたくはないですけれど、進化のために必要なものなのかも。
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飛行機のなかで読むために購入した本。ひたすら繰り返し読んでも飽きないSF本。単行本もこの編みかたなのだろうか。発表年を感じさせないテーマと文体。
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SF。短編集。シリーズ1作目。
『アステロイド・ツリーの彼方へ』で「たゆたいライトニング」を読んで面白かったのでシリーズに挑戦。
最後の「あしびきデイドリーム」には、「たゆたいライトニング」のキャラが登場。
30億年に渡る記憶という、極めて時間的スケールの大きな設定が魅力的。
どの話も好きだが、「とまどいマクトゥーブ」がベスト。
個人的には、エマノンの永い記憶を少しでも共感できるよう、時間をかけてゆっくり読むのが合ってるかも。
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おもいでエマノン
ぼく、エマノン。
さかしまエングラム
晶一少年、田口医師、エマノン。
ゆきずりアムネジア
良三、老人、えま、えいこ。
とまどいマクトゥーヴ
エマノン、神月潮一郎、ツチノコ。
うらぎりガリオン
母サンディ、息子トミー、エマノン、フリードマン、ガリオン。
たそがれコンタクト
ヒデノブ、ヨシフミ、エマノン。
しおかぜエヴォリューション
鉈地英子、猪部、丹下、エマノン、古橋、アイオン。
あしびきデイドリーム
輝良、ヒカリ、エマノン。
素晴らしい読書体験になる。ポートワインとビターチョコレート。
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鶴田謙二の漫画の方からエマノンに出会いました。
思ってたよりSF!!
さかしまエングラムととまどいマクトゥーヴがめっちゃ好き。
さかしまエングラムは、ラストの星の場面がとても、きれい。
とまどいマクトゥーヴは神月くんがああ、だめだ大好きだ。
エマノンは、すべての男子たちの母で恋人だ。
永遠の憧れだ。
過去から続く時代の人々を、
人類を、
地球を、
すべてを愛して、
でも一人の女性としても今を生きるエマノンは同時に私達でもあるのだ。
めちゃくちゃ、かっこいい。
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説明するまでもない名作、エマノン。徳間デュアル文庫が暫く品切れになっていたが、この度、徳間文庫から新装版が刊行された。
帯裏の予定ではすべて新装版が出るようなので嬉しい限り。
美少女エマノンと邂逅する人々を描いたオムニバスだが、1作1作の完成度が高く、どれを読んでも楽しめる。長年愛される作品にはそれだけの力があるのだと実感。