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紙の本
ザボンの花 (講談社文芸文庫)
著者 庄野 潤三 (著)
『ザボンの花』から庄野潤三独特の家庭小説が始まる。これは、著者にとって最初の長篇小説であり、麦畑の中の矢牧家は、彼がまさに創りつつある、新しい家庭であり、生活を愛し育んで...
ザボンの花 (講談社文芸文庫)
ザボンの花
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商品説明
『ザボンの花』から庄野潤三独特の家庭小説が始まる。これは、著者にとって最初の長篇小説であり、麦畑の中の矢牧家は、彼がまさに創りつつある、新しい家庭であり、生活を愛し育んでいく本質と主張を、完成度の高い文学作品にしあげている。一生のうち、書くべき一番いい時に書かれ、やがて『静物』『夕べの雲』へ続く作品群の起点でもある。【「BOOK」データベースの商品解説】
若い夫婦と3人の子ども、そして愛犬。5人と1匹の家族が東京郊外の麦畑にかこまれた一軒家で織り成す日々。季節の移ろい、ひとりひとりのやわらかな心のひだを、詩情とやさしいユーモアにあふれる筆致で綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
生活を愛し慈しみ、多くの人の心をつかんだ庄野文学の「家庭小説」の始まりであり、のちに名作『夕べの雲』に発展していく長篇小説。【商品解説】
著者紹介
庄野 潤三
- 略歴
- 庄野潤三(しょうの・じゅんぞう 1921.2.9~2009.9.21) 小説家。大阪生まれ。大阪外国語学校在学中にチャールズ・ラムを愛読。九州帝国大学卒。1946年、島尾敏雄、三島由紀夫らと同人誌を発行。教員、会社員を経て小説家に。55年「プールサイド小景」で芥川賞受賞。57年から1年間、米国オハイオ州ガンビアの毛に音大学で客員として過ごす。60年、『静物』で新潮社文学賞、66年『夕べの雲』で読売文学賞、71年『絵合せ』で野間文芸賞を受賞。芸術院会員。80年ロンドン訪問。80代に入った2000年以降も毎年刊行された一家の年代記的作品は、世代を超えた多数の愛読者をもつ。『庄野潤三全集』(全10巻)ほか著書多数。
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紙の本
昭和の家庭はこんな風であった
2021/08/25 15:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和30年に『プールサイド小景』で第32回芥川賞を受賞した庄野潤三は1921年2月9日生まれで、今年生誕100年を迎えた。
2009年9月に88歳で亡くなったが、今でも庄野文学を愛する読者は多い。
今でも新しい文庫本が出版されることもあって、今年の2月には読売新聞で「静かなブーム」と謳った記事も出ていたようだ。
その記事の中で庄野の長女が「父のファンの方は、熱心に本を読み、雰囲気がよく似たいい人が多い」とコメントを寄せている。
この小説は庄野が芥川賞を受賞した昭和30年に日本経済新聞に連載された家庭小説である。
大阪からまだ麦畑の残る東京の郊外に越してきた矢牧一家の何気ない日常の姿を淡々と描いた作品ながら、この作品が発表されてすでに60年以上経つが今でもファンが多い庄野の代表作のひとつだ。
矢牧家には三人の子どもがいる。小学4年の正三、2年になる妹のなつみ、まだ幼稚園にもいかない四郎。
引っ越してきたばかりの矢牧と千枝夫婦は知り合いもいなかったが少し離れたところに心やすい隣人ができる。
小さな世界ではあるが、現代のようにぎすぎすしていない。
時間の進み方がまるで違うように感じてしまう。
それが庄野潤三の文学の魅力ともいえる。
おそらく庄野の長女が「雰囲気がよく似た」人というのは、少なくともそんな時間を愛する人たちなのかもしれない。
親が親として、子が子として、そこにあたたかなものがあった時代の、家庭小説の名品といえる。