「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
勝ち上がりの条件 軍師・参謀の作法 (ポプラ新書)
名軍師・名参謀の資質とは…? 現代という困難な時代にあってこそ、組織を生き抜いた軍師・参謀から、私たちが学ぶことは多い。2人の歴史家が、軍師・参謀の系譜と時代を生き抜く普...
勝ち上がりの条件 軍師・参謀の作法 (ポプラ新書)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
名軍師・名参謀の資質とは…? 現代という困難な時代にあってこそ、組織を生き抜いた軍師・参謀から、私たちが学ぶことは多い。2人の歴史家が、軍師・参謀の系譜と時代を生き抜く普遍の極意について語り合う。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
半藤 一利
- 略歴
- 〈半藤一利〉1930年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。文藝春秋取締役などを経て、作家に。
〈磯田道史〉1970年生まれ。慶應大学大学院修了。博士(史学)。歴史家、静岡大学文化芸術大学教授。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
「軍師」という切り口で通史を読む
2020/04/16 20:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
中世から太平洋戦争までの軍師・参謀と言われた人物(大江広元、小早川隆景、本多正信、勝海舟、秋山真之等々)の論評を中心とした対談で構成された、「軍師」の四方山話。中でも、勝海舟と秋山真之の評価が極めて高いのが印象に残りました。
軍師に必要な能力は、願望と現実の見極力、相手の心理を読む力、カリスマ性は不要、予測し対策を施す能力、人間の本性の対する洞察力、正しい査定力等で、知識と発想力と洞察力について常人以上のレベルが求められるとのこと。「軍師」という切り口で通史を読むという、とても面白い試みでした。
ところで、「この国のリーダーというのは、寝技みたいなつまらんことばかり老練になっている」と日本政府への苦言もありました。
今回のコロナ対策でも、当初の甘々な水際対策から始まって、本当に事態の本質を理解できているのか疑問に思うことばかり。そしてその究極がアベノマスクという寝技にもならない対策で、笑う気にもなりません。もちろん桜や森友にご執心の野党は論外です。もはや日本には参謀は存在していませんし、台湾が羨ましいと思いました。
紙の本
真に歴史を動かした補佐官たち
2017/08/18 16:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:セーヌ右岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今を代表する二人の歴史家が、日本の戦国時代から明治期にかけて活躍し、歴史を作り上げた名軍師・名参謀を徹底分析したもの。その筆頭はやはり、度胸、胆力、智力、大局観を兼ね備え、明治政府に円滑に橋渡しした勝海舟であろう。「奇跡の幕臣」と評価されているが、停滞の続く今の日本社会に出現すれば、どのような改革、大展開をなし得ただろうか?そのほか、現代を生き抜く知恵をもらえる名軍師・名参謀たちの凄さが明かされる。
紙の本
読み込めば益々面白く、示唆に富んだ<刺激>が堪らない
2021/03/17 16:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の核心部分は、名参謀さがしの第5章と名参謀の資質に触れる第6章にある。
第1章から第4章までは、軍師・参謀の役割や制度変遷を中世からの歴史に辿り、軍師、参謀たる条件を検証する、言わば“前哨戦”にあたる。武将や補佐役の人物談義が面白いが、封建下の藩制度や君臣関係、身分の階層を“実感”できない時代の話は、所詮は昔話に過ぎない。
その点、明治以降は「情報、社会、権利、攻勢、奇襲」など新概念の身近な造語もあり、部隊の兵士編成や洋装化、給与体系にも関心が向く。
「昭和の参謀本部は情報を軽視していた」(230頁)とズバリ指摘する一方、「混乱する戦場でも素早くわかるようにさまざまな情報を、暗号や信号として記号化し」、制度設計により「日本海軍を実戦においてきちっと戦える組織にした」明治期の参謀、秋山真之を著者は高く評価する(234~236頁)。
私は、日露戦争で総参謀長の児玉源太郎が、満州派遣軍の司令官(乃木希典、野津道貫ら)四人の手綱を締め、現地で直接指揮を執った経緯に惹かれる。
元勲の大山巌元帥を動かし、対艦攻撃用榴弾砲を投入し大苦戦する旅順要塞攻略(二〇三高地奪取)を成功裡に導いた手腕に驚嘆した。近代国家で参謀の”親玉”が現地軍の指揮を振うのは珍しい。
早期講和での幕引きをはかる大局観と信念をもった児玉総参謀長を現地指揮官に据えた明治日本の「幸運」は、後世に“教訓”としては引き継がれなかった。
何故なのか、半藤が答える。「困ったことに、参謀というポストがやがて出世のための踏み台になってしまった」ため、「いざ実戦となったとき、参謀長や司令官にふさわしくない人物がその任についている」からだと(228頁)。
「見識」や「大局観」を欠いた「優等生が、軍令部・参謀本部という中枢組織に入って参謀になっていき」、「学校を出たときの成績順位が、ずっとついて回る」組織硬直化が顕著となる。半藤が挙げた日本海海戦や機動部隊第一航空艦隊での成績順配属の実例(247~249頁)に、唖然、暗然となる。
「自分の意見、導き出した結論を述べて、あとはすべてを指揮官に任せる」か、「とり得る方策を徹底的に考えて、選択肢を二つか三つに絞り、そのメリット・デメリットを示して指揮官に採択を任せる」かで、参謀のタイプ、即ち「提言の仕方には二種類ある」から、「参謀というのはやっぱり指揮官の性向をしっかり見極めなくてはいけません」(254頁)とは、面白い。
指揮官も含め最悪を考えたくない人間にあって、参謀は最悪の事態を常に想定する必要がある存在で、「これだけは言える。悪い報告をこそ伝えなければいけません」(256頁)とは、まさに至言。
「無謀な戦争の開戦前夜に、まさにそれ、最悪を想定した議論をやろうとした」“最後の海軍大将”井上成美の「鋭い洞察」(艦隊決戦に替わって航空兵力での戦いとなる)を例に、磯田は知識・発想力・洞察力の三つの能力を参謀の条件に挙げる(260頁)。
「若いころからの教育や鍛錬が必要となるから」「洞察力を得るのが難しい」訳だが、「ただ知るのと合点するのは違う」ので「脳がちぎれるほど思考せよ」との記述(264~265頁)に、本書の価値(単純にして明快な真理)を見出した。