紙の本
「一切皆苦」に救われたドイツ人禅僧による日本人論
2014/03/09 10:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツ人の禅僧による宗教を通した日本人論です。
内容は、キリスト教国である欧米社会と比較することで、日本人の宗教観を読み解いていきます。そして日本人は宗教に無関心ではあるが、決して無宗教ではないという結論に至ります。一見逆説ではありますが、そうではない目からうろこの日本人論でした。
例えば欧米諸国ではありえない給食や掃除等の行為を通して、日本人は仏教(禅)の教えを無意識に実践・体得しているとのこと(23ページ)。その他にも、日本人の無常観は湿気が影響している(40ページ)とか、日本人の他者とのシンクロを読み解いたり(47ページ)、第3章では日本仏教界への提言も試みています。また第5章では、キリスト教と対比して論じることで、キリスト教への入門書ともなっています。
とにかく、外国人ならではの新鮮な視点に感心しました。本書は一読の価値があります。
紙の本
本当のこと
2014/08/21 17:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mmattsu - この投稿者のレビュー一覧を見る
真摯に本当のことを語ってくれた本です。
日本人にとっての宗教について、宗教の力で何が出来て何ができないのか、仏教会は何をやっていて何をやっていないのか、物足りない部分もありましたがこれが現実なのでしょう。この人の言うことは本物だ(本当に住職なのですから当然ですが)と思える内容でした。
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外国からやってきた和尚さんの説法って感じ。別に特筆して知的好奇心をくすぐられるものではないけれど、仏教に興味を持てる。
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地元図書館蔵書
タイトルでやや倦厭させられた
はじめは日本をほめておりくすぐったく、読み進められるか不安であったが、
中盤から日本人の宗教観とキリスト教圏の宗教観の比較やそれぞれの長所・短所に関しての記述は面白く興味深かった
また、仏教における考え方や思想、キリスト教圏におけるそれ、また筆者自身の思想も簡潔にまとめられており、はじめに持たされた印象よりもかなり面白く読めた
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「しかし坐禅は、自分で坐禅をしているうちは本当の坐禅ではない。」
坐禅とは、自我の破壊であると思った。
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キリスト教には教義があり、教義がある。
それがキリスト教を信仰している人々の支えになっている。
しかしキリスト教は他宗教を否定する。
ところが、日本人にはそういった宗教間の対立がほとんどない。
今の日本人はキリスト教を否定しない。
日本人は無意識のうちに、日常生活の中で「禅」の教えを実践している。
だから、日本人に「宗教」は要らない。
と著者は説く。
今のお寺や仏教がいかに形骸化さえているかもよく書かれていて改めて気が付かされることも多かった。
前に読んだ著書よりは非常に読みやすく書かれている。
ドイツのお坊さんだからと思って読むと浅い気がするかもしれないが、
「迷える者の禅修行」を読むといかに厳しい修行を越えた方かがわかります。
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元キリスト者、ドイツ出身で曹洞宗の僧侶である著者が日本について外側からの視点で日本について述べている本である。
ここ数日の何となく慌ただしく、心にとって重いと感じていたものを少しすっきりとさせてくれる内容であった。
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宗教論に興味があるわけではないのだけど、本の帯の、青い瞳のお坊さん、というギャップある写真に惹かれて購入。+゚(*ノ∀`)
キリシタンから仏教徒になった著者のお話、なかなか興味深かった。
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「日本人に「宗教」はいらない」
刺激的なタイトルなので思わず購入して読了。
内容はドイツ人禅僧による日本とドイツの宗教観、制度の違い、仏教・禅宗に対しての説明、著者がなぜ日本で禅僧になったかなど興味ある話題があった。学問的な論考ではないので身近な話が多く読みやすかった。
しかし、タイトルは出版社がつけたのだろうがちょっとひどいと思う。確かに、外国人から見れば日本人の日々の生活に宗教的な要素が見られ感心することも多いかも知れないが、それは逆に日本人がキリスト教国の人たちを見れば同じような宗教的な習慣が目につくと思う。だからといって、宗教は生活に根ざしているので宗教は必要ないとは言わないだろう。
現代は神様が住みにくい世界ではあるが、一神教と八百万の神を認める宗教に対しての考え方の違いなどは改めて確認できた。
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アカデミックに宗教の不要性を論じた中身ではなく、感覚的な内容。そもそも、信教の要不要を論じる事は可能か。論理とは理由の説明が基礎になるのだが、信教に理由はない。神の存在証明が不可能なように。
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どうしてドイツのキリスト教徒が仏教徒になったのか、キリスト教社会と日本社会の違いなどに興味があり、ネルケ無方氏の本をいくつか読んだうちの、最も面白かった一冊。
日本の仏教の現状を葬式仏教と揶揄しつつも、これからの日本の仏教がどうあるべきかを説いている。大阪城公園でホームレスをしながら、翻訳活動や座禅をしていたというくだりは、とても異色でかつ親近感がわく内容であった。
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2017年1月
ドイツ生まれの元クリスチャン、現在日本の曹洞宗の住職のネルケ無方が書いた、日本人の宗教観についての本。
筆者は禅宗の僧侶であり、いわゆる日本人が信仰するようなお経や題目を唱える仏教とは少し異なる宗派。
面白かったのは、禅の考えは日本人の生活に根付いているという考え方。家具を大切にすることや、掃除を行うことも修行の一つであるという、習慣のような考え方は実は禅宗の教えの流れであるという面白い発見があった。筆者の考え方と違う部分かもしれないが、仏教とは非常に哲学に近いものなのかなと感じる。
欲を捨てる、ということが仏教の目指すことであるが、それは「今、ここにあること」を大事にするというシンプルな教えなのだなと理解した。どうしても日常の中では、もっとお金が欲しい、いい生活をしたいという思いは強くなってしまう。そうではなく、今生きている日常を受け止めていくことが大切なのだなと思う。
また、面白かったのは先祖崇拝は日本人特有の考え方という点。あまりヨーロッパの人たちには馴染みがないものらしい。
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元クリスチャンのドイツ人で日本の禅僧になった著者による日本の宗教感覚についての本。いらないというのは、既に十分、著者の言う禅的感覚が日本人のベースにあるからということ。日本とドイツの違いを個人的な経験を踏まえて話している。親子の関係、お墓の印象、死生観等差異は意外と大きいのかもしれないなと思った。
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著者はドイツ生まれ。禅宗の1つ・曹洞宗の僧侶であり、2002年から2020年までの19年間を兵庫県の座禅道場・安泰寺の住職として務めた経験もある。キリスト教やイスラム教は他宗教を否定するが、日本では仏教と神道の間に対立は無く、キリスト教などを否定する事もない。日本人は無意識のうちに、日常生活の中で「禅」の教えを実現しているのであり、ならば日本人に「宗教」など必要ない... ?。ドイツ・ベルリンで牧師の孫に生まれ、キリスト教の信者だった16歳で坐禅と出会い来日、大阪城でホームレス雲水として修行した禅僧が、日本人の宗教観について考察する。
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祖母の家には仏壇や神棚があるが、実家にはどちらもない。
祖母の家で法事をする時に僧侶に来てもらうが、それ以外の僧侶の仕事を知らない。
若い世代には特に仏教は根付いていない。
むしろ新興宗教の方が多いと思う。
この本を読んで、キリスト教と仏教の違いを初めて知った。
仏教についても詳しくないが、日常生活に関わっているためあまり違和感なく受け入れやすいのは仏教の方だろう。
私は生きやすく考えられることが第一だと思うので、どの宗教を信仰するかはどうでもいいと思っているが、自分の思考を育てるために色んな宗教に触れることは大切だと感じた。